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プリンスオブペルシャ 二つの魂


ジャンル:アクション
機種:PS2
発売年:2006年
開発会社:Ubisoft Montreal

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2009年6月 最終更新日2011年3月

紹介

第2世代プリンスオブペルシャシリーズの三作目、そして完結編ともなるのが本作『プリンスオブペルシャ 二つの魂』(以下 二つの魂とする)だ。
制作は引き続きUbisoft Montreal、販売はUbisoftが行っている。
評価はシリーズのファンが買っていることもあってか高い。
三部作の最終作なので、『二つの魂』をやる前に前々作(時間の砂)と前作(ケンシノココロ)をやっておくことをおすすめする。
続編の宿命として操作が煩雑になっているだけでなく、ストーリーも繋がりがあるからだ。

海外では様々な機種で発売されているが、日本ではPS2版だけ発売されている。
廉価版が発売されていないために出荷数が少なく、手に入れたいのならばネット通販を利用したほうが良い。
海外版でかまわないのならば、PC向けに三部作をまとめた『Prince Of Persia Sands of Time Trilogy』や、PS3向けに三部作をまとめてHD化した『Prince of Persia Trilogy HD』が発売されている。
スピードキル!
今作も主人公は「プリンス」だ
第2世代プリンスオブペルシャシリーズ最大の特徴は、ボタン1つでできる様々なアクションである。
そのアクションを駆使して、体が縮こまるような高所やノコギリなどのトラップをくぐり抜けていく。
こうしてマップを進むときに、反射神経や動体視力はあまり必要とされておらず、アクションゲームらしからぬ作りになっているのが興味深い。
どちらかというとアドベンチャーゲームに近いと言えるのだ。
なぜならPS2世代のプリンスオブペルシャシリーズでは、 様々なアクションを駆使できる場所がマップのどこかに設けられており、 プレイヤーはその場所を探して適当なボタンを押しながら先に進むことになるからだ。
つまり落ち着いて先に進むべき道を探し、ボタンをテンポ良く押していくのが、プリンスオブペルシャ三部作のアクションだと言えるだろう。
他のゲームには見られない魅力である。

戦闘については他のアクションゲームとあまり変わらない。
敵の攻撃をガードし、避けて、攻撃を加えるだけであまり面白みがない。
塔を登る
この場所ならジャンプをして上へ行こう
『二つの魂』ではシリーズの味とは逆の場面に出くわすことがある。
それが「ダークプリンスへの変身」だ。
主人公「プリンス」(こういう名前です)の心には闇が巣くっており、時折表に出てくるとダークプリンスへ変身してしまう。
ダークプリンスへ変身すると強力な攻撃を扱えるようになり、敵を簡単になぎ払うことができる。

しかし生身状態よりも豊富なアクションを使えるようになるので、ゲーム側で用意される仕掛けは複雑になっている。
そして敵を倒さないと体力が継続的に減るため、体力をよく考えながら進まなければならないという難しさも生まれてくる。
簡単に言うと、ダークプリンスという限られた時間を利用してパッパッと進む場面がアクセントとして用意されているのだ。
ちなみに変身する場面は決まっていて、いつでも変身できるというわけではない。

三部作は初代『時間の砂』が謎解き中心、『プリンスオブペルシャ』は一発死の緊張感、本作『二つの魂』は総括としてどれも満遍なくちりばめられている。
『二つの魂』にはこれといって斬新な要素がないとも言えるだろう。

このゲームを始めて間もないころはルート探しに時間ばかりかかって面白くないかもしれないが、やっていくうちにコツがすぐにつかめて面白くなる。
決して難しい操作は要求されないし、ルート探しも少し時間をかければ分かるように綿密に設計されている。
さすがに二つの魂は三部作の最終作でもあるので、非常に洗練されていて親切だと思う。
ダークプリンス
これがダークプリンスだ

レビュー

完成度は高く新規要素も多分に含まれているが、それでもシリーズの根本的な欠点を抱えている

プリンスオブペルシャシリーズの欠点

プリンスオブペルシャ三部作シリーズの欠点は大まかに言うと二つあると思う。
「戦闘が面白くないこと」、次に「ルートが一本道であること」だ。
二つの魂では解決策のようなものを用意してはいるが、残念なことに根本的な欠点は消えていない。

戦闘のくだらなさに『二つの魂』が示した解決方法は、「スピードキル」という要素の追加である。
スピードキルとは敵の背後から近寄って、一撃必殺をする技のことだ。
成功すると、他の敵に気づかれることなく敵を始末できる。
多数の敵を相手にスピードキルを連続して発動させることができれば、何人もの敵をあっという間に始末できるという優れた技である。

だがスピードキルは成功するための条件が結構シビアだ。
スピードキル中は画面に現れる合図に合わせてタイミング良くボタンを押さなければならない。
実はタイミングがやたらとシビアでなかなか成功させにくい。
スピードキルに失敗すると周りにいる敵が警戒モードに移ってしまい、同じ敵には二度とスピードキルを発生させられなくなる。

警戒モードに入ると後は普通の戦闘へ移行してしまう。
ところが、戦闘は実に面白くない。
敵が異常に固いため、まともに戦っているとこちらのHPがジリジリと減っていく。
そして読み合いが全くなくて、ひたすら攻撃をするかガードをするかだけなので単調極まりない。

一応、このシリーズでは一部の敵以外は無視して進めることができる。
「敵がいやなら逃げてよ」ということなのだ。
というか、二つの魂ではスピードキルに失敗したら敵から逃げるというのが開発側から用意された正解だと私は考えている。
的が警戒モードに移行してしまったら、逃げた方が時間も主人公の体力も節約になるのだ。
戦闘
戦闘の様子
プリンスオブペルシャシリーズ二つ目の欠点は一本道のゲームデザインにある。
場合によっては一本道であっても良い、と私は考えている。
三部作ともに「自由度を減らしてでもキャラクターの動きやルート発見の面白さを指向する」デザインのゲームだと考えれば、そういうのもあっていいのだ。

ところが『二つの魂』では前々作や前作までの謎解きや一発死の緊張感が失われたため、かなり見劣りしてしまっている。
三部作の一作目(時間の砂)は謎解きが重視されたアドベンチャーゲームらしさ溢れる作りで、二作目(ケンシノココロ)は凶悪なトラップが多いアクションゲームだった。
最終作の二つの魂はどちらの要素も含まれているものの、あまり濃くはない。
『二つの魂』で重視されているのは「移動」である。
クリアしてみると、頭をひねるような謎解きやシビアな移動で困ったことは少なく、先へ進むためのルート探しをしているイメージが殆どだ。
もちろんプリンスオブペルシャ独自の、ルート探しの面白さというのはある。
一見するとどう行けば分からないところを時間をかけて観察し、ボタン1つで主人公をアクロバティックに操る面白さ。
それはシリーズ通して変わるところのない良い点だ。
しかし移動するだけとなったらそれは面白いのだろうか。

有名なゲームの続編は制作されるごとに洗練されていき、厄介な要素はどんどん排除される。
ところが厄介な要素が異常なくらいに取っ払われてしまうと、今度は中身スカスカのスポンジになってしまうのだ。
私は二つの魂をクリアして面白かったと満足感を感じていたのにも関わらず、二度とやりたくないと思ってしまった。
ゲームとして大事な達成感や手応えが前作までと比べて大きく失われていたのだ。
確かに一本道ゲームは2週目をやりたいかどうか思わせることが非常に難しいとは思う。
それでも、一作目の『時間の砂』に衝撃を受けたファンとしては、今作『二つの魂』は想定内の面白さにとどまっていると思う。
トラップ
こういう場面が非常に少なくなっている

続編としての立ち位置

シリーズもののゲームは、新規要素を追加して継続的に買ってもらうユーザーを楽しませるように作られていることは多い。
二つの魂でも様々な要素が追加されている。
その中でもひときわ目立つのはダークプリンスへの変身だ。
ダークプリンスに変身することで、ゲームの進め方が変身前とかなり変わる。
比較的ゆっくり進行できる変身前と違い、減少する体力や嫌らしいトラップに気を使う緊張したゲームになるのだ。

『二つの魂』で最も面白いのはダークプリンスを操っている場面である。
進行するだけの生身状態と違い、限られた時間を意識しつつ難しいトラップをくぐり抜けていくのは、変身前のゲームで顕著だった緊張感の欠如という欠点をうまく解消している。
だが問題があるとすれば、やはり変身時間の短さである。
そして返信できる場面はゲーム側であらかじめ決められている。
変身をしていない状態をメインとすれば、ダークプリンスを操る場面はあくまでも副次的なのだ。
もちろん変身していない場面があればこそ、変身後の面白さが際だっていると考えることもできる。

しかし、ダークプリンスへの変身は最初のうちは緊張感はあるが、ある程度慣れてくるとセオリーのようなものが分かり、緊張感が無くなってしまう。
体力を回復する場所がかなり設けられているのに気づくからだ。
そうなってはダークプリンスの楽しさと引き換えにただでさえプレイ時間が長い生身状態の味気なさは気になっていたのに、楽しい場面だったダークプリンスまでも同じ印象を抱いてしまう。
セオリーが分かりきってしまうゲーム後半は若干、消化試合気味だ。
ダークプリンス鎖
ダークプリンスの鎖アクション
『二つの魂』は細かいところを抜きにして考えるとサービス精神が旺盛で、非常に親切なゲームだ。
私がこれまでチクチク指摘したのは、毎年発売し続けた三部作の最終作でシリーズの弱点が解消されていなかったからだ。
開発者は分かっていながら敢えてやってるのかもしれないが。
まあそんなことは置いておいて、ゲームの緩急の付け方やプレイヤーへの優しさは『二つの魂』が最も優れている

まず変身前と変身後でゲームプレイが変化し、プレイヤーを飽きさせないようにしている。
これは前の段落で述べたことだから分かるだろう。
そして何よりもゲーム全体を見ると同じ場面が継続して使用されていない。
城の中を進んでいると思ったら次は街の中を、そして次は洞窟の中を、といったように適度な配分で場面が変化する。
適度な場面でボス戦や戦闘馬車(チャリオット)が組み込まれ、イベントムービーが流れるムービーパートではストーリーが展開する。
セーブポイント兼体力回復ポイントも一息つきたいところに置いてある。
こうした遊んでもらうための仕掛けがしっかりしているのが、二つの魂なのだ。

ストーリーもきちんと複線を改修し、まとめているのも高評価だ。
三部作で1つの作品に仕上がっている。
何度も繰り返すが、私は三部作を続けてやっているので、厳しい口調が多くなっている。
続編ということを差し引いても、『二つの魂』はよくできたゲームである。
チャリオット
チャリオットに乗って街を駆け抜けろ!
複雑に作られたマップをボタン1つで縦横無尽に進んでいくプリンスオブペルシャ三部作の面白さは健在だ。
確かに既に述べたように緊張感のあるマップ構成は影を潜めているが、かえって移動の面白さが増したとも考えられる。
それまでのシリーズにあるような嫌らしい仕掛けはなくなり、ある程度考えれば解決するトラップや謎解き場面が多い。
少しだけ頭をひねれば解決するパズルがものすごく大量に用意されているのだ。
つまりプレイヤーにあまり負担をかけることなく、パズルを解く達成感や面白さをたくさん与えている。
そうしてプレイヤーの操る「プリンス」は見るも鮮やかで豊かな動きを見せてくれる。
プリンスのモーションは数え切れないほど多く、そして非常になめらかだ。
しかもこのような躍動感のある超人的な動きを、簡単な操作で行うことができる。

洋ゲーというと厳密なゲームというイメージはあるかもしれないが、二つの魂はやることが非常に簡素化されている。
アクションのシビアさはほどほどにアドベンチャー要素が重視されているので、アクションアドベンチャーという言葉が似合うと思っている。
二つの魂は非常に親切で気軽なゲームなのだ。

高い!
身もすくむような高さの場所を進む

まとめ

慣れるまではつらいが、一旦慣れると流麗なアクションを次々と決められるアクションゲーム。
三部作完結編と言うだけあって、シリーズをやり続けたプレイヤーへも魅力的な新規要素が組み込まれている。
ただ戦闘が全く面白くないのと一度やればおなかいっぱいになるという欠点は、解決していない。
難しい場面は少なくて、まとまった時間があれば一気にクリアすることができる。
シリーズ未経験者はいきなりこれをやるのではなく一作目の『時間の砂』からやり始めよう。

66点

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