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『HOUNDS(ハウンズ)』


ジャンル:TPS
機種:PC
発売年:2014年
開発会社:CJ GameLab


公式ウェブサイト


2014年5月レビュー

紹介

紹介

『HOUNDS(ハウンズ)』は韓国のCJ GameLabが開発を行い、日本ではDMMが運営するビデオゲームである。
DMMはTPSとRPGが合体した新ジャンルRPSだと宣伝してはいるが、肩越し視点のシューター(TPS)に成長する要素やカスタマイズ性を取り入れただけにすぎない。
対人戦を行うPvPと、味方と協力してステージを攻略するPvE(COOP)が用意されている。
PvE(COOP)にかなり力が入れられているのが特徴だ。


2014年現在、ビデオゲームはスマートフォン等のモバイル端末への以降がすすんでおり、韓国でも従来人気のあったMMORPG、カジュアルゲーム、FPSは斜陽ぎみとなっている。
そんな中、2014年に日本へ飛び込んできたTPSが『HOUNDS(ハウンズ)』である。
『HOUNDS(ハウンズ)』は過去に発売されてきたTPS・FPSを参考にして、その上でRPGのような要素を組み込んだ意欲的な作りになっている。
参考にしているのは『バイオハザード』(4以降)、『ギアーズオブウォー』、『レフト4デッド』といったゲームだと思われる。
まずバイオやギアーズからは三人称視点ゲームにおけるゴア表現、ホラー要素といったものが共通している。
COOPでは上記のゲームから多大な影響を受けたと思われる演出方法が取り入れられた。
それらの要素に加えてスキル制、兵科制も導入し、色々なゲームのいいとこどりを目指している。
どこかのゲームに似ている雰囲気
『HOUNDS(ハウンズ)』はキャラクターの動作が極めて機敏で、銃撃の感覚も良く、プレイヤーは爽快に遊べるようにつくられている。 たとえばダッシュ、スライディング、緊急回避といったアクションが用意されている。
レスポンスも抜群に良く調整されていて、ラグによるストレスを感じないようになっている。

スキルシステムは『HOUNDS(ハウンズ)』のもうひとつの特徴である。
兵科や武器によって様々なスキルが装着できるようになっている。
スキルの使い方や組み合わせが勝敗やプレイスタイルを左右するため、かなり重要な要素と言える。

もうひとつの重大な特徴は救助システムともいうべき回復アクションの存在だ。
プレイヤーは敵に攻撃されて一定のダメージを受けると救助待ちの段階になる。
このとき、一定時間以内または敵に攻撃され続けない範囲内で味方が救助を行えば、プレイヤーはもう一度戦線に復帰できる。
戦線に復帰できると死亡数にカウントされないため、回復アクションは地味でありながら重要である。
しかも回復アクションは単に自分のスコア、チームの勝利だけでなく、味方同士の連携を促進させている面もある。
つまり味方との連帯感を得られるのだ。
黄色い味方は救助を待っている
ここで『HOUNDS(ハウンズ)』のゲームの流れを一旦整理しておこう。
まず要となるのはPvP(対人戦)とPvE(COOPプレイ)の二つである。
プレイヤーはPvPでレベルを上げながら操作の癖をつかんでいき、戦果のマネーを得て武器を調達する。
そしてPvEへ乗り込んでいき、調達した武器を使ってストーリーモードをクリアしたり、デイリーミッションを消化するのだ。

もちろんPvPにはPvPなりの面白さや駆け引きがあるので、PvEをやらなくてもいい。
逆も又然りであって、PvEとは異なる生身の人間相手に戦いを挑むことも新たな刺激となるだろう。

PvPやPvEを繰り返し遊ぶことで武器や防具の設計図を入手し、特殊な装備をつくったりすることもできる。
愛用の武器を強化して、他人とは異なる強力な武器へと変貌させてもよいだろう。
『HOUNDS(ハウンズ)』はPvPとPvEが合わさったゲームなのである。
兵科をカスタマイズ!

レビュー

全体的に大味なプレーになりがちで、緻密さを感じられない

PvPとPvEについて

『HOUNDS(ハウンズ)』は極めて大味なゲームである。
それはPVP(対人)でもPvE(COOP)でも変わりない。
PvPはスキルを撃つか撃たないかでほぼ勝敗が決まってしまい、PvEは簡単すぎるか難しすぎるかのどちらかの難易度しかないのだ。

また、PvPとPvEの混ぜ方が悪い。
『HOUNDS(ハウンズ)』においてプレイヤーはPvPで金を稼ぎ、レベルを上げなければPvEの難しい難易度に太刀打ちできる装備は身につかない。
どちらも中途半端で、しかもどちらもプレーしなければいけないため、出来の悪い二つのゲームをやらなければなくなっている。
少ないマップ、練り込みの足りないマップ、スキルの種類など何のそのの、先制攻撃やったものがちのPvPは最初こそ面白いが、途中からその底の浅さに飽きてくる。
PvEはといえば、簡単すぎる難易度と難しすぎる難易度の二つしか用意されておらず、ランダム性も少ない。
だからPvEに専念しようとしても、PvPに専念しようとしても、プレイヤーを満足させることはないのだ。
もちろんどちらも遊ぶのなら問題ないのだが、PvPもPvEも大きな問題を抱えている点は変わりない。
ストーリーもある。一応。

スキルと格闘ぶちかましのPvP

極めて大味なPvPから見ていこう。
PvP最強の装備とスキルはほぼ決まっている。
最初こそ皆が皆試行錯誤で色々なプレースタイルを試していたが、しばらくすると皆同じようなプレーばかりするようになっていった。
これは数多くの装備とスキルを用意したゲームの宿命とも言うべき現象である。
すなわち、プレイヤーは相手に勝つために最上の選択肢を選ぼうと様々な武器とスキルを試す。
結果どうなるかといえば「鉄板」と呼ばれる最強の組み合わせができてしまうのだ。
一言で言えば『HOUNDS(ハウンズ)』はスキルと武器同士のバランスが取れていないのである。
スキルと武器がたくさんあるのに、多用なプレースタイルを許容できないゲームになっていまっている。
しかも有料装備で超強力な武器を追加するのだからたまったものではない。

もうひとつの大味なゲームプレイを助長しているのが格闘攻撃の存在である。
『HOUNDS(ハウンズ)』の格闘攻撃は当てたら即死という超強力な攻撃方法である。
しかし、こういった攻撃方法をTPSという三人称視点に用意しているのだから達が悪い。
なぜなら角で待ち伏せして相手が出てくるまで待って格闘攻撃見舞う、という攻撃が通用してしまうのだ。
加えて、格闘攻撃には異常なほどの「巻き込み」が存在する。
「巻き込み」とは格闘攻撃を行った後に、攻撃が当たるかどうか判定する範囲が広いことを示している。
角待ちで敵を巻き込む格闘攻撃が全てのプレイヤーについているのだから、まともに撃ち合うのがバカらしくなってくる。

更にスキルが強力すぎるのも問題であろう。
敵を倒すためにはスキルを発動していなければ不可能であると言って良い。
それほど体力が高く設定され、倒したとしても救援システムのおかげで敵も味方もすぐに復活できるからだ。
だから相手を有無を言わさず倒せるスキルが重宝される。
スキルをぶっ放して相手を倒し、クールタイムは息を潜めて戦うスタイルが定着してしまっている。
どちらも発動した側による一撃必殺の状態になってしまっており、倒すか倒されるかの醍醐味はない。

以上のような惨状を理解しているのか、運営は時折武器やスキルの強さを変えている。
しかし根本的な解決にはなっていないのが現状だ。
スキルを放つ

ちょうど良い難易度がなく、単純作業になりやすいPvE

では力が入っているPvEを見ていこう。
PvEは物語に仕立ててあり、見応えのある演出や山場もしっかりと作ってある。
そういう意味ではなかなか良くできている
と言えるだろう。

ところが難易度の設定に問題がある。
易しすぎる難易度と難しすぎる難易度しか存在しないのだ。
韓国には中間に位置する難易度があるそうなので、極端な振り幅の日本仕様にローカライズしたDMMは責任重大である。
易しすぎる難易度では一人で遊んでも手応えすらないので繰り返し遊ぶモチベーションが湧いてこない。
もちろん操作の確認には使えたりするのだが、それくらいにしか使い道がない。
また、チャレンジモードと呼ばれる難易度はちょっと気軽に遊べない難しさに設定されている。
敵の量、数ともに多すぎるのだ。
そこでプレイヤー達は頭を使ってクリア方法を編み出すことになる。
例えば敵が出てくる地点を奥の方で待ち構えたり、敵を敢えて無視する方法である。
待ち伏せと素通りがまかり通るCOOPプレイに楽しさなどあるのだろうか。
安全地帯(安置)をみつけてはそこに引きこもるプレースタイルもある。
そうでもしないと常人にはクリア不可能なのだ。

こうしてプレイする意味のないノーマル難易度と、難しいので極端な先鋒をとらざるを得ないチャレンジ難易度の二つしかなくなってしまっている
しかもチャレンジ難易度の極端な戦法にはセオリーがあるため、ほぼ毎回同じような動きをする羽目になる。
ここには適度なランダム性、プレイヤーの目先を変える要素もまったくない。
ゲーム側が毎度同じように敵を出し、同じようにストーリーを進めてしまうためである。
その結果、遊んでも遊んでも単純作業のような行為の繰り返しになってしまう。
協力して進む

軽快な動作、スキルをぶっぱなす楽しさ、協力する楽しさ

とはいえ、『HOUNDS(ハウンズ)』にも良いところはある。 そこで三点ほど指摘しておこう。

まずは軽快な動作である。
キャラクターの移動に変な慣性や挙動のためのディレイ時間が存在せず、ボタンを押した瞬間に動作が進行する。
ディレイがあってこそ趣が出てくるゲームもあるのだが、『HOUNDS(ハウンズ)』は大量の敵を軽々といなしながら戦うゲームである。
なので動作が機敏であることにこしたことはないし、事実そうなっている。

次にスキルをぶっ放す楽しさである。
スキルを使えば敵を倒したりするのが非常に楽になる。
そのため、スキルを使うかどうかを考える楽しさ、スキルを使ったときの全能感はかなりのものである。

最後に協力する楽しさである。
味方がダメージを受け救援を要請すれば、誰でも助けに行くことができる。
兵科に衛生兵を作らなくとも助け合いが自然と生まれるのだ。
この点は他のゲームにも見られるとはいえ、COOP中心のゲームとして見れば、『HOUNDS(ハウンズ)』において非常に優れている要素だと言えるだろう。
近接攻撃は強力だ

一体なにをウリにしているのか?

『HOUNDS(ハウンズ)』は何をウリにしているのかがよく分からないゲームである。
PvPもできるし、PvEもできる。
スキルや兵科をえらぶ楽しさもある。
戦闘は一発勝負になりがちだが柔道で技を決めたときのような達成感があるといえばある。
遊んでいるとバカらしくなる要素がてんこもりでありながら、そのバカらしい要素が意外と面白くもある。
であるから『HOUNDS(ハウンズ)』を一言で表すのはとても難しい。
バランスは確かに崩壊しているのだが、崩壊した上になぜか一輪の花が咲いているのだ。
ゾンビみたいなのを撃つ!

まとめ

大味な対人、単純作業のCOOP。
バランスを崩壊させかねない要素を孕んだ意味不明なゲームである。
面白いと言えば面白いし、くだらないと言えばくだらない。

51点

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