紹介
『Crysis(クライシス)』は2007年に発売されたPC向けのFPSである。開発はCrytekで販売元はElectronic Arts。
名前こそ違うがFarcryと開発元が同じでゲーム内容も似通っているため、実質的な後継作品と考えて良い。
2007年までに発売されたゲームタイトルの中では最も重く、そして最も質の高いグラフィックスを実現していることで有名なタイトルである。
完全日本語版が発売されている。
メニュー部分の日本語化に加えてすべての音声が吹き替えられていて、かなり力のこもったローカライズとなっている。
ストーリーは、2019年にフィリピン海の孤島で発見された古代遺跡を調査していたアメリカの調査員が突如として北朝鮮軍に拉致されたので、調査員を助けるために「NANOスーツ」という特殊スーツを装着した部隊が派遣されたというもの。
もうここでネタばれしても良いと思うが(体験版にもあるし)、北朝鮮軍と戦ううちにエイリアンとも戦うことになる。
舞台は南国の島 |
いかにもポリゴンを利用したゲームっぽい映像ではなく、極限まで写実的なグラフィックを求めて作られている。
派手さや目に付く要素があまりないので見た目は非常に地味なのが欠点といえば欠点なのかもしれない。
しかしよく見てみれば、あまりにも自然すぎて「美しいグラフィックだな」とすら思わなくなってしまうレベルだと気がつく。
『Crysis』で使われているゲームエンジンと同じものを使って現実の世界を再現した画像や映像があって、一瞬どちらが本物か偽物かと見間違うほどのグラフィックを見せてくれる。
特に有名なのはソニーのブラビア(テレビのブランド名)の北米用CMを再現した映像である。
実ゲーム中にこれだけのグラフィックが実現されているとは言いがたいが、それだけのパフォーマンスをもったゲームエンジンだと理解してもらいたい。
ゲーム後半のグラフィックスクオリティは特に高い |
HPとは別にスーツにエネルギーメーターが設定されており、そのエネルギーを使って四つの特殊能力を発揮できるようになっている。
敵からの防御能力を高める「アーマー」、移動速度が上がる「スピード」、パンチ力やジャンプ力が強化され銃の反動も減る「ストレングス」、自分を透明化する「クローク」の以上四つである。
それほど複雑ではないので場面に応じて自分の好きな能力に強化すればいい。
例えば素手で敵をなぎ倒したいのなら「ストレングス」、敵に見つからないようにして始末したいのなら「クローク」、敵から逃げたいのなら「スピード」と言った具合。
どの場面で必ず使わなければならないということはほとんどなく、自分の好きなようにプレイすることが出来るので戦闘の自由度は高い。
この自由度をさらに高めているのがゲームの舞台となる広大なフィールドである。
目的地や目標がマップ開始時に決められているが、そこまでどのように行動してもいいように作られているのだ。
これは実質的な前作の『Farcry』で盛り込まれていた要素で、 『Crysis』はさらに自由度が高められている。
『Crysis』と『Farcry』を比べてみると、『Crysis』ではナノスーツやカスタマイズ可能になった武器によって自由度が広がっている。
そして敵のAIの賢さも付け加えておきたい。
これも前作で評価された要素であり、『Crysis』ではさらに強化されていると感じた。
どこからどう攻めるかは完全にプレイヤーの判断によっている |
後半は主にエイリアンとの戦闘をすることになるが、エイリアンのAIは特別賢いというわけではない。
どちらかといえばストーリーに奥行きを持たせるような展開になっているので、このようなデザインになったのはしょうがないとも言える。
『Crysis』の評価で槍玉にされるのがこの後半部分である。
後半は前半とのゲームプレイが大きく異なり、また重くなってしまう(前半よりfpsが10くらい下がる)ことが批判の的になっている。
他の要素としては、精巧に作られた物理エンジンや方向が明瞭に判別しやすい3Dサウンドは2007年のゲームとしても一級品のレベルにある。
足掛け4年もかけて作られたゲームなだけあって各要素のクオリティは相当に高い。
ゲームをインストールをするとゲームのマップエディターが標準でついてくる(Sandbox2という)。
これによってあまり知識が無い人でもMODを作成することが可能になっている。
使いこなすには相当の時間が必要になるが、そのおかげでMODコミュニティはとてもにぎわっている。
マルチプレイヤーは悪くないと思うのだが、あんまりやっていないのでレビューは控えさせてもらう。
エイリアン(の作り出したロボット兵器) |