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MAX PAYNE(マックス ペイン)


ジャンル:アクション
機種:PS2
発売年:2003年
開発会社:Remedy Entertainment、Rockstar Games

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2009年3月 最終更新日2011年3月

紹介

『MAX PAYNE(マックス ペイン)』はハードボイルドな雰囲気が特徴のTPS風アクションゲームである。
海外ではPC、XBOX、PS2向けに発売され、日本ではPC(中身は英語版)とPS2版が発売されている。
元々PC版を優先させて作ってあるので、他の機種への移植はPC版開発とは違う会社が担当している。
PC版の開発はRemedy Entertainment、PS2版を含めたゲーム機版の開発はRockstar Gamesが行っており、日本でのPS2版はEAが販売をしている。
もともとPC向けに作られたゲームをPS2に移植しているので操作性が悪かったりフレームレートが安定しない問題がある。
一応ゲーム機向けの調整は行われているが、『マックス ペイン』本来の面白さをそのまま味わうことは出来ていないかもしれない。(私はPC版を未経験)

『マックス ペイン』のPC版は製作期間に4年以上かかっている。
おそらく殆どの期間がゲームエンジン構築に費やされたと思われる。
評価は上々で売り上げも結構良く、続編も作られている(ただし日本では未発売)。

本稿で紹介するPS2版は廉価版こそ発売されていないものの、入手は比較的容易である。
中古はかなり安い価格でたたき売られている。
マックスペインは三人称視点のアクションシューティングゲームだ
『マックス ペイン』の特徴は「ハードボイルドなストーリー」と「バレットタイム使用による銃撃の格好良さ」の二点である。

ストーリーは、短いチャプターをクリアするごとにアメコミ風の朗読劇が挿入される形で展開されている。
その朗読はただ単に物事を描写していくものではなくて、主人公である”マックスペイン”がハードボイルドに皮肉めいた自己描写をしている。
ハードボイルドな雰囲気は最初から最後まで一貫しており、ゲームとは逸脱するお遊び要素のようなものはない。
レーティングが18歳以上となっていることから想像されるとおり、暴力描写や麻薬描写の比重が他のゲームと比べても大きい。
一応敵キャラクターの会話やマップに配置された小道具からはジョークのようなものが感じ取れるが、ゲームのアクセントとして使われている程度だ。
数多くの敵を銃でガンガンなぎ倒していく主人公にとっては明るい雰囲気など無縁、というところが洋物ゲームらしいと言えるのではないだろうか。
横っ飛び
『マックス ペイン』最大の見せ所は「バレットタイムコンボモード」である。
バレットタイムを利用したゲームといえば『マックス ペイン』と言われるぐらいに、『マックス ペイン』のバレットタイムモードは有名である。

一言でバレットタイムモードと言っても具体的には二つある。
ゲーム中ではたまーに敵を倒した瞬間にスローモーになりカメラが敵の周りをグルグル回転する場合と、自分でゲームのスピードを落とすバレットタイムを発動し横っ飛びなどを駆使して敵を倒す場合だ。
この描写はよく言われているように映画『マトリックス』で使われて有名になっているほか、映画監督のジョン・ウーが多用する表現の一つとしても知られている。
映画の中で俳優がかっこよくキメているのを見るのとは違い、自分が起こしたアクションが引き金となって演出が行われるというのはゲームならではの表現である。
バレットタイムモードは敵の銃弾をくぐり抜け、いかにして敵を格好良く倒せて魅せるか、をまざまざと見せつけてくれる。
だからこそ銃を扱うゲームにしては珍しいTPS視点(三人称視点シューティングゲーム)を採用しているのだ。

PS2版は敵に銃口が自然と向く自動照準機能が標準装備されている。
コントローラー銃の照準を敵にあわせることが非常にやり辛いからだ。
幸か不幸か、自動照準によってアクションゲームらしさが際だっている。
シューターを期待して買うよりもアクションを期待して買った方が良いだろう。
かと言って敵に近づいて近接攻撃をするゲームでははない(できることはできる)

レビュー

起伏がないゲームだがバレットタイムモードは面白い

格好良さを演出するバレットタイムモード

『マックス ペイン』はバレットタイムモードを効果的に扱っているゲームである。
一定時間スローモー状態にする効果は、別に『マックス ペイン』専売の要素ではない。
他のゲームでもバレットタイムモードを時たま見かける。
ところが凡百のゲームではスローモーを発動する面白さがない。
敵を倒すためにスローモーションモードが用意されていることが多いのだ。
『マックス ペイン』の場合は、スローモーを効果的に使わないとクリア難しいバランスに作られており、更にはスローモーションのときだけに行えるカッコイイアクションも用意されている。
つまりバレットタイムモードで始まりバレットタイムモードにはじめるのが『マックス ペイン』である
これがコミック調のストーリー展開
「映画のよう」という使い古された言葉がある。
『マックス ペイン』は本当に映画的なゲームを目指して作られたと言える。
バレットタイム発動による格好良さの追求を適度に織り交ぜているからだ。
このとき、映画のような展開をなぞるような映像作品ではないことに注意してほしい。
『マックス ペイン』では、プレイヤーが自らの手でバレットタイムモードを使って映画的な演出を作るのだ。

つまりゲームならではの、自分が干渉できる世界をバレットタイムの再現で実現している。
映画のアクション部分を自分で好きなように作れるゲームと言えばもっとわかりやすいだろうか。
二丁拳銃を持った渋いキャラが横っ飛びや背面ジャンプを駆使しながら、敵をどうやって倒してやろうか考えるのが楽しい。
静止画だとブラーがかかっていて見にくい
というか、どのようにして敵を倒そうかと考えないと最後までモチベーションが上がらない
戦闘はコレといって面白い要素がないし、時折挿入される謎解きはアクセントにしかなっていなく、ストーリーは平坦だ。
バレットタイムモードがなければただ単に銃をぶっ放すだけのゲームになってしまうところだった。

しかもPS2版は自動照準機能がついている。
戦闘に関してはただ適当にぶっ放すだけでも、終盤を除いて苦労することが殆どない。
本来ならば、効果的にバレットタイムモードを使用することで、敵に攻撃を当てやすくて攻撃を回避しやすくなれたはずだった。
PS2版の『マックス ペイン』が「まがい物」に近いのではないか、と私が考える理由はここにある。

確かにコントローラーで照準をあわせることはむちゃくちゃ難しいので、ある程度の補正は不可欠である。
ところが『マックス ペイン』では完全にロックされるので、敵を狙わなくても良いという弊害も起きてしまっている。
一方で見方を変えてみると、「バレットタイムモードを好きなだけ使ってください」という開発者からのメッセージなのかもしれない。
あくまでもアクションゲームとして

雰囲気はいいが、内容は残念なストーリー

既に触れているように、ハードボイルドなストーリーはただの付加要素に過ぎない。
なぜならストーリーは導入部の出来こそ素晴らしいものの、中盤からは盛り上がり不足で先を見たくさせるものではないからだ。
アクションゲームのストーリーなんてそんなものが普通なので敢えてダメ出しはしておかないが、全体的に流れるハードボイルドな空気で最後まで無理やり押し切っている感がある。
終盤に主人公の精神世界が犯されていく場面はくどすぎる。
ひたすら主人公の狂った精神世界を描かれても、遊ぶ側としては困る。

一方でビジュアルノベル中心のストーリー展開は非常に面白いと言える。
主人公が独特の言い回しで自分の置かれている状態や目の前で起こることを冷静に語っている。
一貫して主人公はハードボイルドを貫いていている。

話にはきちんとオチが作られている。
確かに非常に良くまとまっていて雰囲気は良いものの、盛り上がりに欠けるのでストーリーはいまいち魅力的ではない。
後ろ跳び

PS2版は劣化移植

最後にPC版に比べてPS2版の世間一般の評価が極端に低くなっている理由について話しておこう。
最大の欠点は安定しないフレームレートと無駄に長いロード、PS2向けに調整していないステージ構成の数々といった、PC版を無理矢理PS2に持ってきたような点である。
言い換えるとリードプラットホームにあわせて他のゲーム機に移植したために、クオリティの著しい低下を招いてしまっている
これはPS2の性能不足もあるのだろうが、むしろPS2には専門の開発チームを設けて独自の調整を行えば解決する問題である。
事実このレビューを書いている2009年現在、PC・PS3・XBOX360のマルチタイトルは年々増えてきているが、各ゲーム機でのゲームプレイ感覚に差異は殆ど無い。
PS2が中心だった世代のゲーム機は、それぞれのゲーム機にむけて丁寧に移植されることはあまり一般的ではなかった。
中心となる機種はメインチームが作り他の機種へは二軍以下のチームが作ることが多かった。
『マックス ペイン』で言えばPC版がリードプラットホームで、PS2やXBOX版はただのオマケである。

つまり未調整のまま移植されてしまった部分が多くあるのがPS2版『マックス ペイン』なのだ
フレームレートの低下などの要素が、不必要にゲームの難易度を上げているのは大問題である。
ロード時間の長さも相まって、プレイすれば非常に大きなストレスがかかってしまう。
元々が割とまともなゲームであっても、これでは低評価をつけざるをえない。
その男は憎しみを装填する

まとめ

バレットタイムを利用して敵を倒して行くのを楽しむゲーム。
アクション部分は特別面白くもないのでバレットタイムを駆使して自分から楽しみを作っていく必要がある。
ストーリーは平凡だが、ハードボイルドな雰囲気とコミック調のストーリー仕立ては他のゲームには見られない斬新な手法である。
あと難易度が微妙に高く、暴力表現も多いので人を選ぶ要素が多い。
PS2版の出来は正直言ってあまり良くない。

54点

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