レビュー
無印よりも普通のFPSになった
マップのつくりが違う
操作方法は同じであっても、マップ構造の違いがそのままプレイ感覚の変化を呼び起こしている。
『ブラックアロー』は無印と比べてマップ自体が長大になった。
その分屋外マップや広い場所が増えて敵に会わないエリアが増えたので、どこに敵がいるか分からないという緊張感は薄くなっている。
前作では狭い空間にぎっしりと敵が配置され、さらにいくつもの扉があった。
特に近距離で敵に会うか会わないかの戦闘が多く、パニックになれば死亡というのが多かった。
では『ブラックアロー』の場合はというと、敵が出てくるタイミングが非常にわざとらしいのである。
わかりやすくいうと、ある一定の場所を踏み越えて行動すると「ワーッ」と言いながら敵が出てくると思って欲しい。
敵が予め配置されていて、こちらがいないかを探すのが中心だった前作とは違う。
『ブラックアロー』では一定地点を越えたら敵が出てくるのだ。
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長距離どうしでの撃ち合いが多くなっている。
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レインボーシックス的な扉を利用した突入場面は明らかに前作よりも減っている。
長距離区間で遮蔽物に隠れながらこちらを攻撃してくるという場面が多くなり、こちら側としてはサブマシンガンを使う意味がなくなっている。
また、敵配置にも少し違いがある。
前作では、プレイヤーがある地点まで行くとこちらを見下ろせる高所に敵がワラワラでてくる場面というのが多かった。
というか予め配置されている敵も異様にみにくい高所だったりと、一種の嫌らしさがあった。
こういうのはやりがいがあるかストレスとなるかはプレイヤーの判断によるだろう。
ブラックアローでは平面的な攻防が多くなっており、長いマップをずんずん進むという感じになっている。
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敵が人質を取る様子。
敵の足や頭を打ちぬかなければならない。
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好みの問題か?
これらの要素ははっきり言って好みが分かれる。
緊張感が薄れたことはマイナスな要素なのだが、戦闘は面白くなっている。
最初から身を隠しながら攻撃してきたり、グレネードを投げてくる敵をたおすのは面白い。
しあかし敵がグレネードを投げるタイミングというのはきまっているらしく、慣れてしまえばどうということはない。
これはかなり残念なところだった。
もうひとつやってて感じたのが、曲がり角を曲がったら大体敵がいるというパターンになっていることだ。
前作はそこが扉だったものが、今回は曲がり角になっただけなのかもしれない。
いそうなところに敵がいる点で、『ブラックアロー』はごく普通のFPSとなったと言えるかもしれない。
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やっぱりいるな、と思ったら体を傾ける。
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前作ではストレスフルだったステルス要素がかなり簡略化されていたのは好評価である。
とにかく『ブラックアロー』はプレイヤーに対して優しい方向へ変化していると言えるだろう。
しかしながらレインボーシックスの精神を忘れずに、うまいこと変化されている。
特殊部隊が狭い空間を開放すると考えればブラックアローの評価は落ちるかもしれないが、市街地などにもに出動すると考えればどうか。
そう考えればブラックアローはブラックアローとして面白い。
より普通のFPSっぽくなったレインボーシックス3が、『ブラックアロー』である。
言い方を変えると、2006年に発売された『レインボーシックス:ベガス』のような感じだ。
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左が外国のパッケージ。右が日本版。
日本版の方がかっこいい
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中身は『レインボーシックス3』をクリアしていることを前提にしているかのようなつくりなので、未経験なら『レインボーシックス3』をやることをおすすめする。
バランスが変わっているので、「もっとリアルに!」と追い求める人には向かない。
ただブラックアローのゲームバランスは違った意味で完成度が高い。
『レインボーシックス3』を楽しめた人には「違ったレインボー」が体験できるので買って損はないと思われる。
68点