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O・TO・GI 〜百鬼討伐絵巻〜(おとぎ ひゃっきとうばつえまき)


ジャンル:アクション
機種:XBOX
発売年:2003年
開発会社:フロムソフトウェア

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

『O・TO・GI 〜百鬼討伐絵巻〜(おとぎ ひゃっきとうばつえまき)』(以下『百鬼討伐絵巻』とする)は、 XBOXで発売された『O・TO・GI〜御伽〜』の続編で、製作はフロムソフトウェア。
前作と同じく平安時代の雰囲気を漂わせる独特のアクションゲームとなっており、こちらもユーザーやレビューサイトで高く評価されている。
操作方法などは基本的に前作を踏襲したものとなっているので、『百鬼討伐絵巻』をやる前に前作をやっておくと良いかもしれない。

主人公は前作にも登場したライコウ(源頼光)で、他にも4人の仲間ともうひとりの主人公である安倍晴明を使用することが出来る。
つまり合計6人のプレイヤーキャラクターがいることになる。
一人一人によって得意な攻撃方法や操作がって、ステージによって使い分けていく必要がある。
ステージにあったキャラクターを選べば何のことは無くクリアすることが出来るものの、キャラクターによっては苦しい戦いになるような難易度構成になっている。
フロムソフトウェアのゲームは難しいものが多いので、正解のキャラクターを選べば簡単にクリアできることはプレイヤーにとってはとても優しい要素だといえる。
ただどのキャラクターが適しているのかを探すのには結構時間がかかるし、キャラクターによっては苦手なステージがある(しかし一応クリアは出来る)。
安倍晴明
操作の反応度やスピード感は前作よりも上がっていて洗練されたものを感じる。
特に『百鬼討伐絵巻』は空中での操作はかなりやりやすくなっている。
そして覚えるべき操作はそれほど多くないし、それほどシビアでもない。
前作と比べると、敵の攻撃もゆるくなっていてゲーム全体の難易度は低下している。

『百鬼討伐絵巻』のウリ要素は快適な操作性、美しいグラフィックにもあるが、核心は破壊要素にある。
とにかく破壊できるオブジェクトが多く、しかも豪快な音や破壊されたグラフィックとともに壊すことができるのだ。
敵に強い攻撃を与えればすさまじい勢いで吹っ飛んで行き、途中に壁などあればポンポン跳ね返っていく。
そして、吹っ飛ばされた敵は破壊できるオブジェクトや他の敵をも巻き込んでいく。
目の前にいる敵やモノが逐次破壊されて変化する様子は爽快である。
敵はあまりガードをしてこないので、存分に敵を吹っ飛ばすことが出来る。
破壊の瞬間
ステージの数は全部で27。
前作と同じように一つ一つのステージは10分以下の長さにおさまっている。
単に敵を倒すだけのステージもあれば、特定のものを破壊することがクリアの条件になっているのもある。

前作と違ってステージ構成に起伏をつけているので、飽きが来ないように作られている。
またステージの最初と終わりにキャラクター同士の短いデモがあって、話を追っていく楽しみは増した。

一度クリアしたステージは何度もやり直すことができる。
『百鬼討伐絵巻』はキャラクターごとに霊格(レベル)を採用している。
クリア済みのステージを何度もプレイしてレベルさえ上げてしまえば、アクションゲームが苦手な人でも攻略不能になることはない。
空中で攻撃
そしてメインストーリーとは別に「百鬼討伐モード」というのがある。
このモードでは、様々なミッションをこなさなければならない。
例えば、特定の地点まで行って戻ってくる、特定の物体を制限時間以内で破壊する、すべての鳥居を潜りながら進む、などである。
クリアにはキャラクターごとの特徴や装備の特徴や弱点を把握しなければならないのでストーリーモードよりも難易度は高いといえる。
しかし、『百鬼討伐絵巻』の操作の特徴をしっかりと生かした作りになっている。
「百鬼討伐モード」こそ、『百鬼討伐絵巻』の楽しさを生かしている。

『百鬼討伐絵巻』は、プラチナコレクション(廉価版)として再販もされていたので探せば手に入りやすい。
また初回限定生産版は、前作「O・TO・GI〜御伽〜」の海外版(タイトルはO・TO・GI:Myth of Demons)が収録されているので非常にお得だ。
この海外版はゲーム内で音声設定を日本語にもできるので、英語と比べてみるのも面白い。
ストーリー

レビュー

破壊感とスピード感を追求した爽快なプレイが面白い

『百鬼討伐絵巻』で改善した要素

続編がその前のゲームより優れているわけではないと自分は考えているし、実際そうなっていないものも多い。
しかし『百鬼討伐絵巻』は前作の欠点を排除し、長所を進化させて、確実に前作を超えることができた。
前作の欠点は中途半端な破壊要素と、終盤の同じマップ使いまわし、そして微妙に高い難易度にあった。
百鬼は徹底的に破壊要素を追求することで、大破壊ゲームと名乗れるだけのものに仕上がっている。
敵の耐久力や防御能力を大幅に下げることで破壊要素はさらに増し、高めだった難易度も下がっている。
使いまわしのマップはほとんどなくなっており、その代わり百鬼討伐モードにおいて新たなミッションマップとして蘇っている。
もちろんボス戦もある
敵を吹っ飛ばしたときのエフェクトはより派手になり、打撃感覚はかなり良い。
また攻撃のあたり判定がかなり大きいので簡単に攻撃が当たるようになっている。
どれも前作で評価された要素だが、さらに派手になっていて、よりあたりやすくなっている。
おまけにふっ飛ばした敵が壁に当たるとピンポン弾のように跳ね返るようになったおかげで、一回の攻撃で破壊できるもの(エフェクトがかかるもの)が増えることになった。
普通に攻撃して敵を飛ばすだけでもド派手な音とエフェクトがかかるので、攻撃するだけでも楽しい。
使えるキャラクターが6人にまで増えたことも評価するべきだろう。
やはりゲームプレイのメリハリをつけるためにも、操作感覚が変わる要素はアクションゲームにおいて不可欠である。
これによって長い間ゲームをやっても飽きが来るのが遅くなる。
キャラクターによって同じステージでもクリアまでの難しさや操作方法は微妙に変わってくるので、リプレイの際も新鮮味をもってできる。
おまけに元からクリアしたステージは何度でも繰り返しできる仕様になっている。
隠しアイテムをとったりお金を溜めて、強い武器を手に入れてカスタマイズの楽しみが増えている。
様々なキャラクターで、一度クリアしたマップを再度プレイするのもまた面白い。
キャラクターの個性をつかまないと難しい

隠れた面白さの「百鬼討伐モード」

実は本編よりも「百鬼討伐モード」の方が面白い。
このモードではゲームの特長を生かしたマップが数多く作られていて、操作する楽しさを与えてくれるのだ。
例えば鳥居をひたすら破壊するステージや耐久力が低くて無限に沸いてくる敵を1000体倒すステージは、破壊の感覚を存分に味あわせてくれる。
他にも、制限時間いっぱい敵の攻撃をよけ続けるステージ、制限時間以内に一定数の敵を特定場所へ吹っ飛ばすステージなど、非常に多彩である。
「百鬼討伐モード」はいわば、百鬼の面白さをより理解するためのモードなのである。
ラスボスより強いボス戦や極めて難しいミッションも数多い。
しかしこれだけのミッションをやることで本編ステージへの見方ががらりと変わる。
なぜかというと、「百鬼討伐モード」はキャラクターごとの特徴をしっかりと把握していないとクリアするのはかなり難しいからだ。

本編は「百鬼討伐モード」ほど極端には作られていない。
かなり極端なバランスで作られているからこそ、キャラクターごとの特徴や操作の感覚が浮き彫りにされていく。
「百鬼討伐モード」をクリアしたころにはキャラクターごとの得意な要素や苦手な要素がはっきりとわかるようになっているのだ。
『百鬼討伐絵巻』のシステムを最大限に生かした「百鬼討伐モード」は実に興味深く、そして面白い。
このキャラクターの特徴は投げ攻撃にある
今のステージでは投げが有効なので積極的に狙っていく

些細な欠点

『百鬼討伐絵巻』は破壊感を追い求めすぎて緻密さや難易度の低下を招き、大味なゲームになったという評価もできる。
これは結構適切な指摘である。
敵は棒立ちだし、あいまいな操作方法(というか攻撃ボタン連打)で何の問題も無くクリアできる場面が多い。
根気強くキャラクターのレベルを上げた上で強力な武器を手に入れれば、ラスボスだろうと主人公最大のライバルとの一戦だろうと軽くクリアすることが出来る。
まあこれはゲームが苦手なプレイヤーへの救済要素だとしても、上手い人にとっては面白くない要素かもしれない。
そして『百鬼討伐絵巻』はステージにあったキャラクターを選べさえすればそれほど難しくない。

一方で、どのキャラクターがステージにあっているのか見つけ出すのに時間がかかったりするわけだが。
最適解なら割と簡単
不親切な説明書や唐突なストーリー展開もマイナスポイントである。
説明書を読んでもキャラクターごとの操作の特徴や効果的な操作がわからない。
やっていくうちに気づくだろうということなのかもしれないが、自分は途中まで無駄な操作ばっかりしていたと思う。
とりあえずつまったら攻略情報を探して欲しい。
これは隠しアイテムやステージに有効なキャラクターを探し出すことに時間がかかるのと同じ問題を抱えている。
要は時間がたてば誰でも同じ到達点につくものの、人によっては異常に時間がかかってしまうということ。
つまり言い換えれば、謎解きゲームみたいになっているのだ。

ストーリーはあってないようなものだ。
しかしキャラクターが作られているのに断片しか語られていないのはもったいない。
因縁とかもうちょっと深く掘り下げてもなんら問題はなかったと思う。
あと前作にはあったオートセーブ機能がなくなっているのは気になる。
せめてオプションで選択できるようにしておいても良かったのではないだろうか。
デモシーン

まとめ

敵やモノを破壊することを楽しむゲームだと割り切れば非常に面白い。
非常に軽快なレスポンスやキャラクターの動き、あたりやすい攻撃などユーザーフレンドリーでストレスをかけるような要素が無い。
純和風のゲームはあまり見当たらないので、それだけでも買う価値はあるかもしれない。
本編以外にトライアルマップもあるのでやり込み要素は満載で長い子と遊べるのも好感触。
ただしプレイヤーに優しい要素が満載なので、ハードなゲームを求める人への求心力はないかもしれない。
比較的簡単な要素をどれだけやりこむのかということに楽しみを見出せるのならば買ってもいいとは思うけれども。

81点

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