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Killzone 2 (キルゾーン2)


ジャンル:FPS
機種:PS3
発売年:2009年
開発会社:ゲリラゲームズ

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2010年3月 最終更新日2011年3月

紹介

『Killzone 2 (キルゾーン 2)』は2009年にPS3向けに発売されたFPSである。
開発はオランダのゲリラゲームズで、プロデュースはソニーコンピュータエンタテイメントである。
元々『キルゾーン』はPS陣営がXBOX陣営のHALOの対抗するために作ったFPSである。
その後PSP向けに一作を挟み、その当時次世代だったPS3向けに『2』は開発されている。
PS陣営を代表するFPSとなれるように、じゅうぶんな開発期間をかけられている。

『キルゾーン2』の動画で最も有名はのは2005年のE3デモと呼ばれる動画である。
後にただのイメージ映像と発覚したが、PS3やXBOX360世代のゲーム機の凄さを期待させる素晴らしい映像だった。
この映像が国内海外問わず、実機なのかそうではないのかとか、偽物(フェイク)だとか本物だとか色々と論争があったのは面白かった。
まあ、後に発売される『キルゾーン2』本編はムービーほどの凄い映像は出せていないのはしょうがない。
開発初期の映像は大概がプリレンダリングイメージである。

2005年の動画の後、次にゲームプレイ映像が発表されたのは2007年で、発売されたのは2009年だった。
それでも『キルゾーン2』では、一見すると技術デモに引けを取らない映像美を実現している。
まさにPS3最高クラスの映像美は、XBOX360を含めても今世代最高クラスである。
人によってはPCゲームの『Crysis』を上回るとさえ言われているくらいだ(個人的には言い過ぎだとは思うが)。

最終的に『キルゾーン2』は世界で200万本以上を売り上げ、ユーザーやレビュアーからは割と高い評価を得ている。
ライバルの『HALO』シリーズと比べると見劣りするものの、PS3専売のゲームとしてはかなり売れている方だ。
日本でも数万本売れたようだ。
主人公と仲間
薄汚れた世界が緊張感を演出する
『キルゾーン2』は前作と同じくハードなSF設定を持つFPSである。
やはり『HALO』とはひと味違うゲームにしたいらしく、キャラクターやグラフィックは泥臭く、どことなく暗い雰囲気が漂っている。
『キルゾーン2』の魅力は、男臭い野郎達の吐く悪態や感情の吹き出しだ。
主人公の所属するチームは皆が皆良い奴でも口は悪い奴ばかり。
戦闘中にもキツイジョークをぽろっと言っている。

ゲームシステムは前作のコンセプトを引き継ぎ、「よくある第二次世界大戦ものFPS」を踏襲している。
プレイヤーはミッションを与えられ、一本道のステージを敵を倒しながらすすみ、数々のイベントやムービーを見て次のステージへ進んでいく。
途中にはFPSならではの戦闘シーンやボス戦がたくさん組み込まれており、プレイヤーを飽きさせないように作られている。
中でも『キルゾーン2』の敵AIは売り文句になっているとおり、かなり優秀な部類に入る。
そして前作と異なり、今作は味方AIもキッチリ作ってあっていてダメージを受けると戦闘不能になるように作られている。
味方はいたりいなかったりとシチュエーションが変わってくるので、場面にあった戦闘の仕方をする必要があるだろう。
ラデック
敵の将校だ
マルチプレイのレビューは私がやっていないので行わない。
紹介だけはしておこうと思う。

FPSのマルチプレイルールは、敵を多く倒した方が勝ちという単純なルールから、特定地点に爆弾を仕掛けて爆破するまたはそれを阻止するというルールまで様々である。
キルゾーン2のマルチプレイにおけるゲームルールは上記のような様々なルールの合体である。
具体的には30分程度の戦闘に対し、5分程度のミニルールがいくつも組み込まれている。
例えば最初はデスマッチルールを5分やり、次は特定の人物殺害をすれば勝ちというルールを5分やり、次に・・・といったようにルールがめまぐるしく変わっていく。
これの面白いところは1つのマップでルールが何回も変わる点と、ルール変更時に戦況がそのまま維持される点にある。
つまり、マルチプレイの面白さである刻々と変化する状況がプレイヤー同士の手によるものに加え、ルール側からも行われるのである。
まさに息をもつかせぬ緊迫した状況を楽しめるのがキルゾーン2なのだ。

あとオフラインでは8人対8人のBOT(AI任せのNPC)を入れた対戦ができる。
これ、いれてみるとすぐに分かるんだが、動きが非常に厄介だったりする。
プレイヤーの裏をかいてきたり、団体行動をとってきたり、壁に隠れたりとAIの優秀さを簡単に楽しむことができる。
戦闘
敵は全てかっこいいスーツをまとっている

レビュー

戦争FPSの中では面白い部類に入る

『コールオブデューティ』に近い作りのゲーム

シングルプレイのFPSで使われる手法には様々なものがある。
中でも、『メダルオブオナー』や『コールオブデューティー』といった大戦モノFPSで一つのジャンルとして確立された手法がある。
俗に演出重視とか、スクリプト(台本)とか呼ばれる方法だ。
これはプレイヤーの行動範囲を狭める反面、ドラマティックな演出や緊迫した状況をゲーム側から用意する方法だ。
『キルゾーン2』はそうしたFPSの中でも最上位に位置づけできる。
『コールオブデューティー』が演出を重視しているとすれば、『キルゾーン2』は戦闘に特化している。

FPSは銃を持って戦うという性質上、どのゲームにおいても同じような状況ばっかりになってしまう。
前作の『キルゾーン』はFPSの王道を突き詰めた展開になっていたが、フレームレート不足に代表されるマシンスペックの限界が大きく評価を落としていた。
低いフレームレートの問題を反省した『キルゾーン2』はプラットホームをPS3に移し、ストレスのない快適なゲームへと生まれ変わった。
高い性能を持つ本体の性能はフレームレートの均一化などにも割り振られるべきである。
前作品の課題を解決したという意味でも『キルゾーン2』は評価できる。
もちろんPS3最高レベルのグラフィックスもそれだけで素晴らしい。
砂漠
この映像美を見よ
良いゲームを作るには過去に出た作品を参考にするのが手っ取り早い。
当たり前だが、いいとこ取りであれば良いものになりうるのである。
もちろん、どのように良いところを取るかによって良作とも駄作ともなり得る。

昨今のFPSブームでFPSが量産され続けた結果、FPSの善し悪しを測る基準(ハードル)はかなり高くなった。
その中で独自性を出すために、「普通のFPS」に取って付けたような要素をミックスし、あたかも斬新なFPSに見せて喧伝したゲームは数多い。
ほとんどのゲームが追加要素とFPSシステムが水と油だったり、ゲーム中で全く必要のなくて存在感が無かったりと、散々な結果に終わっている。
『キルゾーン2』は逆に、過去のゲームを徹底的に調べて自らを研ぎ澄ましている。
これ、言うのは簡単だが、実に難しい。
長期間の開発と豊富な資金がなければ、ありきたりのゲームになってしまうのだ。
『キルゾーン2』はPS3独占のキラーソフトとして多額の投資と十分な時間を使って作られた、非常に贅沢なゲームだ。
ある意味外すことのできないゲームだからこそ、過去の戦争物FPSの集大成のような作りにせざるを得なかったとは思う。
それでも期待以上のゲームに仕上がっている。
細かい
細かい点だがリロードモーションがかっこいい

戦闘の面白さ

『キルゾーン2』で最も優れているのは戦闘である。
難易度はややキツメに設定されている。
そしてプレイヤーはパニックに近い状況に置かれることが多い。
敵の不意撃ち、待ち伏せ、波状攻撃に悩まされる場面が多いのだ。
ただ、ここが『キルゾーン2』で優れているところなのだが、こういったきついシチュエーションの時間が短い。
例えば防衛する場面なら他のゲーム(コールオブデューティーを想像して欲しい)と比べると、敵の出方はゆっくりとしているし、出てくる総数も少ない。
ロケットランチャーで戦車(装甲車)を破壊しなければならない状況でも、結構あっさりと壊せたりする。
その一方で、狭い通路を進んでいくような通常の戦闘は結構難しい。
つまりきついシチュエーションは程々の難易度にしているのである。
だからプレイヤーに対しての不快感がうすい。
普通に考えると、ゲームのキャラがきつい状況に置かれる場面なら難易度を高くした方が臨場感は出ると思ってしまうが、『キルゾーン2』はあえて難易度を押さえてあるのだ。
とはいえゲーム中盤・後半のボス戦がやや難しくなっているのはマイナスだ。
待ち伏せ
普通の敵でもこういった待ち伏せをしていたりして、難しい
演出重視のゲームと言えば敵AIがお馬鹿というのがお約束なのだが、キルゾーン2は賢い。
特にプレイヤーと敵が対峙したときに自動的に遮蔽物を認識して、隠れる。
敵こちらを見つけると頭だけ出していたり、体の半分だけ出して交戦を行う。
しかも敵は放っておくとジリジリと近づいてくるのだから、かなり手強い。
定点で座っていただけの『FEAR2』とは大違いである。

しかし、なまじ賢い敵キャラが問題となる場面もある。
FPSでよく使われるのが『敵を殲滅することで次に行ける』という展開である。
全ての敵を倒せばイベントが進行し、次に行くことができる。
ところが『キルゾーン2』では敵がチョコマカ動くので、時折変な場所で立ち往生することがあるのだ。
そうなると敵が出てくるのを長い間待つか、リスタートしなければならない。
テンポが非常に悪くなっている。
死闘
死闘

些細な欠点

『キルゾーン2』の欠点はゲーム自体のバランスよりも、その周辺に集中している。
次に進むべき場所が分かりにくかったり、バグで進行できなくなったりする不具合が目立つ。
バグはきちんとつぶせていない時点で大きな欠点である。
それよりも私は次に進むルートの分かりにくさが気になった。
言葉に表しにくくて申し訳ないのだが、進行するための場所を表示する機能を使っても迷う場面が多々あったのである。
割とFPSに慣れている私でさえこんなのだから、人にとっては迷いまくりに違いない。

照準をあわせる操作が若干もたついているのも慣れてしまえばどうってことはないが、かなりの違和感がある。
相変わらず『キルゾーン2』は前作のように、ゲーム自体の水準は高いものの、他の部分で損をしている。

『キルゾーン2』の黒を基調としたグラフィックスは、硝煙のにおいや砂漠の砂のざらつきまでも表現しているかのようなレベルにある。
極限の状態を魅せるという意味では、独特の暗い世界は見事にはまっている。
『キルゾーン2』は男臭い仲間達と汗水垂らして戦場をくぐり抜け、愚痴をこぼしあう、パワフルなゲームと言えるだろう。
硬派なキャラクター、世界、ゲームバランスと典型的な『洋ゲー』ではあるが、これぞアメリカンなオトコのためのFPSだ。
全体的に難易度が高めであるので、FPSに慣れたプレイヤー向けと言えるだろう。
固定砲台を操るシーンもあります

まとめ

スクリプトを多用するFPSの中では面白い部類のゲーム。
素晴らしいグラフィックがゲームの雰囲気を上手く作り出しており、ただ映像が綺麗なだけにはなっていない。
とくに戦闘が面白いのだが、難易度がそれなりに高く、ステレオタイプな洋ゲーを体現しているので人を選ぶ。
FPS好きな人には触れて貰いたいタイトルだ。
『キルゾーン2』のイメージは『FEAR2』を一回りも二回りも上を行く用に作り替えた感じである。

72点

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