雷電IV(ライデン フォー 、らいでん4) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年3月
タイトル
雷電IV(ライデン フォー、らいでん4)
機種:XBOX360
ジャンル:シューティング
発売年:2008年

 
紹介
雷電IVは2008年にXBOX360向けに発売されたシューティングゲームである。
開発・販売ともMOSS(モス)が行っており、雷電IVは2007年には業務用に発売されている。
XBOX360版はアーケード版の完全移植に加え、移植するにあたってリプレイ機能やステージセレクトの搭載、家庭用専用モードでの新ステージ追加がされている。
360版は不具合がちらほらあったが、2009年2月に不具合を修正するアップグレードパッチが配布されたので、現在は不具合の心配はなくなった。
なお、パッケージには雷電IVのサウンドトラックとアレンジがつまったCDが同梱されている。
2009年現在、発売してからそれほど時間はたってないので入手は難しくないはずだ。

いやらしいボス戦の画像
いわゆるシューティングゲームらしさがある

雷電シリーズは縦スクロールのシューティングゲームを代表するシリーズである。
外伝的なゲームを含めなければ、純粋な5作目となる「IV」もそれまでのシリーズの特徴を受け継いだゲームシステムになっている。
その特徴は、無駄なシステムを取り込まずに『撃つ、避ける』を中心としたシューティングゲームになっていることだ。
スコア(点数)の稼ぎシステムや複雑なゲームシステムを敢えて取り込まずに、ゲームセンターにふらっと立ち寄った一見さんを取り込むことに成功した。
またゲームの内容自体も優れていたから、シューティングゲームを数多くこなす人からも評価されることとなった。
元々はドット絵だったシリーズも、雷電IVではフルにCGを使った現代らしさのあふれるゲームになっている。
さらに難易度はかつてのシリーズよりも下げられているなど、非常に遊びやすく作られている。

システムは、敵を撃つショットボタンと一定時間敵の弾を消すボムの二つだけだと言ってもいいだろう。
敵が画面に現れてから早く倒すほど高い点数が手に入ったりするが、ゲームプレイを大きく左右するほどのものには設定されていない。
そして雷電IVはここ10年主流の画面を覆いつくすような弾をよけるシューティングゲームではなく、自機にむかってくる高速弾を避けるゲームだ。

2面中ボスの画像。ちなみにこいつは雷電IIIの2ボスでした
それまでの雷電シリーズなら死んでいたような弾の感覚だが、IVではそんなことはない

レビュー
●進化していないことは良いのか悪いのか

雷電IVのゲームシステムは昔ながらのシューティングゲームそのままだ。
敵を撃ち、弾を避け、ステージをクリアすることが最も面白いという認識を、派手なゲームや複雑なゲームがたくさんある現在、改めて教えてくれる珍しい存在である。
ド派手な演出や技巧的なシステムがなくても、雷電IVのようにバランスがしっかりしていさえすれば面白いゲームは作れるのだ。
今の時代にシンプルすぎるゲームを改めて発売することは、斬新なアイディアとは違う物珍しさを与えてくれる。
使い古されてどこか懐かしさを覚えるものが逆に新鮮に映るという、不思議な感覚なのである。
もっとも雷電IVは昔のゲームをそのまま作り直さず、今風の調整を施すことで非常にユーザーに優しいゲームに仕上がっている。

4面ボス画像
高速で襲ってくる弾を避ける

実は雷電シリーズはアーケードゲームで高く評価されていたものの、難易度がものすごく高く設定されていた。
低い難易度で客を集めていたのではなく、弾を撃つ快感、敵を破壊する快感が非常に優れていたから、例え3分程度でゲームオーバーになっても満足感が得られたのだ。
しかし、今となっては3作目までの雷電シリーズを形作っていたとても難しさは絶対に嫌われてしまうといえる。
その難しさを構成していた最大の要素は、画面下側からの正確な敵の狙撃だった。
縦にスクロールするシューティングゲームでは、画面上のほうから敵や敵の弾が降り注いでくるため自機は画面の下側にいることが多い。
したがって普段は上のほうを見ていればよいのだが、いじわるなことに画面の比較的下側の横からひょっこり現れる敵がいる。
横から突然現れる敵と自機との距離が近いため、敵の攻撃に反応して避けることは非常に難しい。
かつての雷電シリーズではこのような敵が非常に多く、どこでどのように出てくるのかしっかり覚える必要があった。
もちろんしっかりと敵の位置を憶えて対策すれば倒されることはないのだが、いかんせん憶えるべきことが多くタイミングがシビアなため、難易度が非常に高かった。

雷電と言えば戦車。戦車は速攻破壊しないと危険。その画像
わかりにくいが、画面中央にいた戦車を速攻破壊したところ

ここまで言うとなんとなくわかると思うが、雷電IVではこのようないやらしい敵があまり配置されていない。
実は前作となる雷電IIIでも配置されていなかったのだが、あまりにも配置されていることが少なくなっていて上から降り注ぐ敵だけに注目すればよい状況を生み出し、かえってメリハリをそいでいた。
雷電IVではかつてのシリーズのようなテンコ盛りでもIIIのような大不足でもない、非常に適度な感覚で敵が置かれている。
これは横からの敵のみならず、ゲーム全体に言える。
敵の攻撃が激しい場所とそうではない場所のバランスがしっかりととられているので、物量作戦に感じることが少ない。
さすがに一年近くをかけてアーケード版を調整した結果だといえるだろう。
いたずらに左右対称に敵を配置していないところなど、手抜き感は一切ない。

雷電IVをやっていてシューティングらしいと感じるのは、射撃の快感がしっかりとしているからである。
敵を倒したときの爆発エフェクトといい、爆発音といい、非常にしっかり作られている。
また敵に攻撃を打ち込んだときの音や敵が攻撃をぶっ放すときもしっかりと音が鳴っている。
つまり自分も敵も「攻撃をしている」と如実に感じさせるように作られているのだ。
最近のシューティングゲームでは攻撃や破壊の快感が薄いため、ただ進めているだけでは面白くないゲームが多い。
雷電シリーズに受け継がれている要素をしっかりと把握し、そぎ落とすことなく使用しているのはかなり好印象だ。

敵を破壊した瞬間の画像
敵を倒すと破片がすごい

しかし雷電IVは革新性という点から見れば大きく見劣りしてしまう。
確かに今風の自機の当たり判定が小さいなど、今風のゲームシステムを取り入れているものの、このゲームならではの要素がほとんど見当たらない。
つまりあまりにも「よくあるゲーム」のひとつになってしまっている。
もっと突っ込んで言えば、90年代にアーケード向けシューティングゲームを製作していた「彩京」という会社のゲームに結構似ているのだ。
彩京は戦闘機モノのシューティングゲームを作り一定数の客をつかんだが、2000年代に撤退をした。
つまりそれまで彩京がつかんでた客層を頂こうとしたと考えられないだろうか。
見た目が変わっていても、中身がそれほど変わらないゲームが多いのはシューティングゲームの宿命とも言うべき問題である。
だから各社そろって独特な要素を付け足すことで変化をもたせようとしているが、成功した例は少ない。
私に限らず、誰もがどうしてもシューティングゲームの評価を厳しくせざるを得ないのはジャンルの問題、と言えるだろう。

後半ステージの画像。攻撃が激しい
ゲーム後半ともなると攻撃は激しい

ところで雷電IVはXBOX360に移植するに当たっていくつかの不満要素がある。
それは音楽が旧作のアレンジが目立つこと、ボリュームに対する値段が微妙に高いこと、移植するに当たって追加されたステージが面白くないこと、の3つである。

シューティングゲームは「コンティニューを繰り返してラスボスを倒したら終わり」になるゲームではない。
一回もコンティニューせずにどこまで進めるか、あるいはどれだけ高いスコアを取るのかを楽しむゲームである。
したがって何度も何度も繰り返し同じステージをやり続け、より上手くプレイできるように努力しなければ面白くない。
つまり同じ敵、音楽をずーっと見続ける必要がある。
そうなると、旧作のアレンジを多用した楽曲構成はノスタルジーを感じさせるかもしれないが、新鮮味がとても薄い。
旧作の音楽を使うのは、限られた箇所(重要な意味を持つ場所、たとえばラスボス、旧作リスペクトのステージなど)で使うことによって相乗効果を生む。
多用すれば新作ゲームの意味が薄れてしまう。

ヘリと戦車が雷電の難しさを作り出している
雷電では左にいるような敵ヘリコプターが厄介だ

そしてシューティングゲーム最大の問題点は、ボリュームのなさである。
繰り返しやることが前提として作られているため、一つ一つのステージを長時間かけて作りこんでいるのは理解できる。
しかしどう考えても他のジャンルのゲームと比べるとボリュームでは見劣りしてしまう。
だからこそ、得点のCDや攻略DVD、充実したオプション要素を付けることがシューティングゲームには不可欠である。
雷電IVはサントラCDがついているものの、定価が7000円越えなのでシューティングゲームをやりなれた人や継続的にやる人以外には割高に感じられてしまうはずだ。
ところが隠し機体がダウンロードコンテンツでの販売に限定されているので、価格の高さがよりいっそう際立ってしまう。
予めゲーム本体に入っている要素を追加料金を払うことでアンロックできるようにするのは、言語道断の小遣い稼ぎだ。

XBOX360版に追加されたステージの質が著しく低いのもボリュームのなさに拍車をかける。
追加されたステージに関しては敵がわらわらと左右から出てくるだけの習作同人ゲームと言わせてもらおう。
一箇所だけ良い感じのコンセプトで作られた場面があるのだが、見るところはそこだけだ。
ボリュームを増すことは喜ばしいことだが、水増しするぐらいなら始めから無いほうが良いのである。

XBOX360版のステージ画像。艦隊戦
プラズマレーザーをうまく使わせるステージもある

最後にシューティングゲームを買いたいと思っている人が一番気になる難易度について書いておく。
雷電IVは敵が撃ってくる弾密度はそれほど高くないが、自機に向かって一直線に飛んでくる高速弾が中心のシューティングゲームだ。
今風の弾幕ゲームとはプレイ感覚が結構違う。
一見すると弾密度が低いので簡単そうに見えるものの、敵の攻撃の避け方を知らなければあっけなくやられてしまう。
逆から考えると何度もやっていけば自分が上達していく様子がはっきりと目にわかるゲームなので、やられてもやり直す根気さえあれば楽しめるだろう。
イージーからハードまである難易度設定は非常に適切で、イージーは本当に易しく、ハードは難しい。
細かく区切られた難易度設定により自分にあった難易度を選ぶことが出来るはずだ。
しかしシューティングゲームを支配する法則を知らなければ、雷電IVの楽しさがわかるまではかなり苦労するかもしれない。
シューター用語でもある「安全地帯」や「奇数弾、偶数弾」という言葉がわかる人はわりとすんなりとできると思うが、わからない人はなれるまで苦しいと思う。
それと二週目はひどい難易度なので、腕に自身のある人は二週目にチャレンジするのもいい。

敵をなぎ払うプロトンレーザーの画像
プロトンレーザーを使ってみる

まとめ
雷電IVは2008年のゲームとは思えないほどシンプルなシステムのゲームだ。
グラフィックは3D化されてはいいるものの、ゲームのプレイ感覚や音楽は90年代の懐かしいシューティングゲームそのものでもある。
今風の調整もされているので遊びやすさは当時のゲームよりも何倍も上だ。
ただ、特典要素はあるもののボリュームが明らかに少ない。
確かに綿密に練られたステージ構成をしているのだが、それでも短さを感じさせる何かがある。
難易度はシューティングゲームをやろうと考えている人でもとっつけるものからシューターの挑戦心をあおるものまで用意されている。
よくできてはいるが飛びぬけた部分がまったくないゲームだといえる。
点数63点
リンク

XBOX360版公式サイト


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