デモの紹介・感想
紹介
『機動戦士ガンダムオンライン』はバンダイナムコオンラインが開発と運営を行っているオンラインTPSである。基本無料アイテム有料で遊ぶFPSやTPSではおそらく初めての日本製だ。
最大対戦人数が各チーム52vs52の104人もいる大規模な戦場をウリにしている。
人気のある題材ということもあって、当分の間人数について心配はいらないだろう。
題名からも分かるとおり『機動戦士ガンダム』、つまり初代1stのガンダムの世界をベースにしている。
しかしプレイヤーは地球連邦軍かジオン軍の一兵士として戦場に赴き、相手陣営と戦う。
有名なキャラクターは自分で操作できず、あくまでNPCとして参戦しているだけだ。
100人が入り乱れる戦場ではどんなに上手いプレイヤーであっても数の暴力の前にひれ伏してしまうだろう。
この対戦人数は原作でジオン軍がジャブロー降下作戦を行ったときの人数を参考にしているらしい。
ゲームルールの特徴
FPSやTPSをやっている人にはお馴染みの「陣地取りゲーム」である。敵軍の本拠地に攻撃を加えて拠点を陥落させれば、自軍に大きなポイントが入るようになっている。
マップのあちこちには占領できる陣地があり、占領すれば一定のポイントが手に入る。
つまり陣地をとりながら戦線を押し上げていくゲームである。
もちろん直接敵の本拠地にこっそり忍び寄って攻撃を加えても良いだろう。
ルールもうひとつの特徴は兵科である。
強襲、重撃、支援、砲撃、狙撃の五つの兵科があり、戦場でこなすべき役割と得意な分野が少しずつ異なる。
敵に近接攻撃を行う強襲、中距離射撃が得意な重撃、唯一の回復ができる支援、遠距離攻撃や面攻撃ができる砲撃や狙撃といった具合だ。
戦場のシチュエーションによって有効な兵科はかわるので、場面にあった兵科を選んで適切にうごかなければならない。
兵科が分かれているおかげで味方同士の連携を行う妙が生まれている。
と言ってもガチガチにわかれているわけではなく、強襲の役割を支援で補ったりすることも場合によってはできる。
指揮官モードという、味方に戦略の指示を出すモードもある。
こちらはアクションゲームというよりRTSに近い。
しかし私はプレイしてないので言及しない。
この手のゲームは『バトルフィールド1942』や『エネミーテリトリー』から大きな影響を受けている。
ただ『機動戦士ガンダムオンライン』は主にセガの『ボーダーブレイク』を参考にしているようだ。
UIのデザインや、キャラクターボイスのカットインの演出がかなり似ている。
ゲームの流れや戦場における戦術についてもうり二つのところがある。
感想
「一兵卒」の感覚
ガンダム原作のゲームは多々あるが、シミュレーションゲームかアクションゲームかという分け方がある。また有名なパイロットを使って戦うか、それとも無名の一兵卒を操るか、という点でも違いがある。
『機動戦士ガンダムオンライン』は無名の一兵卒をあやつるアクションゲームである。
ゲーム中では原作にも出てくる有名パイロット(アムロ・レイやシャア・アズナブルなど)もたまにNPCとして出てくるが、恐ろしく強くてひとりでは絶対に勝てないようになっている。
大人数での対戦ということも「一兵卒」の感覚を味わわせてくれる。
一人で奮戦していても多勢に無勢になってしまいがちだ。
味方と協力しながら敵を倒していくしかないのだ。
大人数対戦の面白さと欠点
大規模な対戦では味方の役割を分けないと、みんながみんな同じようになってしまいがちである。だから能力の異なる兵科が用意されている。
少ない人数で行うゲームの兵科はどうしても役割が固定されてしまって、場面にそぐわない兵科を選んだときにつまらなくなりがちだが、『機動戦士ガンダムオンライン』のように自チームが50人もいればどの兵科を選んでもとりあえず遊べる。
そして兵科にそった役割をこなしたり、ときには兵科の枠を超えた行動をとってもよい。
自由に遊べる点が『機動戦士ガンダムオンライン』の要にある。
ついでに言うならば、人数が多いおかげで一方的な試合になりにくい(ベータテスト時は不具合やアップデートの都合でジオン側が弱くなっていて酷い試合になることがあったが、改善されつつある)。
なんというかバランスが破綻していない大人数対戦ゲームではよくある面白さと言えるだろうか。
とはいえ兵科が決められているため、本当に勝手な行動をとるわけにはいかない。
また兵科の特徴に習熟しなければならないという欠点もある。
あまりチュートリアルが丁寧でないので、Wiki等でよくよく調べないと分からないことだらけだ。
司令官の存在
司令官がシステムに組み込まれている点は長短あるが、長所のほうが多いと感じる。というのもどこをどのように攻めたらよいのかわからないと無駄に戦っている気がして面白くない。
そんなときに司令官がある程度の方針や目標を立ててくれると、味方と連携を行えるからだ。
確かに司令官がクソだったりするとイライラする面はあるものの、ある程度やる気がある人であれば何ら問題ない。
割とイージーなつくり
役割分担が比較的曖昧になっているところが私好みである。つまり兵科ごとにガチガチの要素を組み入れるのではなく、独自性を出しながらも、多少は補えるようになっている、というバランス調整である。
例えば近接戦闘向きの強襲という兵科は、実のところ近接が強いと言うよりも盾をもっていて耐久力があるから強い。
単に銃の威力だけ見れば支援、砲撃、狙撃の兵科はとんでもない威力をもっている。
しかし支援、砲撃、狙撃は耐久力がなかったり足が遅かったりするのである。
普通なら後方で待機するべきユニットが時として攻撃に転じても構わないくらいのバランスが保たれている。
ロックオン機能があることもイージーさにつながっている。
このゲームでは照準を敵にロックオンすることができる。
完全にロックするというわけではないが使いどころの有るスキルである。
いわゆる戦車や飛行機といった「乗り物」が少ない点も良い。
なぜなら「乗り物」は習熟するための時間が必要で、しかも上手い人と下手な人の差が出やすかった。
また「乗り物」が出てくるゲームでは歩兵が為す術もなくやられるだけで、やられた方はストレスが溜まるだけであった。
『機動戦士ガンダムオンライン』では最初からモビルスーツに搭乗しているせいか、乗り物は戦艦しか用意されていない。
戦艦は一試合で一回くらいしか出せない強力な兵器だが、油断するとあっという間に打ち落とされるくらいのバランスに調整されている。
カスタマイズ・原作尊重の特徴
カスタマイズ要素が豊富だ。自分のアバターをいくつもの中から選べるのは良い。
そして原作やその周辺作品に登場したモビルスーツがたくさん登場し、自分で好きなようにデッキにいれられる。
モビルスーツは強化したり武器を入れ替えたりする要素もあり、これまたプレースタイルにあったものを作れる。
ただしいつしかバランスが崩壊してしまわないか、という心配はある。
オープンベータテスト中も度重なるバランス調整が行われていた。
しかしそのまま正式サービスに突入している。
あと、ガンダムゲームの特徴である原作尊重は言うまでもないだろう。
原作の雰囲気やおきまりのセリフをきちんと用意してある(ランバ・ラルの「ザクとは違うのだよザクとは」など)。
コミュニティ機能の貧弱さ・その他弱いところ
いくつか気になったことをかき並べる。コミュニティ機能が弱い。
クラン(ギルド)やフレンド機能はあるものの、戦闘中のロビー以外で他人と交流できる場所が少ない。
そのせいでフレンドやクラン(ギルド)をつくることが難しい。
グラフィックが微妙でしかも重い。
2012年のゲームとは思えないみすぼらしさである。
建物に汚れなどを表現するシェーダーが張られていないのがその理由だろうか。
そしてちょっと人数が増えると重くなるのもダメである。