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Crysis Warhead(クライシス ウォーヘッド)


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2008年
開発会社:Crytek

公式ウェブサイト(英語版)

レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

開発はCrytekで販売元はElectronic Arts。
Crysisの外伝的作品となっていて、単体でも動作する。

本編では仲間の一人だったサイクスを主人公に据えた別視点で描かれるアナザーストーリー。
時間軸は本編とまったく同じ同時進行でストーリーに更なる奥行きを持たせるようになっている。
『クライシス ウォーヘッド』は、無印の『クライシス』と同様に完全に日本語されているものが発売されているので、それを買ったらいい。
PCゲームとしては珍しくメニューや字幕、音声までが丁寧にローカライズされている。
拡張作品としての意味合いからボリュームがやや少ないものの、その分値段は抑えられている。
主人公サイコの画像
今回の主人公サイクス軍曹
ナノスーツを駆使して戦う戦闘の感覚は本編とほとんど変わらないが、ストーリー展開に力が入れられていて差別化が図られている。
シナリオライターには『バイオショック』などを手がけた人を迎えている。
しかしストーリー重視ということで、その代償として自由度は本編と比べて低下している。
その代わりにイベントシーンや章ごとのカットシーンが豊富に用意されている。

もうひとつ本編と違っている点は、敵との戦闘がより激しくなったこと。
主に敵となる北朝鮮兵の耐久力は低くなっている分、同時に出現する数が大幅に増えている。
ついでにエイリアンも量が多くなってかなりチョコマカ動くようになっているので、非常にいやらしい敵に様変わりしている。
そして入手できる武器や弾薬の数、固定砲台や乗り物の数が本編と比べると非常に多い。
爆発エフェクトも派手になっていることから、これは「たくさんの敵を相手にしてくださいよ」というメッセージなのだと思われる

クライシスでは超絶なグラフィックを見せてくれたが、ウォーヘッドでは少し質を落としているために動作はほんの少しだけ軽くなっている。
ただしメモリの消費はクライシスよりも多くなっているようで、マップロード時には2GBを超えるメモリが消費されるらしい。
とりあえず同時期に発売されているゲームの中では最重量級のタイトルであることに変わりは無い。
あとは、周りが氷付けになるシーンでも急激に負荷がかかるようなことはなくなっていたことを書き添えておきたい。
無印のクライシスでは後半のフローズンアイランド状態では負荷がかかりすぎていたために、人によっては設定を低くする必要が出てきたくらいだった。
わざわざ設定を調整しなくてもできるようにしたことは煩わしさが減っていいことである。
超美麗グラフィックの雪原
雪原のシーン

レビュー

ナノスーツを使って大暴れ

超兵器として登場したナノスーツだったが、無印『クライシス』では敵が思ったよりも強くて大暴れできなかったという気がする。
銃の命中率があんまり良くなくて弾も結構限られていたので無駄に暴れているとすぐに弾切れになってしまったのだ。

『クライシス ウォーヘッド』は反対に、敵が弱くなって暴れやすくなった。
銃の命中率が上がっていて敵の耐久力が若干低くなっている上に弾がそこらじゅうに落ちている。
出てくる敵の数も増えたので一対多数という状況を上手く演出している。
強力な武器や爆発物が当たり前のように手に入るので、敵を紙のようになぎ倒していくことがとても簡単にできてしまう。

装甲車に乗りながら攻撃を繰り出す画像
装甲車に乗って大暴れだ
『クライシス ウォーヘッド』は無印と比べてマップルート攻略の自由度は減っているものの、戦闘自体は面白くなっている。
例えばショットガンやスナイパーライフルを使わないと厳しくなる場面が意図的に作られている。
意味深に武器が置いてあったら、それは次からその武器を使いなさいよということなのだ。
プレイヤーへ最適な攻略方法を指し示しているので自由度は低くなるが、きちんとつくられた状況での対処を楽しませようとする配慮が伺える。
ただ、これは『クライシス』をクライシスたらしめていたルート選択の自由を奪って、よくあるFPSへと方向転換したとも考えることができる。
本編と同じように自由度を追求するのか、それとも別のスタイルを目指して作り変えるかはどちらがいいのかハッキリと言い切れないものだ。
わらわらと出てくる敵を待ち伏せする画像
敵多いです
『クライシス ウォーヘッド』の場合は方向性を変えることで本編をやり終えたプレイヤーを飽きさせないようにしている。
戦闘をするにしても、ただ単に進むだけではなくて味方との共闘、狭い室内での戦闘、防衛戦闘、列車に乗って広大なマップを横切るだけ、などの様々なシチュエーションが用意されている。
これはストーリーを重視するために劇的な展開や印象に残るシーンを作ったということを意味しており、結果としてはなかなか成功していると思う。
カットシーンも豊富だしカメラアングルや台詞回しも映画のような感じでとてもかっこよく作られている。
本編だけやったらやたら調子のいい問題児みたいな印象をサイコに抱くことになってしまうが、『クライシス ウォーヘッド』をやれば彼のあらたな一面を垣間見れる。
一方で、『クライシス』の延長線上を期待した人にとってはウォーヘッドに肩透かしを食らったのではないだろうか。
ユーザーの所感を見ているとそう感じる、
ホバークラフトに乗っている画像
凍った海をホバークラフトで激走
全体的な難易度は下がっている。
敵のナノスーツ兵ではミニガンをもったいやらしいヤツは出てこないし、ガウスライフルを持ったいやらしい敵もそれほど登場しない。
ついでに言うと強力な武器がマップに配置されていることが多いので何も考えずに撃ちまくっても弾がなくなるような事は無い。
他にも、本編では超反応で遠距離から正確な射撃を繰り返してきた固定砲台の兵士は弱体化している。
なんだかこちらへあたる弾の数が大分減少しているような感じ。
エイリアンに関しては動きが良くなっているしシールドを張ってくるやつが初登場したが、こちらには超強力な武器や仲間がいることにあって戦いやすくなっている。
それと敵全体にいえることだが耐久力が低下している。

以上のことから、多数の敵との戦闘を派手に行うことが『クライシス ウォーヘッド』では重視されていると言える。
ナノスーツの強力な性能を生かせる場面が豊富に用意されているので、敵をいかにして倒していくかが非常に面白い。
しかし『クライシス ウォーヘッド』ならではの要素というものが無いのは残念なところである。
基本的なゲームの中身は既に『クライシス』で完成されてしまっているので、どうやってそのあたりを磨き上げていくかが評価に大きく関係してくる。
確かに別の調整が行われているものの、『クライシス ウォーヘッド』ではよくあるFPSのようにまとまってしまっているので強烈な印象を残すことはない。
演出は素晴らしいし中身自体のクオリティも十分に高いので『クライシス』をやった人なら購入の価値はあると思う。
少なくとも出来の差が激しいMODをたくさんあたるよりも、最初からお金を出してこれをやったほうが楽しめる。

敵のナノスーツ兵の画像
敵のナノスーツ兵士を簡単に倒す方法が新たに加わった

まとめ

無印クライシスとは調整方法が違うので、本編を十分に満喫したプレイヤーでも楽しめるつくりになっている。
ただ、かなり戦闘とストーリーによった調整がされているのでクライシスの自由度を求める人には向いていない。
同様に『ファークライ』のシビアで緊張感のある戦闘も求め続けている人にはお勧めできない。
どちらかと言えば敵をどんどん倒すランボープレイを楽しむゲームである。
派手な演出やアクション要素の強い戦闘が好きな人には特にお勧めできる。

75点

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