コラム FF2400.jp ゲームの紹介とレビュー
アーケードゲームの家庭向け移植における評価基準 --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介


アーケードゲームの家庭向け移植における評価基準
2009年4月
ビデオゲームには様々な形態があります。
家庭用ゲーム、携帯用ゲーム、PCゲーム、そして業務用アーケードゲーム。
かつては業務用だから出来るリッチなハードウェア性能を生かしたアーケードゲームがゲームを未来へ引っ張っていました。
しかし今では家庭用ゲーム機やパソコンの性能が格段に上がり、アーケードゲームは優位性をかなり失いました。
確かに大型筐体を利用したゲームやメダルゲームなんかは家庭では出来ないのでゲームセンターへ行く価値はありますが、格闘ゲームやシューティングゲームのようなビデオゲームはあまり価値を見いだせません。
それでもアーケード向けにゲームは作られ続けています。

最近のゲームメーカーは、まずアーケードへゲームを出して、後で家庭用を発売することがほとんどです。
かつてはアーケードだけでも十分な利益が出てたのでしょうが、そうも行かなくなっています。
家庭用でも発売することで二重の利益を出そうとしているのでしょう。
今回は、その家庭用移植版を評価する際に重要な点を書きます。

アーケード版の完全移植であるかどうか

家庭用に移植されたゲームを買うのは、アーケードでやっていた人やアーケードでやりたくても出来なかった人たちが多いと思われます。
アーケードでもやっていた人は、家庭用をアーケードの練習用として購入数する場合が多いと予想できます。
そういった理由で購入するのならば、自分がアーケードゲームで培った技術をそのまま使えたり、逆に家庭用で磨き上げた能力をアーケードで発揮出来なければ意味がありません。
そしてアーケードでやりたくても出来なかった人たちは、やはり完全な移植ではないとアーケードの代替とはなり得ないことは明らかです。
どちらの人たちもアーケードゲームそのままの感覚で遊べるゲームが欲しいのです。

そしてアーケードゲームの特性を把握しなければなりません。
ゲームセンターは「3分で100円を使ってもらう」ことが収入の原則とされています。(聞きかじりなので間違いありましたら報告お願いします)
一回当たりのプレイ時間を短くするため、普通の家庭用ゲーム機では考えられないくらい難易度を高く設定し、客に死んでもらいます。
つまりゲームセンターのゲームは総じてシビアなゲームが多いのです。
そういったゲームセンターのゲームでは、プレイヤーたちは少しでも長く遊ぶために工夫を凝らしてパターンや技術を磨きます。
もしアーケードゲーマーが家庭用を購入したときに、自分がアーケードで作ったパターンが通用しなかったらどうなるでしょう。
「これは別物のゲームだ」「同じタイトルではない」「練習にならない」「買って損した」となるわけです。
したがって、ゲームプレイの感覚が同じであれば、グラフィックや音楽がアーケードと家庭用で違っていてもそれほど槍玉にはあがりません。
(ただ、厳密さを求める人も中にはいます)

練習するための要素はあるか

既に書いたことと重なりますが、アーケードゲームは総じて難しく作られています。
ですからほとんどの人は家庭用を買って、「やりこむ」わけです。
例えば対戦ゲームでしたら自分が技をうまく出せるまで練習するとか、苦手なキャラクターを使ってみるとかの実験をします。
シューティングゲームの場合は何度も繰り返してうまくプレイできるように練習します。
ですから練習するためのシステムが用意されていることで、プレイヤーにとって親切なゲームになります。
効率よく練習できるならば、それにこしたことはありません。

対戦型ゲームならば、幅広いプレイスタイル(思考回路)をもつ敵の登場や、技を出すタイミングを練習するための特別なモードの追加が必要です。
シューティングゲームでしたらステージセレクトやランク(シューティングゲームはプレイする時間に比例して難しくなっていく。これをランクが上がった状態と呼ぶ)の設定ができるようにしなければ、不親切だといえるでしょう。
さらにシューティングゲームの場合、攻略動画を付属する場合も非常に多いですね。

家庭用オリジナル要素やおまけは搭載されているか

これは「練習するための要素」とかぶるところがありますね。
アーケード版そのままの移植では満足に練習できないので、移植ゲームを買う人たちは家庭用では練習モードの実装を求めています。
そしてアーケードゲームにおいて避けられない問題が「ボリュームのなさ」です。
家でじっくりやるゲームと違い、アーケードゲームは数十分で終わるように作られています。
そのかわり、単位時間あたりの密度を高くすることで面白くしています。
確かに家庭でゲームをやるときもアーケードのように遊べば文句はないのでしょうが、どうしても家庭用ゲームはある程度ボリュームが求められます。
ですので「アーケードそのまま」というのは現在あまり歓迎されるものではありません。

そんなわけでゲームメーカーは家庭用に移植する場合、目玉要素として「追加キャラクターや追加ステージ、過去作の収録、攻略DVDの添付・・・など」を行うことが多いのです。
むしろ現在ではやるのが当然になってきている風潮さえあります。
ユーザーとしてはうれしいことなのですが、メーカー側は負担増大となるので複雑な気持ちもありますね。

-----------------------------------------

以上書いてきたことをまとめてみましょう。
アーケードゲームを家庭用に移植するに当たって重要な点は三つあります。

アーケード版の完全移植であるかどうか
練習するための要素はあるか
家庭用オリジナル要素やおまけは搭載されているか

補足になりますが、致命的なバグや不具合は絶対にあってはいけません。
最近は移植だけでなくオンライン要素を含めた追加要素が増えています。
アーケードゲームにかけられる資金が減っている中、メーカーは負担が増大しています。
実際、バグが存在したまま発売されるゲームがときたま見られます。
これからのゲームメーカーは、自分たちが実現できることと出来ないことを正確に見極める力が今までよりも必要になってくるでしょう。