シューティングラブ。200X レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年5月
タイトル
シューティングラブ。200X
機種:XBOX360
ジャンル:シューティング
発売年:2009年

 
紹介
「シューティングラブ。200X」は2009年に発売されたシューティングゲームである。
制作・販売共にトライアングルサービスという会社が行っているが、この会社は結構変わっているので知ってる人は知ってるかもしれない。

「シューティングラブ。200X」には4つのシューティングゲームが収録されている。
シューティング技能検定、エクスジール、トライジールRemix、マイナスゼロの四つである。
シューティング技能検定はシューティングゲームで要求される(?)能力を測るためのミニゲームがいくつも収録されているゲームだ。
いくつかゲームをやった後に、脳トレのごとく点数が年齢表示される。
エクスジールはどちらかと言えば、ゲームバランスよりもギミックを重視した作りになっているのが特徴だろう。
なお、シューティング技能検定とエクスジールは、2007年にアーケードゲームで「シューティングラブ。2007」としてカップリングして発売されてもいる。
本パッケージには特典として「シューティングラブ。2007」の攻略DVDも付いてくる。
トライジールRemixは過去にアーケード、ドリームキャスト、プレイステーション2で発売された同名ゲームの移植ではあるが、バランスを変えてある。
マイナスゼロは、極力ゴタゴタしたものを排除しているミニゲームのようなものである。
わかりやすく言えば、アイデア勝負のアイデア勝負をしている無料ゲームや、ダウンロード販売のみでとても安く売られている商業ゲームのイメージである。

一つのパッケージに四つのゲームが入っている上に攻略DVDまで付いていて、シューティングゲームとしてのボリュームはかなりある方だ。
入手については、弱小メーカーのゲームなのであまり市場には流れていないことに注意した方が良いだろう。
いくつかの店を回るくらいなら最初からインターネットで注文する方が手っ取り早い。

シューティング技能検定の画像
どこかで見たような敵キャラ
(画像:シューティング技能検定)

ここからは一つ一つのゲームについて紹介する。
まずはこのゲームのメインコンテンツと思われるシューティング技能検定からだ。
技能検定は、プレイヤーごとに違いがあるシューティングゲームの能力を明確に数値化してみようという野心的なゲームだ。
ゲームの最後になされる年齢表示を見てみると「脳トレ」に似ているとも言えるだろう。
技能検定では、シューティングゲームに必要とされる要素を一つ一つ測っていく。
例えば、連射力を測るミニゲーム、敵弾を避けるミニゲーム、狙ったアイテムをとるミニゲームと言ったようなものだ。
また、どのミニゲームにも他のゲームへのオマージュや思わずニヤリとする要素が詰め込まれている。
連射力を測るゲームだったり敵の弾を避けるゲームの場合、連射力や弾避けが重要だったゲームによく似た場面に遭遇するはずだ。
もうひとつ特徴的なのは、ゲーム中に適度に使われるテロップだろう。
技能検定は会社(というかこの会社は実質社長一人の会社なので、社長と言った方が正しいと思う)の雰囲気をよく醸し出す独特の「ゆる〜い」センスが、パッケージに収録されている四つのゲームのうち最もよく出ている。

シューティング技能検定の画像
こいつらもどこかで見たことあるような・・?
(画像:シューティング技能検定)

次はアーケードゲームで技能検定とカップリングされていたエクスジールというゲームだ。
エクスジールは「普通のシューティングゲーム」として紹介されることが多いのだが、中身は決して普通のゲームではない。
普通というのは特徴が無いとか、一般的という意味だろう。
そういう面から見てみると、エクスジールは他のシューティングゲームらしくない要素がたくさん詰まっている。
その中でもわかりやすい要素は、どちらかと言えばゲームそのもののバランスよりも「仕掛け」や「ランダム性」を重視して作られている点にある。
シューティングゲームはどちらかと言えばランダム性を排除する傾向にあるゲームだ。
敵の動きをわかりやすくパターン化することで、パターン構築を楽しませるのが一般的なシューティングゲームと言えるだろう。
しかしエクスジールはギミック(仕掛け)の面白さを出すためにランダム性を結構取り入れている。
ここら辺の好き嫌いは結構あるかもしれない。

一方で「普通のシューティングゲーム」に近いのはトライジールRemixだ。
色々と凝った要素は見られるものの、エクスジールほど変わった仕掛けは登場しない。
システムはシューティングゲームの王道、進めば進むほど厳密なパターン化が必要とあって、古くさい印象はぬぐえないかもしれない。
グラフィックはXBOX360版に移植されたとあって、かつて発売されたアーケード版やドリームキャスト版などよりもパワーアップしている。
そして全体的に難易度は低下しており、非常に遊びやすく作りかえられている。
ただしトライジールRemixで注意して欲しいことが一つだけある。
それは、ステージセレクトがないのである。
元々オマケ要素として付け加えられたゲームだからしょうがないと言えばしょうがないのだが。

トライジールの画像
ボス戦の画像。いたって普通のシューティングゲームだ。
(画像:トライジールRemix)

最後は抽象的なグラフィックが印象的な「マイナスゼロ」だ。
システムも少し変わっているので、ちょっとした説明がいると思う。
マイナスゼロでは、自機の前に展開している照準を敵にあわせることで敵をロックオンできる。
ボタンを雄とロックオンした敵にショットが飛んでいき敵を破壊できるほか、敵を破壊した爆風が残っている間は無敵になる。
したがって、敵を大量にロックオンして敵をなるべく多く倒し、無敵が残っている間にさらに多くの敵をロックオンしていくゲームである。
また、ある程度進むとクリアという概念が無くなって永遠に同じステージを続けていくことになる。
敵がどんどん多くなっていって爽快感を常に得られ続けるのだ。
(シューティングゲーム好きならレイストームとサイヴァリアの合体だと考えてもらうとすんなりすると思う)

四つのシューティングゲームそれぞれが毛色の違うので、シューティングゲームが好きならば四つのうちのどれかぐらいは肌に合うかもしれない。
単体で見るとグラフィックやバランスの質はフルプライスゲーム以下かもしれないが、アイデア重視の四つのゲームが集まることで相乗効果を生み出している。
そしてマイナスゼロ以外は、トライングルサービス独特の感覚や他ゲームを彷彿させるネタが多いのも「シューティングラブ。200X」の特徴だ。
特に面白いのはXBOX360ならではの「実績」項目である。
他のゲームでは見られない変わった実績はながめるだけでも面白い。
ただ、独特のセンスは好き嫌いが分かれそうだ。

マイナスゼロの画像
マイナスゼロは敵をロックオンして攻撃するゲームだ。
(画像:マイナスゼロ)


レビュー
●アイデア重視のミニゲーム集としては良い感じ

ようやく『シューティングラブ』の看板に負けないゲームが発売された。
トライアングルサービスはずいぶん前からシューティングラブという看板を掲げていたが、いかんせんゲームの質が良くなかったために「どこがラブなんだ」と突っ込まれていたのである。
「シューティングラブ。200X」は様々なアイデアをたくさん盛り込むことで、グラフィックやゲームバランスで勝てるはずがない他社に差をつけている。
「勝てるはずがない」と言い切っているのには理由がある。
この会社のゲームは、プログラム、グラフィック、ミュージック担当の実質三人で作っているからだ。
弱小中の弱小会社のゲームがアイデア勝負になるのは、ある意味当然のことだと思う。
しかし「シューティングラブ。200X」ではただの一発勝負アイデアに依らず、色々なものが詰まっているので終始楽しく遊ぶことが出来る。
そして移植度やわかりやすいコンフィグ周り、特典のDVDを見てもシューティングゲームには何が必要なのかをよく考えて作られていることが分かる。

エクスジールの画像
仕掛けやアイデアが盛りだくさんのパッケージだ。
(画像:エクスジール)

本パッケージにはいくつものゲームが収録されているが、その中でも『シューティング技能検定』が一番おすすめのゲームだ。
シューティングゲームはプレイヤーの技量がかなり問われるジャンルのゲームである。
いままで技術力の指標となるのは、Aというゲームでどこのステージまで行けたとか、どれだけのスコアをとれたとかを見比べることにあった。
少し言い方を変えてみると、ゲームを通じてシューティングゲームの総合的な力を目安に測っていたのである。
しかしシューティング技能検定では、シューティングゲームで要求される要素を一つ一つ分解することで、様々な技術単体の力を測れるようにしている。
例えば連射力や弾避け能力、とっさの判断力といったものは、何かしらシューティングゲームをやれば各々の能力が折り重なって要求される。
一方でシューティング技能検定は、連射だけを測るミニゲーム、弾を避けるだけのミニゲームなどに分かれているのだ。
だから自分は何が苦手なのか、そして何が得意なのかが分かるようになっている。
まさに「検定」をしているのだ。
こういったゲームはシューティングゲームでは初めての取り組みなので、それだけでも高い評価を与えたいくらいだ。

シューティング技能検定の画像
ひたすら敵弾を避け続けるミニゲーム。
(画像:シューティング技能検定)

全体的にランダム性を散りばめてつつ、特定の技術を測る検定は二つ用意しているのも「検定」の意味を大きくさせている。
まったく同じ場面に遭遇することはあまりないので、最終的に純粋な技術が要求されるように作られているのである。
またシューティングゲームにおける技術は「慣れによる上達」も重要な要素だ。
どの検定にも一定の攻略パターンというものが存在しており、パターンを踏襲すれば良い点数が出るようにしている。
しかしすでに述べているように、まったく同じパターンにはならないのでアドリブ能力(つまり純粋な能力)も要求される。
シューティングゲームとは何なのか、を考えていなければ、この絶妙なさじ加減が生まれなかったと言える。
だから技能検定終了後に表示される「ゲーマー年齢」は、脳トレのようなものとは違う。
年齢から感じる上っ面からの意味見えにくい、隠された意味は「あなたの技術はこれくらいです」という意味である。
ある意味冷酷な事実なのではあるが、年齢というわかりやすい指標にしていることに注目してもらいたい。
技術力を点数表示してそのまま突っ返すのではなく、年齢という「よく分からないけど10歳台にのせるのが目標」の数値に置き換えている。
これはスコア表示最優先のゲームではわかりにくい指標を、非常にわかりやすくてトゲのない言い方にしているのだ。
しかも年齢表示は私がプレイする限り、20台の年齢になりやすいような設定にしていると感じた。
いたずらに低い点数(高い年齢)を出さないでプレイヤーのモチベーションを高めているのだ。

シューティング技能検定の画像
ゲームをやってるとナイス!と出たりね。
(画像:シューティング技能検定)

そしてシューティング技能検定では他のゲームを彷彿とさせる場面や独特のテロップも印象的だ。
こればっかりは実際に見てニヤリとして欲しいところでもある。
だから敢えてレビューでは詳細は説明しない。

ただ、技能検定の難点は単調さにある。
シューティングゲームを構成する要素だけを抜き出して、それだけをやるのだから単調になるのは当たり前である。
これはスポーツと練習の関係に似ている。
例えばサッカーを考えてみよう。
サッカーは、走るための体力、ドリブル能力、パス能力、など様々な能力が必要なスポーツであるものの、練習をするときは何か一つの要素を徹底的にやるはずだ。
練習自体が面白いというのはあるかもしれないが、本来最も面白いのは試合(ゲーム)ではないだろうか。
話を元に戻すと、技能検定はシューティングゲームのための練習を延々と続けるような感覚なのである。
だから同じことを一分間二分間続けることもザラである。

つまり技能検定は、技能を測るために様々な要素へ分解したはよいが、かえってゲーム本来がもっていた面白さを損なってしまっている。
しかし技術を測ること自体の面白さや、工夫を凝らした検定の楽しさがあるのもまた事実である。
私は検定のアイデアを上手くゲームに組み込めたことが、シューティング技能検定の良さだと思っている。

シューテの画像
テロップ
(画像:シューティング技能検定)

他のゲームは技能検定ほどの斬新さはないが、目的がしっかりとしたゲームがそろっている。
エクスジールは一つのステージごとにアイデアが詰まった仕掛けが用意されているゲームだ。
選べる自機が4つあり、それぞれの機体の性能が全く違うので遊び方を変えることが出来る。
様々な仕掛けは初めて見ると面食らうかもしれないが、しっかりと見極めていけばクリアできるようになっている。
変わったギミックを楽しみつつ攻略していくゲームがエクスジールだ。
ただエクスジールは面白くない。
エクスジールは展開が非常に単調で起伏がないので、ゲームをやっていると非常に退屈なのである。
同じような場面が長々と続くことが多い。
その場面が面白ければ文句はないのだが、エクスジールの場合は「規則正しく勝手に動く」ような展開が非常に多い。
つまりプレイヤーが何もしなくても勝手に仕掛けが配置され、その仕掛けが何かしら動いている中をプレイヤーは抜けていくという感じである。
シューティングゲームは目の前に展開される状況に対応する「受け身」のゲームではあるが、受け身の感覚を感じさせてしまうとゲームとして面白くなくなる。
エクスジールは完全に受け身感覚のゲームになってしまっている。
元々アーケードゲームで技能検定とカップリング販売されていたゲームなので、ゲームの出来についてはあまり期待しない方が良い。

エクスジールの画像
アイデアは奇抜でも面白さとは別だったりする
(画像:エクスジール)

トライジールRemixはかつて発売されたゲームの移植だが、バランスがかなり調整されていてゲーム自体は進化していると言える。
パッケージに収録されているゲームの中で最も”普通”のシューティングゲームでもあるので、気軽に遊べるようなゲームへと生まれ変わったと言えるかもしれない。
特にわかりやすい変更点は、自機の攻撃力が上がり当たり判定が小さくなったことによる、全体的な難易度である。
トライジールではパワーアップアイテムをとることでドンドン自機がパワーアップしていく。(シューティングゲームではごく普通の要素だが、この要素があるのはシューラブ200Xではトライジールだけである)
最大までパワーアップするとボス敵以外は破壊しまくれるので、かなり攻撃的な展開のゲームになる。
敵を破壊しまくるゲームと言えばいいだろうか。
敵キャラを倒したときの効果音はなかなか重量感があるので、豆腐を切っているかのような手応えのなさはない。
元のゲームは敵キャラが結構堅いぶん、破壊の重量感を重視するために効果音を迫力あるものにしていたのだが、それを変えずにもってきたことによって新たな面白さが生まれている。
おそらく単体で見るとフルプライス(5000円以上)の価値はないものの、他のゲームをやっているときの息抜きの役割を果たしてくれるだろう。
ゲーム自体で見ると技能検定の次に面白いと思う。

トライジールの画像
トライジールのインベーダー地帯。
(画像:トライジール)

次はマイナスゼロだ。
うたい文句は、中毒性のあるアブストラクトシューティング(抽象的なシューティングゲーム)だ。
この中毒性というのは非常にわかりにくいが、一回のプレイ時間が短いゲームを繰り返しやりたくさせるような要素と言い換えることが出来る。
先が見たくて見たくてしょうがない大作RPGを中毒性があると言うだろうか?たぶん言わないだろう。
時々見られる中毒性という言葉は、麻薬・タバコ・コーヒー(カフェイン)の効果は持続しないことと引っかけているのだとは思う。
さて話を元に戻すと、マイナスゼロは長くても1ゲームは10分で終わる短いゲームだ。
その代わりに一回のゲームを密度の濃いものにしていると言える。
しかしこういったグラフィックにお金を掛けないアイデア重視のゲームはアイデアを面白いと感じるかどうかが評価の分かれ目となる。
そういう意味では非常に評価しずらいゲームだ。
マイナスゼロは最初の数ステージはステージクリア型の一般的なシューティングゲームだが、途中からはクリアの無いステージに移行する。
クリアのないステージでは同じような場面(そのかわり敵の攻撃が激しくなる)が続く。
したがって同じことを繰り返すあまり、すぐ飽きてしまう問題点がある。
新作ゲームと言うよりもミニゲームが収録されていると考えたほうが良い。

マイナスゼロの画像
何が何だか分からないけれど、それがマイナスゼロ。
(画像:マイナスゼロ)

なお同梱されている攻略DVDには、開発者やプレイヤーの音声付きコメントが収録されている。
技能検定とエクスジールの攻略映像を流しつつコメントをしていくというものなのだが、解説だけではなくて結構面白いコメントが聞けるので買った人は是非聞いて欲しい。
特にゲーム全体に流れる奇妙な雰囲気を作っている開発者によるコメントは面白いと思う。
ただ単に攻略映像を流すだけでなくて、楽しませる作りになっている。
そして技能検定もエクスジールも非常に単純なゲームなので、攻略映像は誰にとっても役立つだろう。

4つもあるゲームをそれぞれレビューしてきたが、最後はパッケージ一つを見た場合の話をしてレビューを終わりとする。
パッケージに収録されているゲームは、高度なテクニックを必要としないシンプルなゲームばかりである。
そして「今風」のゲームではあまり見かけないような、昔ながらのシューティングゲームの要素も色濃く残している。
また他のゲームへのリスペクト的な要素もふんだんに盛り込まれている。
どちらかというと以前シューティングゲームが好きだった人が特に向いていると思う。
あと社長ファン(すでに買っているか・・・)やこのゲームまたはトライングルサービスが気になった人。
ただし、XBOX360とは思えないグラフィックのチープさやゲームプレイの古さは買う前にきちんと覚悟しておくべき。

トライジールの画像
画像の良さには期待してはだめ。
(画像:トライジール)

まとめ
四つのシューティングゲームが入っているミニゲーム集と考えておいた方が良い。
それもが根を詰めてやるようなゲームではないが、空いた時間にすんなりと出来るゲームばかりがそろっている。
シンプルなシステムや質素なグラフィックはXBOX360に似つかわしくないが、あえて言えば良い感じの古さを感じさせてくれるかもしれない。
しかし全体的に味気ないのでシューティングゲームが好きな人向けというのが結論になってきそうだ。

点数64点
リンク

公式サイト


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