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Rainbow Six 3(レインボーシックス3)


ジャンル:FPS
機種:XBOX
発売年:2004年
開発会社:UBI

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

『レインボーシックス3』はUBI発売の特殊部隊ものFPSである。
プレイヤーは特殊部隊レインボーの隊員となり、世界中で起きるテロ行為を鎮圧するために戦う。
『3』と銘打ってあるように、これはシリーズ物である。
初期のシリーズは非常にマニアックなつくりになっていた。
XBOX版の『レインボーシックス3』ではそのようなマニア的な要素は極力抑えられ、非常にとっつきやすいゲームになっている。
それもあってか日本でも海外でも評価が高い。

ミッション前に多彩な武器を選ぶ
しかし初期からのファンにはあまり評価はよくない。
マニアうけする要素と言うのは、カジュアルな見方からすれば非常に邪魔だからである。
PC版はかつてのレインボーシックスのようなシミュレーター要素をふんだんに含む別物として作られている。

ゲームは全部で14のミッションに分かれており、ミッションごとに進めていく。
割とよくみかける形式だ。
出動前には武器や支援火器の種類を自由に選べる。
ミッション中には「人質を確保しろ」「○○の進入しろ」という任務が与えられており、それをこなしていく。
回数制限はあるもののミッション中ならいつでもセーブができる。
難しい場所の前や重要な任務終了後に的確にセーブすることが重要だ。
暗い下水道をナイトビジョン頼りにすすむ
特殊部隊ものだけあって、主人公には三人の部下がつく。
ミッションによっては一人単独になることもある。
味方へは扉を介して割と細かい指示を出すことができる。
『レインボーシックス3』は室内を舞台にする場面が多く、それに扉の量も多いので、扉を介した戦闘が実に面白い。
扉や曲がり角の向こうに敵がいないか、を常に考えて行動しなければならない。

『レインボーシックス3』は実際にありそうな町並みを舞台にするゲームである。
だだっ広い空間で野戦を行う場面は殆ど無い。
そして主人公や味方のHPは低いので、迂闊に飛び出すと蜂の巣にされて死亡する。
基本的に何度もリトライしながら敵の位置を覚えていかないと進むことが出来ない、いわゆる覚えゲーである。
このゲーム(というか洋ゲー一般)にも「奇妙な日本」が登場する

レビュー

特殊部隊らしさのある指示に、ふつうのFPSらしい戦闘が組み合わさった良質なゲーム

アクション性の高さ

実を言うと、『レインボーシックス3』のXBOX版を買う前はシミュレーターよりのゲームだと思っていた。
PCゲーム界隈ではリアルなシミュとしてコアな人気があるようだったので、コンシューマ版も同じだと考えていたのだった。
予想は外れ、XBOX版レインボーシックス3の中身は比較的シンプルなFPSであった。
それが悪いとは言っていない。
コンシューマーのコントローラーやユーザー層を考えてみれば、この調整は至極当たり前のことだと理解できる。
様々なレビューや感想を見ている限り、その判断は成功したと見ていいだろう。

というわけで『レインボーシックス3』はアクションゲーム(まあFPSなんだが)である。
任務として人質救出や爆弾解除などの様々なものがあるが、特殊な操作は必要とされていない。
プレイヤーは、人質が殺されたり爆弾が爆発される前にテロリストを倒せばいいのだ。
攻撃の主導権はプレイヤー側に委ねられている。
テロリストのいる部屋へは遠くから狙撃するなり、突入しても良い。

敵は予め設定された動きしかできないようだ。
ある地点まで動いたら敵が曲がり角から現れて攻撃してくるという具合である。
優れたAIで動いているわけではない。
人質を解放しようとしたら、上から敵がやってきた。

特殊部隊らしい戦闘の緊張感

『レインボーシックス3』では、次部屋への突入が緊張感があって最も面白い。
扉の向こうの部屋にテロリストがいるのは明らかであるとして、どのように排除するかが頭のひねりどころである。
味方に指示を出して扉を爆破してもいいし、扉を開けてグレネードを投げるなりしてそのまま交戦してもいい。

ところが味方への死傷を最小限にとどめるためには、扉をすこーしだけ開けてプレイヤー自ら扉の隙間から敵を狙撃するのが一番良いのは残念だ。
部屋の中に人質がいる場合は突入せねばならないこともあるのだが、基本は扉を少し開けて狙撃すればいい。

また敵が潜んでいる部屋には大概二つ以上の入り口が付いている。
部隊と自分が二方向から攻撃するためにそうした仕様になっている。
これによってどこから攻めるのかを執拗に考える余地が生まれている。
仲間に指示を出して難局を打破しよう。
緊張感のある戦闘が『レインボーシックス3』最大の特徴であると私は考えている。
わざわざミッション中のセーブ回数に制限が設けられているのも、開発者が緊張感の高まりを狙っているからだ。

しかし最後のほうのミッションは難易度の高さにイライラさせられるかもしれない。
敵も味方も体力がすくないために先制攻撃勝負となる上に、体力回復要素なんてのはないから、何度もリトライを繰り返して「いかにダメージをうけないか」を意識してやらなければならない。
特に体力回復要素がないことで難易度は激烈に上がっている。
敵の隠れている位置は非常に嫌らしく、しかも後ろから突然現れて撃ってくるということも多い。
覚えゲーだから、と割り切ってしまえば何のことはないのだが、クリアするまでには何度もセーブ&ロードを繰り返すことになる。
こんなところに敵が。
知らなけりゃ死ぬ。

シビアさをどのように考えるか

『レインボーシックス3』は自分の体力のバランスでやや失敗している。
敵の攻撃力が割りと高く、自分の体力は回復できない。
それなのに結構な数の敵を相手にすることになる。

後半のミッションではそれが顕著で、自分が少し操作ミスでもしたり敵が予期せぬ行動をするときはかなり厳しい戦いになる。
何度かゲームオーバーをすればHPが回復するなどの救済措置は欲しいところだった。
自分はゲームが特別に上手いとはいえないが、長くやっているので人よりは上手だと思っている。
それでも最後のほうは苦労したので、やりなれていないプレイヤーにとっては酷だと思う。

このような厳しさが『レインボーシックス3』の緊張感を生み出してはいる。
しかし、あまりにも大量の敵を相手にするのはリアルなゲームでは不自然であるし、クリア不可能(詰まり)にならないようなシステムは用意した方が良い。
結局最後は一人でプレイ(目標を達成)することになる。
「んなもんいらねえ」と思うのは野暮だろうか。

1人で潜入するステルスはいらない

あるミッションで要求されるステルス要素があまりにも理不尽で面白くない。
はっきり言ってステルス要素としてはクソすぎる。
どのようにクソなのかは延々と書いても分からないだろうから簡単に言おうと思う。
まず敵に発見されるとミッション失敗となるのだが、敵がこちらを見つける反応度が異常に高い。
ステルスゲームというのはわざと「見つかるまでの間隔」などをつけることにより、わざとユーザーフレンドリーにしあげている。
ところが『レインボーシックス3』ではそれがない。
だから何度かリトライし、敵の行動パターンを暗記し、敵がいない間隔を見計らって動くことになる。
しかもかなりこれがシビアな間隔なのだからやっていて面白くない。
食肉工場。

その他諸々

あと味方は弱い。
索敵能力に欠けては優れているので、背後から襲ってくる敵を倒してくれるのはありがたいのだが、基本は当てにならない。
敵のAIもあまり賢くない。
基本的に決められた位置から動こうとせず、動きがあっても所定の位置への移動だけだったりする。
特に移動中はこちらをみても攻撃しないで移動し続けるとか実にまぬけ。
だが、敵が配置されているところが壁の裏側(敵は手だけを出して撃ってくる)だったり高い場所だったりするので敵は無闇に強い。

グラフィックは結構良いレベルである。
建物内部でのミッションがほとんどなので、部屋にあるテレビとか絵とかが非常に精細に描かれている。
色使いも現実的で、最近のゲームにあるようなわざと色調を抑えてグラフィックの粗を目立たなくさせるようなことはしていない。
銃もしっかりと描き分けられている

銃の射撃感覚も非常に良い。
反動や音は非常に臨場感がある(戦場に行ったことはないが)。
同社の『ゴーストリコン』よりもはるかにレベルが高いと断言できる。
武器ごとの性能の違いもはっきりとされていて、さらにこれはおもしろい要素だと思うのだが、ミッションごとに初期武器が異なるのである。
要は様々な武器を試してもらうために最初から違う武器を用意しておいているというわけだ。
こういう細やかな気配りが開発のセンスを感じる。
部屋の反対側から味方が侵入。
敵はあわてふためてこちらにくるが、落ちついて狙撃する。
狙撃に失敗すれば、反撃にあってこちらがピンチに陥る。

まとめ

室内戦がメインの特殊部隊モノFPSである。
マップデザインはセンスの感じられるもので、さらにロケーションは変化するので飽きることはない。
ただしバランスはシビアな上に難易度も高い。
何度もやりなおしても文句ない人やゲームに慣れている人でないとクリアする前に投げ出してしまうと思う。
ドラマチックなストーリーなんてのはないので、敵をどうやって倒してやろうかを考えるアクションシューターを期待して買おう。
斬新なゲームかと思いきや、やればやるほど中身はほかのFPSと大差ないということにやっていると気づく。
ただ高いレベルで完成された作品なのは疑いない。

73点

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