デモの紹介・感想
紹介
『トイ・ウォーズ』はSK iMedia開発、ガンホー運営の三人称視点シューティングアクションゲームである。正式名称は『H.A.V.E. Online』であるが、地域によって『MicroVolts』(英語版)、『愛的爆爆』(台湾版)と名前が変わっている。
日本語版は『トイ・ウォーズ』と名付けられている。
色々な意味でMMORPGの運営方法が有名なガンホーにとって、シューター(FPS・TPS)の運営は初めてのことだ。
『トイ・ウォーズ』は海外で発表されるやいなや、グラフィックスがValveの『Team Fortress 2』に似ているのではないかという疑惑が持ち上がった。
プロモーションムービーの構成もそっくりだと批判されている。
なお、『トイ・ウォーズ』のゲームエンジンはGamebryoだ。『Team Fortress 2』とは違う。
数あるオンラインFPSの中でも、宣伝費用がかかっているゲームだ。
4gamerやPnlinegamerなどのトップ広告、「ハルヒ」とのコラボレーション、声優の大量起用など、派手な話題に事欠かない。
一年先までの確固たるロード(運営予定)が組まれている。
ゲームの特徴
見た目からも分かるとおり、アニメ調のキャラクターデザインが目をひく。戦うキャラクターもフィギュア人形で、血は出ない。残虐表現もない。
FPS、TPSといったシューターはアメリカ製の濃いものが多いが、『トイ・ウォーズ』は日本人でも親しめるようなデザインだ(あまりにも「狙いすぎ」かもしれないが)。
今のところ込み入ったルールや設定も存在しない。
対象プレイヤーとして比較的軽く遊びたい人を想定していると感じる。
日本向けにローカライズされるとき、『トイ・ウォーズ』はストーリー性を設け、紙芝居や独自のアバターも導入されている(独自アバターは未実装)。
ゲーム内アバターは種類が多く、着せ替えもできる。
このとき服やパーツを装着すれば多少ではあるが能力値が伸びる。
今のところ特定の服や髪型が強いとかにはなっていない。
ゲームシステムはスポーツ系シューターと呼ばれるものに似ている。
プレイヤーは数種類の武器を大量に所持・携帯して場面場面に応じて切り替えながら戦っていかなければならない。
武器は使い方にクセがあるので、一つの武器だけで戦い抜くのは得策ではない。
そして、敵を倒すと回復相手アイテムやパワーアップアイテムを落とす。
『トイ・ウォーズ』では、上手いプレイヤーは武器を的確に使いながら、アイテムをたくさん拾っていける。
クセのある武器を使いこなし、アイテムを拾って体力や銃弾の補給を行う上手いプレイヤーと、そうではないプレイヤーとの力量差がかなり出やすい。
一応、スコアの差が出ないように修正する要素はある。
スポーツ系にしては移動速度が遅かったり、階級別にサーバーが区分されていたり、使いやすい武器の威力が高めに設定されている。
それでも焼け石になんとやらである。
感想
疑似スポーツ系?
オンラインFPSにはカウンターストライク系の「若干リアルっぽい」ものが多かった。そういう意味では、俗に「スポーツ系」と呼ばれるものに近い『トイ・ウォーズ』は珍しい。
「スポーツ系」のFPSやTPSを厳密に定義することは難しいが、簡単に言うと、アクション性が極めて高くてロケットランチャーなどのクセのある武器をいくつも所持するようなゲームだ。
『Quake』、『Unreal Tournament』、『Warsow』とかが有名だ。
しかし上記のゲームは競技性を上げるために実力差が出やすいように作られている。
『トイ・ウォーズ』はスポーツ系をなるべく多くの人にでも遊べるように、多少ながら手軽に遊べるように作られている。
まず移動速度が低い。
次に面倒な移動アクションや、アイテムの管理をする必要がない。
武器の判定も割と大きめで攻撃が当てやすい。
即着弾で攻撃力が高めの「マシンガン」という武器が携行する武器の中でも使いやすいため、例えば「ロケットランチャー(ゲーム内名称バズーカ)」が手に余るようであっても何とか遊べる。
ところが、『トイ・ウォーズ』はなまじっか技術が必要なシステムを捨ててしまっているせいで、スポーツ系の欠点を抱えたまま、魅力をもそぎ落としている。
スポーツ系では特殊なアイテム、移動システムがあるからこそ単調なゲームにならないようになっていた。
ありとあらゆる選択肢を考え出すことに面白さがあったといって良い。
だからこそ、スポーツ系はFFA(フリーフォーオール、自分以外の全員が敵で10人前後で戦うルール)という何にも飾り気のないルールがメインのゲームモードでありながら、深いゲームプレイが楽しめたのである。
ゲームシステムを簡略化した上にデスマッチ系のルールしか用意されていない『トイ・ウォーズ』は今のところ、長い間遊べるほどの魅力がない。
いくらなんでも今のままではマップやルールが少なすぎる(正式サービスを開始しても大して増えていない)。
大規模なアップデートが行われるまでは消化不良のままだろう。
バランスはどうか
そして『トイ・ウォーズ』はスポーツ系につきものの「実力差がでやすい」という問題が完全に解決されているわけではない。割と使いにくい部類の武器「ロケットランチャー」や「ショットガン」を効果的に使うことが、実は上手なプレイへの鍵となっているからだ。
ロケランもショットガンも、「敵に当たられる人はいとも簡単に当てられるが、当てられない人は当てられない武器」だ。
こういう武器を使うには技術力が必要だ。
と言っても、ロケランやショットガンの威力を低くしてしまうと、マシンガンでチマチマ削りあうだけの技術もへったくれもないゲームになってしまうのだが。
何というか超上級者にとっては純粋なスポーツ系ほどの魅力が感じられなく、初心者や上手くない人はずっと狩られるだけになってしまいそうなのだ。
とりわけ初心者にとっては、サブアカウントによる「初心者狩り」に抗う方法がない。
人よりちょっとでも強い人が相手だと、なかなか攻撃を当てられず、折角攻撃を当ててもアイテムで回復されてしまう。
シューター初めての人は全く楽しめないこと間違いない。
実力が普通で、比較的FPSは敵やTPSに慣れている人は楽しく遊べるかもしれない。
上下の層を切って中間を楽しませようとする、調整が行われている。
あとは、スパムが多い。
スパムとは「グレネードランチャー」や「ロケットランチャー」のような爆風で敵を攻撃する武器を特定の場所へ長い間撃ち込む行為だ。
『トイ・ウォーズ』では最初から上記二つの武器を所持しているため、スパム合戦になってしまう。
正式サービス後に追加された「アイテムマッチ」は力量が出過ぎる、ゲーマーのためのモードである。
ガンホーはカジュアルモードだと銘打っているのだが、どう考えても上手いプレイヤーが無双するモードだ。
COOP戦や、もっと遊びやすいモードが出てくるまでは、上手くない人にとっては辛抱がいる。
インターフェイスなど
かなり洗練されている。通信方式などの大きな問題はなく、グラフィックも見栄えは良い。
『トイ・ウォーズ』はゲームの仕様で自滅するようなことはないだろう。
新たに作られたゲーム内BGMは非常に出来が良く、アバターの音声も三種類から選べるという豪華さ。
今後のアップデートでは魅力的なアバターも追加される予定だ。
運営方針は、正式サービス直後の印象だと、ゲームバランスを破綻させないようにアバターで課金させるようになっているようだ。
ゲームのバランスを有料アイテムで買えないようにしているところは、私にとっては好感が持てる。
TPSを採用する意味、着せ替えの魅力
『トイ・ウォーズ』はTPSだ。言い換えると、常に自分のアバターを見ながらゲームをプレイすることになる。
着せ替えゲームにおいて三人称視点を採用する意味合いは高い。
ただし、着せ替えするための服や髪型をたくさん用意することが前提条件だ。
継続的に新しい服やアバター変更アイテムを供給されるのならば、TPSの意味が出てくる。
ところがTPSならではの問題も出てくる。
なにせ角を使った待ち伏せが強い。
三人称視点だから、曲がり角を曲がらずとも、曲がり先が見渡せてしまうのだ。
左下の画像を見てもらうと、何を言っているすぐに分かると思う。
角で待ち伏せして、敵が出てきたら飛び出せばいっちょ上がりだ。