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Gears of War(ギアーズオブウォー)


ジャンル:FPS
機種:Xbox360
発売年:2006年
開発会社:Epic Games

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2011年4月

紹介

『Gears of War(ギアーズオブウォー)』は2006年にXbox360むけに発売された三人称視点アクションシューティングゲーム。
開発はEpic Games、発売はマイクロソフト。
チャプターが追加されたPC版は海外のみで発売されている。

開発のEpic Gamesという会社は、「アンリアルエンジン3」もライセンス販売している会社だ。
今までは『アンリアル』『アンリアルトーナメント』とかを、技術デモの意味合いを込めて作っていた。
「アンリアルエンジン3」についてはどうも『ギアーズオブウォー』がその役目を担っているようである。

『ギアーズオブウォー』は2006年に次世代ゲーム機の力を見せつけたソフトと言って良いかもしれない。
驚異的なグラフィックスや、次世代ならではのオンライン要素が搭載され、同時にゲームシステムも三人称の良さを生かした比類ないものであった。
当時の評価感覚からすれば、一歩も二歩も抜きんでているゲームである。
今から見ると、やや調整不足の点や古くささも感じ取れる。
しかし面白い部分もあるため、過去のゲームだからといって無視できる存在ではない。
映像
圧倒的な映像
カバーアクション中心のTPSということも特筆すべきである。
壁や障害物に身を隠しながら敵を銃で攻撃して倒していかなければならない。
身を隠そうとおもえば即座に隠れられるように、綿密な調整がされている。
ボタンをひとつ押せば勝手にカバーアクション体勢に入ってくれるのだ。

味方が常に二人〜三人一緒にいるおかげで、共闘感を得られる作りになっている。
昔のゲームではメモリに余裕がないせいで「1人で敵の本拠地に乗り込む」ようなゲームが多かった。
その点、『ギアーズオブウォー』は味方がいるおかげで寂しさを感じない。

自分の体力は低めに設定されている。
そして頻繁に動いてこちらを揺さぶってくる敵に、カバーアクションを使って対抗する必要もある。
つまり、カバーアクション、仲間の存在、体力の低さは密接に絡まっていると言える。
体力の低さを、カバーアクションや味方で補って戦うゲームである。
おかげで強引に突破できるようなバランスにはなっていない。
見た目だけからはイケイケドンドンに見えてしまうが、実はそうではないのである。

オンライン対戦やCOOPプレイ(協力プレイ)に対応しているのも「次世代機」の性能を感じさせてくれる要素である。
私は未プレイのため、紹介・レビューともに行わない。
単色世界
やや色彩に乏しい

レビュー

世に出るのが一年も早い大作

2006年の衝撃

『ギアーズオブウォー』には発売から5年経った今から見ても優れている点もあれば、今ではやや古くなってしまった点もある。
しかし、古くなってしまった点は発売当時としては一級品であったり、またはごく一般的なシステムもであった。
そこでレビューする際には、2006年発売当時の視点と、今からの視点を分けて考える。

発売された2006年は「(次世代)ゲーム戦争」という言葉が飛び交っていた時期だ。
Xbox360が2005年末に発売され、ライバル機のPS3も2006年の末に発売と言うこともあってかなり盛り上がっていた。
しかし、ゲーム機は本体さえあれば「ゲーム機競争」が盛り上がるわけではない。
新しく発売されるソフトの魅力がなければゲーム機はただの箱である。
未だかつてない映像を見せ、新たな体験を約束してくれるものは他でもなくゲームソフトである。

つまり2006年末商戦は、次世代ゲームソフトがどれほどのものかを確かめる機会だったと言えるだろう。
当時は現役機種のPS2を突き放す圧倒的なソフトが望まれていた。
その2006年最大の衝撃が『ギアーズオブウォー』だった。
と同時に、2007年以後に出てくる「次世代ソフト」の可能性を私たちに示していた。
それだけの品質を当時としては誇っていたのだ。
ゴア
派手な表現

当時は凄くても時が経てば失せた長所

2006年当時としてはすばらしいゲームであったため、多くの要素が他ゲームに引き継がれた。
ビデオゲームというのは良いものがあれば積極的に取り入れる(無粋な言い方をすればパクる)性質がある。
そのため、今から見ると古くなってしまった面が『ギアーズオブウォー』には見られる。

グラフィクスは発売当時の最高レベルであったものの、今から見ると中程度になってしまっている。
2006年としてはPCゲームを含めても圧倒的なグラフィックスだったのは疑いない。
次世代ゲームエンジンと呼ばれた「アンリアルエンジン3」の能力をまざまざと見せつけていた。
しかし今から見ると中くらいといった感じである。
色彩に乏しく、アンリアルエンジン特有のテクスチャ張り遅れが目立つ。
ゲームにおける映像というのは、どんなものでも時の流れを感じざるを得ない。

そしてカバーシステムを使ったTPSはなかなか斬新であった。
実のところ『バイオハザード4』や『Kill Switch』から影響を受けているため、『ギアーズオブウォー』のオリジナルというわけではない。
それでも、カバーアクションではキャラクター達が滑らかに動き、ゲームシステムとも上手く絡めてある(どのように絡めてあるかは後述)。
FPSを単に三人称視点化すればTPSになるわけではない。
カバーアクションやかっこいい主人公のモーションがあってはじめて、TPSの意味が出てくる。
今ではもう他のゲームでも使われているカバーアクションだが、2006年末には物珍しかったといえる。

COOPや対戦は、まさにXBOX360のオンラインシステムを存分に使ったものであった。
これもまた次世代機の底力を感じさせてくれるのだが、残念なことに今となってはどこが凄いのかわかりにくい。

以上の三要素は、すべて『ギアーズオブウォー』ならではものというのではなく、時が経てば他のゲームにも取り入られている。
とはいえ他のゲームに先駆けてギアーズが搭載したことは評価すべきである。
なめらかにカバーをする

古くさい箇所も

単純に古い点もある。

本稿では演出方法を指摘しておきたい。
具体的には「ぶつ切りカットシーン」だ。
あっと驚くリアルタイム場面が用意されていないのである。
このあたりを古く感じる。
昔のゲームにおいて演出といえばカットシーンであった。
動かせるゲームの場面の後に、カットシーンを織り交ぜてストーリーを展開させていた。

しかし2006年の状況を考えてみると、「ぶつ切りカットシーン」が使われていても当然のような気はする。
なぜなら2007年に『コールオブデューティ4』という化け物がリアルタイム演出を定着させたからだ。
それまでの演出はと言えば、ゲームとは別のムービーとかカットシーンを用意するものが多かった。

『ギアーズオブウォー』はなるべくリアルタイム性を出したかったのか、ゲーム中になんとか演出を取り入れようとしている。
それが「無線通信」である。
ゲーム中に「無線通信」を行わなければならなくなったとき、自動的に主人公たちは歩行状態となって、通信を行う。
とはいえこのシーンでは「なぜ歩行状態になるのか」という大きな問題が残されている。
無線通信を聞くために歩かせる意味がないのだ。
むしろゲームのテンポを損なっているとさえ感じる。

ボス戦の取り扱いも微妙だ。
倒し方に工夫が全く要らないため、ボス戦の意義がなくなっている。
もの凄い演出でボスの迫力を出すと言うこともない。

演出は格別褒められるものではないと言えるだろう。
2006年の感覚としても、2011年としても、たいしたものではない。
グラフィックスはスゴイし、世界のデザインも秀逸だが、演出方法は平凡だ。
でかぶつ
ヘッドショットを狙え!

残念な点

遊びやすい難易度以外はあまりにも難しすぎる。
難易度がいびつなのだ。
主に体力自動回復方式に由来すした欠陥はある。

自動回復方式にはスピーディにゲームを進められたり、体力の配分を考えなくても良いという利点がある。
だから今では数多くのゲームでも使われている。
ところが『ギアーズオブウォー』では難易度を上げると、敵の攻撃をくらえばほぼ一発死に近くなる。
ここで「一発死」が問題である。

自動回復方式は少しくらいダメージを食らっても気にならないようにするために使われている。
それなのに一発死ということになってしまっては、「少しくらいダメージを食らっても良い」ことにならない。
シビアで回復機会が少ない従来型の体力方式となんにも変わらなくなる。
結局敵の攻撃をかすらないように進めなければならなくなってしまう。

これは『ギアーズオブウォー』だけの問題だけではなく自動体力方式を使うゲーム全般にありがちな問題である。
一般的に、シビアな難易度になればなるほど「一発死」や「リカバリー不可能な場面」が増える。
そうなってくると体力方式の差異がほとんどなくなってしまうのである。

ついでに言うなら高難易度時には敵が硬すぎる。
ヘッドショットを狙えと言われても、ゲームパッドでは限界というものがある。
ダッシュ
ダッシュ

色あせない面白さ

色々と「批判」してきたが、はたして今でも『ギアーズオブウォー』を遊ぶ意義はあるのだろうか。
私はあると考えている。
TPSの面白さを完成し、凝縮している『ギアーズオブウォー』を遊んでいないのはちょっと残念である。

TPSというのは、三人称視点のアクションシューティングゲームである。
つまり自分の操作するキャラクターが目の前にいる。
そうであるから、ゲーム側としては私たちに滑らかに動いたりカッコイイアクションを見せてくれなくてはならない。
上記の点において、TPSはFPSと違う。
FPSは操っているキャラクターのアクションが見えないため、リロードモーションとか銃のモデリングで勝負するしかない。
一方のTPSは、全身を使ったダイナミックな動きを無理なく演出できる。
かっこよく動くカバーアクションはそのような演出上の特性を生かしている。
これが見た目におけるカバーアクションの良さである。


実のところカバーアクションを使ったゲームは欠点が出やすい(三つの欠点を下の段落に書いてある)。
だからTPSはあまり普及していないのかもしれない。
しかし『ギアーズオブウォー』はカバーアクションTPS特有の欠点を無くすように作られているおかげで、今遊んでも面白い。

TPSにありがちな欠点としては、カバー状態だと無敵に近い状態になってしまうため、その場にいるだけで安全になってしまうのがひとつ。
次に、カバーアクションはともすれば同じ場所で「隠れて、時折撃つ」を繰り返す羽目になってしまう点もある。
これは自動回復方式を採用するとかなり顕著になる。
最後に、カバーしていればリロードを安全に行えるせいで、リロードさせるのはただの時間つぶしになっていることも欠陥である。

以上の三点を上手く解決しているから、今遊んでも面白い。
一つ目の「カバー=安置」の欠点を潰すために、敵が攻めてくる。
敵AIはかなり高度である。
左右の大きく動きながら攻めてきたり、その上で自動的にカバーに入っていることも多い。
二つ目の「隠れて撃つ単調さ」の解消方法は、敵AIの強化、そして協力な打撃攻撃や近距離武器だ。
敵の縦横無尽な動きによって戦闘が実にスリリングだ。
前に出ることで強力な攻撃をお見舞いできる可能性も広がっている。
また、敵が湧いて出てくる穴を潰すために前方へ突進しなければならない場面も用意されている。
三つ目の「リロードの無意味さ」はアクティブリロード方式の採用によって、リロードがチャンスにもリスクにも変貌している。
アクティブリロード方式とは、リロード中にもう一回リロードを押すことで、リロード時間の短縮を狙えるシステムである。
タイミング良くリロードできれば短縮できるのだが、タイミングを失敗するとリロード時間が長くなってしまうリスクもある。

以上の欠点を丁寧につぶせなかったTPSはけっこう多い。
『ギアーズオブウォー』以降のTPSでさえ、欠点をつぶせてないものがあるくらいだ。
何故、『ギアーズオブウォー』は少し前のゲームでありながら、TPS特有の欠点をつぶせているのだろうか。
おそらく、敵AIが優秀さが際だっているからである。
敵のAIが優れているかどうかは、純粋に技術的な問題(プログラミングのセンスや技術の問題)である。
他のメーカーにはマネできないのではないだろうか。
べるせるく
ボス

一年遅ければ埋もれていた。だからこそTPSのあり方を問い続ける

2007年末に『ギアーズオブウォー』が発売されていたら、数多くの新作に埋もれていたと思う。
あくまでも2006年に発売されたことに意味がある。
どのゲームよりも早く発売されていたからこそ、他のゲームのお手本としてTPSのあり方をはかる指標になっている。

レビューでは詳しく触れていないが、シングルプレイにはボリューム不足というか練り込みの足りなさが結構みられる。
例えばボス戦が少ない(PC版で追加された)、敵の数が足りない、単調になりがちな場面がある、といった具合である。
だが2006年に間に合わせたと考えるならば、それも良いのではないだろうか。

天才や秀才には2通りいると言われる。
ひとつは、突拍子もないことを発明するタイプである。
もうひとつは、見えている壁を突き抜けるための方策を出してくれるタイプである。
ビデオゲームに置き換えれば、『ギアーズオブウォー』は後者にあてはまりそうだ。
できそうでもできない、そんなもどかしいところを他ゲームよりも一年早く生み出している。
近接攻撃

まとめ

2006年に発売された良質なTPS。
やや古いゲームとして見るならば良質なTPSとして遊べるだろう。
今でも色あせない敵AIの優秀さは圧巻である。

発売を間に合わせるためか消化不良の点はあるが、シューター好きならば一度は触れておきたい。


76点

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