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Double Clutch(ダブル クラッチ)


ジャンル:FPS
機種:XBOX360
発売年:2008年
開発会社:Pivotal Games

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2011年2月 最終更新日2011年3月

紹介

『Double Clutch(ダブルクラッチ)』はPivotal Games製作、Eidos Interactive販売のFPSである。
日本はスパイクがローカライズと販売を行った。
正式名称は『Conflict: Denied Ops』と言い、Conflictシリーズの五作目にあたる。
なお、海外で上記の名称で販売されているものと『ダブルクラッチ』は同じ製品であることに注意。
機種はPC、PS3、XBOX360で発売されている。

Conflictシリーズはタクティカルシューターというジャンルに位置づけられる。
タクティカルシューターとはFPSやTPSの一ジャンルで、体力が低いなどリアルなゲームバランスに特徴がある。
『ダブルクラッチ』はその流れを引き継いでいる。
二人のキャラクターを交互に使い、操作していないキャラクターに指示を出しながら難所を切り抜けていくゲームだ。
COOPモードにも対応している。
味方が危なくなったら回復させよう
二人のキャラクターはそれぞれ近接に強いタイプと、遠距離に強いタイプに分かれている。
扱える武器に長所と短所があるため、ゲームをクリアするためには切り替えが重要な意味を持つと言えるだろう。
そして、操っていない方のキャラクターには簡単な指示を出してプレイヤーをサポートできる。
自キャラの体力が低いぶん、リーン動作(曲がり角を覗く)などの体力を温存するシステムが使える。

タクティカルなゲームだが、難易度はそれほど高くはない(特にイージーの時は)。
もしどちらかのキャラクターが銃弾に倒れてしまったら、蘇生を施せばいくらでも立ち上がる。
また携行する銃弾の数は気にしなくても良いほど多い。
ひとつひとつのチャプターをクリアするごとに武器も自動的にパワーアップされる。
そういう意味ではFPS初級者でも遊べそうな気はする。
しかし、欠陥の多さからして他人には到底おすすめしたくない。
こういうリーンを使って敵を倒していこう

まとめ

コンセプトは評価する。だが、バグとチープさはどうにかしろ

ゲームを起動してすぐ気づく欠点

『ダブルクラッチ』をやって驚いた。
音がまともに出ていないのだ。
自分の銃声、敵の銃声、BGM、敵味方の声が聞こえない。
たまに出ていることもあるが、時間がたてばまた無音になる。
自分の360本体が悪いのか分からないけれども、安全安心をモットーとするゲーム機でこんなことがあってはならない。

ついでに照準の感度がおかしいことにも四苦八苦した。
というのも『ダブルクラッチ』の照準はX軸方向(横方向)は感度高めで、Y軸方向(縦方向)は感度が極端に低いのだ。
設定から変更することもできず、慣れない設定のまま遊ばなければならなくなっている。
しかもナナメに視点を移動させるとき、感度が異常なほど鈍くなる。
上下の視点移動には変な補正がかかっているのも、ナナメ視点移動のやりにくさを助長している。

FPSは敵に照準をあわせて倒すゲームだ。
『ダブルクラッチ』はその照準をあわせる動作が異常なほどやりにくい。
もうゲームをやり始めて間もないときからダメダメ感たっぷりである。
最初のマップ。古城

陳腐な演出

ビデオゲームの構成を大まかに分けると主に二つ考えられる。 グラフィックやモーションなどの見た目(や音声)に関する部分と、体力や敵の強さなどのゲームバランスに関係する部分だ。
『ダブルクラッチ』の場合、前者の演出部分が極めて安っぽいために評価を大きく下げている。
後者のゲームバランスについても酷い有様だが、名誉のために言っておくと一部の場面で見るべき所がある。

ストーリーがB級アクション映画みたいなものであるのは、まだ良い。
アクションゲームに物語がなくても、面白ければ別にかまわない。
問題なのは理解できない展開、謎の敵湧き、間の悪い演出だ。

分かりやすくするために最初のミッションを具体例に挙げてみる。
プレイしていくと、ヘリコプターから身を乗り出して銃で撃ってくる敵に出くわす。
そこでプレイヤーは銃で敵を撃ち落とすわけだが、なぜか身を乗り出している敵を倒すと同時にヘリコプターまでも墜落するのだ。
全くもって不可解だ。
私は操縦士ではない人間を撃ったのに、なぜかヘリコプターは墜落してしまう。
次にチープだと思わされるのは敵の出方だ。
『ダブルクラッチ』で使われている手法というのは簡単に言うと、敵が裏から湧いて出てきてプレイヤーの目の前に現れるというものである。
一つのマップを引き返さなければならないミッションでは、露骨に敵が湧いてくる。
こういう方法ばかり使われているせいで、例えば徘徊する敵を排除する楽しさも敵の生き生きとした感じも失われている。
湧いて出てくる敵を狙撃するFPSは「モグラ叩き」だ。
あの先の出入り口から三人も湧いてきたぜ・・・

不親切な面も多し

そして『ダブルクラッチ』は間が悪い。
敵を全部排除したと思ったら、しばらくするとまた湧いてきたり、敵を倒そうと思ったら突如として消えたりする。
ロケットランチャーでヘリコプターを撃墜させなければならないミッションでは、ヘリコプターがいつまでたっても出てこないこともしばしば。
ようやく出てきたと思ったら、しばらくしてまたどこかへ飛び去り、一分くらい経ってまた戻ってくることも多い。
このように間の取り方がへたくそなのを間抜けという。


ゲームプレイ自体についても、演出に引っ張られるような形で粗悪になっている面が大きい。
どこからともなく湧いて出てくる敵を倒す「モグラ叩き」になっているのは既に述べた。
更に『ダブルクラッチ』では湧いて出てくる数がけっこう多くて、敵を倒す行為に嫌気がさしやすい。
間の悪さも似たような感じの嫌悪感を引き起こしてしまう。
いつ敵のラッシュが終わるのかが全く予想できないばかりか、クリア条件すらも分かりにくいものが多い。
例えば敵を全滅させろというミッションで敵を全滅させようにも、いつまでたっても敵が湧いてくる。
戦車を扱う場面では、戦車止めがあるから戦車を降りなければならなくなるということが何にも指示が無く、プレイヤーは何をやったらいいのか分からずにフラフラをさまよいがちだ。
他にも、ロケットランチャーで戦車やヘリコプターを破壊しなければならないシーンの多用も気がつく。
相手は戦闘兵器なのでやたらと攻撃力が高い。
そんな奴らを相手に理不尽な戦いを強いられるのは、たまにあるから面白いのであって、何度もやらなければならないのは苦痛だ。
爆発物が多い。ただし爆発物の飛び方滑稽すぎる。ドラム缶を撃ったら、なぜか一旦上に飛び上がった後着地して爆発する

少ない武器、アホな味方

使える武器の種類が少ないのも残念だ。
一応ミッションクリア後にパワーアップされてグレネードランチャー装備とかサイレンサー装備になったりするが、最初から最後まで使うメイン武器は1種類だけである。
ハンドガンとかロケットランチャーはメイン武器として使いにくいため、軽機関銃を選ぶかスナイパーライフルを選ぶかという選択肢しかない。
やっぱり同じ武器を使い続けていると飽きてしまう。
それよりも私が突っ込みたいのは、アップグレードの無意味さだ。
特にサイレンサーの存在価値が無いのはどういうことか。
敵に見つからないようステルスに徹したプレイが『ダブルクラッチ』ではできない。
なぜなら、敵を一回でも攻撃すると周りの敵が即警戒状態になる。
加えて「敵が裏から湧く」仕様になっているのも、ステルスの無意味さを助長している。

あとは味方のNPCがアホすぎることも挙げておこう。
NPCをミッション最後まで生かしたままクリアすると「実績」が解除されるのだが、NPCは勝手に突撃して死んでしまいやすい。
実績解除に興味のある方はイライラすると思う。
ピストルもそれほど存在意味がないというか

2人をシームレスで切り替えて敵を倒す。そういうコンセプトは良いのだが

しかし『ダブルクラッチ』には見るべきところが一箇所だけある。
それは二人のキャラクターをシームレスで切り替えられる点だ。
二人とも得意とする場面が違っているので、敵の動きに応じてキャラクターを選ぶ工夫ができる。
敵の湧き方やマップの作りは明らかに、「どちらのキャラクターを使うと楽か」を意識して作られている。
また片方が倒れてしまっても、もう片方に切り替えれてしばらくゲームを続けることができるので、面白さを損なわずに難易度低下にも役立っている。
とはいえ味方はコンピューターまかせにしていてもそれなりに戦ってくれないのは難点だ。
やはりCOOPでやるべきと言うことなのか。


色々と問題点が多い『ダブルクラッチ』は低評価なのもやむを得ないと言える。
二人のキャラクターを切り替えながら進み、COOPに特化しているコンセプトは悪くない。
だが、コンセプト以外の面がいかんせんどうにもならない。
敵は執拗に湧いてくる、クリア条件が分からない、等々と質が悪いFPSの条件をこれでもかと満たしている。

この場面は面白い。ここだけ評価して良い

まとめ

演出はダメ、FPSとしても面白くない。
買う価値はないだろう。
知り合いとCOOP目当てに、ゲームのダメさを笑いながらやれるのならいいかもしれない。
38点

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