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Legendary (レジェンダリー)


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2008年
開発会社:Spark Unlimited

公式ウェブサイト

レビュー脱稿日2010年7月 最終更新日2011年3月

紹介

『Legendary(レジェンダリー)』はSpark Unlimitedが開発したFPSである。
アメリカではGamecock Media Groupが販売、イギリスではAtariが発売を行っている。
日本では未発売だが海外向けにPC、PS3、XBOX360で発売されているので入手は簡単である。
しかも発売して程なく価格が暴落している。

Spark Unlimitedは『レジェンダリー』の前に『Turning Point: Fall of Liberty』を発売しているが、かなりの酷評を受けていた。
『レジェンダリー』についても低い評価しか下されていない。
ゲームエンジンには『Turning Point』と同じくアンリアルエンジン3を採用している。
ノウハウがたまってきているのか、グラフィックその他のクオリティは多少上がっている。
Legendary (レジェンダリー)
不快にならないレベルのグラフィック
『Turning Point』は近年のFPSにおける王道を踏襲した作りだったのと比較すれば、『レジェンダリー』はやや外れた位置にあるFPSである。
ストーリーや設定がパンドラの箱などの言い伝えを基にしているのだ。

主人公は凄腕の盗人で、怪しげな雇い人から箱を盗むように言われる。
ところが箱を盗もうとしたときに箱から大量のモンスターが出現し、街を破壊し始めた。
化け物を制圧する謎の力を箱から授けられた主人公は、影の組織と手を組みながら箱の破壊と謎の雇い人の野望を阻止するために戦う。

『レジェンダリー』はモンスターに破壊されて荒廃した町並みの探索や、モンスター自体と戦うことを楽しむゲームだ。
みなさん期待のとおり、ボスは巨大なモンスターだ。
昔ながらの、デカブツ相手に大量の銃弾をぶち込むFPSが楽しめる。
Legendary (レジェンダリー)
ミノタウルス!
モンスターを倒すとエネルギーの塊みたいなのを残して死んでいく。
このエネルギーを吸収するとプレイヤーの体力になってくれる。
また、一定量のエネルギーを消費して攻撃をすることもできる。
うまく使うと戦闘を有利に進められる。

アクセントになっているのが対人パートである。
レジェンダリーにおいて敵はモンスターだけではなく、敵対する組織もまた排除すべき相手だ。
これについては三つ巴の戦いになっていたりと、普通のFPSとあまり変わることはない。

私はPCでプレイしたこともあって、バグやパフォーマンスの低下に悩まされた。
修正パッチは未発表である。
強制終了や進行不可能バグがいくつか存在していたので、買うならゲーム機版のほうがいいかもしれない。
Legendary (レジェンダリー)
エネルギーを吸い取ろう

レビュー

設定を生かしきれていない駄作

設定だけは良い

『レジェンダリー』は『Turning Point』と比べるといくらかはマシだ。
だが駄作には間違いない。
いくらすばらしい世界設定を作ろうともゲーム自体が面白くなければ台無しだ。
その上ストーリーは面白いものでもなく、良いところが全くない。

物語の設定だけならそこら辺のファンタジー好きな中学生でも書ける。
しかし、ゲームという形に作り直しゲームならではの話を描くことは、熟練した開発者にしかできない。
見栄えがする外見は誰でも作れるが、中身の成熟はプロとして期待されている。
アンリアルエンジン3の力を引き出したグラフィックは確かに美しい。
それでも中身はボロボロなのである。
Turning Point: Fall of Liberty (ターニングポイント フォールオブリバティ)
なかなか派手な場面

外面は斬新、中身はズタボロ

設定と物語(ストーリーライン)は別物である。
いくら設定が良くても物語が面白いとは限らない。
『レジェンダリー』は主人公が凄腕の盗人で、敵がモンスターと秘密結社であるという魅力的な設定を生かしたストーリーが語られていない。
ただ単純に大きなモンスターを倒すとか、敵の野望を打ち砕いたとかそれだけである。
なぜ一介の盗人が突撃銃やロケットランチャーを自在に使いこなすことができるのだろうか。
まあゲームだから百歩譲ったとしても、盗賊稼業をしている主人公の能力を発揮する場面が全く作られていないのは片手落ちだ。

主人公の敵がモンスターと対立する人間集団であるという設定は、FPSでは比較的見かける。
しかしうまいことゲームプレイに生かしていることはほとんどないと言える。
『レジェンダリー』でも、単に敵を出してみただけといった感じにしかなっていない。

『レジェンダリー』の演出は、極論すれば人とモンスターの関係を使っているだけだ。
残念ながら人とモンスターの関係をゲームプレイに反映していない。
数種類存在するモンスターの派生として人型の敵が出てくるだけなのである。
人間ならではの動きとか、モンスターならではの動きを感じられるシーンが全然ない。
モンスターを利用した迫力ある場面をもっともっと用意するべきであった。
Turning Point: Fall of Liberty (ターニングポイント フォールオブリバティ)
対人戦はこれといって面白くない
実は一つだけ面白い仕掛けがある。
面白い仕掛けが使われているシーンはモンスターと人型の敵との関係を上手く利用したものであり、大きく評価できるものだ。
しかし1箇所だけなのはさびしい。

『Legendary』のダメなところは面白そうなシステムを採用するだけでゲームに深く関わってこないところにある。
いま話している仕掛けについてもコンセプトはしっかりしているのだが、プレイに大きく影響を残さない。
つまり、このゲームはただ出てきた敵を倒すだけなのだ。
頭を使って敵を倒すことは一切ないと言っていい。

もちろん単純なゲームでもおもしろいゲームはある。
ただしすばらしいストーリー・演出または面白いゲームプレイがあって、初めて単純なゲームは評価される。
『Legendary』は以上述べてきたように、ストーリーも演出もダメダメだ。
これじゃあ魅力的な設定の意味がない。

ではゲーム自体が面白いのかと言えば、これもまた期待はずれも甚だしいのである。
体験版は『Legendary』の中で最も面白い場面を遊べるので、もし体験版しかやったことのない人はあれがピークだと思ってほしい。
Turning Point: Fall of Liberty (ターニングポイント フォールオブリバティ)
こういうモンスターと思う存分戦えないなんて

AIのダメさ、敵の少なさ

登場するモンスターの種類が少ないので、中盤からは単調になりがちである。
『Legendary』には同じような動きをする敵が多い。
同じような動きをする敵を除外すれば、実に4種類のモンスターしか雑魚として登場しない。
これにボス2種類と人間1種類を含めてもわずか7種類の敵としか戦わないゲームなのだ。
一般的なアクションゲームとしてはかなり少ない方だ。
さらにこのゲームは異なる種類の敵が同時に出現する場面がほとんどないのがダメさに拍車をかけている。
いくら種類が少なくても組み合わせでごまかすことはできるはずだ。

さらに単調さに拍車をかけているのが敵AIのお粗末さである。
こちらを認識すると突撃してくるタイプのAIがほとんどなのだ。
ボスについても全く同じAIで作られているようである。
外見は違っていても中身は同じという敵がわんさか出てきてくるのである。
面倒なことにモンスターは耐久力が高く、それでいてたくさん出現するように作られている。
狼男タイプが典型的である。
いつまでたっても同じような奴としか戦えないし、ただ突撃してくるだけなのでまったく面白くない。
しかもなまじっか堅いので後ろに引きながら戦いっぱなしになる。

人型の敵もこれといった特徴がない。
それゆえ、ゲームのアクセントになりきれていないのである。
Turning Point: Fall of Liberty (ターニングポイント フォールオブリバティ)
火炎放射!

操作感の劣悪さ

プレイヤーの動きに関することがらも不満が多い。
『Legendary』はジャンプの使い方が少々変っている。
普通のジャンプを使わなければ進めない場面は存在しないのだが、ダッシュジャンプを使って飛び越えなければならない場所がいくつかある。
ダッシュジャンプの操作性はかなりクセモノである。
ふんわりとジャンプせずに一定地点先へワープするように動くものだから、距離感がとてもつかみづらい。
そもそもこんな要素があるからと言ってゲームが面白くなるわけではない。

主人公は、モンスターを倒したときに落とすエネルギーを吸い取って特殊能力を発動することができる。
しかしこの特殊能力は燃費が悪い割に敵に与えるダメージが低く、使いどころがあまりない。
体力とのトレードオフになっているのはなかなか面白いが、そもそも使う機会がなければまったく意味をなさない。
もっと強力な技を用意してもよかったのではないだろうか。
『Legendary』は特殊能力を使ったゲームかと思いきや、ただの銃撃戦ゲームだった。
Turning Point: Fall of Liberty (ターニングポイント フォールオブリバティ)
この狼男がいつもいつも大量に出てくるので非常に煩わしい

銃に関する欠点

そして銃の使い勝手も悪い。
敵に当たったエフェクトやヒット音が弱いので、自分の撃った弾が当たったのかどうかを知る術がほとんどない。
特にショットガンは弾が分散しやすいので本当にダメージを与えているのかどうか、いつも不安になってしまう。
これは特にモンスター戦で顕著である。
堅い敵相手に当たっているのか分からない武器を撃ち込み続けるのは難にも面白くない。

『Legendary』はのぞき込み(アイロンサイト)を行って敵を撃つことが出来るのだが、これも使いにくい。
なぜなら感度(センシビリティ)が通常の状態と同じに設定されているため、のぞき込み時は高すぎる感度になってしまい、狙いにくいのである。
ついでに言えば通常状態でも十分当たる。

武器の差別化がなされていないことも、『Legendary』のダメさに拍車をかける。
強い武器と弱い武器が極端に分かれてしまっている。
ゲームも終盤となると、おそらく皆が皆マシンガンと火炎放射器を装備しているはずだ。
それくらいこの二つの武器の使い勝手はずば抜けている。
Turning Point: Fall of Liberty (ターニングポイント フォールオブリバティ)
普通に撃っていた方が強い

根本的な欠点

ゲームの安定性やコンフィグの充実度にも大きな問題がある。
クライアントはバグが結構多く、強制終了に何度も悩まされた。
パッチが出ていないのは致命的である。
そして、コンフィグがお粗末だ。
PCゲームは自由に画質やコントロールのセッティングを出来るようにしなければならない。
『Legendary』において、画質設定はほんの少ししか用意されていない。
またコントロールのコンフィグは使い勝手が異常に悪く、私がやってきたゲームの中でも最低クラスだった。
私はESDF移動なのでゲームを買うたびに一々コンフィグをいじる。
そんなプレイヤーもいるのだから快適な操作感になっていたほうがいい。

ゲームにおいていくら魅力的な設定とイカしたシステムを用意しようとも、それらを生かす舞台を用意しなければ評価するに値しない。
用意された設定はストーリーに絡まず、ゲームシステムは空回りし、ゲームとして基本的な部分はいい加減だ。
したがって特色がまったく存在しないゲームになっているのである。
『Legendary』は奇抜な世界を用意しているが、結局はなんの変哲もないシンプルなFPSなのである。
致命的なことにシンプルさは悪い意味でのシンプルさである。
単純でおもしろみがないのだ。
Turning Point: Fall of Liberty (ターニングポイント フォールオブリバティ)
ここのメーカーはどうも自由の女神が憎いようだ

まとめ

いろいろなことがまったく絡むところがないクソゲーである。
ただ、映像は結構いい。
モンスターはきちんとしているし、建物の雰囲気もでている。

33点

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