レビュー
人が多いことが最大の魅力
人数の多さ
『サドンアタック』はどちらかというとアクションよりの調整がされている、と上で述べた。
ゲームにおいて奥が深いというのは、裏を返せばとっつきにくく難しいということにもなる。
ただ単に習得するのが難しいことを奥が深いとかやりがいがあると言っているとも考えられないだろうか。
物事は難しければ難しいほど習得するのにストレスが溜まるので、ゲームの面白さを理解する前にやめてしまう可能性は高い。
特に『カウンターストライク』というゲームではこの要素が強く、新規プレイヤーはただのカモになってしまう。
そのような要素を、アクション性を高めることでよりカジュアルに、シンプルにしたのがサドンアタックだ。
であるから『サドンアタック』は『カウンターストライク』のパクリと言われることがある。
なぜそのようなことを行ったのだろうか。
それは『サドンアタック』は新規ユーザー、特にFPSをやっていない層を相手に作られた、ライトでカジュアルなFPSだからである。
日本最大のFPSコミュニティを形成していることからも、開発者の目論見は成功したとみていいだろう。
実際のところオンライン人口が増えれば増えるほど新たなテクニックが発見、開発されていくので、人口が多いというのはゲームの面白さ(深さ)においては非常にプラスの要素になる。
人口が多ければ実力が同じぐらいの人同士で遊ぶことも出来るし、気が合う人も見つけられる。
やる人が多ければ多いほど、人間技とは思えないほどの強さを見せ付ける人も現れるだろうし、その人を倒すことを目標に練習をがんばる人も出てくるだろう。
つまり人の要求に応じた遊び方と言うのができるのである。
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ナイフのみの部屋の様子。
部屋ごとにルール(ローカルルール)が決められていていることがある。
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銃撃戦の魅力
『サドンアタック』の面白さは、アクション性のある戦闘によるエイム勝負にある。
カジュアル志向によってマップの構造が恐ろしいほど単純で直線が多い構成になっているために、正面からぶつかり合う展開になることが多い。
したがっていかに早く相手の頭に照準をおけるかが強くなる鍵となってくる。
もちろん状況の判断力といった立ち回りも重要であるが、マップ構造が単純なサドンアタックでは敵を狙う能力がとても重要である。
また射撃感が良好なのも、『サドンアタック』の人気を高めている。
射撃感は大きく分けて二つある。自分が撃ったときの感触と敵に着弾したときの感覚である。
サドンアタックはどちらの点においても優れている。
まず自分が撃ったときの感触は、かなり重厚感があると感じられるだろう。
マズルフラッシュの鮮やかさや反動の大きさ、そして爆発力のある銃声によって、銃を撃つだけで爽快感を得られる。
そして敵への着弾については過激なラグドール表現(手足が吹き飛ぶとかそういうの)はないものの、敵をヘッドショットした場合は血が噴出するので立て続けにヘッドショットできると気持ちが良い。
特にこのゲームは胴体の耐久力が意外とあるので、一発で敵を沈められるのはかなり快感である。
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射撃中の様子
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インターフェイスの使いやすさ
他のオンラインFPSと比べてシステム周りが充実しているのも好感触である。
サーバー選択画面などのユーザーインターフェイスはとても見やすく使いやすい。(サドンだけやっていたら気づかないが)
そして運営が他のFPS運営と比べて良心的であるのも重要であると考える。
不正ツールを使用するユーザーはしっかりとアカウント凍結されているし、サーバーが急にダウンするようなことがあっても補償アイテムのプレゼントがあったりする。
また、課金アイテムによるユーザーのパワーアップはほとんどないのもFPSというゲームの特性上特筆すべきだろう。
そして更に重要なのが、それほど課金をしなくても武器を維持することが可能である点である。
武器はレンタル製のため常にプレイをし続けて維持しなくてはならないが、普通の武器ならば一日5,6ゲームすればたまる。
要は一日一時間くらいやっていれば大抵の武器は維持できるというわけである。
運営が儲かっているかどうか考えると複雑な気持ちもあるが、一ユーザーとしてはとてもうれしい。
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女性キャラは人気があるので課金でしか手に入らない。
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TRGの強さは欠点
しかし『サドンアタック』には重大な欠点がある。
それは、TRGというスナイパーライフルが強すぎることとマップの構造が悪いことの二つである。
スナイパーライフルの中に、TRGと言う胴体に当てれば一撃死をもたらす強力な武器がある。
こういう武器は大抵のFPSにも存在するものだが、入手方法が難しかったり使いにくかったりしてそれほど実用的ではないことが多い。
ところが『サドンアタック』の場合、このスナイパーライフルが実に強い。
一つ目の理由は、ラウンドスタート前にTRGを選択していれば、TRGを最初から持ち運ぶことができる点。(他のゲームだととりにくい場所に置いてあったりする)
二つ目は、プレイヤーの移動速度が遅いために当てやすいこと。
三つ目、マップの構造が明らかにスナイパー有利である。
特に三つ目のマップ構造の悪さは致命的で、広々と開けたストレートをもつマップが実に多い。
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スコープを覗き、あとは撃つだけ。
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劣悪なマップ構造
サドンアタックの評価を最も下げているのがこのマップ問題である。
非常に単純な構造のマップは慣れていないプレイヤーにとっては優しいものかもしれないが、ひとたび慣れてしまえばただの手抜きにしか感じられない。
また全体的にブルーチーム有利なマップ構成になっているのも、度々指摘される欠点である。
しかしこれは自分では欠点にならないと思っている。
なぜなら、不公平感やバランスの悪さというものが工夫する楽しさや克服する面白さを生み出しているのも事実だからである。
『サドンアタック』で問題なのは、ブルーチームのスナイパーがあまりにも有利になり過ぎている点であると考えている。
度をすぎた不快感は克服する気力すら奪うのである。
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あるマップで直線に顔を出したところ。
直線の端には敵スナイパーが三人もいる。
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『サドンアタック』の功績
ここで間違えてはいけないのは、
TRGは強い武器であるものの技術が伴わなければ扱うことが出来ないという点である。
つまり初級者がお手軽に強くなるための武器ではなくて、強い上級者がより強くなって初級者を倒す武器だということ。
実際、スナイパー禁止を明言するルームはそれほど上手くない人が集まっている。
ここで矛盾みたいのが生じているのにお気づきだろうか。
『サドンアタック』は初心者でも気軽にあるベル用に作られた。
ところがFPSという技術がはっきり表れるゲームでありがちな「上級者が初級者を倒し、初級者がいなくなる」構造を運営が助長しているのである。
とはいえ、ゲーム自体がそこそこ面白いので初級者は常に増え続けている。
人数が多いオンラインゲームはそれだけで魅力的だ。
人数が多ければ多いほど、後から新規プレイヤーが増えていく。
おそらく日本のFPS史を振り返ってみると、『サドンアタック』が最も多くのユーザーに遊ばれていると思われる。
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初心者スナイパーはただの的である。
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