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Call of Duty(コールオブデューティー)


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2003年
開発会社:Infinity Ward



レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

『Call of Duty(コールオブデューティー)』(以下COD)は2003年に発売されたFPS。
PC版のみの発売で、開発はInfinity Ward。
Infinity Wardという会社は『メダルオブオナー アライドアサルト』を開発したメンバーの一部が独立して作った会社である。
したがって『Call of Duty』と『メダルオブオナーアライドアサルト』はゲームの方向性が非常に似ている。
実質的に「前作」なので、このレビューでは前作として扱うことにする。
「前作」から継承されたことは、見た目は第二次世界大戦当時の風景を再現していながらもアクションよりのゲームバランス、スクリプトによる大規模な演出、質の高いサウンドなど。

これらの要素は既に『アライドアサルト』にて完成されていて、高く評価されている。
『COD』ではさらに磨きがかかったと言えるだろう。
ゲームバランスも含めて荒削りだった要素が洗練されて無駄のないものになっている。
ブレン機関銃を使う画像
舞台は第二次世界大戦
『COD』で特に力が入れられているのは一緒に戦う仲間(NPC)の演出である。
前作『アライドアサルト』では確かに仲間がいるミッションがあったものの、絶対的な分量を見てみるとゲームの半分にもなっていなかった。
一方、『COD』では仲間と共に行動する場面が前作に比べると増えていて、戦争している感覚を感じやすくなっている。
とは言っても単独で敵地へ潜入し攪乱する場面が完全になくなってはいない。
ちなみに続編の『コールオブデューティー2』では単独ミッションが完全になくなっている。
どこかの記事で読んだのだが、開発者が本当に作りたかったものは「戦場における一人の兵士」を描くゲームなのだという。(今は少し変わっているのかもしれないが)
それが元々の会社を抜けて新しい会社を設立するに至った理由だとか。
緊張のロシア軍ミッションの画像
大勢の仲間がいるロシア軍ミッション
ゲームではナチスドイツを相手にアメリカ軍、イギリス軍、ロシア軍の各主人公を操るパートにわかれている。
したがって、プレイヤーのおかれるシチュエーションというのが軍によって違っている。

そのほか『アライドアサルト』に無い要素で重要なのは、覗き込み(アイアンサイトを使用)をすることで弾が当たりやすくなっていたり、匍匐をすることで敵に攻撃されにくくなっていることだ。
銃をのぞき込んだり匍匐することによって、ゲームプレイに変化が生まれ、単調さが無くなっている。

最高難易度ではミッション中の体力回復が不可能という仕様(ミッションをクリアすれば回復する)になっており、非常に緊張感のある戦闘が出来る。

現在は字幕がついた日本語版が再販されているので入手に困ることはない。
英語版でもMODを導入すれば字幕を入れることが出来るので、安く手に入るのなら英語版を入手しても良いと思う。
打撃攻撃で敵兵士を倒した画像
打撃攻撃もある

レビュー

過度にならない演出、練り込まれたゲームバランス。これがCODだ

『アライドアサルト』を過去のゲームに追いやってしまった『COD』

『COD』は『メダルオブオナー アライドアサルト』の正統進化、と言ってしまえばいいと思う。
あら探しをしていても劣っているところが何一つ見つからないことは実にすごい。
ダメだったところをきちんと反省して改善するだけでなく、新たな試みを入れて成功させているのだから文句のつけようがない。
難易度ごとに差別化されたゲームバランスが特筆すべき点だ。
最高難易度ではミッション中の体力回復が不可能な仕様になっているが、きちんと対策すれば切り抜けられるように作られている。
もちろん一番低い難易度にすれば初心者でも何とかなるような難しさである。

まずは改善された、あるいはパワーアップした点について大まかに見ていくことにしよう。
全体的に緩慢な動きを見せていた敵のアニメーションは俊敏になっている。
しかもモーションは多彩さを増し、生きている敵と戦っている感じがする。
また、いかにも機械的な反応を見せる敵や、嫌らしいところに配置された敵はいなくなって戦闘での不快感が無くなっている。

次にミッション遂行のフラグ立てがやりやすくなったことで、とても遊びやすくなった。
前作は、「○○をしろ」と指定されていてはいるもののどのように行ったらよいのかわかりにくいものが多かった。
また自分で扉を開けなくてはならないため、開かない扉相手をしらみつぶしに調べる必要があった。
『COD』では自分で扉を開けるようなことはなく、ミッション遂行のためにやることは簡略化されているので迷うことはない。
戦車の上から攻撃
応戦する敵と伏せる敵
最も強化された点は演出である。
部隊行動をする場面や画面に表示される味方が増えただけでなくて、演出のやりかたが非常に上手くなった。

例えばカーミッションを例に挙げてみよう。
このミッションでは仲間が運転する車に同乗して、周りから迫ってくる敵を車内から迎撃することになる。
前作ではノロノロとした車にただ一緒に乗っているという感じだったが、今作は緩急のある作りになっている。
車に乗っているスピードがかなり増しており、通る道も曲がり角が多分に用意されている。
つまりはプレイヤー視点が目まぐるしく変わることになり、余計にスピード感をあおる作りになっている。
また、目の前に敵が急現れたときはものすごい急ブレーキをかけたりする。
目線がガクンと揺れる様は臨場感抜群だ。
スピード感のあるカーミッションの画像
カーミッション
もちろん前作でも素晴らしかったサウンド面は負けず劣らず素晴らしい。
銃声や爆発音は迫力満点で、BGMも場面にあった勇ましいものを聞かせてくれるだろう。

とてもわかりやすかったゲームシステムも改変されることなく継続している。
一方で匍匐や覗き込みが可能になり、戦略性が増してややこしくなった。
しかし低い難易度ではこれらの要素は使わなくてもクリアに支障はない。
ゲームになれていない人には、匍匐やのぞき込みを駆使しなくても構わないのだ。
難しい難易度は二週目以降やコアユーザーが選択するものであって、少しくらいややこしい要素を使わなくては変化や戦略性がなくて面白くない。
味方が戦車に登って爆弾を入れて破壊する画像
味方が戦車を破壊する
さて、CODで最も優れているのは難易度バランスである。
低い難易度では使わなくても良い要素が高い難易度をクリアするために必要だというのは、他のゲームでもよく見かけるので大して目立ったことではない。
しかし最高難易度まできちんと調整されているゲームはたくさんあるのだろうか。
結論から言うと、きちんと調整されているゲームの方が少ない。
最高難易度はバランスが破綻して難しすぎるか簡単すぎるかのどちらかになることが多く、そのため極端な難易度設定を設けないゲームもあるくらいである。
CODの場合、落ち着いて時間をかけて適切に対処すれば何のことはなくクリアできるように作られている。
それはクイックセーブ可能なPCゲームという環境も大きく関係しているが、敵が完全に決まった行動を取るように作られているからだと言える。
何度もやり直してきちんとパターンを構築すれば、難所と思われていた場面でも何のことはなくクリアできる。
最高難易度では体力回復が不可能な仕様ではあるが、敵が完全に同じ行動をするからこそスマートに攻略できるようになっているのだ。
サブマシンガンで先制攻撃している画像
敵の出る場所は決まっているので覚えれば簡単に撃破できる

まとめ

ところどころにある演出と、単純に敵を倒すだけのパートの比重が素晴らしいゲーム。
ゲーム全体がこのどちらにも偏っておらず、それでていてどちらの要素も質が高い。
しかし敵の要塞に単騎で突入するシーンや一兵士が多くの敵をなぎ倒す場面があるので、雰囲気を重視する人にはおすすめ出来ない。
低い難易度では誰にでもお勧めできる難しさで、高い難易度はFPSになれたプレイヤーでも満足できる難しさとバランスを兼ね備えている。
FPSをやりたいと考えているいる、ほとんどにおすすめ出来る。

87点

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