トップページ >ゲームレビュー >FPS・TPSゲームレビュー >Call of Duty 3 (コールオブデューティ3)

Call of Duty 3 (コールオブデューティ3)


ジャンル:FPS
機種:XBOX360
発売年:2006年
開発会社:Treyarch

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2010年11月 最終更新日2011年3月

紹介

Call of Duty 3(コールオブデューティ3 以下『COD3』)は2006年に発売されたビデオゲームである。
ジャンルはFPSでPS3、XBOX360版が発売されている。
Wii版は海外のみ発売されている。
開発はTreyarch、発売はActivisionである。
正式なシリーズ名称を与えられてはいるが、PC版は発売されていない。

Treyarchが作るCODシリーズとしてはPS2世代向けの『Call of Duty 2: Big Red One』に続いて2作目にあたる。
その後Treyarchは『Call of Duty:World at War』や『Call of Duty: Black Ops』、あとは映画007のゲーム版『Quantum of Solace(慰めの報酬)』などを作っている。
したがって『COD3』をやると、上記のゲームとの共通点を見いだすこともできるだろう(ただしレビューでは深く立ち入らない)。
『COD3』はPS3やWiiの本体と同時に発売されているソフトでもある。
発売日に間に合わせたためか、前作の『COD2』を焼き直したような内容だ。
教会へ
第二次世界大戦のゲームは数多い。COD3もそのひとつ
『COD3』の舞台は第二次世界大戦である。
中でもノルマンディー上陸作戦以降の内陸地での戦闘を中心に描いている。
プレイヤーはアメリカ、イギリス、カナダ、ポーランド軍を交互に操作してドイツ軍と戦う。
イギリス軍のミッションはフランスのレジスタンスと共闘したゲリラ戦闘が多い。

ストーリーの面白さよりも、画面の演出に力が入れられている。
このあたりは『COD2』に共通する点と言えるだろう。
銃弾飛び交う戦場を、戦っている兵士の叫び声や迫力のある砲撃音などで再現していく。
そうするとプレイヤーはあたかも戦場の中の一兵士になったかのような感覚を覚えるのだ。

ゲーム自体が『COD2』を元に作り上げた拡張版のような形になっているので、これといって新しい要素はない。
しいて言えばQTE(クイックタイムイベント)の多用と、爆弾などを仕掛けるときに特定の操作が必要なことぐらいか。
あとはカナダ軍やポーランド軍を使えること。
と言っても、カナダやポーランド独自の何かがあるというわけではない。

マルチプレイは未評価とする。
ポーランド軍
ポーランド軍ミッションは、ポーランドを登場させる意味があったのかどうか

レビュー

『COD3』は、『COD2』の 劣化版である

初めから期待されていない『COD3』

そもそもコールオブデューティシリーズは、初代を作ったInfinity Wardのものではなく、権利を持っているアクティビジョンのものらしい。
つまりゲームを制作する人たちと、ゲームの権利を保有する人たちは別である。
コールオブデューティはInfinity Wardが作るからコールオブデューティなのではなく、「アクティビジョンが名前にコールオブデューティ」がつければシリーズの一つになる。

アクティビジョンは「初代コールオブデューティ」という金の卵を大事に大事に育てようとした。
そのためには毎年のように決まったシリーズが出続けることが、消費者への大きなアピールになると考えたのだろう。
だからこそTreyarchに「もうひとつのコールオブデューティ」を作らせている。
言ってみれば本命の裏年として必要最低限のクオリティを維持しつつ、消費者を飽きさせない質を維持するために「Treyarchのコールオブデューティ」を位置づけていた。
結果、新作が1000万本を超す化け物シリーズへと変貌させた。
しかし、というか、それゆえに、Treyarchは「コールオブデューティのイメージ」を損なわないように作らなければならなくなった。
実際、Treyarchが自分の色を出していくのは次作『Call of Duty:World at War』からである。
開発期間の問題もあったのだろうが、『COD3』は『COD2』をそっくりそのまま再構成したかのような内容になっている。
イギリス軍
WW2ではステンがでないと雰囲気ないよね

操作する国が変わっても、やることが変わらない

戦争における一兵士の戦いを、様々な軍の目線から描くというのは決して悪くはない判断である。
重層的に描ける可能性がある。
しかし、『COD3』は各軍ごとの特徴を事細かに描かれていない。
だから画面が切り替わっても、自分がアメリカ軍とカナダ軍のどちらを操作しているのかがまったく分からない。
またイギリス軍ミッションはゲリラ活動が多い点で差別化はできているものの、ハラハラするような構成になっておらず、規模の小さいアメリカ軍のような戦闘にしかなり得ていない。
イギリス軍ミッションで車を操縦して逃げ回るシーンだけは良くできているとは思う。
ポーランド軍に至っては相も変わらず戦車を使うだけである。

しかも同じようなシーンが極めて多い。
特に多いのは「目の前で味方が撃たれて死ぬ」とか、ドイツ軍の侵攻を一定時間食い止めるというものである。
したがって、特定の主人公ならではのシーンというものがない。
これでは4つの軍団を用意して話をする意味がない。
M1ガーランド
アメリカ軍の銃と言ったらM1ガーランド。ゲームの中でも性能が非常に高い
だが、これは仕方がない面もある。
というのも部隊は第二次世界大戦で、しかもドイツ軍が常に敵であるからだ。
ゲームになる程度のリアリティのある戦争の一兵士を描こうとすればするほど、同じような展開や地味なストーリーは増えていくものだ。

このような欠点が極めて色濃く出ていたのが前作『COD2』であった。
『COD2』はゲームの後半部分が明らかに前半の焼き直しとなっていた。
当時としては未だかつてないほどの素晴らしい戦場の雰囲気を擁していながらも、ワンパターンな戦闘シーンだらけだったのだ。
解決方法は、味方の存在を綿密に描いたり、大きな物語に主人公を関わらせることにある。
没個性の主人公をウリにするゲームは、周囲の人物や環境から「まわりの空気」をあぶり出していくしかない。

ところが、『COD3』は解決策が満足のいく程度になっていない。
「目の前で味方が撃たれて死ぬ」ことは、確かに強烈な印象を与える。
それでも『COD3』の描き方はあまりにもあっけない。
例えば匹夫の勇を奮い立たせて死んでいったキャラクターがいる。
彼はずいぶん前のミッションから帯同しているので、臆病なことはプレイヤーにもわかっている。
と言っても、何故臆病なのか、何故匹夫の勇を最期に奮い立たせたのかというのがまったく分からない。
他にも「目立つキャラ(ネタバレになるので詳しくは書かない)」が自爆するシーンもあるのだが、どうして自爆するのかなどが理解できない。
あまりにも唐突すぎて、軽薄な演出になってしまっているのである。
MP44
ろ獲した独逸のMP44で敵を攻撃する

深みがない演出、ストーリー、バグの多さ

『COD3』は前作2をやった後で見ると、同じような場面が多く、しかも話の筋が浅い。
だから非常に単調で既視感ばかり感じられるゲームになってしまっている。
ワーッと出てくる敵から建物を一定時間防衛するだけ。
まったく攻撃しない敵戦車が目の前にいるので、ロケットランチャーでぶっ壊すだけ。
敵を倒すと同じ場所から続々湧いてくる。
別にこういう演出が悪いのではなく、見せ方や程度の問題である。
非常に露骨で、演出のための演出が多すぎるのだ。
「これをみせればスゴイとおもうでしょ?」と言われて、演出をみせられたらどう感じるだろうか?

またバグや不具合が多い。
オブジェクトのエッジ判定が超いい加減なのを初めとして、特定の視点でしゃがむと画面ががくがくしてワープしたりする。
無敵の敵が突然目の前に出現することもある。
ついでに言うと難易度を高くすると敵の一斉攻撃がプレイヤーだけに降りかかる。
まったく面白くない。
これは間違いなく、開発期間が足りていない証拠である。
ばずーか
バズーカで戦車を壊そう

『COD3』の存在意義

とはいえ、独創性とか新規性とかゲームバランスを考えないで演出がスンゲエゲームだと割り切り、「COD2クローン」として考えるのならばそんなに悪くはないかもしれない。
そもそも『COD3』が『COD2』の焼き直しとして作られたことを考えないとしたら、『COD3』は演出が過激で第二次世界大戦の雰囲気がタップリの良質なFPSである(こんな仮定は意味もないが)。
偉大な親をそっくりそのままコピーしていても、同じようなゲームは他社から出ていないのである。
過剰な演出はコールオブデューティーシリーズのお約束であり、シリーズのもつアイデンティティーだ。
アイデンティティーを持ってさえいれば、シリーズとして認識される。
「コールオブデューティという名前」と「演出」さえあれば。

『COD2』と『COD4』の間の一年を穴埋めするために『COD3』は作られた。
汚い言葉を使うと、捨て駒である。
「前作の路線を踏襲したまま、そこそこ同じような見た目のゲームさえ作れば、それなりの満足度をユーザーから得られる」とアクティビジョンは踏んだに違いない。
シリーズを毀損する可能性は、「開発会社が違うから」と逃げることもできる。
有名な名前がついている紛い物であっても、コールオブデューティ3は紛れもなくコールオブデューティシリーズのひとつである。
QTE
QTEとか呼ばれているシーンの画像


まとめ

コールオブデューティ2.5。
2をやった後は3のクソっぷりが嫌というほどよく分かる。
しかし、演出重視のゲームは数少ないため、『COD3』が消え去ることはないだろう。
出来の悪い第二次世界大戦ものFPSとしての立ち位置はある。


61点

ページトップへ

トップページ >ゲームレビュー >FPS・TPSゲームレビュー >Call of Duty 3 (コールオブデューティ3)

design by. (C) WebDaisuki.com