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バイオハザードリベレーションズ アンベールドエディション


ジャンル:アクション
機種:PS3
発売年:2013年
開発会社:トーセ カプコン

公式サイト

レビュー2015年6月

紹介

『バイオハザードリベレーションズ アンベールドエディション』(以下『バイオハザード リベレーションズ』)は2013年に発売されたビデオゲームである。
製作販売はトーセとカプコンが行っている。
もともとニンテンドーDS向けに発売された『バイオハザードリベレーションズ』をPS3、XBOX360、WiiU、PC向けに再調整しグラフィックの質を上げたものである。
DS向けのゲームを移植したため、広いマップが少なく、音のクオリティが低く、グラフィックもそれなりの程度になっている。

『バイオハザード リベレーションズ』の特徴は以下の三点にある。
一つ目は原点回帰というキーワードである。
バイオハザードシリーズは進むにつれて恐怖を味わうホラー色が薄まり、敵を倒していくシューターへと変貌していった。
平行するように、旧来からのホラーゲームとしてのバイオハザードを望むファンにとっては新作のウケが悪くなっていった。
そこでホラー色を打ち出して原点回帰を謳ったのである。
舞台は豪華客船の中だ
二つ目の特徴はキャンペーンモードとレイドモードの分離である。
キャンペーンモードとは展開される物語を追いながら敵を倒したり謎解きをしたりする一般的なゲームモードだ。
レイドモードとは本編を再構成し、敵を殲滅するミニミッションを寄せ集めたモードである。
キャンペーンモードよりも敵が強くなっており、手応えのある戦いを味わえる。
いわばクリア後に『バイオハザード リベレーションズ』の操作を思う存分楽しむためのモードだ。

三つ目の特徴は演出にある。
まるで海外ドラマのように「これまでのまとめ」や「今後の展開」がショートムービーという形で適宜挿入されている。
それまでのバイオハザードシリーズには見られなかった手法と言える。
モンスターがウジャウジャいる

レビュー

お手軽バイオハザードだが詰めが甘い

キャンペーンモードとレイドモードの分離

何故にキャンペーンモードとレイドモードは分離したのだろうか?
その理由は『バイオハザード4』に遡る。
『バイオハザード4』は初めてTPS視点を採用したバイオハザードシリーズであり、マンネリ化するシリーズと打破し新たな楽しさを提示した。
ここでいう新たな楽しさとは「敵を倒す楽しさ」である。
TPSだけでなく、シューターというものは「敵を銃で狙って倒すだけで楽しい」ものである。
狙う快感、当たる快感、敵が破壊される快感。反射神経とカタルシスの両方がミックスされたジャンルならではの楽しさがある。
バイオハザードシリーズは『4』によって以上のような面白さを獲得する。
ホラーをウリにしていたバイオハザードシリーズには「ホラー」「戦闘(TPS)」の両方の要素が混在するようになったのだ。

こうして『バイオハザード リベレーションズ』においてキャンペーンモードは「ホラー」、レイドモードは「戦闘(TPS)」の面白さをプレイヤーに伝えるべく、二つに分離されたと言えるだろう。
レイドモードの映像だ

分離するメリット

しかもただ分離するだけではない。
分離することによって生まれるメリットがあるのだ。

バイオハザードで重要なのはサバイバル感のある恐怖表現である。
このサバイバル感を出すためには色々な手法があるが、『バイオハザード リベレーションズ』においてはHP回復の厳しさと弾薬の制限に端的な現れを見いだせる。
心細くなるようなほど数が少ないアイテムを所持し、敵を倒していくサバイバルな感じが重要だ。
ところがサバイバル感を出すためのバランス取りは極めて難しい。
弾薬が多くなればなくなってしまうし、少なくなりすぎればクリア不可能になるからだ。
だからこそモードを分離することによって、キャンペーンモードはキャンペーンモードで敵を倒す快感を犠牲にしてでもサバイバルを重視するバランス取りを目指せるメリットがあるのだ
犠牲にされた敵を倒す快感はレイドモードに求めればよい。

と述べてきたメリットはゲームの終盤まで上手く機能している。
しかし最終盤ともなれば弾薬は豊富になってしまうのだが。
色々な敵が待ち構えている

キャンペーンモードに恐怖はあるか?

ではプレイヤーに恐怖を感じさせる仕掛けはキャンペーンモードで機能しているだろうか?
これについては、序盤こそ薄暗い雰囲気の中敵がどこから現れるのか分からない恐ろしさがあるものの、中盤からはただ敵が出てくるだけになってしまうと言える。

『バイオハザード リベレーションズ』に限らずホラーゲームは序盤こそ素晴らしい。
なぜならば、しばらくすると演出になれきってしまって恐怖のきの字も感じなくなってしまうからだ。
慣れきってしまうと恐怖ではなくウンザリとした倦怠感へと変り、そして最終的には定型的な恐怖表現に笑いが生まれてしまうのである。

サバイバル感と薄気味悪さは最終盤まで持続するため、バイオハザードらしさはあると言える。
しかし、バイオハザードの枠を飛び出すようなびっくりするほどの仕掛けがあるわけではない
シリーズお馴染みのクリス

詰めの甘さ

『バイオハザード リベレーションズ』はいかにもバイオっぽいバイオである。
その理由はサバイバル感・薄気味悪さ・終盤からのホラー軽視に見出すことができる。
ある意味、バイオハザードの文法に沿うように作り上げられたゲームと言えるだろう。
だから目新しいところが少ない。

目新しさがないので、詰めの甘さがいくつか気になる。
まずは二人で進む意味を見いだせない点を指摘できよう。
プレイヤーとそのパートナーが幽霊船を探索する。そのコンセプトは良いとしても何故二人なのか最後までハッキリとした必然性がない。
ストーリー上にも、システム上でも、二人になっている意味が殆どない。

また、中盤からはただのシューターになってしまう点も詰めの甘さである。
最後までサバイバル感たっぷりのゲームになぜしないのだろうか?
せっかくレイドモードがあるのにサバイバルモードとしてのキャンペーンモードになっていないのだ。

終盤にいたっては同じような場面が連続し、何時になったら終わるのか分からないほど話が間延びするのも欠点だ。 そして海外ドラマのような演出はただ浮いているだけで無駄としか言いようがない。
あってもなくても変わらない、その程度でしかない。
狙って打て!

レイドモードとバイオハザードのこれから

レイドモードはバイオハザードシリーズがシューターとしても面白い部類であることを伝えてくれる。
滑らかな操作、やや鈍重なキャラクターの動き、それが組み合わさることで敵に対する嫌悪感を嫌が応にも感じさせるデザインは白眉である。
しかしレイドモードで思う存分遊ばせてしまうとバイオハザードに飽きやしないだろうか?
或いはレイドモードと同じようなマーセナリーズモードが搭載されているバイオハザード本編シリーズでも同じことになりやしないか。
こうして飽きてしまったプレイヤーを楽しませるにはどうすればいいのだろうか。
そこで重要になってくるのがキャンペーンモードである。
キャンペーンモードこそ、戦闘に特化しないでその他の要素を楽しませるように作られるべきなのだ
『バイオハザード6』は豪奢な演出、『バイオハザード リベレーションズ2』は恐怖と組み合わされた変化球的な操作でそれを実現している。
だが、これら二つのゲームよりも前に発売された『バイオハザード リベレーションズ』はどちらでもない中途半端さに満ちあふれているのだ。
戦闘重視だと凡百のTPSとなってしまう

まとめ

バイオハザードが積み上げてきた文法を丁寧に積み上げてできたゲームである。
細部に詰めの甘さは残るものの、あからさまな欠点のないサバイバルシューターだと思えばそれも許容できよう。

65点

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