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Call of Duty 4: Modern Warfare(コールオブデューティー4 モダンウォーフェア)


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2007年
開発会社:Infinity Ward



レビュー脱稿日2008年11月 最終更新日2011年3月

紹介

『Call of Duty 4: Modern Warfare(コールオブデューティー4 モダンウォーフェア)』(以下『COD4』)は、人気シリーズの4作目でInfinity Wardが開発。
今作はPS3とXBOX360でも発売されている。
『COD4』は2007年で最も売れたゲームで、最終的にはマルチタイトルを含めて1000万本以上の売り上げになった。
シングルプレイ、マルチプレイともに世間的にはかなり評価されている。
CODシリーズの1、2、3は第二次世界大戦を舞台にしていたが、『COD4』はうって変わって現代が舞台だ。

『COD4』はこれといって奇抜な要素はないもののゲームバランスや演出が極めて上手く作られている。
したがってFPSになじみの無い人にとっても、それほど違和感無くプレイすることが出来ると思う。
今作は敵に突撃してもすぐに死んでしまうので、ちまちまと敵を排除しながらじりじりすすむのが基本となる。
味方とテレビ局を強襲する様子
味方と力をあわせて建物占拠を目指す
『COD4』になっても中身は相変わらずのCODシリーズであるといった印象を受けると言えば、シリーズ経験者には『COD4』の中身がわかりやすいと思われる。
具体的には、戦場の雰囲気を再現するための細部にわたるグラフィックの描きこみや味方の存在は相変わらず素晴らしい。
使用する武器のモデリングに安っぽさは無く、味方や敵一人一人について恐ろしく細かいほどモデリングされている。
腰についている手榴弾一つから、携えている武器までがきちんと、そして精密に描写されている。

プレイヤーを奮い立たせるストーリーも健在で、特に『COD4』はストーリー展開に恐ろしいほど力が入れられている。
序盤だけすごいとかではなく最初から最後まで演出に次ぐ演出で、映画のような興奮感を味わえる。
場面に合った音楽、息もつかせぬ展開、遠くまで再現された戦場、すべてが他のゲームの追随をゆるさない品質を誇っている。

また体力が自動で回復する方式によるスピード感のあるゲームプレイは、凝りに凝った演出を次々と体験することに役立っている。
ゲーム全体のボリュームは少ないが、密度の濃い展開が息をもつかせないで起こるので満足感を得ることが出来るだろう。
短い時間ではあっても、戦場感(戦場に行ったことが無いのでこの言葉は適切ではないと思うが)をたっぷりと味わえる。
味方が建物にミサイルうってくれている画像
建物への攻撃
シングルプレイヤーモードをクリアしたあとは、チャレンジモードというのが追加される。
これは、シングルデクリアステージをアーケードスタイルで繰り返しプレイするというもの。
敵に攻撃を当てたりして点数をかせぎ、早くクリアすることでより高得点が得られる。
要は昔ながらのアクションゲームをFPSで再現したモードだといえる。

もちろんマルチプレイヤーも充実している。
というかCODシリーズはシングルもさることながらマルチプレイの評価も高い。
こちらも中身はきわめてシンプルで奇抜さは無いが堅実なつくりとなっている。
プレイ感覚はシングル時とほぼ同じなので戸惑うこともないと思われる。

マルチプレイのゲームルールは豊富で色々あって迷うかもしれないが、わかりやすく言えばデスマッチ系と占領系、爆破系の三つである。
デスマッチは敵を倒すルールで、自分以外敵であったり味方と共闘することもある。
占領系というのは2チームに分かれて戦い、ある地点を占領(待機)することで得点が入り続けるというルール。
敵と入り乱れて特定地点を奪い合うわけである。
爆破系は、特定物を爆破するチームとそれを阻止するチームに分かれて戦う。
それぞれのルールについてフレンドリーファイアのオンオフや復活(リスポーン)の不可について様々なパターンがある。
チャイナタウンでのマルチプレイの様子
マルチプレイの様子
『COD4』の対戦は、実際にありそうな建物や空間を舞台にしている。
当たり前だが二階から攻撃すれば有利だし、敵も味方も迷彩しているので索敵が難しい。
敵との激しい撃ちあいよりも、いかにして背後を取るか、先制攻撃するかを考えて行動する「リアル的」なゲームバランスである。
面白い要素としては、Perkというプレイヤーごとに自分の能力を強化できる要素を備えている点が挙げられる。
これをカスタマイズすれば、敵に見つかりにくいようにすばやく動くサブマシンガン兵士とか、一撃に魂を込める狙撃兵とかになれる。

プレイヤー数は新作が出るたびに減っている。
わざわざ『COD4』を買ってやるぐらいならば、CODシリーズの新作を買った方が良い。

現在は日本語字幕版と日本語マニュアルつき英語版が販売されている。
しかし有志によるMODによって部分的ながら字幕を入れられるし、ゲーム中の音声を翻訳したウェブサイトもある。
輸入されたCOD4の方が安いこともある
ので、そのあたりは自分で好きなものを選んで欲しい。
グレネードアイコンが出た瞬間の画像
グレネードを投げられたら投げ返そう。
もちろん敵もやってくるのだけれども。

レビュー

演出はすばらしいがアクション部分は物足りない

最高の演出

CODシリーズの演出というのはスクリプト(台本)を主体とした演出であるといわれることが多い。
プレイヤーがある地点へ到達すると、台本どおりに敵が出てきたりイベントが進行するというのが最も簡単な例である。
この演出方法の良さというのは、製作者が見せたい演出(つまりあっと驚く演出)を確実に行うことが出来る点にある。
プレイヤーがゲームをすることで敵と交戦したりすれば、それも演出の一部ではあるが、スクリプト的と言われるのはそうしたものとは違って上から押しつけられる感じのする演出である。
もちろんこれにははよい点と悪い点がある。
よい点はやはり大規模な演出を確実に行えること、他にはプレイヤーにやるべきことを拘束させることで道に迷わせないことにある。
悪い点は押し付けがましく感じてしまう人がいること、慣れてくるとスクリプトの演出が入るのだろうなという予測が出来てしまう点、他には2回目以降のプレイ時には鬱陶しくなってしまうことだろう。
悪い点もよい点もあるので、一概にはスクリプト的な演出の是非については言えない。
しかし『COD4』の場合、過剰なまでのカッコいい演出を加えることで悪い点を全く感じさせない。
沈みゆく船から脱出する画像
脱出しろ!走れ!
『COD4』では戦場に飛び交う銃声や建物を含めた独特の空気が良いだけではなく、時折入る演出パート(自分は操作できないが目の前でストーリーが展開がする状態)もすばらしい。
あまり深く立ち入ってしまうとこれからプレイする方にとっては面白くないので、詳細は伏せて簡単なことだけ列挙してみる。
例えば目の前で負傷した仲間を背負いながらじりじり進むミッション、ヘリコプターから放火を繰り返してその後ロープを伝って降りていく様、それはゲームならではのものである。
映画的なカットインでプレイヤーを奮い立たせるだけではなく、実際にプレイさせることで非常にやりがいのあるゲームになっている。

しかし私は演出が過剰だと感じた。
ミッション前にブリーフィングのようなものが入るのだが、最初は見ていて面白いものの何度か見ているとどうでも良くなってくる。
ゲーム中も演出につぐ演出で、「次に何かあるだろうな」と思っていたら本当に演出があるのはごく普通のことである。

まあそれでも一回プレイする限りにおいてはまったく問題にならない点なのは救いといっていいだろう。
次に来る演出はなんとなくわかっても、確実に予想することは出来ないのだから、新鮮味のあるイベントが目の前で進行するのだ。
また、演出の後には必ずといっていいほどセーブポイントがあるので、無駄に演出を見続けることになることは無い。
このような調整はさすがだと思う。

ヘリコプターに乗っている墜落した仲間を救助する画像
墜落した仲間を救おう

シリーズ最低のゲームプレイ

ところが、『COD4』はシューティング部分が面白くない。
射撃感覚とかはすばらしいのだが、敵の配置がとてつもなく悪い。
特にプレイヤーを危機的な状態に追い詰めるために敵が無限に沸いて出てくる場面が最悪といっていい。
このようなシーンの場合、まともに敵と交戦するとすぐに死んでしまうので半ばハメるような行為をしたほうがクリアしやすかったり、強引に敵陣を突っ切るのが手っ取り早いことが多い。
本来は、敵を排除して味方の援護が来るまでで待つか、それか敵を倒して敵が一瞬だけいなくなったときに前進して攻略をする。
前者は当たり前として、後者の敵を倒して一時的にいなくなったときに前進することは面白くない。

このシチュエーションはわかりにくいと思うので軽く説明する。
敵が目の前の建物に立てこもっているとする。
ここでプレイヤーは敵を倒すのだけれども延々と敵が補充される。
どうやって敵が補充されるのを防ぐかといえば、敵がいなくなったころを見計らって敵がいる場所まで前進して敵のリスポーンを防ぐのである。
普通のFPSの場合、敵を倒して敵がいなくなったころに落ち着いて進むというのが普通である。
『COD4』は新しいシステムを提示している(まあこれは『COD2』にもあったが)と言えば聞こえはいいが、実際はただの骨折りにかならない。
人によっては敵の無限湧きに気づかずに延々と倒し続けるかもしれないってのに、だ。
備え付け機関銃を使っての敵排除
無限湧き。
もうひとつ面白くない点は、敵との戦闘がやけに近いことである。
現実の距離にすると10メートル以下での戦闘がなぜか多い。
『COD2』からそうだったのだが、なぜか敵との距離が近くて非常に違和感を覚える。
実在の戦場ならばもうちょっと遠くで武器の撃ち合いがあってもいいのではないのかと思う。

そして敵との戦闘が近いのでお粗末な敵AIが気になってしまう。
敵との戦闘が近いと、必然的に敵の真横にいることが多くなるが、敵は真横にいるこちらに気づかない。
こちらが敵の目の前に立つとか、他には攻撃を仕掛けない限り、微動だにしない。
かなりマヌケである。
犬が怖いので距離をとって攻撃している画像
人間より犬のほうが強い。絶対に強い。
実際のところ、敵の行動もかなりスクリプト的に動いていると思われる。
無限に湧いて出てくる敵は良く見たら同じような行動をしているし、プレイを繰り返すと敵は同じような場所から同じように攻撃を仕掛けてくる。
別にそれが悪いとは言わない(同じ行動をする敵をいかに攻略するかもゲームの面白さの一つである)が、無限に敵が湧いてきて同じように行動しているのを見るとかなり滑稽である。
また、全体的に戦闘をしている場面が少ない。
進行をみているだけのミッションや、味方に言われるがまま動くミッションが目立つ。

シングルプレイモードをクリアするとアーケードモードというのが出現する。
なかなか面白い試みで実際やってみると面白いのだが、最大の欠点がある。
それは『COD4』特有の長い演出を毎回見るハメということ。
長い演出自体は『COD4』の大きなウリで大黒柱なのであるが、それがアーケードモードの足を引っ張っているのである。
Infinity Wardが次に取り組むべきは、AIの改善とゲームバランスの調整であろう。
この二つが調整されたとき、本当に比類ないゲームが生まれると思う。
茂みの中を進む
演出は本当に上手い

先発有利のマルチプレイ

次はマルチプレイについて話していこう。
これはかなり力が入れてあって、それもあって多くのゲーマーでにぎわっている。
ゲームのバランスはシビアでカジュアルと自分は名づけている。
まず体力がものすごく低いので、後ろから攻撃されるとなすすべも無く死んでしまうという点でかなりシビアである。
しかし、キャラクターが大きめのグラフィックで描かれていたり、弾の飛び方が素直なので結構カジュアルである。
決して『COD4』のマルチプレーヤーに参入することは「敷居が高い」状況ではない。

ところが、ゲームバランスはあまりよろしくない。
自身を強化する要素のPerkだが、最初から全部使えるわけではない。
戦闘をある程度行うことによって様々なPerkが解除される。
これは武器や武器に取り付けるアタッチメントについても同様だ。
初期武器でも十分強いので戦えないわけではないが、新規プレイヤーにとってはただの不公平感しか残らない。
自分の得意な要素を強化した上級者が、初心者をなぶり殺しにする状況が自然と生まれてくる。
そういうわけで新規プレイヤーにとっては死にまくりになってしまうため、あまりおすすめできない。

マルチプレイ時に使うPerkの様子
Perkとか。

一方的な試合になりやすい調整

また、『COD4』では死なずに敵を5人倒すと爆撃要請をすることができる。(ちなみに7人倒せば味方AIがヘリを出してくれる)
これはマップのどこかに味方が爆撃をする(爆撃を食らうと即死)というものなのだが、これのせいでワンサイドゲームになりやすくなっている。
要するに勝っているチームほど爆撃要請できるわけで、勝てるチームがより勝てる状況を生み出しているのだ。
特に人数が追いサーバー(30人とか)だとこれが頻発することになり、リスポーンキルがごく普通に発生する。
そういうわけで、人数が少ないサーバーで遊ぶのをお勧めする。
少ない人数ならなかなか出来の良いマルチプレイを味わえるだろう。

これは自分の好みの問題だとは思うが、COD4のマルチプレイは有利な地点を陣取ったりキャンプすることが異様に強いのはあまり好きになれない。
背景のグラフィックとキャラクターモデルの質感が似ているために、隠れている敵が認識しにくいことやそもそもマップ自体に隠れるための場所が多いことが主な原因である。

マルチプレイ時の空爆を見ている様子

まとめ

ゲーム製作者にとってはお手本になるのじゃないかと思うほどの完成されたゲーム。
バランスの悪さとかはあるが、それはまあ仕方の無いことだろう。
シングルに関しては特にFPS初心者にお勧めしたい。
マルチはどちらかというとFPSに慣れた人向けだろう。

ただ、『COD4』には他のゲームに見あたらないような目新しい要素は無い。
それまで作られてきたゲームを極限まで研ぎ澄ました名作だと言えよう。

82点

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