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ブロークン ソード 眠れる竜の伝説


ジャンル:アドベンチャー
機種:PS2
発売年:2004年
開発会社:Revolution Sonftware

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2009年5月 最終更新日2011年3月

紹介

『ブロークン・ソード 眠れる竜の伝説』はイギリスのRevolution Sonftwareが開発、日本ではマーベラスインタラクティブがローカライズを行ったアドベンチャーゲームである。
ブロークンソードは『眠れる竜の伝説』を含めて4作品とリメイク1つが出ている。
ただし日本向けにローカライズされているのは本作だけである
シリーズ化されてることからも分かるように、シリーズ自体は欧州では根強い人気がある。
ちなみにシリーズで最も評価が高いのは『眠れる竜の伝説』だ。

一作だけのローカライズということもあって、日本ではあまり売れなかったようだ。
価格は安いものの出荷本数は少なくて見つけるのが難しいかもしれない。
主人公 ジョージ
主人公は二人いる。こちらがジョージ。
ゲーム画面を見てもらうとアクションゲームっぽいが、『眠れる竜の伝説』においてアクション要素はほとんど無い。
何かアクションをとれる場合は、特定のボタン(コントローラーの右側にある○△□×のこと)を画面表示に応じて押せば、自動的にアクションをする。
難しい操作は必要とされていない。
したがって、『眠れる竜の伝説』は純粋なアドベンチャーゲームだ。

とはいえ海外のアドベンチャーゲームらしい難しさはある。
全体的にヒントが少ないので、気づかなければ一生気づかないような些細なことで何十分・何時間も詰まる可能性がある。
試行錯誤して謎解きを楽しめるかどうかが『眠れる竜の伝説』を楽しめるかどうかの分かれ道になりそうだ。
ただ、攻略情報は探せばすぐに見つかるので、どうしても攻略できなくなってしまったときの救済はある。
むしろ数十分考えて分からなければ攻略情報や攻略ヒントを見てさっさと進めてしまった方が健全に楽しめるだろう。
その理由は魅力的な登場人物にある。
ニコ
もうひとりの主人公ニコ。
登場人物のノリは非常に軽い
他のゲームであればシリアスな場面になるようなところでも、お気楽なジョークや発言が飛び出すこともしばしば。
そしてアドベンチャーゲームっぽい質疑応答場面や、アイテムの説明をする場面では、ユーモアのある文章が散りばめられている。
ストーリーは唐突な展開が多く、前作との兼ね合いもあって若干説明不足だが、そのかわりキャラクターの面白さでプレイヤーをグイグイ引っ張っていく。
クリアまでの時間は謎解きに時間がかからなければ十時間程度だ。
アドベンチャーゲームの常として、短い期間に一気にやらなくては勿体ない。
古代遺跡を探索する、古代の謎を解くといった場面もあり、お手軽「インディジョーンズ」ともいうべきゲームだ。
最後の方の場面
こんなことを平然と言ってのける登場人物たち。

レビュー

ところどころに欠点はあるが、悪くはない

『眠れる竜の伝説』の難しさをどのように考えるか

最初にこのゲームの欠点を述べてしまおう。
それはどこの誰でも指摘している「謎解きの難しさ」と、「唐突なストーリー」、「ロードの長さ」だ。
どれもゲームの面白さを大きく損なうような欠点ではないが、『眠れる竜の伝説』は全体的に出来のよいゲームなので欠点として浮かび上がってくる。

特に私が書いておかなければならないと思っていることがは、「謎解きの難しさ」である。
アドベンチャーゲームにおける謎解きの難しさを構成する要素は、主に三つある。
一つ目は場当たり的なもので解決できるかどうか。
二つ目は発想の転換が必要か
三つ目は次に何をすればよいのかの指示があるかないかである。

「場当たり的なもので解決できる」問題の場合、時間を掛けてしらみつぶしをすれば誰でも解決できる。
例えばフラグ立てを考えてみると手っ取り早い。
フラグ立てとは、特定のキャラクターと会話をしてフラグが立ち新たなイベントを発生することの総称である。
これは上記の通り、ひたすら時間をかければ解決するために、プレイヤーの不満にはつながりにくい。
問題は残り二つの謎解きだ。
絵が描かれた床
簡単な謎解きともいうべきもの
発想の転換が必要だったり、指示不足(ヒント不足)で難易度が高くなると、プレイヤーには不満が出てくる。
『眠れる竜の伝説』はこの二つの謎解きがところどころに散りばめられており、不満を感じるかもしれない。


ところで謎解きを除いたゲーム自体は割と親切だ。
イベントが起こるオブジェクトの前に立てば画面が白く点滅するし、強制的にゲームオーバーとなる場面では何度でも直前からリトライできる。
どこでもセーブできる一方でロード時間は長いが、メニュー画面のレスポンス良好だ。
ということで謎解きの不親切さが際だって見えてくる。

しかしここでアドベンチャーゲーム観の相違が浮かび上がってくる。
アドベンチャーゲームの面白さは、ある程度の不親切さや理不尽さを克服することにあるという考えだ。
この考えによれば、そもそもストーリーを楽しむだけなら小説や映画を見れば良いという話につながっていく。
そして自分で試行錯誤して答えを出し、その答えを元に物語が進んでいくことが「ビデオゲームらしさ」であるという結論になる。
もちろん私はこの手の考えを否定する気はない。
しかし私は、自らの力でゲームを進める双方向性の快感(インタラクティブ性)は難しさだけから生まれるものではない、と指摘したい。
達成感を感じさせるには難しさは必ずしも必要ではない。
私は極端に難しい謎解きは不要だと考えている。
ワイン棚
この謎解きには苦労した。

アクションゲームっぽい面白さをアドベンチャー的に表現している

『眠れる竜の伝説』はアクションゲームみたいな動きを、割り当てられたボタンで擬似的にする場面が多い。
要するにボタン操作が簡単な疑似アクションゲームとも言うべきシーンだ。
簡単な操作で色々なシーンを演出する。
ここに『眠れる竜の伝説』の面白さがある。

したがって、不親切で難しい謎解きが実に惜しい。
もう少しだけ丁寧にヒントを用意すればプレイヤーにストレスを与えることなく、達成感を継続的に与えられたのではないかと思う。

とはいえ、今では日本にも海外にも攻略サイトがある。
ある程度考えて分からなければさっさと答え(ヒント)を調べて進めることができる。
というか無駄に時間を使ってもイライラするだけなので、難しい謎解きは答えをすぐに見たほうが気分が良い。
トイレ
おばさんに見つからないように進むには・・?

魅力的なキャラクター

魅力的なキャラクターと適度なアドベンチャーゲーム感が『眠れる竜の伝説』の面白さである。
適度なアドベンチャーゲーム感の良さはさっきからさんざん述べたので、キャラクターについて触れる。
とにかく、キャラクターごとに個性がハッキリしており、不快感を与えるような人物はいない。
一部の悪役を除いて、いわば誰もが愛すべきキャラクターなのだ。
彼らの正確は喜劇的(非現実的)になりすぎず、それでいて現実的にもなっていない。
特に主人公の発言は魅力的だと思う。
道端の人と話したり、オブジェクトを調べてユーモア溢れる発言を聞くだけでも面白い。

ちなみに主人公が二人いて、ゲーム中では交互に動かすことになる。
あまりザッピングすることもなかったので企画倒れと言えるだろう。
それとグラフィックはPS2としてはかなりきれいに描かれており、キャラクターのモデリングも良い。

面白さという意味では「眠れる竜の伝説」はごく普通のゲームだと言える。
悪くもなく、良くもなく。
だがきちんと作られているので大きく期待を裏切ることはない。
ニコが捕まっている
捕まっているのに「オスカーものの演技だって?」とんでもない!

レビュー

非常に平均的なゲーム。
良いところもあれば悪いところもある。
かと言って目を見張るほど良いというわけではなく、どうしようもないほど悪いこともない。
魅力的なキャラクター同士の掛け合いと、ちょっとした達成感を得られるゲームプレイが面白い。
一方で謎解きは不親切なところもある。
総じて手堅く作られているゲームだと言えるだろう。
だがアドベンチャーゲームありがちな欠点として、リプレイ性は皆無。

64点

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