紹介
『プリンスオブペルシャ 忘却の砂』(原題『Prince of Persia: The Forgotten Sands』、以下『忘却の砂』と略す)は2010年に発売されたビデオゲーム。開発はUbisoft Montrealで発売もUBI。
プリンスオブペルシャシリーズは明確にナンバリングが行われずに発売されてきたため、ストーリーの時系列がごっちゃになっている。
ここで一旦おさらいしておこう。
パッと見て分かるように、関係図を下に載せておいた。
『プリンス・オブ・ペルシャ』は元々1989年に発売された2Dアクションゲームだった。
続編の「2」と「3D」が発売された後に会社はゲーム開発から撤退する。
そこで版権をUBIが入手して新たなシリーズへと生まれ変わらせた。
私たちが新作として目にするプリンスオブペルシャは、UBIが制作した新シリーズだ。
当サイトでプリンスオブペルシャシリーズと表記するときは、このUBI制作のシリーズを指す。
新生シリーズの第1作として2003年に『プリンスオブペルシャ 時間の砂』(原題『Prince of Persia: The Sands of Time』)が発売された。
2004年には『ケンシノココロ』(Warrior Within)、2005年には『二つの魂』(The Two Thrones)が続々と出てくる。
一般にこの三つを「時間の砂シリーズ」と呼ぶ。
本稿で紹介・レビューする『忘却の砂』(2010年作)は、この「時間の砂シリーズ」に連なる作品だ。
『忘却の砂』のストーリーは一作目『時間の砂』と二作目『ケンシノココロ』の間を舞台とする。
2008年、上記の「時間の砂シリーズ」とは全く異なる新作『プリンスオブペルシャ』が発売されている。
『プリンスオブペルシャ』(2008)は、本当の意味での新シリーズを作ろうとする意気込みが感じられるゲームである。
わざわざ副題をつけなていないのも決意の表れと言える。
しかし評判が良くなかった(私もあまり評価していない)。
それがために物語では「後に続く」としていたのにもかかわらず、『プリンスオブペルシャ』(2008)の続編が作られることはなしに、旧シリーズの続編(『忘却の砂』)が作られたのだと思われる。
また、2010年に封切りされた映画版『プリンスオブペルシャ』との相乗効果を狙っていたのかもしれない。
いずれにせよ本作は時間の砂シリーズの新作と考えていただきたい。
これでプリンスオブペルシャシリーズの関係性が分かる(はず・・・) |
極論すれば、『忘却の砂』はPS2世代のプリンスオブペルシャシリーズをそっくりそのまま焼き直したゲームとさえ言える。
『アサシンクリード』で使ったゲームエンジンを再利用してリメイクを作った、と開発者も公言している。
PS2のシリーズをやったことがある人は、もうどんなゲームなのか想像できると思う。
複雑な操作を入力せずとも超人的なアクションをみせる主人公とともに、プレイヤーは様々な場所を探検する。
途中には一発死のトラップや、どうやって進めばいいのかわかりにくい場所、壮大な謎解きパズルが待ち構えている。
タイミング良くトラップを抜け出し、試行錯誤を繰り返して先へ進んでいくゲームだ。
なお、自由度は殆どなくて一本道だ。
好きなように駆け抜けられるわけではない。
3作続いたゲームの続編ということもあって飽きさせないようにする工夫は満載だ。
敵との戦闘は中ボスや大ボスも用意されているし、数十体の敵をなぎ払うような爽快感を重視している。
あまりにも凶悪すぎるトラップや面倒な敵・ボス戦・謎解きはない。
とはいえ、2008年に作られた『プリンスオブペルシャ』と比べると、操作ボタンが増えてトラップ自体も難しい。
例えば、「水の流れを一定時間止める能力」が難しさの元凶となっている。
タイミングよく水の流れを止めなければ進めない場面がゲーム後半に頻発するのだ。
難易度は時間の砂シリーズに戻ったと言うべきだろう。
プリンスオブペルシャといえばトラップだ |