Medal of Honor: Allied Assault(メダルオブオナー アライドアサルト)レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2008年11月
タイトル
Medal of Honor: Allied Assault(メダルオブオナー アライドアサルト)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2002年


紹介
Medal of Honor: Allied Assault(以下アライドアサルト)は2002年にEAより発売されたゲームである。
開発はEAではなく2015という会社で、後にこの会社からメンバーが独立してInfinity Wardを設立、コールオブデューティーシリーズを生み出した。
発売された当時は非常に高い評価を受けたゲームである。
現在は拡張版2本がセットになった完全日本語版が発売されているほか、拡張パック2本に加えて続編のMedal of Honor: Pacific AssaultとMedal of Honor: Airborneがセットになったものが英語版のみだが発売されている。
日本語版はメニューだけでなく音声も日本語化されているので日本語でやりたい人はこちらを買えばいいし、もうひとつのパッケージは非常にお得なので安くあげたいのならそちらを買えばいい。

アライドアサルトの評価されている点は、抜群の操作性とスクリプト(台本)を利用した演出、高いクオリティのサウンドの主に三つがあげられる。
特にスクリプトを利用した演出は舞台となる第二次世界大戦の雰囲気を醸し出しつつ劇的な展開へと持って行くことを実現していることで評価が高い。
操作性はプレイヤーに対して大きなストレスをかけることのないものとなっており、複雑な操作も要求されないのでFPSになじみのない人でもすぐに溶け込めると思われる。(というか自分がそうだった)
サウンドはプレイ中に流れる壮大なオーケストラ調のBGMと、銃撃音のどちらもが評価されている。
銃撃音はハリウッドのスタジオからとってきたものなので重厚感がありつつ武器ごとの差異も明確に作られている。
このゲームを作ったメンバーが後に作ったコールオブデューティーシリーズでもこれらの要素は完全に引き継がれており、FPSの基本形のようなものへと上り詰めている。

暗闇での戦闘画像
敵はドイツ軍だ

ゲームの舞台は第二次世界大戦の西部戦線である。
プレイヤーはアメリカ軍の一兵士となり、ナチスドイツ軍を相手に長い戦いを行う。
今となってはその相対的な分量は少ないものの、当時のゲームとしては同じ軍の仲間と一緒に戦い抜くシチュエーションが豊富に用意されている。
またストーリーは合計六つのミッションに分かれているが、その間に関連性はなくてそれぞれが独立していてそれほど凝ったものではない。
全体で流れるストーリーを重視すると言うよりも、その場面場面での瞬間的な演出に力が入っていると言えるだろう。
例えば上官から命令されて困難な任務を遂行することや、敵が怒濤のように押し寄せてくるのをかいくぐりつつ防衛戦を突破することなどである。

仲間と一緒に戦うシーンの画像
仲間と共闘

グラフィックやサウンドは第二次世界大戦の雰囲気をよく再現しているが、一方でゲームのスタイルは完全にアクションの方向を向いている。(シミュレーターではないという意味)
味方と共闘する部分はあるが、多くは一人で敵の基地に潜入する「ランボースタイル」を中心としている。
あまり深く考えなくても敵に銃弾は当たるし自分の体力も高めなので、ある種ユーザーフレンドリーだとは言えるが人によっては鼻につくかもしれない。
最高難易度を除いてたいていの敵の攻撃力や反応速度は抑えられており、そのぶんたくさんの敵が出てくるので初心者でも問題なくできるだろう。

マルチプレイは特に目立った要素もないがバランスも悪くないという感じである。
発売されてから十分時間がたってはいるが世界的に見ればまだまだ人がいることには結構驚く。

好きな人にはたまらないブリーフィングの画像
ミッション前には実在の写真を使ったブリーフィングがある


レビュー
●今となっては古典的だが面白さは変わらない

誰がどう考えても2002年のゲームに古典的という言葉は似つかわしくないと考えるだろう。
しかしアライドアサルトの実質的な後続作品であるコールオブデューティーシリーズはとても完成度が高かったので、今からみてみればかなり古めかしいゲームになってしまっている。
特にその後のコールオブデューティーをプレイした後にこのようなレビューを書いているのだから、なおさらそのような印象を受けるのもある意味仕方がないとは思う。
なぜかというと、開発者たちが現状に甘んずることなくより高次元のゲームを作ろうとしたおかげでシリーズはどんどん進化して行っている。
レビューを書いている2008年の段階では三つもの後継作品があるのだから、進化する前のゲームをみると非常に古めかしく感じられるのである。
しかし進化する前でも進化を見せる片鱗を見せていて、その要素自体は出来が良く非常に興味深く見て取れる。

自分がナチスの上官に変装しているので、相手が敬礼をしている
一応ナチスの上官に変装する場面もあったり

すでに紹介で述べている三つの要素(操作性、演出、サウンド)は今のFPSゲームと比較しても劣っているところはない。
操作は非常にシンプルでFPSのスタンダード中のスタンダードとも言うべきものとなっている。
したがって他のFPSをやったことのある人は違和感なく操作でき、未経験者もすんなりと入り込めて他のゲームへの土台となってくれる。
アライドアサルトでは敵に照準を合わせて撃つかオブジェクトに操作キーで干渉することしかクリアに要求される操作はない。
つまり直球勝負のゲームだと言える。
余計な操作がないほどゲームそれ自体のバランス感覚が面白さをかなり左右するのだが、アライドアサルトは敵の配置や建物のの造りが凝っているので単に敵を倒しているだけでもそこそこ面白い。
ちなみに拡張パックではその辺の調整がダメなので単調でつまらないゲームへと変化してしまった。

通気孔から敵の様子をうかがっている画像
敵地に潜入

戦闘は重量感がありつつも爽快感が重視されている。
敵がこちらを認識するまでの反応速度が遅くて棒立ちになっていることが多いものの、そのぶん敵を蹴散らしやすい。
銃撃音はハリウッドのスタジオから取り寄せたものなので非常に心地よく、敵に銃弾がヒットすると大きくのけぞるので攻撃する快感を味わうことが出来る。
特にM1ガーランドという銃のクリップ音は他のどのゲームよりもすばらしいと思う。
もうひとつサウンド面では、バックで流れるオーケストラ調の音楽は勇ましいもの中心で気分を十分に高揚させてくれる。
これはただの偏見なのかもしれないが、よくあるFPSでは音楽が重視されていないものが多いような気がする。
あったとしても日本的なゲームミュージックというより環境音楽や効果音のように使われているものが多く、雰囲気を醸し出すものとしては評価できるものの単体で聞くとおもしろみがない。
その点、アライドアサルトの音楽は単体で聞いても鑑賞にたえうるという点で評価ができる。

M1ガーランドでの射撃画像
これがM1ガーランド

そしてやはり演出のすばらしさというのはアライドアサルトでもっとも力が入れられている部分だろう。
一人で敵を倒していくのではなく味方と同じ戦場に立ち、一緒に敵と戦っていく。
ただ単に自分と同じく行動する場合もあるし、プレイヤーを指示して導くようなときもある。
特にすばらしいシーンを一つあげるならやはりオハマビーチのシーンだろう。
現実でも海岸に上陸した兵士がほとんど負傷あるいは死んでしまった、まさに地獄のような場所だったわけであるが、アライドアサルトでも非常に死にやすいポイントとなっている。
実はこのシーンは有名な上に戦場の雰囲気を出すために格好の場所であるため、ゲームの冒頭部分にもってくることが多い。(自分が持っている第二次世界大戦ものゲームはだいたいそんな感じだった)
しかしアライドアサルトではゲームの中盤に持ってきている。
なんでかというと、プレイヤーとかなり遠い場所から放たれるマシンガンの銃撃による一撃死の恐怖を味あわせるためにわざわざ中盤に持ってきているのである。
序盤に持ってくれば難易度を下げないとプレイヤーにとっては不親切で、他にもチュートリアル的なものを組み込む必要がある。
しかし中盤に持ってくることで、難易度的にシビアでもプレイヤーはそれほど嫌悪感を持たないでプレイすることが出来るのだ。

ちょっと動けば死んでしまう、オハマビーチの画像
オハマビーチ

アライドアサルトは確かによくできているゲームだが、問題点ももちろんある。
まずは演出が過剰だということがあげられるだろう。
コールオブデューティーシリーズをやるとこれでも生ぬるいレベルかもしれないが、何も演出がないゲームからすればかなり演出が多い。
やはりスクリプトによる演出を入れるとプレイヤーへ行動を制約させることになるので、人によっては押しつけがましく狭くて苦しいゲームだト感じるのも仕方がない。
また、演出が凝っていると言ってもそれは部分部分のことであってゲームの大部分はプレイヤーが一人で敵陣地へ乗り込んでいって敵をガンガンなぎ倒すという展開である。
これは見た目や雰囲気がけっこうリアルなことも相まって、見た感じはリアルだけど中身はすごくゲームっぽくなっているという矛盾を引き起こす。
自分はこういう矛盾点について何も感じないが、人によっては相当な抵抗感をうけることもまた事実である。

一人でたくさんの敵を倒すゲームだということをわからせてくれる画像
一人でたくさん倒しちゃった(テヘ 

二つ目の欠点は一部の敵がまさしくコンピューター的な反応をすることだろう。
これはマシンガンやスナイパーライフルを持った兵士が遠距離から超反応で正確にプレイヤーを撃ってくるいうもの。
問題はマシンガンを持った兵士が結構多く配置されているため、こちらもライフルで正確に撃ち抜かないと進めなくなってしまう。
非常にテンポがよいゲームなのにいつもいつもマシンガン兵士に悩まされるのは面白くない。
もっとやっかいなのがスナイパーライフルをもった狙撃兵である。
こいつらが配置されている場所というのが物陰だったち暗い位置だったと非常にわかりにくくて、おまけに葉っぱや藪に隠れてこちらから見えない位置でも正確に狙撃をしてくる。
もちろん超反応でこちらをねらってくるのだからたまったものではない。

もう一つ問題点があるとすれば、敵の無限湧きを利用した難易度調整を行っているマップがあること。
敵が警報を鳴らせば無限に湧いてくるという仕様なのだが、これが非常にやっかいで面白さをこれっぽっちも感じない。
この調整方法は同じ制作会社が作ったコールオブデューティーシリーズでも多用されているが、何かこだわりでもあるのだろうかと思う。
あとこれは欠点なのかどうかわからないが、ゲームが後半になってくるほど単調になってくるような気がする。
どうしても演出がある程度固定化されてしまい、シンプルな操作系のためにそう感じるのかもしれない。

降りしきる雨の中、敵の狙撃兵を排除するシーンの画像
ここがスナマップ

まとめ
なじみやすい操作体系、低い難易度で全体的に押さえられた難しさ、プレイヤーを引きつける演出、完全日本語版の存在などは特にこの手のゲームをやってみようという人におすすめできる要素である。
今からみれば少し古くささを感じるシステムやグラフィックだが、それを差し引くことができるのなら購入候補に入れても良いだろう。
ただ一本道のゲームなので、一度やるとまた繰り返しやりたいと思わせるようなものはない。
現在は拡張版や続編と一緒にセットになっているものが販売されておりこれだけを目当てに買う人はいないだろうけれども、単体でも十分に面白いゲームだということは気にとめて欲しい。

点数72点
リンク

公式ウェブサイト


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