紹介
『Medal of Honor: Warfighter (メダルオブオナー ウォーファイター)』は2012年に発売されたビデオゲームである。ジャンルはFPS、開発はDanger Close Games、販売はEAが行っている。
Danger Close GamesはもともとEA傘下のディベロッパーであり、かつてEA Los Angelesとも呼ばれていた。
しかし本作『メダルオブオナー ウォーファイター』を発売した後、売り上げ不振により解散され、その後同じEA傘下のディベロッパーDICEの分社DICE Los Angelesへと変わっている。
メダルオブオナーシリーズはミリタリー要素を組み入れたFPSとして連綿と作品を出し続けてきた伝統あるシリーズである。
ところが他社のコールオブデューティーシリーズに人気を抜かされ、またEAは傘下のバトルフィールドシリーズが人気を得てきてマルチプレイのみならずシングルプレイも充実させてくることになる。
こうなってくれば、メダルオブオナーシリーズの立ち位置は不明瞭になっていく。
そこで、再起をうながすために2010年、 『メダルオブオナー』(2010年版)が発売された。
これは上記二作とは異なり、シングルプレイにおいて「戦場における味方の存在の頼もしさとかけがえの無さ」「味方が時としてミスを犯す可能性」といった、かなり趣をかえた手法を使い、独自の立ち位置を得ようとした意欲的ねビデオゲームであった(ただしマルチプレイは除く)。
『メダルオブオナー ウォーファイター』においても2010年版の根幹を守ったシングルプレイが用意されている。
しかし、売り上げは悲惨で開発チームは解散の憂き目にあってしまった。理由は二つ考えられる。
ひとつは、同時期に『コールオブデューティー ブラックオプス2』とバッティングし、ユーザーが流れてしまったことが挙げられる
二つ目の理由は、シングルプレイは前作よりも劣化しており、マルチプレイのルールが分かりにくく玄人好みだったのが原因だと思われる。
なお、紹介とレビューはシングルプレイのみに限定させてもらう。
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『メダルオブオナー ウォーファイター』のシングルプレイはよくあるアクションゲームと同じようなものである。
すなわち、登場人物に焦点が当てられ、そのキャラクターをプレイヤーは動かす。
ミッションが始まれば指示が台本のように示されるので、指示に従うように敵を倒したりアイテムを使用する。
そうしてステージを進めていって、ある程度まで進めばステージクリアとなる。
ゲーム中には息抜きとも言える、車を扱ったドライブゲームのようなカーミッションや、敵を一網打尽にできる固定砲台役になることもある。
時にはカットシーンが入ることもあろう。
このように様々なミッションが入り交じることによってプレイヤーは飽きずに最後まで遊べるというわけだ。
もうひとつの特徴は、扱うキャラクターが時折入れ替わる点である。
旧来のメダルオブオナー、或いはコールオブデューティーシリーズでも見られる特徴である。
キャラクターが複数入り交じることによって、物語は重層性を増す。
また、登場人物によって得意な行為はことなるため、プレーに変化をもたらす。
『メダルオブオナー ウォーファイター』はとりたてて特別なことを行っていないといえばそうなるだろう。
ただひとつ他のゲームと変わっているのがプロットの構成である。
話が一直線に進まないように作られており、プレイヤーに疑問をもたせながらゲームをすすませるようになっている。
しかしプロットの組み立て方こそ『メダルオブオナー ウォーファイター』が墓穴を掘ってしまった点でもある。
それではレビューで詳しく見ていこう。
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