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Sting
(スティング) ベータテスト


ジャンル:FPS
機種:PC
テスト開始年:2010年2月
開発会社:YNK Games

公式ウェブサイト
この記事は新しいSting について書かれています。
むかしのCode Name Stingについては『こちら』を読んで下さい。

正式サービスのレビューはこちら
2009年6月初稿

デモの紹介・感想

紹介

元々『Code Name Sting(コード ネーム スティング)』という名前でサービスしていたゲームを新たに作り直したのが『Sting (スティング)』である。
運営や開発は前と同じくYNKが行っている。
せっかくなので再開発に至った経緯をおさらいしておこう。

2009年6月にサービスを開始した旧『Sting』は、思ったよりも客足が伸びず、すさまじいまでの過疎状態となったので同年11月に一旦サービスを中止していた。
前評判はそれなりに高かった『Sting』の人気が今ひとつだった理由は、玄人好みのゲームバランスにあったと言えるだろう。
ややシビアに作られているため、初心者がまったく寄りつかなかったのだ。
そこで運営は「イージーモード」なるものを導入したのだが、あまりにもイージーすぎたためにゲームバランスが崩壊してしまう原因となった。
簡単なモードが用意されているのに、あえて厳しい作りのノーマルモードをやる人なんぞいるわけがなかったのだ。
こうして超絶過疎ゲーとなった『Sting』はその後、プロデューサー等の熱意により、改めて作り直してサービスを開始することが決定されたのだった。

新生『Sting』で著しく変わった点はいくつかある。 まず、キャラクターのビジュアルを強化し、武器ごとの強さも改めて調整された。
昔の野暮ったさは消え、キャラクターごとに用意されていた特殊能力も削除されている。
マップの作りや外見もかなり作り替えられており、ゲームバランス重視の姿勢が伺える。
またゲーム内でルーム(部屋)を作る際、ユーザーが自由にダメージ量やHPなどの種々パラメーターをセッティングできる権限が与えられている点も目新しい。
そしてMODを公式に採用していることが最も大きな変化だと言えるだろう。
しっかりとした運営が存在し見返りとして利用者が課金を行うオンラインFPSにおいて、MODの導入は初めての試みである。

Sting (スティング) ベータテスト レビュー 画像1

感想

旧[『Sting』と比べてどのように変わったか
変更点を細かく指摘しても切りがないので大まかに指摘する。
どちらかというとシビアなゲームだった旧作は古参プレイヤーにとって評判は良かったが、その他の人にとっては複雑で難しいものだった。
そこで新『Sting』は全体的に易しく(カジュアルに)作り替えられている。
感覚としては『サドンアタック』や『ブラックショット』などのエイム(照準を合わせる力)重視のオンラインFPSにかなり近いと言える。
複雑なルートが多すぎたマップやバランスがおかしいマップは修正・廃止し、壁抜きの威力低下をすることでマップに対する知識の差の有利不利が露骨に出ないようになっている。
ほか、走りながらでも比較的弾が素直に飛ぶようになり(つまりストッピングが厳密には要らない)、武器同士のバランスも改善され、特定の武器が強すぎる弱すぎると言うことにはなっていない。
ただし相も変わらず韓国製FPSの特徴とも言えるスナイパーライフルの強力さは健在だ。

オープンベータテストということもあって、露骨なまでのゲームバランス崩壊は見られない。
とはいえ、どのアサルトライフルもサブマシンガンも似たり寄ったりで、変化のない均一的なゲームとも考えられる。
失われた緻密さ
一つのマップの最大人数が敵味方をあわせて30人になった。(以前よりも増えている)
そして銃の命中率が全体的に低下し、胴体に当てたときのダメージも減り、銃弾を撃ち尽くしやすくなった。
こういう要素が絡み合って生まれるのは大味なゲームプレイである。
初心者を大事にするFPSは、大まかにプレイできるように作られるため、底が浅くなりがちで淡泊さも目立ちやすい。
まさしく新『Sting』はこの病気にかかっている。

Sting (スティング) ベータテスト 画像2
ユーザーへの権限委譲は正解か
ゲーム内の数値設定とMODコミュニティの拡充導入の二つが主なユーザー参加になる。
アイコンの募集もあるが、それはちょっと置いておく。
このうちMODについては出始めたばかりでユーザーからの渡航が行われていないので、これからどうなるか分からない面もあるが、ある程度の展望は分かる。
MODがゲーム内で採用されるためには、当たり前だがMOD(だいたいはカスタムマップ)そのものを運営に送って採用してもらうか、アイデアを応募する必要がある。
アイデアを出して、運営に作ってもらう方法は競合者が多く現実的ではないため、自分で作るほうが手っ取り早い。
しかしマップを作るためにはソースエンジンを利用したゲームを購入した上で、面倒な作業を延々とやらなければならない。
簡単にMOD、MODと言っても作ること自体は大変だし、質が良いのは希にしかないという問題点がある。
結局MODマップが遊ばれずに終わってしまう可能性は否定できない。

MODとは別にユーザー内で遊び方を広げられるのがゲーム内の数値設定ではあるが、あまり機能していないようだ。
『Sting』で見かけるセッティングタイプは主に三つである。
『体力を極限まで下げ、武器の威力を上げた部屋』と『体力を異常に上げた部屋』、何もいじっていない部屋だ。
体力を下げた部屋は、ゲーム内経験値やポイントをさっさと貯めるために使われているセッティングである。
反対の体力を上げた部屋はオフザケでやっているので、1回やれば飽きる。
結局、ほとんどの人が何もいじられていないノーマルセッティングで遊んでいる(追記:ベータテスト当時は)。
まあ体力を下げた一撃死ルールは、それはそれで面白い面もあるので、セッティングの自由化はある程度正解だったとは言える。


Sting (スティング) ベータテスト 画像3
つかみが弱い
『Sting』は印象が薄い。
第一印象として大事なグラフィックはソースエンジン使用とは思えないほどみすぼらしい。
映像の美しさの印象というのは単純なポリゴン数だけでなく、造形や描き込みによっても変わってくる。
ダサかった旧Stingと比べたら、さすがに洗練されてきたとはいえ、マップの壁その他のテクスチャが薄っぺらかったりしている。
今の時代、わざわざ汚い外見のゲームを遊ぶ人はいない。
また、『Sting』はサドンアタック等の他FPSとどのように違うかが分かりにくい。
というか100試合以上している私でも明確に「Stingとはどのようなゲームなのか」、を説明するのに難しさを感じているぐらいだ。
せっかく『Sting』をお試し感覚で遊んでくれた人であっても、数多くのゲームの中から『Sting』を選ぶ理由を見いだせずに、すぐに元々やっていたゲームに戻る光景が目に浮かぶ。
『』Sting』はマイルドな味付けのゲームであるが故に、ドカンとしたインパクトが全くないのである。

運営は頼れるか
最大の問題はここにある。
旧『Sting』ではユーザーを向いた運営をすると良いながら、ことごとく期待はずれのイベントやシステムを実装してユーザーは離れていった。
その理由はオンラインゲームをどのように運営していくかというノウハウに長けた人物が不足していることと、韓国の開発と日本の運営が密な連携を取れなかったことにあると思われる。(インタビュー記事とか見るとわかる)
ところが生まれ変わった『Sting』においても、ゲームに対するユーザーの認識と運営の考えにはズレがあったりして、先行きは不透明きわまりない。
それでも他のどんなFPSよりもユーザーとゲームマスターの距離が近いのは『Sting』最大の長所だ。
失敗は過去のモノ。これからに期待したい。

Sting (スティング) ベータテスト 画像4

まとめ

○良いところ
  • 破綻していないゲームバランス
  • ユーザーセッティングの有無やMODなど、面白さを自分で作りあげていける
×悪いところ
  • グラフィックがチープ
  • 先行のオンラインFPSと類似点が多く、『Sting』らしさが今のところ薄い
  • MODやパラメータセッティングは面白いが、成功しているとは良いがたい
△賛否分かれそうなところ
  • MODコミュニティの充実などがこれからどうなるのかまったく分からない
  • 簡単で単純なゲームになっている
賛否分かれそうなところ
かなり遊びやすいゲームに生まれ変わった『Sting』。
しかし、それと同時に緻密さを失うことになった。
またMOD導入等のウリは、逆に言えばゲームの運営をユーザーに投げている面も少なからず感じられてしまう。
これから様々なゲームモードを実装していきたいそうだが、果たして必要とされているのか、そして運営を続けられるのか、という疑問も多い。
ただ、前へ向かってどんどん進んでいくという風にも考えられるので、これからの『Sting』には良くも悪くも期待ができる。
今のままではただのオンラインFPSである。
どのような差異を出していけるかが浮沈の鍵となる。

Code Name Sting (コードネーム スティング) ベータテスト 画像5

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