レビュー
実に面白いバカゲー
乏しい緊張感とバカっぽさ
『BF1942』はFPS特有の緊張感に乏しく、どちらかというとバカっぽい雰囲気があるゲームだ。
緊張感の欠如というのは、やはり大規模な人数でやっていることが主な理由だろう。
とにかく味方だけでも30人いるものだから、自分がやられても戦況が大きく変わることがない。
他のFPSであれば死んでしまうと復活が出来なかったり、そうでなくても出会い頭での戦闘は緊張感を生みやすい。
『BF1942』ならば時間が経てば復活できるし、フィールドが広いので出会い頭の緊張感が殆ど無い。
銃の扱いに関しては狙ったところに上手く着弾しないので、何十発も撃ち合いになることが多い。
一撃の重みによる緊張感が殆ど無いのである。
キャラクターのモーションや音声も大げさで見るからに笑えてくる。
しかも敵味方合わせて60人が一つの場所で入り交じるため、やたらと混沌としている。
混沌はときに面白さを生むが、それはバカっぽい面白さだ。
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銃なんか捨ててかかってこいよ!
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バカゲーたる理由
BF1942が真面目にやってもしょうがない理由というのは、二つある。
第一の理由は、人数が多くないとまともに遊べないからだ。
人を待っているときや深夜ともなるとサーバーには少人数しか居ないことが多い。
そんなときどうするのかと言うと、みんなで遊ぶのだ。
例えば10人くらいしか乗れない上陸艇に20人も無理矢理乗り込み、誰かがまとめて破壊したり、ナイフ合戦を行ったりする。
誰かが何をしようと言うことはなく、ごく自然に「空気を読んで」みんなが遊びを行っている。
個人的にはゲーム自体よりも面白かった。
私はこれを楽しむためにわざと早い時間帯からサーバーにログインしていたぐらいだ。
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みんなで何をやっているんだか
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真面目にやると損になる理由
もう一つは、BF1942のゲームバランスに起因する問題である。
BF1942は2チームの実力差が少しでもあると、かなり一方的なゲーム展開になりやすい。
これはBF1942のルールと乗り物の仕様に原因がある。
まず、コンクエストと呼ばれるルールの欠点は、リスポーンポイント(復活地点)の設定にある。
リスポーンする場所は自軍の旗の場所なのだが、ある程度敵に押されると自軍の旗を失い、違う場所に復活せざるを得なくなる。
大体旗のある場所は離れて散らばっていることが多く、「戦闘地域にある旗」に行くのに時間がかかってしまう。
だから
相手を押しているチームにとっては、どんどんイケイケになってしまうのだ。
こうしてある程度時間たつと、押されているチームは特定の一箇所にしかリスポーンしなくなる。
『BF1942』はリスポーンしてからの無敵状態が設定されていないため、相手チームに取り囲まれるとなすすべもなく虐殺される運命にある。
本当ならば、敵軍の包囲網を突っ切って相手陣地奥深くにある旗を取ることで逆転できるのだが、最大60人が接続しているとどの地点にも兵士が居ることになり、劣勢のチームは突破が容易ではなくなってくる。
大人数で楽しむゲームなのに、人数の多さがバランスを崩壊させてしまう。
乗り物の仕様は、実力差がハッキリと出るようになっている。
操作にクセがあるのはもちろん、主力となる戦車の砲撃や戦車を破壊するためのロケットランチャーがとてつもなく重力に影響を受けた放物線を描く。
つまり、
乗り物の操作に慣れていないと相手に攻撃をカスらせことすらできない。
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上手い人が戦車にのると手がつけられなくなる
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拮抗した試合の面白さ
一方的な展開になりがちな『BF1942』だが、ときには拮抗することもある。
そのときは普通にやっていてもかなり面白い。
味方と上手く連携して敵の陣地(旗)を攻め落としたときや、逆に防ぎきれなくて敵に旗を取られたときの攻防は、他のゲームにはない大規模なものなので達成感がすさまじい。
BF1942は敵も味方も大人数なため、単独行動をしても戦況に影響を与えることは殆ど無い。
つまり味方と呼吸を合わせて攻めたり守ったりすることが重要であり、そうして息を合わせることが『BF1942』の面白さそのものなのである。
もちろんゲームに勝ったときの気持ちよさは言うまでもないが、負けていても味方と必死になって防戦しても面白いのが『BF1942』だ。
負け試合でも面白いと感じるのは、味方と連携すること自体が面白いからだと思う。
例えば味方戦車が撃たれているときにとっさに気づいて修理をしたり、乗り物を手に入れたら味方を乗せてあげるなどの些細なことが、戦場で一兵士として味方と助け合う感じを演出しているのである。
そのためには兵科ごとの特色や、マップごとのセオリーなどを理解しなければならない。
私は『BF1942』をやり始めたころ、面白さがいまいち分からなかったのだが、セオリーが分かりかけてくると面白く感じるようになった。
他のFPSのように個人の力で戦況をひっくり返すことは容易ではなく、連携を意識して行動することに他のゲーム以上の意味があると本当の意味で理解するには時間がかかった。
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航空機にも乗れる
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対戦ゲームとしては二流だが・・・
『BF1942』はFPSとして見た場合、大味でまったく面白くない。
対戦型FPSで重視される、銃を扱う面白さや駆け引きの緊張感は殆ど無いと言って良い。
隠れる場所が多い上に大人数でやるのだから、予期せぬ方向から攻撃が加えられることも多い。
そして他のFPSと違い、死亡した数はスコアに反映されず、”旗”を取った時間のぶんだけ自軍にスコアが反映されるので、敵にやられることへの意識は自然と薄くなる。
ただ、『BF1942』は普通のFPSとは違うゲームだと割り切ってみると、独特の味わいがあるゲームだと分かるだろう。
しゃかりきになって敵を倒すことだけを考えるのではなく、ゆったりと構えてのんびりとやっていくゲームなのだ。
大人数なので色々な行動がとれることも『BF1942』の懐の深さだ。
敵陣の裏取りを行っても良いし、バンザイ突撃をしても、そして味方の支援だけをしていても良い。
そして何かしらの行動を行っていると、必ずといって良いくらい誰かが援護をしてくれる。
もちろん自分も誰かを支援するように動く必要はある。
やることが非常に多い戦場だからこそ、味方同士の連携が意味をなしてくる。
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戦車は大切に
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