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F.E.A.R. combat(フィアー コンバット)


ジャンル:
機種:
発売年:2006年
開発会社:Monolith Productions

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

もともと『F.E.A.R.』は2005年に発売されたゲーム。
2006年にマルチプレイ部分を独立化、再調整して無料公開したものが『F.E.A.R. combat』である。
製作はどちらもMonolith Productions。

入手方法は、公式ウェブサイトでアカウントキーを入手しインストールするだけである。
韓国産のオンランインFPSのようにお金がかかることはない。

ゲームのモードは主にデスマッチ(DM)、チームデスマッチ(TDM)、キャプチャーザフラッグ(CTF)。
各ゲームモードには『F.E.A.R.』のウリであるスローモーを使えるタイプもある。
一応ルールを説明しておく。
DMは自分以外が敵というルール。
TDMは2チームに分かれて行うDMである。
CTFは相手チームの陣地にある旗を、自分の陣地にある旗の場所まで運ぶというルール。

スローモーありのサーバーではスローモーを発動するためのブースターがマップのどこかに置かれている。
ブースターを入手すると自動でゲージが溜まっていき、一定量を超えるとスローモーを発動できる。
しかしブースターやそれを所持するプレイヤーの位置は全プレイヤーから丸見えになるため(ウォールハック状態)、相手からは執拗に攻撃されることとなる。
ところでスローモーありのサーバーはあまり人気がない。
理由は至極簡単で、スローモーを発動される側は一方的に攻撃されるのみなので面白くないという理由。
もう一つは実力に差があれば、スローモー状態の敵が無双状態になってしまう点もあるだろう。
スローモーブースターの画像
これがスローモーを発動するためのブースターである。
入手すればポイントが溜まっていくが、その分敵に狙われやすくなる。
プレイヤーはサーバーに入ると、まず5種類ある武器から自分が使う武器選ぶ。
選んだ武器は死亡時に他の武器へ変更することが出来るので、戦局によって柔軟に戦える。
初期武器の他には、マップのあちこちにスーパーウエポンと呼ばれる強力な武器が落ちている。
他にも敵を倒したときに落とす武器を入手することで様々な武器を使うことがデキル。

プレイヤーキャラクターの耐久力は、マップに落ちているアーマーを拾っても低いのでリアル系寄りといえる。
しかし回復キットを携帯したり、武器によっては走りながら撃っても弾がそれほど散らないことからスポーツ系的であるとも言える。
また格闘攻撃(パンチ、キック)は当たれば即死ダメージとなっている。
したがって『FEAR combat』はリアル的でありながらスポーツ的な要素を持ち合わせるゲームであると言える。
リアル的な要素は他にも、ヘッドショットのダメージが大きい、リーンができる、立ち止まらなければ当たらない武器がある、など。
スポーツ的要素は、グレネードは敵に当たれば爆発、現実にはありえないほど強力な兵器の存在、ある程度高いところからジャンプしてもダメージが少ない、などがある。

全体的にマップは狭くプレイヤーの耐久力も低いために、DM(デスマッチ)ではハイスピードな展開での戦闘が繰り広げられる。
特に狭いマップではグレネードがあちらこちらで爆発し、リスポンキルなど当たり前のように行われている。
サーバーの設定により足の速さを変えることができ、早ければスポーツ系のような戦闘が、遅ければタクティカルな戦闘を楽しめる。
自分の好きな武器を選択する画像
初期状態で選べる武器は5種類。
それぞれに長所と短所がある。

レビュー

セミリアル、セミスポーツ系で誰にでも楽しめる

競技性を押さえたつくり

『F.E.A.R. combat』はマニュアル外にあるような独特の操作がないので、競技性は低いと言える。
デスマッチが主に遊ばれているので、とりあえず何も考えずに敵を探して撃つという要素だけを考えればよい。
また比較的敵のヒットボックス(当たり判定)が大きく胴体に当ててもダメージが大きいため、どんな上級プレイヤーだろうと交戦中の背後から攻撃すれば初級者でも倒せる。
もちろん上手く倒すには様々な技術が必要になるのだが、FEARの場合そんな要素は極力排除されている。
マップが狭いので運良く敵の後ろにリスポーンするなんてことはよくある。
リロード相手を攻撃する
たとえ相手が上手くても交戦直後の弾切れ状態のうちに攻撃すれば倒すことが出来る。
『F.E.A.R. combat』は競技性は低いものの、逆に言えば初級者にはとても親切なゲームである。
特にTDMは初心者にお勧めである。
意図的にマップが狭く作られているので、TDMで集団行動をする敵をグレネードでおいしくいただくことが出来る。
またショットガンのような破壊力のある武器を持って敵の背後をとれば、敵の部隊を全滅されることも容易である。

マップ構造は地味だが良く練られている。
どのようなマップにも障害物や曲がり角などがたくさん用意されており、FEAR特有の「リーンしてからの覗き込み撃ち」がしやすい構造となっている。
また大抵のマップには狭い箇所と広い箇所が意図的に作られているので、特定の武器だけが強くなるようなマップは少ない。
そしてほとんどのマップに高低差があるのも評価したい。
上から見下ろして撃つほうが、下から見上げて撃つよりも強いというのは感覚的にわかる話だと思う。
したがって上手いプレイヤーは障害物を上手く利用して敵の攻撃を避け、敵を一方的に殺せる開けた場所を使うことができるのである。
マップ:オフィスでのリーンポイントの画像
   リーンしながら攻撃している様子。

実力差を出すような仕掛けもある

他のFPSでは見られない格闘攻撃は実に新鮮で、『F.E.A.R. combat』らしさを作っていると思う。
キックはあたりさえすれば一撃で殺せるので、初級者の一発逆転要素として面白い。
どんな上手いプレイヤーだろうとキックで強襲されればひとたまりもない。
しかしキックは当てるのが意外と難しく、上級者の弾切れ時における緊急攻撃手段ともなっている。

『F.E.A.R. combat』というのは初級者に親切な要素を用意しているが、その影で技術による差を生み出す要素も導入しているゲームである。
その代表的な要素は先ほど述べたキックのほかに、スーパーウエポンの存在がある。
スーパーウエポンはマップのあちこちにおいてある一発逆転武器である。
当てれば即死級のダメージがあるものの、取り扱いが非常に難しい。
したがって上級者でないとまともに扱えない武器である。(ただ初級者でも「当てれば」強い)
ただこの武器はあまりにも強すぎるので、『F.E.A.R. combat』のバランスを崩壊させていると思う。
とび蹴りをしている画像
曲がり角で急に現れた敵をキックで倒す。

『F.E.A.R. combat』はハイスピードな戦いを楽しむゲームだ

では『F.E.A.R. combat』はどのようなゲームなのかという話題に移っていこう。
基本的には立ち回りを含めた戦術を生かすゲームであるといえる。
ヘッドホンを使って敵の足音を聞き、敵が出てきそうな箇所で待ち伏せや急襲をすることが少人数では大切である。
マップ構造が割と複雑なので相手の裏をとるのが容易く、その意味でも立ち回りが生きるゲームである。
乱戦の多いデスマッチの場合でも、敵の流れを上手く読めば乱戦になりがちな場所でも死なずにすむことが多い。
エイム(照準を敵に合わせ続ける能力)は確かに重要なのだが、それよりも死ぬ数を少なくできる立ち回りがDMやTDMでは生きる。

また前にも述べているが、死んでからリスポーンするまでの時間が短いので短い時間での殺し合いが続く。
要するに周りの敵を排除しても次々と敵が至る所から現れるゲームであるといえる。
淡々と敵を倒すことに終止するために、DMが好きではないプレイヤーにはお勧めしにくい。
相手を後ろからパンチ攻撃する画像
乱戦の中、上手く背後を取って奇襲する。
FEARCOMBATの面白さはここにある。

旬は過ぎてしまった

総じて好意的な意見を並べてきたが、『F.E.A.R. combat』最大の欠点は日本人の少なさである。
このレビューを書いているのは2008年の5月だが、既に旬は過ぎ去っている。
平日ならまだしも、休日の夜でも日本サーバーに人がいない。
ただ外国のサーバーへ行けば遊べないこともないので、気にならない人には問題ないだろう。
また日本人も外国人も上手いプレイヤーは他のゲームへ移ってしまったようである。
逆に言えば、上手いプレイヤーが少ない今こそ初心者にはおすすめできる。
休日の夜でも人がいない日本サーバーの様子をサーバーブラウザから執った画像
閑散とした日本サーバー。

まとめ

あまりFPSに慣れていないプレイヤーでも楽しめるように設計されたゲームなので、特に初心者にお勧めである。
今は極端に上手いプレイヤーもいないのも初級者向けとしてピッタリだ。
FPSに慣れた人も、リアル系とスポーツ系のストレス要素を排除し快適な要素を組み合わせた独特のゲーム感覚には納得いくと思う。
ただしデスマッチが中心なので延々と敵を倒し続けるのが好きではない人にはお勧めできない。
日本サーバーに人がいないのでラグを気にする人もやらないほうがいい。
爽快感はあるので気分転換にも使えるだろう。

65点

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