紹介
雰囲気を味わうゲームとして見れば申し分ないが、ずいぶん大味になっている
最高の臨場感
『COD2』は戦場の雰囲気を出すことに関しては申し分のないゲームだ。
ゲームをするに当たってプレイヤーは主に視覚と聴覚から情報を得ている。
どちらかというと視覚情報に関しては印象が非常に強いのでゲーム側から力を入れられることが多いが、聴覚情報はおろそかにされることが多い。
しかし『COD2』では音声を最大限に生かしたゲーム作りをしているので、他のゲームにはない魅力を見いだせるのだ。
その魅力というのは、いかにも戦場で味方と一緒に戦っているという感覚そのものである。
爆発音のは迫力もさることながら、味方が常に大声で何かを叫んでいるので一人で戦っている感じがしない。
敵が投げてきたグレネードを警戒する声を聞いていれば、「味方が助けてくれた!」と感じるかもしれない。
まあなんというか、『COD2』最大の魅力は音声なのであるが、レビューでは使えきれないところがちょっと残念なところ。
味方がは声を出してくれるわけではなく、常にプレイヤーの傍にいてきちんと敵と戦ってくれるのも好印象だ。
よく見てみると味方は同じ場所で同じように動いているだけで頼りないのだが、そんなことは気にすることはないだろう。
雰囲気を重視するためにAI操作の仲間はしっかりと役割を果たしてくれている。
やはり戦場を舞台にするゲームでは味方がいるいないで、印象がグッと変わる。
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味方と突撃だ
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爽快感重視の戦闘
ゲームのバランスについては、非常に爽快感重視の作りになっている。
敵がグレネードを投げまくってくる上に、プレイヤーは至る所でグレネードが手に入るので投げまくることができるので、迫力のある爆発音をひっきりなしに聞くことになる。
グレネードはダメージも大きいので敵もぽんぽんと死ぬと言うわけだ。
体力は自動回復方式なので体力が減っても一定時間物陰に隠れるだけで良い。
つまり何も深いことを考えないで敵につっこむことができる。
意図的にマシンガンが設置されていることも多く、何十人も群がってくる敵兵を次々となぎ倒していく様は圧巻である。
実は今までで述べたゲームバランスは難易度ノーマル以下の場合である。
ハード以上になると敵の攻撃力が急激にあがり、ゲームバランスは全くの別物へと変わる。
敵が多いので物陰に隠れながらじりじりと敵を倒しつつ進まなければ死にやすくなる。
一つのゲームで違うバランスを二度味わえるので良いところ・・なのかもしれない。
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戦車戦というのあるだろうが、爆発多いぜ!
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戦闘の問題点
ただ、この戦闘には問題点もある。
手榴弾は確かにたくさん手に入り敵を倒すのに役に立つが、逆に言えば敵さんもしょっちゅう投げてくる。
しかもこの手榴弾が妙に正確に投げられてくるのだからたまったものではない。
敵との交戦で死ぬのは大抵爆死によるものである。
グレネードは直撃すると即死してしまうのだ。
クリエイターもこのことは十分わかっているらしくて、敵に投げられた手榴弾が自分の近くに着弾すると着弾したことを知らせる機能がある。
ただまあ、この機能で手榴弾が近くにあるのを察知したプレイヤーはとっさに後退して手榴弾を回避することになると思う(別に前へ行っても良いのだが敵がいるので死ねる)。
ところがこのとき、自動回復機能を使って前へ前へとガンガン進んでいるのに、いちいち一旦戻らなくてはならないのだ。
自動回復によるテンポの良さを、グレネードで消し去っている。
おそらく難易度が低いと敵の攻撃で死ぬ要素がないためにこういった調整にしたのだろう。
それでも、
グレネードは不自然なほど多すぎる。
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グレネードだ!逃げろ!
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実はテンポの良さを犠牲にしているのは、敵兵の多さとも関係してくる。
雰囲気を出すために一度に大勢の敵兵が出てくるのは良いのだが、こちらが攻撃できるのは一人一人なので全員を倒すのに妙に時間がかかる。
しかも敵兵はちょっと固めなので、たくさん出てくる敵兵にプレッシャーをかけられている状況が多い。
『COD2』は敵からの圧力を非常に感じやすいゲームである。
敵が多くて固い上に、プレイヤーがおかれるシチュエーションも大いに関係している。
例えば敵がマシンガンなどを配置して防衛戦を作っているところに突撃したり、大勢の敵が突撃してくるのを一定時間守りきるミッションが多い。
これは好みの問題だとは思うのだが、『COD2』では爽快感はあるものの達成感とか到達感が非常にわかりにくい。
クリア条件が分からずに大量の敵をひたすら倒し続けて、そしていつの間にか目標が達成されているというような場面が繰り替えし使われている。
目標もなく守り続けるのは、確かに戦争の雰囲気を出すためには必要なもかもしれない。
しかしゲームとしてみれば、意味もなく敵を倒していくだけではおもしろみが感じられない。
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敵も味方も死にまくり
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後半はかなり既視感があり単調だ
この感じに拍車をかけるのが、緩急のないゲーム構成である。
どちらかというと前作はミッションごとやミッションとの間にストーリー性をもたせ、盛り上がる場面と地味な場面を織り交ぜることで盛り上がりを際だたせていた。
『COD2』ではストーリー性は薄れており、ただひたすら敵と交戦を繰り返している場面が多い。
しかも同じようなシチュエーションが何度も繰り返されるので、ゲーム後半になってくると飽きてくる。
第二次世界大戦ものだから強力で非現実的な兵器や敵を登場させるわけにもいかないし、ゲームの中身としては単調になるのはしょうがない。
しかしいくらなんでも同じような場面が連続するのには飽きてくるので、内容を圧縮しても良かったのではないかと思う。
あからさまに水増しした内容になっている理由は定かではないが、個人的な考えではXBOX360の発売日にあわせるためにこのようなことになったのだと思う。
北米ではCOD2はXBOX360と同時に発売されたソフトで、売り上げも同時発売ソフトでは最も大きかった。
『COD2』はノーマル以下だと大味なバランスで、ハード以上だと忍耐力が過剰に要求される。
個人的には難易度を低くして戦場の雰囲気を味わいつつ敵兵を狩っていくことが面白いと思う。
少なくとも難易度を高くするとゲームとして全く面白くない。
雰囲気を味わうことにかけては確かに優れてはいるが。
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COD2は防衛ミッションが多くて疲れる
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