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BlackSite: Area 51
(ブラックサイト エリア51)


ジャンル:FPS
機種:PC
発売年:2007年
開発会社:Midway Games



レビュー脱稿日2010年9月 最終更新日2011年3月

紹介

『BlackSite: Area 51(ブラックサイト エリア51 )』はMidway Gamesが開発と販売を行ったFPSである。
海外のみの販売で、PC、PS3、XBOX360のマルチ展開を行っている。
ゲームエンジンにはUnreal Engine3を採用している。
同じ会社から2005年に発売された『Area 51』というFPSとは全く関係ない。

ゲームの開発には著名なゲームデザイナーに参加している。
それなりに注目を浴びていたゲームだったようである。
しかし世間からの評価はやや厳しく、大抵はその短さから凡作と呼ばれているようだ。
イラク
物語はイラクから始まる
『ブラックサイト エリア51』はストーリーに力が入っている。
キャラクター同士の会話が比較的長めにとられており、アメリカの政治について皮肉めいたことを話している。
ただし、会話はストーリーラインに直接組みこまれている訳ではないので、理解せずともクリアは可能である。
むしろ大したことを言っていないので苦労して理解する必要すらないかもしれない。

ストーリーとも関係するのが敵の存在である。
元は人間だったと思われる物体が化け物となって襲いかかってきたり、強化兵士や機械化されて主人公の前に立ちふさがる。
異形のバケモノと戦う場面もある。
副題のArea 51とはあまり関係がないと言えばないのだが。
夜の町
モンスターが襲いかかってくる

他には、最大二人の味方に指示を出して戦う分隊指揮の要素もある。
一人で進まなければならないことはほとんどない。
味方と一緒に敵を倒していくことになる。

乗り物(車)に乗るシーンが多いのも『ブラックサイト エリア51』の特徴である。
自分で操縦して道なりに進んでいくこともあれば、味方が操縦する車の上からタレットで攻撃することもある。
この移動シーンの多彩さはウリの一つであるらしく、パッケージの裏にも宣伝が書かれている。
ドライブ
これ上手く撮れたと思っている。個人的に

レビュー

変化がないのですぐに飽きる

序盤は良い感じ

単調でつまらないFPSである。
これといって目新しい要素を入れることもなく、戦闘を重視していない。

いくつかのイベント場面や乗り物を使う場面は工夫の余地が見られる。
しかし使い回しが目立つ。
また敵との戦闘は武器の少なさと敵の攻撃パターンが少ないことが原因で、単調になっている。

ゲームを始めて間もないイラクのステージは序盤だけあって、盛り上がりもきちんと作られている。
チュートリアル的なイベントをこなしたあとは、味方CPUの操縦する軍用車に乗りながらオイルプラントで暴れ、次に異形の化け物とも戦っていく。
ここまでは良いのである。
徒歩で進む場面から車で進む場面へ切り替わり、見たこともない敵とも戦っていく展開は文句のつけようがない。
溶接
序盤のつかみは良くとも・・・

アメリカのマップはイラクマップの使い回しだ

問題は次から始まるアメリカのマップである。
開始して早々に軍用車に乗ってハイウェイを進んでいかなければならない。
ここでは一本道のハイウェイに沿って進み、車の乗り換え場所で現れるモンスターを倒していく。

しかしせっかく車を自分で運転できるシーンなのにどこまで行っても一本道なのがかなり寂しい。
ただひたすら続く一本の山岳道をなぞるだけで何の工夫もないのである。
そしてときおり車止め等で降りたときにモンスターが現れて戦闘を行うアクセントがある。
あまりにも敵が出てくる瞬間がミエミエであるので、チャチな場面と言える。
プレイヤーは「(車で)進んで(車を)降りて」を繰り返すだけとうことにすぐに気がついてしまう。

そもそも車を運転させる意味があったのかどうか疑ってしまう。
戦闘
車を止めて合間に戦闘。ルーチンワーク
次からは夜の町でエイリアンのようなモンスターと戦うマップである。
いかにもエイリアンっぽい敵がわんさか出てくる。
ところがこいつら(エイリアン)は動きが悪く、言ってしまえば人型の敵との区別がついていない。
機械で作られたエイリアン型の敵は遠距離攻撃をしてくるだけである。
こいつらは遠距離攻撃を行う人型の敵が少しだけ強化された存在にしかなりえてない。
プレイヤーに突進してくる敵もいる。
残念ながらあまりにも単調に突っ込んでくるだけなので驚異もなにも感じない。

さらに悪いことに、ここまでプレイしてきても武器が三つしか手に入らない。
つまり三つの武器を使っているだけなので、誰だって飽きてしまう。
同じ武器ばかり使っていて飽きない人間はいない。
しかもこの後クリアするまでに手に入る新しい武器はたった一種類である。
『ブラックサイト エリア51』はたった四種類の武器を使うだけのゲームなのだ。
アサルトライフル以外は
アサルトライフルだけ使っていてもいいんじゃないかと思っている。弾薬も大量に手に入る
それ以降の場面は、ボス戦こそあるものの、まったく同じような展開が繰り返し繰り返し現れるだけである。
ボスにいたっても同じ奴を二回倒すことになる。

ブラックサイトは、外見こそ違うが中身は同じものがいくつも出てくる。
敵は人型の敵をベースに、耐久力が高い機械型や突撃してくるモンスター型が出てくるのみである。
仲間が操縦する軍用車に乗りつつプレイヤーが機関銃を撃つシーンは、クリアまでに二回ある。
同じように、自分が軍用車を動かして道なりに進んでいくのも序盤と終盤の二回用意されている。
巨大ボスは二種類いるのだが、こいつらもなぜか二回ずつ戦うハメになる。

すなわち、薄っぺらい展開をごまかすために同じ要素を使いまわしているのだ。
だから同じような場面がいつまでたっても出てくる。
冒頭のイラクマップで使われた演出を何度も再演しているだけである。
敵!
ゲーム紹介でも使われている敵

戦略性のない戦闘

おそらく開発の意図としては、単調さを緩和するためのストーリーと分隊を指揮する戦闘だったに違い。
しかしストーリーは皮肉を中心とするものであって、FPSのような「ラスボスを倒して終わり」というゲームとあっていない。
はっきり言って味方はウルサイだけだ。

分隊指揮は味方が思うように動いてくれないので、有名無実である。
主人公は強いので味方なんて使わなくてもクリア不可能になることはない。
戦闘をする際はだだっ広い空間でひたすら動いて攻撃しあう展開になりやすく、場面に応じた戦略性というのがまったくない。
遮蔽物を利用しつつ敵を叩くだけか、広い空間を動きながら攻撃するだけでクリアできてしまう。
そして武器に反動がない。
銃を撃つ感覚はほぼ無い。
車
また軍用車か

破滅的なスケジュール

ひとつ『ブラックサイト エリア51』の良いところをあげるとしたらグラフィックスと環境のデザインである。
よく見ると影の表現などアラだらけなのだが、スクリーンショットを見る限りは美しく描かれていると感じるだろう。
特に町マップでの家はよくできている。

ゲーム発売後、開発に携わった著名なゲームデザイナーはスケジュールが「破滅的なものであった」と語っている。
ブラックサイトはプレイ時間が短く使い回しが多い。
単に敵を出すだけの場面もほとんどである。
それは切迫した制作日程が原因だったと言える。
謎の展開
ゲームを始めてしばらくは期待していた

まとめ

納期に迫られて出したゲームということを念頭に置いておきたい。
武器の種類は少なく、同じような展開が繰り返される作りかけ。

キャラクターデザインだけはしっかりしているのがせめてもの救いだろうか。
ちなみにダミーデータが多く、インストールに10GB以上必要である。

43点

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