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Call of Duty: World at War
(コール オブ デューティ ワールド・アット・ウォー )


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2008年
開発会社:



レビュー脱稿日2009年7月 最終更新日2011年3月

紹介

『Call of Duty: World at War(コール オブ デューティ ワールド・アット・ウォー )』(以下『World at War』)は大人気FPSシリーズコールオブデューティーの五作目だ。
発売はActivision、制作は3を開発したTreyarchが行っている。
PC、PS3、XBOX360でマルチ展開されているが、日本では発売されていない。
その理由は、ゲーム中に第二次世界大戦の日本軍を描写しているためだと言われている。
あとAcrivisionの日本法人が無くなったことも関係しているだろう。
しかし大人気ゲームなので、通販サイトや海外ゲームを扱うショップでは必ずといって良いくらい取り扱っている。
手に入れようと思えばいつでも手に入る。

開発を行ったTreyarch(トライアーチ)という会社はいろいろな会社のメンバーが、親会社のActivisionの方針により吸収・合併されて出来た会社である。
過去には結構名の知られているゲームを作ったメンバーも参加しており、実績という面では悪いわけではない会社である。
ところがTreyarchはコールオブデューティー3の制作に携わり、かなり酷評されることになった。
そんなわけで次回作の『Call of Duty: World at War』は汚名を返上するべく、長い開発期間をとって制作されたのである。
ベルリン
ロシア軍ミッションではナチスドイツが相手だ
『World at War』の舞台は第二次世界大戦の太平洋戦争(アメリカ軍対日本軍)と東部戦線(ロシア軍対ドイツ軍)である。
二つの舞台にまたがっているが、ストーリーに繋がりがあるわけではない。
どちらの戦争もプレイヤー側(連合国側)が優勢になっているので、かなりの押せ押せムードでゲームは進行する。

過去のコールオブデューティシリーズと比較すると、『4』の要素はいくつか見られるものの、『2』に近い。
『2』と言えば大規模な演出で戦場の一兵士になりきれるゲームだった。
『World at War』では、『2』をさらに上回るような戦場の演出が行われている。
かと言って『2』のような単調さはなく、『4』のようなストーリー性を持たせている場面もある。

ストーリーでは主に戦争の陰湿さを描くことを目的としているそうだ。
そしてゴア表現が結構きつく、後味が悪くて何とも言えないようなシーンが用意されている。
相手が日本軍ということもあり、人によって好き嫌いは出てきそうだ。
日本兵
そしてアメリカ軍ミッションは日本軍が相手だ
本編のゲームプレイ時間は結構短くて、10時間もあればクリアできてしまうと思われる。
そのかわりに、クリアしてからも遊べるようなオマケ要素がたくさん用意されている。

まずはシリーズ初となるCOOPモードの追加だ。
これは本編のゲームを最大4人で進められるようになるモードだ。
まともに遊ぶにはサーバー関連でちょっと問題が多いらしいが、一度クリアした後でも新鮮にプレイできるだろう。

次は本編をすべてクリアすると遊べるゾンビモードだ。
これは狭い空間にプレイヤーが閉じ込められ、ゾンビが四方八方から襲ってくるというモードだ。
ゾンビを倒すとお金が手に入るので、銃器や銃弾を購入できるようになる。
その武器を利用して、襲いかかってくるゾンビから身を守る。
ゾンビモードではCOOPを行うこともできる。
ゾンビ
これがゾンビモード
最後はコールオブデューティシリーズおなじみのマルチプレイの充実だ。
『World at War』のマルチプレイは『4』のシステムを踏襲している。
引き続き敵を倒した数だけレベルがあがるレベル制を採用している。
レベルが高いほど多くの武器や特殊能力を扱えるようになる。
相変わらず実在の町並みを再現したような入り組んだマップが多く、背後を取り合う乱戦になりやすい。

『4』からの変更点はいくつかある。
『4』は現代戦と言うこともあって全ての武器がフルオートだったものの、World at Warでは連射の出来ないボルトアクションライフルが登場している。
敵を何人か倒すと4ではヘリコプターを呼べたが、『World at War』では犬を放つことが出来る。
これで物陰に隠れている敵だろうとあぶり出せるようになった。

戦車が登場するステージが存在し、そのようなマップでは戦車の使い方が戦略上重要だ。
そしてマップが全体的に広く、高低差のあるような作りになっている。
意図的に丘のようなものが作られていることが多く、当たり前だが上方向から攻撃した方が楽である。

個人的な意見だが、全体的なバランスは『4』よりも上だと思う。
なにせ『4』はマップが狭くて大乱戦になることが多く、人数が少ないサーバーでなければまともに遊ぶことが出来なかった。
『World at War』のマップは大人数で遊んでも申し分のない広さだ。
もちろん狭いマップも用意されている。
マルチ
今回は戦車にも乗れます

レビュー

様々な状況下での戦闘を楽しめる

『World at War』の立ち位置

シリーズ 生みの親であるInfinity Wardの作るコールオブデュティーは、続編になるたびに演出に力を入れていくあまり、ゲームとしてみると面白くなくなっていっている。
戦闘が一番面白いのは1で、次は2、4となっている。
最新作になるほど演出を優先させるために、敵の無限わきや正解のルートを外れると地雷原が用意されているなど、ゲームとして面白いのか微妙な要素が結構目立つ。
演出がどのようなゲームよりもすばらしいがために、非常に高い評価をされているのである。

『World at War』は生みの親とは違うTreyarchが制作をしている。
Treyarchは違った視点でコールオブデューティーを描いている。
具体的には強烈なゴア表現や後味の悪いストーリー展開といったものに加え、ゲームとしての作りをもう一度見直しているのである。
きちんと過去作の見直しをしているあたり、Treyarchは自分たちのゲームを堅実に作り上げていると言える。
焼け野原
焼け野原を進むシーン

様々なゲームモード

『World at War』は娯楽作品としてみると、幅広い人たちに向けたモードが用意されている。
一人で黙々とやりたい人にはシングルプレイヤー(ソロプレイ)モードがある。
みんなでワイワイやりたければCOOPでゾンビモードなんかをすることができる。
猛者どもと白熱した戦いをしたければマルチプレイ(対戦)をすれば、世界中の人と戦える。
つまり、『World at War』はどのような人も楽しめるようなゲームなのだ。
新品価格6000円を出してゲームを買い、とりあえず全てのゲームモードをやり、どれか一つでも自分のお気に召すモードさえあれば、誰しも買って損したとは思わないだろう。
累計販売本数が1000万本を超える怪物シリーズならではの、娯楽として大事な懐の深さがある。

ちなみにCOOPはシリーズ初めての実装だ。
これでコールオブデューティーシリーズに死角はなくなったと言っても良いかもしれない。
味方と進む
シングルモードは戦争の雰囲気をよく再現している

『COD2』の反省

シングルプレイ(ソロ)はストーリーや演出に明確な繋がりをもたせず、様々な状況下での戦闘を用意している。
日本兵相手の塹壕戦や、草むらでの戦闘、他にはドイツ軍相手にスナイパーライフルだけを駆使する場面、戦車を使うステージがある。
同じようなシチュエーションが発生しないように、ゲームに大幅な変化をもたせているのだ。
コールオブデューティーおなじみの車両ミッションも健在だ。
『World at War』は車じゃなくて航空機を使うのだが、視点移動やBGMが激しくて雰囲気はなかなかに良い。
このシチュエーションの豊富さは、『COD2』の反省だ。
『COD2』は戦場にいる感じを表現するためのミッションが多かったものの、あまりにも単調すぎるミッションが多かった。

ただ、様々な場面を用意した反面、ストーリーの繋がりや全体的な統一感は失われてしまっているという問題がある。
武器にしても、当時はあまり主流ではなかったサブマシンガンやオートライフルが大量に出現しすぎる感じがある。
一撃必殺のライフルよりも連射が効く武器はゲームスピードを引き上げ、爽快感や快適さを生むのは確かであるが、第二次世界大戦のゲームとしては違和感がある。
当時の雰囲気を犠牲にしながらも、ゲームとしての快適さや楽しさを重視している。
火炎放射器
火炎放射器は使っていて面白い

『COD4』の反省

『World at War』ではゲームの進め方に若干の幅がもたされている。
これは『4』をよく観察していると思う。

『4』はストーリーこそ素晴らしかったものの、あまりにも押しつけがましいゲームプレイや敵の無限わきは最悪だった。
正解とは違うルートに行けば敵の一斉放射を浴びるとか、いまから考えてみるとおかしい。
かと言って『2』のように、敵を野放しにしていないのも『World at War』の特徴である。
『World at War』は、ある程度決まったルートの中に、様々なクリア方法を用意するという自由度を設けているのだ。
特に米軍ミッションは選択肢が豊富でやりがいがある。
火炎放射器やスモークグレネードの使い方が最高難易度では大きな意味を持つ。
だから一度クリアしても、もう一度やりたいと思わせるような作りになっている。
それと敵の無限わきが一箇所だけになっているのも『4』をよく反省していると思う。
あれは最悪だった。

あとゲームプレイのスピードアップのための措置がいくつかあるのも良い感じだ。
例えば敵の殲滅をするようなミッションはなくなっていて、ある程度プレイヤーが前へ進んだら後方の敵は全て味方に倒されるようになっている。
だから、倒し損ねた敵に思わぬ攻撃をされるという事があまりなくなっている。
余計な心配をしないですむのだ。
そしてゲームの流れがきわめて自然だ。
コールオブデューティーと言えば、『戦車を爆破させるための爆弾を仕掛けたら、次は後ろから新しい戦車が現れた!』なんていう大げさでご都合主義の仕掛けが多かった。
『World at War』はそのようなアホな仕掛けは殆ど無い。
映画のような劇的な展開はないにしても、流れるような展開を用意しているのだ。
建物に突入
この場面だと正面突破と右側のルートが用意されていたりする

シングルプレイの欠点

ただし気になるところはいくつかある。
まず、ロシア軍ミッションがどう考えても『4』の劣化にしかなっていない。
結構シチュエーションや攻略法が限定される場面が多くて、メーカーとしては『4』の第二次世界大戦版を表現したかったのだと思うが、そんなのは本家に任せておけばよろしい。
巷では米軍よりもロシア軍の方が評価は高いのだが、私としては面白くなかった。

敵兵のAIがバカすぎるのも2008年のゲームとしては気になる。
敵が一方向しか見ていないために、背後から近づいたり横から近づくことが出来るので非常に間抜けに感じてしまう。
あとは、相変わらず味方を狙わずに主人公だけを狙うように射撃やグレネードの投下が行われることだろうか。
一度に大量の敵を出現させるために簡素なAIにしているのは分かるが、これはちょっと気になる。

そして最大の問題点はサウンド周りだ。
このゲームはなぜかサラウンドになっていない。(少なくとも自分の環境ではならなかった)
同じような感想をする人がゲーム機版にもいたので、特定の環境下で起こりうる不具合だとは思う。
だが第二次世界大戦の雰囲気を重視するゲームにおいてサラウンドにならないのは最悪だ。
緊迫したBGMなどの迫力は素晴らしいので、かなり勿体ない。
銃声が軽すぎて射撃している感覚が全然ないのは大問題だ。
実銃の音を真似しているのかもしれないが、銃声は大げさなぐらいに迫力を持たせた方が絶対に良いに決まっている。

日本兵の再現は『メダルオブオナー パシフィックアサルト』のほうがいい。
まあこれは別に気になることはないと思う。
議事堂
ロシア軍ミッションの様子

ゾンビモードはただのオマケ

COOPはやったことがないのでレビューしない。
遊ぶための仕様があまり整っていないので、サーバーが立っていないのが現状だ。
誰かと時間をあわせてサーバーを立てないとまともに遊べないだろう。

シングルプレイをすべてクリアすると解除されるゾンビモードは、ただのオマケだと思う。
トロトロ動くゾンビがワラワラと出てきてただ撃つだけの単調なモードだから二・三回すれば飽きる。
ゾンビモードの問題点は、ゲームを始めて数分も続く退屈さだ。
ゲーム開始当初はゾンビの数がすくなくて、プレイヤーはボケッとするしかないのである。
遊び始めてから数分するとゾンビがたくさん出てくるとそれなりに遊べるようにはなるのだが、それまでが退屈でしょうがない。

マルチプレイには日本人がいないので海外のサーバーで遊ぶことになる。
前作の『4』のマルチプレイをそのままパワーアップさせたような感じだ。
『4』の経験者はすんなり遊ぶことができる。
豊富なプレイモードや細部まで作り込まれたマップが用意されている。
マルチ
今作はマップに高低差が多い

好みが分かれそうなマルチプレイヤー

これは私の個人的な意見なのだが、『World at War』(4も含めて)のマルチプレイの質の高さは認めるものの、全然面白くない。
『World at War』のマルチプレイの面白さは、広くて入り組んだマップを上手く移動しながら敵の虚を突くことにある。
非常に入り組んでいるので、キャンプや待ち伏せが非常に効果的で、他にも建物の高所などがやたらと強い。
極端な話、建物の二階に立てこもって敵を狙撃しつつ、階段に感知式の爆弾を置いていれば高いスコアを面白いほど手に入れられる。
ものすごく高いスコアを手に入れるためには敵に突撃する必要があるのだが、こちらがやられるリスクがかなり大きい。
したがって大抵のプレイヤーは、ノソノソと動いて自分に近い敵を排除すべく動き回るだけになりがちだ。
ゲームに動きが少なくて硬直化しやすいという問題点がある。
開発側もこれを分かっているようで、サブマシンガンの攻撃力や移動速度上げて動きのあるゲームにしようとしている。
まあそれはそれで問題はないのだが、結局のところサブマシンガンを使っていようが相手の後ろをとるように動くことになる。
マップが広くて入り組んでいるので、敵の後ろを簡単にとれるようなゲームデザインになっている

そしてこのようなシステムを手助けしているのは、銃を扱うのに技術がいらないこととプレイヤーごとの体力が低いことである。
初心者であっても、うまいプレイヤーの後ろをとってちょっと攻撃すれば倒すことが出来る。
もちろん技術の差を出させないようにするのは多くの人に楽しんで貰うために大事な要素だ。
しかし『World at War』ではキャンプポイントの多さや入り組んだ場所が多いので、待ち伏せをしているプレイヤーがかなり多い。
そりゃ亀のようにじっとして敵を待ち構えた方が、楽に敵を倒せるんだから当たり前だ。
だからゲームをやっていると、不意打ちや有利なポイントで待ち構える敵から理不尽に殺されることが頻発する。

それと銃や体力の仕様により、『反射神経勝負』になってしまうのもいただけない要素だ。
敵よりも先に攻撃を食らわせればほぼ撃ち勝ててしまう。
もちろんそれが面白いと思う人はいると思うが、私には一瞬でつきすぎて面白いとは感じられない。
ただし、リアル系と言われるゲームのように銃の扱いに非常に癖があるのならば勝負は一瞬でついても問題はない。
『World at War』は銃の扱いが非常に簡単な上に、プレイヤーの体力が低いことがダメなのだ。
ジャングル
シングルモードにあったマングローブのジャングルだけど、マルチプレイにはない
さらに待ち伏せを増長しているのは「死なずに敵を何人か倒す」と発動できる三つの特殊要素だ。
このうち最もあり得ないのが、敵を三人倒し続けると発動できる『索敵システム』の発動だ。
これは画面に表示されるミニマップに敵の位置も表示されるというすさまじい効果を持つ。
要するにウォールハック状態に近い。
発動された側(位置がばれている側)はたまったものではない。
しかも『索敵システム』を発動している間に敵を倒した分も敵を倒した人数にカウントされるので、優勢チームは延々と索敵状態になる。
どこにいるか分からない敵を探すのが『World at War』のマルチプレイなのに、ゲームシステム側で自動索敵をつけているとか開発側は何を考えているんだ

ついでに言うとキャラクターの能力を強化するPerkなどのアンロック要素もクソだ。
最初から全ての武器やPerkが使えないので、好きな武器や能力を楽しむことが出来ない。
強い武器が後半のアンロック要素に紛れていたりして、対戦ゲームとして大事な公平さがない。
多くの人が、自由に遊びたいために経験値2倍で敵が無限リスポーンする『経験値上げサーバー』にいるのは絶対におかしい。

以上述べてきたマルチプレイの変な仕様はカジュアルゲーマーとか呼ばれる人たちにウケる(と言われている)ものだ。
実際のところ好評なのかどうかはわからない。
ただ、自分はこのような仕様を好きになれないということだけはハッキリしている。
草むら
こちらもマルチプレイにはない草むらの場面
なぜないのだろうか

まとめ

一つのパッケージに多彩な遊び方がつまっているゲーム。
やや荒削りではあるが、CODシリーズの名前に恥じない出来となっている。
マルチプレイは『4』の延長上だ。
様々なプレイモードがあるので、誰にでもお勧めできるゲームではある。

71点

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