レビュー
変な日本を舞台に、直感的ながら難しい操作を要求されるゲーム
日本趣味な世界
『レッドスティール』をレビューする際の特徴は三点ある。
一つは日本趣味ともいうべき世界の設定である。
二つ目にリモコン操作による直感的な操作方法とその難しさ。
三つ目は手堅いFPSとしての『レッドスティール』のもうひとつの姿である。
まずは日本趣味ともいうべき舞台について説明する。
「外国人からみた日本」の集大成ともいうべき世界が『レッドスティール』の舞台である。
そこではヤクザが跋扈し、カタナを使ったサムライが居て、おかしな日本語を操り、アニメに影響されたフィギュアや戦隊ものに扮した敵なんかもある。
元々はUBIソフトのパリの人たちは日本を完璧に再現したと思っていたそうなのだが、実際は「
外国人からみた”おかしな”日本」となってしまっている。
発売にあたっては「おかしな日本」を強調したプロモーションに置き換えられている。
で、こうした設定は様々な魅力がある。
昔の洋ゲーにあったけれどいまではあまりみることのない「ニッポン」を見るような懐かしさ。
日本人からみればおかしな設定を、ちょっと温かい目で見ながら楽しむこと。
お約束とも言える、サムライ、ゲイシャ、ニンジャが出てくるのを見て苦笑い。
ツッコミどころ満載の流暢な日本語に唖然とすることなどなど。
日本人ならば、「おかしなニッポン」について笑ってしまうに違いない。
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変なニッポン
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Wiiの特色、リモコン操作の面白さ
ある意味舞台は魅力たっぷりであり、操作もまた魅力に溢れている。
Wiiリモコンを使ったポインティング操作とリモコンを振る操作を比べた場合、後者の振る操作についてWiiリモコンの独創性がある。
というのも前者のポインティング操作はパソコンでマウス&キーボード操作をしているのとさほど変わらないからである。
ただコンソール機で直感的に扱えるようになっているのは魅力があろう。
スティックでグリグリと視点を移動させながら四苦八苦して敵を狙うのではなく、
感覚的に「そこ」を狙えるようになっているからだ。
リモコンを振る操作は『レッドスティール』の特色であり、プレイしていても力が入る場面だ。
右から斬ったり左から斬ったりする操作を、棒を振りながら行える。
ゲームセンターの大型筐体にあるような体感ゲームそのままでチャンバラができるのだ。
発売間もない頃からこうした機能をふんだんに搭載した『レッドスティール』は野心的かつ、ローンチソフトとして本体の魅力を伝えうるに相応しい働きをしたといえる。
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カタナを使おう
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とにかく難しい操作方法
しかしながら『レッドスティール』には欠点がある。
やはりその難しさについて語らなければならないだろう。
ゲームの中の難しさというのは移動したりジャンプしたりというような基礎的な部分が難しい場合と、ゲーム内で要求されるスキルが難しい場合とに大別される。
『レッドスティール』はどちらの意味でも難しい。
致命的なのが移動したりジャンプしたりというような基礎的な部分の難しさである。
なんというか、ポインティング操作が極めて難しい。
敵に照準を当てるのが非常に困難であり、オートエイム機能があることにはあるが、かなり心許ない。
したがって上手く操作できないもどかしさでイライラするに違いない。
実は地面に固定しながら行うマウス操作と異なりWiiリモコン操作は支持体がないため、空中でリモコンを支えるための色々な力が必要になってくる。
ここがWiiリモコンによる操作がマウス操作と比べて難しく感じる根本的な理由である。
また、ゲーム側でプレイヤーの不便さを補正するオートエイムなどの機能が不十分だ。
プレイヤーに原因があるのではなく、ソフトとハードに問題があるのだ。
『レッドスティール』を触り殺陣の頃はその操作方法に感激するのであるが、しばらくすると自由に動かせないもどかしさにイライラがつのってくる。
しかも『レッドスティール』はゲーム内で要求されるスキルが比較的高い。
ただでさえ操作しにくいのに、FPS慣れしていないと困るような戦闘が極めて多い。
これについては次節で述べる。
「カタナ戦」がほぼハメるかハメないかのつまらない戦いになっていることも付け加えたい。
難易度選択はないので、攻略法が分からなければ難しさに理不尽さを感じ、閉口してしまうだろう。
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む、むずかしい・・・
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ゲーム自体そこそこ練り込まれた旧式FPS
一旦、Wiiリモコンによる操作の難しさを脇に置いて『レッドスティール』を考えてみよう。
現れてくるのは
色々なシチュエーションを詰め込んだ手堅いFPSである。
『レッドスティール』は出てくる敵を片っ端から倒して進む、一本道の古いタイプのFPSである。
マップには隠れる場所が多く、隠れながら敵を排除していく楽しみがある。
敵もなかなかに賢く、ゲーム終盤ともなるとこちらへ突っ込んでくる敵がたくさんいる。
破壊できるオブジェクトも多く、安全地帯があっという間に敵の攻撃で危険地帯へと変貌することも多い。
FPSに慣れているプレイヤーでも唸ってしまうような暗闇での戦闘なども終盤にはある。
しかし、単調なゲームプレイにアクセントとなりうるような劇的な演出や操作の変換があるわけでもない(一応スローモーションスキルがあるが、ありきたりだ)。
おまけ
に難易度選択はなくて最初から最後まで難しいままだ。
ローンチソフトでありながらFPSファン向けとも言える難しさに調整されているのだ。
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ヤクザを手助けするのだ
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