デモの紹介・感想
紹介
Crysis2(クライシス2)はCrytek製作、EA販売予定のFPSである。発売予定日は2011年3月24日。
PC版のほかにPS3、XBOX360でも発売される。
ゲームエンジンにはCryEngine3が使用されていて、技術デモンストレーションの意味合いもある。
今回はマルチプレイの体験版がでているので、紹介と感想を行う。
いまのところシングルプレイ体験版はでていない。
マルチプレイについて
マルチプレイの製作は「Crytek UK」だ。「Crytek UK」はかつてPS2で定評のある『TimeSplitters』というFPSシリーズを手がけてけている。
PS3では『Haze』を作ったが、評価は散々だった。
そんな会社が『Crysis2』のマルチプレイを作っている。
『Crysis2』のマルチプレイは、言ってみれば「Call of Dutyシリーズの真似」である。
要するにレベルアップすることで武器や能力が解放されていく、比較的狭いマップで密度の濃い戦闘を楽しむ対戦ゲームだ。
とはいえ、そのままパクってしまわないように、オリジナルな要素もある。
中でも自動回復するエネルギーを使用した特殊能力が『Crysis』シリーズらしさを生んでいる。
透明になる「クローク」、防御能力が向上する「アーマー」、敵をサーマルビジョンで見つけ出す「ナノビジョン」の三能力が際だっている。
これらの能力はどれも、起動するとエネルギーを消耗する。
敵の裏をかきやすい「クローク」、撃ち合いに強い「アーマー」、索敵しやすい「ナノビジョン」(ただし「クローク」や「アーマー」と二重起動可能)を、エネルギー残量と相談しながら選択しなければならないゲームだ。
次に「CODのマネにならないような」要素として、大ジャンプや壁よじ登りがある。
『Crysis2』のマップは入り組んでいる上に高低差も激しくなっている。
ジャンプや壁登りを使って相手に奇襲をかけたり、意表を突くところから攻撃をするのが勝利への鍵となるだろう。
使える武器や、特殊能力を更に強化するPerkは自由に選ぶことができる。
しかしいわゆるレベル制を使っているために、新規と古参の差が大きくなりやすいという危険性は生まれている。
ゲームモードは前作にあったような「大規模なマップで乗り物を使って戦う」ルールがなくなった。
まあBFシリーズが新作を次々と出しているから選択としては悪くないように思う。
感想
映像
Crysisといえばグラフィックスである。誰がなんと言おうとCrysisから映像美を取り去ることはできない。
ところが残念なことに、今回配布されたマルチプレイベータは際だって素晴らしいグラフィックスがあるとは言えなかった。
確かに無印『Crysis』並の映像美ながら遙かに軽くなっているものの、私や全世界のユーザーが『Crysis2』に求めていた(?)クオリティには届いていない。
それでも設定を落としても見た目を損なわずに快適に動作するところは流石ではある。
マルチプレイだから映像の質を落としている可能性はある。
インターフェースなど
グラフィック設定オプションが少なく、PC向けの調整がされているとは言い難い。他にもサーバーのPing表示がおかしかったりするが、まあ製品版は改善していると信じている。
そのためのベータデモなのだから。
ゲームバランス
カスタマイズ制の高さはそれだけで魅力的である。しかし、体験版の時点で既に使いやすいものと使いにくいものがはっきりと分かれてしまっている。
CODシリーズは何度も何度も続編が作られていくうちに、すべてのPerk(カスタマイズできる能力)それぞれが「ジャンケン」のような関係になってきている。
それ比べて『Crysis2』はそのような「ジャンケン」にはなっていない。
強いものと弱いものが明確に分かれてしまっているため、カスタマイズの面白さが損なわれているのだ。
一方で紹介でも述べた「クローク」「アーマー」「ナノビジョン」の能力についてはそれほど悪くないバランスに仕上がっている。
「クローク」が無双状態になりそうなものだが、他の二つがとても良い働きをしているからだ。
ここで、三つの能力はエネルギーを消費しないと発動できないことを押さえておこう。
実は「クローク」はエネルギー消費が激しいので、頻繁に発動することができない。
そして、最もエネルギー消費の少ない「ナノビジョン」を使えば、「クローク」状態の敵をあぶり出すことができる。
加えて「アーマー」状態だと防御能力が飛躍的に高まるようになっている。
「クローク」状態のとき、「アーマー」状態の敵と真正面から撃ち合っても絶対に打ち勝てないほど、「クローク」は柔らかく「アーマー」は堅い。
つまり「クローク」の使用はリスクが大きい。
どんなゲームなのか
『Crysis2』の対戦はもっさりというか、「もったり」している。敢えてキビキビした動きやスピーディな戦闘を避けて、重さを感じさせるようなデザインだ。
これが独特のリアルさを生んでいるとも言えるし、操作になじまないという人もいるかもしれない。
派手なアクションを取れる割には、銃を撃った感触や近接攻撃には迫力が欠けている。
こちらもリアルいえばリアルなのだろうが、もっとゲーム的な演出に染まっても良かったのではないだろうか。
重厚感のある操作やアクションに比べると、豆鉄砲のようであたっている感触がわかりにくい銃や、小突いただけのような近接攻撃は見るからにショボい。
ついでに書いておくと、のぞき込まないと銃弾が全く当たらないようになっている。
これもリアルさを増している要素だ。
『Crysis2』の対戦自体はクロークの使用と、大ジャンプを利用した縦横無尽の動きによって、奇襲を行いやすくて面白いゲームだ。
だが「どこかで見たことがある」使用にはまっている箇所も多い。
銃撃感が淡泊なのも大きな欠点と言えそうだ。