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Another Day(アナザーデイ)


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2010年
開発会社:QUEEN'S SOFT

2011年5月31日をもってアナザーデイはサービスを終了しました。
サービス終了についての雑感は最下部に書いてあります。

ベータテスト時の感想も以下に用意している。
リンク

レビュー脱稿日2010年10月 最終更新日2011年3月

紹介

『Another Day(アナザーデイ)』は韓国のQUEEN'S SOFTが開発、JC Globalが運営を行っているオンラインFPSだ。
再出発となったSTINGを例外とするならば、2010年のオンラインFPS唯一の新作とも言える。

グラフィックエンジンにはLithtech Jupiter Extendedが使われている。
Jupiter Extendedは2005年に発売された有名な『FEAR』でお馴染みだ。
であるからグラフィックの雰囲気や環境音は『FEAR』に似ている。
ゲーム自体はFEARと似ても似つかぬバランスだ。

始める前に覚えるべき内容がやや多いので、事前に準備をしておくと良いかもしれない。
ショットガン
どことなく『FEAR』と同じ雰囲気がある

『アナザーデイ』には三つの兵科があるる。
攻撃特化型のアサルト、遠距離攻撃型のスナイパー、支援特化型のサプライヤーだ。
この三つの兵科は装備できる武器や防具が違う。
装着する武器や防具によって兵科ごとの特殊能力や攻撃能力に差が出てくるようになっている。

武器や防具の購入はゲーム内で得たポイントを元にショップで行う。
兵科ごとにたくさんの種類が備えられているので、自分の好きなように装備を選ぶことができる。
例えば、武器をチューンナップしてスコープをつけたり、防具を自分のプレイスタイルにあった能力に応じて購入する。
特殊能力や武器の所持数を左右するバックパック(リュックサック)は特に個性が出やすい装備だ。
サプライヤー
支援型のサプライヤーは味方を回復できる
「未来のFPS」というキャッチコピーに象徴されるように、武器はすべて架空のデザインがなされている。
エネルギー弾を発射して味方を回復する武器もある。

それよりも『アナザーデイ』が未来っぽいのは、豊富な移動手段だ。
前後左右の一方向へ一瞬にして飛ぶダッヂジャンプや、長距離飛行が可能なブーストは、これまでのオンラインFPSになかった面白さを生み出している。
スピードのある戦いと上下への意識が必要な交戦状況は、まさにアンリアルトーナメントやクエイクのようなスポーツ系に見られた楽しさだ。
そしてオンラインFPSで初めてCTF(キャプチャーザフラッグ)というルールが実用に耐えうるようになった。
このルールは味方を回復したり、技術の要る移動手段があってこそ魅力的になるものなのだ。
『アナザーデイ』はどちらの条件も満たしている。

しかし他のオンラインFPSと比べると複雑なルールや、スピードへの対応と上下の意識が求められる実力差が出やすいバランスを持ち合わせているという欠点もある。
どちらかというと初心者よりもゲームに慣れた人が評価をするゲームである。
ブースト
ブーストとはこんな感じで空を飛ぶ機能のことだ

レビュー

マニアックなFPS

料金システムをどのようにつくるか

『アナザーデイ』はゲームとしてはそんなに悪くないが、商品としては失格だ。
したがって『アナザーデイ』のレビューは企業が売る商品としての観点とゲームを遊ぶユーザーの視点を織り交ぜて考察していく。

企業の論理としては顧客からお金をできるだけ多く巻き上げる料金体系を作りたいものだ。
無料の状態ではアイテムの維持ができないようにして料金をとったり、課金者専用の強力な武器・魅力的なアイテムを実装するのが、お金を徴収する方法として手っ取り早い。
アナザーデイは防具やアクセサリー類の組み合わせが豊富なので、アイテムの種類は他のオンラインFPSと比べるとかなり多い。
ところが対戦ゲームではこうした強力な有料アイテムの存在は忌み嫌われる。
なぜなら無料で遊んでいるプレイヤーが不公平になってしまうからだ。

ユーザーは出来るだけタダで遊ぼうとする。
一方で企業側はお金を払わないと遊びにくいシステムを構築しようとする。
また、オンラインゲームは運営が利益を得てサーバー維持やアップデートを行い、ユーザーがたくさん集まって遊ぶことで成り立つという面がある。
すなわち企業が運営するための資金を得るための行動と、ユーザーを向いた「良心的な」運営方針は対立するのだ。
お金をめぐる両面価値の落としどころ、妥協点をどのようにするかは極めて難しい。
ブラスター
このゲームの近距離武器は変わっている
アナザーデイはお金を徴収するために使えそうな要素が盛りだくさんだ。
既に述べているようなアイテム数の多さ、武器・防具・アドオンの多さ、兵科の多さ、それらの組み合わせの数は無限大だ。
三つの兵科の武器防具を維持するだけのポイントは、普通にやっていては手に入らないような調整になっている。

サービスをし始めて間もない頃、移動速度アップやエネルギー回復のアクセサリーは電子マネー(つまり現金をゲームの中で使えるように変換したもの)専売であった。
さすがにユーザーからは非難が出てきて一部のアクセサリー・アイテムはゲーム内ポイントで変えるように変更された。
しかし、当初の「がめつい運営方針」を見て離れてしまったユーザーは戻ってくることはない。
オンラインゲームの運営においてスタートでつまずくと、非常に悪い印象がいつまで経っても残ってしまうのだ。

とは言っても、未だに一部の武器やアクセサリーは課金者専用だ。
強力な有料武器を得るためには「ガチャガチャ」をするしかない。
そして重課金プレイヤーの動きはアクセサリーによってすさまじく速くなっている。
凄い勢いで移動する課金者を見るとやるせない気持ちになる。

おそらくゲームの開発会社は、様々なアイテムに料金を払わせ装備させるという「金がなる木」のようなシステムを考えていたのだろう。
現実はうまくいかなかった。
2010年10月7日現在、ゲーム内ポイントを使ったガチャガチャもアップデートで実装された。
運営は何が忌み嫌われていたのか分かっていないようだ。
対戦ゲームではすべてのプレイヤーが公平になっていなければならない。
クォンタム
特殊武器、と言っても何ら強くない

カスタマイズ性は高いか?低いか?

次からはユーザーの視点が中心だ。

武器ごとにつけられるアドオンや、バックパック、防具は、階級が高いほど強いものを装備できるようになっている。
ゲーム側で階級が高いプレイヤーはルーキーサーバーに入れないようになっているため、初心者狩りが行われるようなことはないと言えるだろう。
ただ、これにはちょっとした欠陥がある。

自由に武器や防具を組み合わせるカスタマイズ性の高さは『アナザーデイ』の隠れたウリなのだが、いくつかの要素が自らの長所を消してしまっている。
一つ目は、階級が高い装備が階級が低い装備のほぼ上位互換となっていることで、カスタマイズの多様性を失わせているという欠点だ。
ある程度階級が高くなってしまうと実戦に耐えうる装備は限られてしまう。
また初期防具の性能は極端に低いので、ポイントが少ないままブランクを挟んでの復帰は厳しいものとなり得る。
二つ目はデザインのかっこ悪さだ。
「未来」を舞台にしているため武器も防具もSF風のデザインとなっているのは良しとしよう。
しかしバックパックとヘルメットはあまりにもダサすぎる。
おまけにデザインが似たりよったりだ。
三つ目は既に述べたような有料専用のアクセサリーの存在だ。

このようにカスタマイズする楽しさが実はほとんど無い。
確かに後述するような、武器の持ち合わせを考える戦略性はあるが、あくまでも戦いで勝つための面白さである。
そうではなくて、純粋に着飾る楽しさが欠けている。

バックパック
バックパックってかっこわるいよねぇ

硬派なFPS

『アナザーデイ』を一言で言うとしたら「忙しくて硬派なFPS」とでも表現したい。
硬派なと言えば言葉は良いが、言い換えるとマニアックだ。
デザインやSFという雰囲気の舞台だけでなくてゲームの中身も、気軽でライトなゲームが多いオンラインFPSでは異彩を放っている。

カスタマイズ性の高さは前述の通りアバターをオシャレするのではなくて戦略の高さに直結している。
例えば、お遊び武器になりやすいショットガンの使い道がある。
普段は他の武器を使い、サブ武器としてのショットガンは使えそうな場面のみ取り出して使えばいい。
ブースト機能で敵との距離を詰めてもいいだろう。
他にも遠距離用のスコープ付き武器を用意したり、落ちている武器を拾うためにアイテムスロットをあけておく等、色々な可能性が考えられる。

しかし、更に戦略性を高めることになり得る「戦況に応じて兵科を選ぶ楽しさ」が課金前提であるのは残念だ。
三つの兵科を維持できるほどのポイントは普通のプレイヤーでは稼げない。
課金しなければ本来の楽しさをユーザーが得られないというのは、システムに根本的な作り直しが必要なことの現れである。
AK
武器の持ち替えを考えるゲームは楽しい

硬派なゆえの欠点

ダッヂジャンプやブースト飛行によって『アナザーデイ』のゲームスピードは結構早い。
自在に使いこなすことが出来れば、スポーツ系FPSのような一撃離脱の素早い戦闘を行える。
マウスを大きく動かして敵に照準を当てていくのは、やはりPCのFPSならではの面白さだ。
しかも他のオンラインFPSとは違って上下の移動や広がりのあるマップが多い。
ただ移動するだけのオンラインFPSのゲームとは違い、移動する楽しみが出ている。

ところが、というか、やはりと言うべきか、FPS経験の有無による実力差が出やすくなっている。
一応言っておくとガチスポーツ系の『Quake』と比べればかなりマシではある。
キャラクターのヒットボックスは大きめであるし、マグレあたりでも倒せるヘッドショットの存在や、ブースト機能は軌道が読みやすいことで遊びやすい。
であるから、2vs1の展開に持ち込めばどんなに上手いプレイヤーが相手でも倒すことは出来る。

これよりも初心者が面食らったのは移動の難しさではないだろうか。
FPSは一人称視点ゲームなので、キャラクターの位置感覚がつかみにくい。
その上で壁ジャンプやブーストジャンプを駆使しなければならないのだから、未経験者には厳しいものがある。
派手なシーン
とはいえ、アナザーデイの中身はカウンターストライク系の流れをくんでいる

オンラインFPSならではの特徴は、『アナザーデイ』では欠陥となる

また『アナザーデイ』はマップの作りが悪い。
どこも狭くて、復活場所からすぐに交戦ポイントがある。
とりわけTDM(デスマッチルール。敵をたくさん倒した方が勝ち)では、どのマップでも実力差が少しでもあれば相手に押し込まれてしまう。
体力を回復できるアイテムや支援兵の存在も一方的な展開を助長している。
だから負けている方は適当にブーストして敵を倒して、違う敵に倒されて復活するというルーチンになりやすい。
リスポーンポイントまで敵が突っ込んでくることも多く、かなり忙しいゲームだ。
これではマップを移動して敵との交戦ポイントを作る、敵を探す、ということがない。
復活して少し動くと目の前に敵がいるのだから戦略性もへったくれもないのだ。

ブーストは意外にも使い道が難しい。
やけにだだっ広い空間も多いので、ブーストで気軽に攻め込めない構造にもなっている。
改善方法としては、マップを大きくしてリスポーン地点をランダムにした方が良いだろう。
そうすれば『アナザーデイ』はもっと面白くなる。
どうしてオンラインFPSは固定リスポーンのTDMにするのだろう(まあ色々理由はありそうだが)。

爆破ルール・脱出ルールは投げもの使用による緻密さが無く、ただ突っ込んで敵を倒すだけとなりがちだ。
ちなみにCOOPは人がいない。
というわけで遊びやすいのはCTFなのだが、上手いプレイヤーがいると旗の取り方を熟知しているので無双状態になってしまう。
広いマップ
スナイパーのみのマップは広くてもかまわない

空回りするシステム

『アナザーデイ』は上手いプレイヤーにとってもあまり面白さを感じないのではないだろうか。
なぜなら武器ごとの差があまり無く、武器を制御して当てると言うよりも、狙ったところに着弾しやすい強武器を使って敵に照準をあわせるだけである。
実のところブーストやダッジ機能は、プレイヤー同士の体力が低くて戦闘が一瞬で終わってしまうため、交戦中に使うことは難しい。
言い換えると使う前にやられるかやってしまうことがほとんどなのだ。
使い道は移動に限られてしまう。
慣れたプレイヤーはそもそも相手の虚を突くのが上手いので、ブーストを有効利用しているとも言えそうだが。

またレベル差があると一方的な展開になってしまいやすく、無双していれば楽しいというわけでもないだろう。

おそらく『アナザーデイ』をやった人は以下のような感想を持つ。
TDMで勝っているときは敵が復活して出てくるのを安全圏でまち、タイミングをはかって突撃する。
負けていたら目の前の敵を倒して、違う敵に倒される。
爆破やCTFは単に敵陣に突っ込むだけ。

よくできたゲームならば敵の場所を探り合ったり、撃ち合いにある程度の熟練した操作が必要だ。
だが『アナザーデイ』は敵のいる場所はわかりきっているし、上級銃はほぼまっすぐ着弾する。
元のゲーム(のようなもの)が『FEAR』だけあってポテンシャルはかなり高い。
グラフィック良し、ヒットサウンド良し、見やすい色づかいで視認性良し、コンフィグも充実。
しかし韓国製のオンラインFPSの論理に組み込むことで、極めて単純かつ不公平なゲームへと変貌してしまった。

個人的にはこういうスポーツ系ライクであっても気軽なゲームというのは好きだ。
だからこそ撃つだけ飛ぶだけのアナザーデイには残念でならない。
悪くはないのだが、工夫がないゲームだ。

COOP
COOP?誰もやってないよ。一人でやっても楽しくない

まとめ

スポーツ系もどきのFPS。
コアゲーマー向けのゲームを如何にして一般向けに作り替えるか、を考えて作り上げたような感じである。
固定リスポーン、爆破ルール、スナイパー兵の存在など、韓国製のオキマリを取り入れて変なバランスのゲームになってしまった。
色々なゲームの要素を付け加えただけで最適化が行われていない。



61点

サービス終了についての雑感

2011年5月31日をもって『アナザーデイ』はサービスが終了した。
海外でのサービスも終了しているため、『アナザーデイ』自体のプロジェクトが開発終了になったのだと思われる。

早々に終了してしまったものの、ゲーム自体は決して手抜きではなかった。
オンラインFPSには明らかに低予算かつ、チープな見た目や操作感を持ち合わせているものがある。
例えば『オペレーション7』や『ブラックショット』だ。
スペックが高くないパソコンでも動作させられるように作られているせいか、一線級のソフトと比べるとかなり見劣りしてしまう。
しかし本稿で紹介とレビューを行った『アナザーデイ』はLithtech Jupiter Extendedを使ったグラフィックスや、テキパキとした操作感を持ち合わせていた。
ゲーム自体のポテンシャルは高かったと言える。

そのように高いポテンシャルを持ち合わせてはいたが、きわめて不安定なバランスの上に成り立っていた。
いくつかの理由を箇条書きしておく。
1.ブースト機能と不釣り合いなほどに低い体力(楽しく)
2.すべてのマップにおいてリスポーン地点からの見通しが良すぎる
3.だだっぴろいだけのマップと、狭いマップしかない
4.照準そのままに飛ばない銃弾や、固定リスポーンなどの、カウンターストライク系そのものの作り

以上のようなバランスを一気に突き崩すのが実力差であり、チーム差でもあった。
それを分かっていたのかいないのか、運営チームは実力差を引き上げる方向へゲームを改造し、更にはゲームを込み入ったものに変更してしまった。
移動速度を向上させ、スタミナを増幅させ、強力な有料武器(ガチャ武器)を導入したのである。

結果、移動速度の向上は「ブーストすれば即敵陣内へ」という状況を生み出し、「1.」、「2.」、「3.」の欠点を強めてしまった。
また照準通りに飛びまくる強力な武器の登場によって、「4.」はゲームバランスの不公平を生み出した。
もちろん人気が落ちていった理由には、アップデートが行われないなどの運営の失敗も指摘することはできる。


もとからあまり深く考えられていなかった作りが『アナザーデイ』のアキレス腱であった。
要するに遊べば遊ぶほど「いい加減な作り」が分かってしまうようなゲームだったわけだ。
FEARを元にカウンターストライク系の要素を取り入れ、スポーツ系のようなブースト&ダッシュを追加し、兵科もいれた。
とはいえすべてをミックスしたからと言って、素晴らしいゲームが生まれるわけではない。
COOP

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