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O・TO・GI〜御伽〜(おとぎ)


ジャンル:アクション
機種:XBOX
発売年:2002年
開発会社:フロムソフトウェア

公式サイト


レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

『O・TO・GI〜御伽〜』はXBOX向けに発売されたアクションゲーム。
製作はフロムソフトウェア。
発売当時、高いスペックをもっていたXBOXを生かしたゲームプレイは、各方面から比較的高い評価を得た。
和風の世界で繰り広げられるゲームでもある。
平安時代の雰囲気のある建物や魔物のグラフィックには他のゲームにはないものがある。

ストーリーは簡単に言えば、主人公が妖鬼と呼ばれる魔物を退治していくというもの。
あまりでしゃばることも無く、かと言って意味不明でもない程度に語られている。
比較的古風な喋りを入れることで、よりいっそう平安調の雰囲気を出している。
純和風のインターフェイス
ステージは全部で29ある。
と言っても、一つ一つのステージは5分前後で終わる程度の長さだ。
基本的には敵を殲滅する、特定の敵を倒す、特定のものを壊すことがクリアの条件となっている。
どれもステージ最初にクリア条件を詳しく説明してくれるので、クリア条件がわかりにくいものはない。

システムとしては特に変わったことも無い3Dアクションゲームだと言える。
操作はかなり軽快で、地面を走るだけでなくて空を浮遊することもたやすく行うことができる。
また巫術という魔法のようなものを使うこともできる。
『OTOGI』の面白さはこのようなわかりやすく簡単な操作方法を基礎にしつつ、物や敵を攻撃したときに生じる破壊エフェクトの激しさと美しさにある。
敵を強力な攻撃で吹っ飛ばして建物にあてれば、(それが壊れる場所ならば)建物は破壊されるし、敵にダメージも入る。
ステージよっては、敵を地面にたたきつける攻撃をすれば地面がへこむ。
敵を粉砕
もちろん攻撃を当てたときの当てた感覚も含め、敵に重さが感じられるようにつくってある。
軽い敵がポーンポーンと吹っ飛ぶのではなく、重いものがズドンと飛んでいくのだ。
また敵キャラクターのモデリングは個性あるものがそろっている。
プレイヤーキャラも含めてキャラクターの動きは滑らかで、それでいて細かい。
そういった部分がきちんと作られているからこそ、美しいエフェクトもより美しくなる。

難易度は一部のステージを除けば比較的簡単だと言える。
おそらくこれは、いたずらに敵を強くすることで生じるストレスよりも、敵をガシガシ倒して物をガンガン壊す破壊感を楽しんでもらおうという調整なのだろう。
武器や魔法は何種類も用意されており、自分の好きなものやステージによって有効なものに持ち変えることができる。
これらは敵を倒して入手するもの、制限時間以内にステージをクリアするもの、そして店で買うものに分かれている。
武器を変えると振ったときの音、振るときのモーションが武器一つ一つによて違うところは非常に細かくて感心する。

現在は中古で入手するしかないが、たいていのショップで1000円以下でたたき売られているので入手は簡単だと思う。
続編のO・TO・GI 〜百鬼討伐絵巻〜の初回版にはこれがおまけとしてついてくる。
たくさん武器がある

レビュー

よく出来たアクションゲームだが消化不良感が残る

「破壊の創造美」が『OTOGI』の魅力だ

『OTOGI』は間違いなくXBOX初期を代表するアクションゲームである。
破壊の感覚や美しいグラフィックは、他のゲーム機(PS2とGC)では表現できないほど素晴らしい。
しかもただの技術デモにならず、中身は長年ゲームを作り続けてきたフロムソフトウェアらしい上手さがある。

パッケージ裏には「超破壊の創造美」と書いてある。
どのような意味なのかはわかりにくいからからここで説明しよう。
プレイヤーは敵を倒すだけでなく、マップにおかれている物体をも破壊することができる。
しかも単に攻撃を当てるだけでなくて、巫術で壊すことも出来たり、敵の攻撃で壊れることもあるし、敵をぶっ飛ばして壊すこともできたりする。
その壊した後の光景というのは、それまでの風景とは違う新しいものになっている。
つまり、破壊することで新しいものが見えてくるのが創造美なのである。
巫術を発動させる
『OTOGI』では空中で自由自在なアクションができる。
しかし意外とストレスがたまりやすいのは欠点である。
空中で攻撃をすればプレイヤーキャラクターはだんだん落下していく。
このとき敵は同じ地点を飛んでいるだけか、もしくは高いところへ飛び立ってしまうことすらある。
そうなると自分はもう一度高い場所へ戻らなければならないことになる。
繰り替えし飛び上がるのが意外と面倒である。

攻撃のあたり判定についてはかなり大きくとってあるようなので、敵へ攻撃を当てることはたやすい。
敵へあたりやすくなっているのだから、敵を倒す快感を得やすく作ってある。

プレイヤーが破壊感を得るために、ほとんどの敵は攻撃や防御をあまり行ってこない。
つまり「何もしないからどうぞ殴ってください」ということである。
敵を見つけたらガシガシ攻撃を打ち込んでぶっ飛ばすのはむちゃくちゃ快感である。
しかも吹っ飛んだ敵が建物や地面にあたってぶっ壊れていくのだ。
大きいが守りは薄い敵を徹底的に叩く
そして当時最高のグラフィックス能力を持つゲーム機のXBOXで表現された和風の世界はすばらしいの一言。
ストーリー全体が死を扱うものであるので暗い感じはするものの、それは逆に現代日本とは程遠い平安の雰囲気と妙にかみ合っている。
それは非日常の感覚同士が相互作用で新たなよさを生み出しているからなのだ。
また、音楽もいわゆるBGM的ながら和風を感じられるもので作品の雰囲気を損なうことなく、いや、いっそう盛り上げてくれる。

「破壊の創造美」を破壊する要素はいらない

もちろん『OTOGI』には悪い点というものがある。
『OTOGI』ではウリの要素をそぎ落とすような点がいくつか見受けられる。
破壊の感覚は確かに面白いのだが、破壊できるものは思ったほど多くない。
明らかに破壊できるものがマップのオブジェクトとして配置されているだけであるので、興ざめをしてしまうかもしれない。
そして、一部の敵がガードをしてくる。
もちろんボス戦ならびに雑魚敵でもガードも何もしてこない敵がいたら、アクションゲーマーにとっては物足りないかもしれない。
しかし『OTOGI』は敵をぶっ飛ばすゲームなのだから、いっそのこと敵はガードを出来ない仕様にしてしまうとより面白い(換言すれば破壊を楽しむ)ゲームになったと思う。
ガードする敵は強い
『OTOGI』には二週目モードというのが存在していて、一週目と比べると敵の体力が微妙にアップしている。
オマケのハードモードだと考えてもらえれば納得は出来るのだが、真エンディングをみるためには二週目をやる必要がある。
このような二週目前提の要素は自分は大嫌いである。

それはおいておいて、『OTOGI』の製作者はこのゲームをアクションゲームとして遊んで欲しかったのだと思われる。
だから二週目の敵はちょっと強い。
だが、耐久力が上がることによって破壊の爽快感は失われてしまっている。
どうせならアクションゲーム的な要素を排除した超破壊モードがあっても良かったのではなかろうか。
大型のボス
マップの使いまわしが多いこともかなり気になる。
いくら同じマップでも明るいマップと暗いマップで住み分けがされていて敵も変わっているとはいえ、変化に乏しい。

この変化の乏しさというのも『OTOGI』の重大な欠点である。
様々な武器を選べるとは言うものの、結局敵を倒すか目標物を壊す(集める)だけのステージしかない。
多くのアクションやシチュエーションが用意されているものの、敵を殴るか魔法で攻撃するだけというのは寂しい。
華麗な動きでも、見続ければ飽きる
あとラスボスが強すぎる。
攻略法を調べるまでは攻略不能だと思っていたくらいに強い。
そしてこのゲームにはアクションゲームによくある「以前出たボスたちが連続して現れるステージ」がある。
自分はこのステージについてはひじょーに否定的な意見しか持っていない。
要は今まで見た同じ敵を倒してもつまらないし、連戦で疲れるだけなのだから。
自分にとってこのようなステージは、ボリュームを増やすための手抜きにしか見ていない。

破壊感を目標とした良質のアクションゲームが『OTOGI』だといえるが、一方でアクションゲームのオキマリにはまってしまった感がある。
長年マニア受けする良作を作り続けてきたフロムソフトウェアだからこそ、このオキマリを自然に取り入れてしまったのかもしれない。
破壊

まとめ

厳しく言わせてもらうと中途半端。
まともに敵と戦うと強いから無視してクリア目標だけを狙ったほうがクリアしやすいとか、強い敵にはハメっぽいことをする必要も生じてくるあたりはいかにも昔のアクションゲームっぽい。
一方でアクションゲームとしての面白さをつきつめるまでもなく、爽快感を追い求めた結果どっちつかずの状態になっている。
ただ、和風テイストのグラフィックなどの中身そのものの出来はすばらしい。
単にゲームの要素要素が上手くかみ合っていないだけ、なのである。
難易度もそれほど高くないし、中古だと激安なので暇つぶしに買ってみるのも悪くは無いだろう。

70点

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