紹介
『Counter Strike:Source(カウンターストライク:ソース)』(以下『CS:S』)は『Counter Strike』(以下『CS』)というゲームをSourceエンジンで新たに作り直した物である(だから名前の最後にSourceとついている)。ゲームバランスなどの細部は変わっているものの、ゲームの大まかな枠組みはまったく同じと言える。
『CS』が広まった経緯というのは割と興味深いので、まずは『CS』のことについて説明をする。
1998年にFPSの根本を変えたともいわれる『Half-Life』(以下『HL』とする)がValveから発売された。
『HL』はその革新的なゲーム内容から全世界で絶賛されただけでなく、ユーザーが独自に作るアドオンであるMODの製作が比較的容易で、さらにメーカーから推奨されていた。
『CS』は『HL』のMODのひとつとして1999年に登場した。
元々『HL』が爆発的に売れていたこともあって、『CS』が提示した新たなゲームバランスが絶賛されるとともに『CS』のユーザー数も爆発的に伸びていった。
しかも『CS』はビデオゲームの大会で使われるゲームタイトルになった。
2009年現在も世界で最も遊ばれているPCのオンライン対戦ゲームは『CS』である。
さすがに10年前のゲームなので、メーカー製のノートパソコンでも平気で動くこともユーザー数がいっこうに減らない理由の一つだろう。
現在『CS』はバージョンが1.6となっている。
これは元々のゲームバランスをユーザーからのフィードバックを元に大幅に変更、改良されていった結果である。
どこかのメーカーが作ったものではなくユーザーが結集して作られた結果が史上最高と言われる対戦ゲームだったのは、ある意味奇跡に近いものかもしれない。
最初は『HL』のMODとして無料配布されていたが、今はValveから有料で販売されている。
つまりValveが『CS』の権利を買い取ったという形になっている。
『CS:S』は『CS』の権利を買いとったValveが開発、販売をしている。(本当はもっとゴタゴタしているのだが、どうでもいいことなので省略する)
これがカウンターストライクソースだ |
『CS』のゲームルールには、自分以外が敵となるデスマッチモードがない。
一般的なFPSではデスマッチと言えば基本中の基本なのだが、CSは元々がゲームのアドオンであるため特殊なルールしか採用されていない。
つまり『CS』は独自のルールに合うように調整されているため、デスマッチをやりたければ他のゲームをやっていた方が面白い。
『CS』には3つのルールがあり、『CS:S』ではそのうちの一つを削除した2つのルールが存在する。
ここは『CS:S』のレビューなので『CS:S』に搭載されている2つのルールについてのみ説明する。
まずプレイヤーはテロリストチーム(俗にテロやTと呼ばれる)とカウンターテロリスト(CTと呼ばれる)の二つのチームに分かれる。
「爆弾解除」と呼ばれるルールは、特定地点に爆弾を仕掛けて爆発させようとするテロリストと、それを阻止するカウンターテロリストが争うゲームモードである。
テロリストは制限時間以内に爆弾を設置し爆発させるか、カウンターテロリストを全員倒せば勝ちになる。
カウンターテロリストは設置されている爆弾を解除するか、テロリストに爆弾を設置される前に全員倒せば勝利となる。
もうひとつのルールは「人質救出」ルールである。
人質救出は、テロリストにとらわれた人質をカウンターテロリストが救出するかどうかが争われる。
相手チームを全員倒せば勝ちとなるが、カウンターテロリストは人質を全員救出すればその時点で勝利となる。
このゲームでは一度死んでしまうとそのラウンドはゲームに参加することが出来ないので、緊張感のある戦闘を味わえるだろう。
主に遊ばれているのは「爆弾解除」ルールである。
また『CS』では買い物の概念があり、ラウンドのスタート時に支給されるお金から自分で好きな武器を選んで買わなければならない。
どのようなものを買うかは遊ぶマップの形や自分の得意武器など、置かれている状況によって変わってくる。
当たり前だが威力のある武器ほど高い値段に設定されている。
前のラウンドで負けた場合は次のラウンドで支給される賞金が減るので、考えもなく武器を購入していると金が底をついてしまって強い武器を買えなくなる。
『CS』ではグレネードやフラッシュバンといった投げ物がかなり重要である。
特にゲームの要となるのは相手の視界を一定時間真っ白にして無抵抗状態を作り出すフラッシュバンだろう。
どこに、いつ、どのように、なぜ投げるのかを考えて投げられなければならない非常に面白い道具である。
『CS』のようにルールが比較的複雑なゲームは、それだけ戦術がモノを言うゲームだ。
さらに『CS』はチーム戦でもあるので味方との連携も非常に重要な要素である。
爆弾を設置して爆発させればテロリストの勝利だ |
よく言われていることでもあるが、銃の扱いが非常に難しいのである。
強力な武器であればあるほど扱いがだんだん難しくなるように設定されている。
例えばテロリストが扱うAk-47というアサルトライフルは、価格が割安でしかも威力が非常に高いのが利点なのだが、ゲーム中の武器で扱いが最も難しい。
『CS』の世界ではほとんどの銃は撃つときに完全に立ち止まっていないと照準通りまっすぐ飛ばない(弾があべこべに散る)という法則がある。
Ak-47はその最たるもので、動きながら撃っても照準通りまっすぐ飛ばない。
しかも5、6発連射すればすさまじい反動で銃が暴れ出して弾が散るので、思いっきり連射しまくっていると弾倉に詰め込まれている30発を使い果たしても敵はケロッとしているなんてことは普通に起こりうる。
繰り返しになるが、『CS』では完全に止まっている状態ではどんな銃でも2、3発はほぼまっすぐ飛ぶようになっている。
したがって、慣れたプレイヤーならば敵と遭遇した瞬間に進行方向とは逆のキーを瞬時に入れて一瞬立ち止まり、敵を攻撃して倒すことが出来る。(ストッピング)
また『CS』ではヘッドショットの威力が非常に高く設定されており、ヘッドショットを狙うことが非常に重要である。
前述のAK-47であればどんな距離でも頭に当たれば一撃で相手を倒すことが出来る。
上手いプレイヤーなら正確に飛びやすい1発目や2発目で相手を倒すことも可能なのである。
しかし当たり前だが頭の部分は胴体などど比べて小さく作られているので、当てるのは非常に難しい。
扱いにくい銃で当てにくい場所を狙うのは一見苦痛に見えるが、克服する方法が絶対にあるので、それだけに当てたときはかなりの快感を伴う。
言い換えれば敵を倒せないときは自分の力量が足りないことや練習、経験の不足を如実に感じさせてくれるだろう。
以上述べたきたように『CS』は非常に難しいゲームであるが、代わりに奥深い面白さを秘めている。
世界的なゲームの大会で常に『CS』が競技種目になっていることも、その奥深さをを象徴している事実である。
しかし逆に考えてみれば覚えるべきことや習得するべきことが多すぎて、気軽にやりたい人やゲーム初心者には全く向いていないのもひとつの事実である。
『CS』のクローンゲームである韓国産のFPSが韓国でも日本でも人気なのは、それらが無料と言うことを差し引いても、『CS』が抱える難しさを簡略化しているという理由があるのだろう。
ショットガンのようにストッピングがいらない武器もあるが使いどころが難しい |
『CS:S』は『CS』の後継として2004年に発売された。
当時は最新ゲームエンジンでレンダリングされた新生『CS』として話題になったが、多くのユーザーは元から遊んでいた『CS』へ戻っていった。
世の中に出たばかりの『CS:S』は、煮詰められていないゲームバランスや新しいゲームエンジン特有のバグや描画の重さという問題点を抱えていた。
また出たばかりだったのでカスタムマップなどのMODが充実していなかったというのもある。
しかし今はどの要素も解消されているから何も気にすることはないだろう。
2009年現在『CS:S』の方が『CS』よりも多く売れていて、新規ユーザーは多い。
入手方法は二つあり、STEAMでダウンロード購入するか(クレジットカード必須)、パッケージ販売されている物を購入する。
パッケージ版よりもSTEAMの方がかなり割安(パッケージ版は4000円以上するが、STEAM版は20ドル)なので、安く手に入れたいのならばSTEAM版を購入すればいいだろう。
また『CS:S』はBOTが標準搭載されていて、オフラインで練習することもできる。
通称「BOT撃ち」とか呼ばれている行為のことである。
ルールを含めたゲームの根幹となる内容は『CS』から変更されていないものの、マップの構造、銃の威力や飛び方が違うため、『CS』に慣れた人にとってはかなり違和感を感じると言われている。
例えば『CS:S』は全体的に銃の命中精度がよくなっている上に、『CS』ほど厳密にストッピング動作をしなくても近距離の敵ならば倒すことができる。
武器のバランスも再調整されており、弱くて使い物にならない武器(ネタ武器と言われるもの)がほとんど無いのも特徴である。
操作の難易度は下がっていると言える。
ただしこれは『CS』と比べての話であるので、他のFPSと比べるとかなり難しい部類に入るだろう。
『CS』と比べて最も大きな違いがあるのは、壁抜きがやりにくくなったことと投げ物の強化だ。
壁抜きというのは銃弾が壁を貫通して飛んでいく現象またはテクニックの総称である。
したがって上手いプレイヤーであればあるほど『CS』では相手の位置を予測して壁を抜くことが出来た。
『CS:S』でも壁抜きは出来るが抜ける場所がかなり制限されている。
もっとも大きな変更点は投げ物が強くなった点だろう。
『CS:S』のグレネードは相手に当たった場合、当たった相手の聴力を奪い(キーンという耳鳴りがする)動きを鈍くさせる効果を持つ。
さらに心なしか威力もアップされているようだ。
相手の聴力を奪えば足音が聞こえなくなるので、攻め入るときやも守るときに自分の居場所をわかりにくくする効果がある。
フラッシュバンも全体的に威力が底上げされており、特に強力なのはフラッシュバンを食らうと食らう前に見ていた画面が一定時間焼きつくことだ。
背を向けていても焼き付き効果はかなり持続するので、使いどころがさらに重要になっている。
フラッシュバンを食らったときに画面が焼き付く |