レビュー
プレイヤーの自由に任せすぎている面と、プレイヤーを縛り付ける面の両方が混在するゲーム
そもそもリメイクされる理由はなんなのか
世の中にはリメイクされるものがたくさんある。
ゲームだけでなく、小説、映画、ありとあらゆるジャンルの文化的なものについて言える。
なぜだろうか。理由はいくつか考えられる。
一つ目に、リメイク元となる作品が有名なので売り上げが予測しやすいことが上げられる。
二つ目に、元の作品が良質なので下手にリメイクすれば、これまた良質なものが生まれる可能性がある点。
三つ目に、例えば原作が古くなりすぎていて現代の私たちにはとっつきにくかったり、外国語と外国文化の中で作られたために理解しにくいものを理解しやすい自国語と自国文化に翻訳するということもある。
これは技術が進歩したり、観客や読者の好みが変わっていくことも示している。
『新・暗黒竜と光の剣』には上記三つがすべて当てはまる。
ファイアーエムブレムは有名な作品であり、その初代作品は名作として語り継がれている。
しかし今遊ぶとインタフェースの練り込みが不十分な点がかなり気になる。
よって、『新・暗黒竜と光の剣』は有名な初代作品をリメイクすることで売り上げを出しつつ、新規ユーザーの獲得、古参ユーザーも新たに遊べるように作られたと言えるだろう。
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新キャラ追加、チュートリアルもある
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リメイクは上手くいっているか? その1
ではリメイクは丁寧に行われただろうか。それとも失敗に終わっただろうか。
結論から言うと、成功とも失敗とも言い切れず、制作側が評価されることを放棄したデザインになっている。
『新・暗黒竜と光の剣』のリメイクにおける要は次の4点に集約されている。
1-A.ファミコンにあった無骨さを残したゲームバランス
1-B.原作では遊びにくかった要素の改善し新たな遊びを提供する
2-A.初心者でもあそべるようにする工夫
2-B.古参上級者を満足させるための方策
読んでみると分かるだろうが、1-Aと1-B、2-Aと2-Bにはやや矛盾するところがある。
リメイクとはこのようなジレンマを常に抱えて作られるため、一般に賛否両論になってしまいがちである。
『新・暗黒竜と光の剣もまた、矛盾点を解決できず、賛否は様々あるようである。
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強いユニットがいればどうにかなる場面は多い
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リメイクは上手くいっているか? その2
各項目を詳しく見ていこう。
1-Aは先に述べた兵種変更を行わなければほぼ達成されている。
難易度をハードにすれば原作と同じような感覚で遊べるように調節されており、なぜ原作が支持を得たのかが理解できるだろう。
1-Bは特にインターフェイスを中心に改善することによって実現している。
操作のレスポンスがよくなり、画面に表示される情報量を多くして操作ミスをなくし、戦略を練るためのブリーフィング画面で色々とやることができるようになった。
また、初心者でも遊べるように難易度が低いモードが用意され、上級者でも満足できるように難易度の高いモードが用意されている。
ついでに言えば上級者は兵種変更システムを駆使した高難易度で遊ぶことになるため、1-Aのような原作準拠とは異なる遊び方をすることができる。
難易度を高くしなくても低い難易度のみで仲間になるユニットや専用マップがあり、古参ユーザーは新しい刺激を受けることにもなる。
とまあ
全体的に良くできたリメイクである。
・・・であるのだが、
実は古くからのファイアーエムブレムユーザーを激怒させる要素と、つまらない要素がここに紛れ込んでいる。
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手塩にかけてユニットを育てる喜びは健在
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三つの欠点
最大のガンは三つある。
ひとつは兵種変更システムであり、次が新規マップとユニットの存在であり、最後が高難易度モードの存在である。
兵種変更は一人のユニットが色々な職業に変貌できる魅惑的なシステムである。
ところが、ファイアーエムブレムはキャラクターごとの個性が重要視されてきた経緯がある。
いや、個性をだしたところにファイアーエムブレムらしさと、従来のシミュレーションゲームとの差があったのだ。
兵種変更はユニットごとに存在した個性を奪い、更にはユニットごとに蓄積されてきたイメージをぶちこわす羽目になってしまった。
次に新規マップとユニットの加入条件が、これまたファイアーエムブレムらしさから大きく外れている点も指摘できる。
ファイアーエムブレムは自軍のユニットをなるべく死なないようにして遊ばなければならない。
というのも、一人一人が血の通ったユニットであり、実利的にいえば育てるために投じた経験値がもったいないからである。
一方で新規マップとユニットの加入条件を満たすためには自軍ユニットを極力減らさなければならいように設計されている。
つまり、
死なないように遊びたいユーザーの希望とは真逆のプレースタイルを強いられてしまうのである。
これでは古株のみならず、新規ユーザーも違和感を覚えるに違いない。
最後に調整不足の高難易度モードの存在である。
本作『新・暗黒竜と光の剣』の高難易度専用モードというのは、ただ単純に敵が強くなるだけである。
これでは緻密に計算されて数値をきめたはずの原作の良さを全く生かすこともなく、パラメータがやけに高いだけの面倒な敵を倒すしかない。
以上の三点が『新・暗黒竜と光の剣』の欠点である。
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ダークマジ。面白いけどイメージに合わない。
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さじ加減でどうとでもなるゲームへ
『新・暗黒竜と光の剣』はどうとでも遊べるゲームである。
兵種変更を使わずに、新しい仲間もいらないのなら原作に近いフィーリングで遊べる。
新しい仲間が欲しければ味方を虐殺する非道なプレイで遊ぶことができる。
難しい難易度を遊びたければ兵種変更を駆使しなければならない。
つまるところ、
プレイヤーのさじかげんでどうとでも遊べてしまうのである。
ファイアーエムブレムは果たしてこのような方向性のゲームであるべきなのだろうか。
いや、違う。
限定されたシチュエーションが提示され、その中で藻掻き足掻きながらマップをクリアしていくゲームであった。
まるでオープンフィールドゲームのように、ありとあらゆる選択肢が用意されてその中から自分で自由に選び取っていくスタイルのゲームではない。
もちろん、「これはこれとして」『新・暗黒竜と光の剣』が質の高いゲームであることは確かなのだ。
しかし開発側から用意された筋道と意図がうっすらとみえつつ、それを攻略していくのがファイアーエムブレムもといシミュレーションゲームの良さの一つであるはずだ。
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ファンは見放した。これはこれで面白いゲームなのだが。
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