RAIDEN FIGHTERS ACES(ライデンファイターズ エイシス) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年4月
タイトル
RAIDEN FIGHTERS ACES(ライデンファイターズ エイシス)
機種:XBOX360
ジャンル:シューティング
発売年:2008年

 
紹介
RAIDEN FIGHTERS ACES(ライデンファイターズ エイシス)は2008年にサクセスが販売、ガルチが開発を担当したシューティングゲームである。
RAIDEN FIGHTERS ACES(ライデンファイターズ エイシス)の中にはライデンファイターズ三部作が収録されている。
それはライデンファイターズ、ライデンファイターズ2、ライデンファイターズJETの三つだが、便宜的に「1」「2」「JET」と呼ぶことにする。
ライデンファイターズシリーズは、1996年、97年、98年に業務用ゲームとして発売された。
三作のゲーム内容についてはほとんど違いはないと言える。
その後、家庭用移植の話はあったが立ち消えとなり、初代発売から10年以上たった2008年にXBOX360へ移植された。
移植の際にはエミュレートを駆使せず、XBOX36向けに一からプログラムを書き起こしているという。
音楽やグラフィックも一からやり直しており、移植と言うよりも新作に近いような気がする。
それと元々のプログラムを担当していた人が移植を行っているので、移植度に関しては折り紙付きと言えるだろう。

発売後から不具合修正や追加要素を付加するパッチが出ている。
ゲーム進行にかかわる不具合の改善や練習に便利な追加要素が追加されているので、ゲームをやる前はアップデートをすることをおすすめする。
またパッケージには超絶プレイが収録してある攻略DVD(解説付き)が付属している。
シューティングゲームは品薄になりやすいが、メーカーは継続的に出荷を行っていて今でも新品で手に入るので入手は簡単な方だろう。

ボス戦
今ではもう見かけないドット絵のゲームだ(画像:初代ライデンファイターズ)

ライデンファイターズ エイシスはXBOX360に似つかわしくないドット絵のシューティングゲームである。
しかし10年前のドット絵から3Dゲームに移行しつつあったドット絵最終期のゲームなので、ドット絵の品質は非常に高い。
3Dに慣れきった目からは、逆に新鮮さも感じ取れるかもしれない。

ゲームシステムはきわめて単純な縦スクロールシューティングゲームに見えるが、隠し要素が豊富で使用できる機体も多いので「自由度の高い」ゲームだと言える。
隠し要素は普通にやっていては気づくことが出来ないものの、敵を倒す順番などによって発生する要素である。
うまいプレイヤーになればなるほど点数を稼ぐために、この隠し要素を一つ残らず発生させる。
隠し要素には発生条件がとても難しいものから簡単なものもあり、ライデンファイターズ エイシスでは自分の実力に見合った「稼ぎ」を行える。
開発者の話によれば「シューティングゲームとはスコアを稼ぐもの」という考えが開発者の頭の中にあるそうだ。
そして機体の数は異常に多い。
好きな機体を選べて長い間遊べる利点はあるが、バランスの悪さはどうしてもさけられない問題である。

また90年代半ばのシューティングゲームなので「高速な敵弾」と「大きい自機の当たり判定」も特徴の一つだ。
こういったことから今風のゲームを期待するのは見当違いである。

海上戦の画像
緻密に描かれたドット絵を見てほしい(画像:ライデンファイターズJET)

ライデンファイターズ エイシスの最大の特徴はゲームの内容ではなく、インターフェイスやシステム周りの要素にある。
私がコラムで書いた「アーケードゲームから家庭用に移植する際の評価の基準」(別窓で飛びます)をすべてみたしている。
そればかりか、今までのシューティングゲームでは実装されていないような細かなものまで実装している。
例えばライデンファイターズが稼働していた当時はSDのブラウン管しかなかったので、走査線というものがハッキリと見えていた。
新しいブラウン管テレビや液晶・プラズマは走査線が見えにくい、または走査線が存在しない。
ライデンファイターズ エイシスでは、擬似的に走査線を発生させるオプションが存在する。
ほかにも、描画方法の選択など、アーケードでゲームしていた環境を忠実なまでに再現するためのオプションがついている。

また豊富な練習システムがあるのも私のような上手くないプレイヤーにはうれしい。
ライデンファイターズ エイシスには、ステージセレクト・ボスセレクトなどに加え、「捨てゲーボタン」とかいうのがある。
これはステージ最初から一発でやり直すためのボタンなのだが、この機能を利用することで一々メニューに戻ることなくゲームを練習することが出来る。

ライデンファイターズ エイシスは、今ではシューティングゲームを移植する際の評価基準になっていると言える。
それほどまでに文句のつけようのない移植の程度なのだ。

列車戦の画像
巨大な敵列車を攻撃!(画像:ライデンファイターズ2)


レビュー
●お手本のような移植度。ただ、ゲームとしては稼ぎに傾倒しすぎている

2008年以降、家庭用に移植されるシューティングゲームの指標となるゲームソフトが登場した。
それが今回レビューするライデンファイターズ エイシスだ。
まず、アーケードゲームから家庭用へ移植されるゲームの評価基準を考えていこう。
コラムですでに述べている(別窓リンク)が、基準となるのは主に三点だ。
具体的には、「アーケード版の完全移植であるかどうか」「練習するための要素はあるか」「家庭用オリジナル要素やおまけは搭載されているか」である。
ライデンファイターズ エイシスは全ての要素を完璧に満たしている。
しかも他のゲームと比べても一歩先に進んだレベルで実現している。
これは開発者の根気のなせる技、職人芸だと言える。
次からは、移植する際に重要な三つの要素について一つ一つ見ていこう。
空中戦
強い隠し機体でがんばっているところ(画像:初代ライデンファイターズ)


最初は「移植度」だ。
ライデンファイターズ エイシスに移植度は元のゲームを作ったプログラマーが一から作り直して、そして自分が納得するまで仕上げているので文句のつけ用はない。
厳密に言えば違っているところはあるかもしれないが完全な移植と言えるだろう。
さらに面白い要素は、元のゲーム環境を再現するコンフィグ設定の豊富さだ。
紹介で述べたブラウン管の走査線方式の他にも特筆すべきものがいくつかあり、そのなかで特に興味深いのが「fps調整」である。
わかりやすく説明すると、元のゲームであるライデンファイターズの基板は一秒間に56回画面を更新する方式だった(54fps)。
しかしXBOX360では一秒間に60回の更新(60fps)を行うため、そのままの移植をしてしまうとゲームスピードが早くなる。(厳密には59.??らしい)

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補足
どうしてゲームスピードが早くなるのかについて簡単に説明する。
ゲーム基板が一分間に54回更新していたものを何も手を加えずに、一秒間に60回更新するXBOX360に投影すると、一秒間に6のあまりが生じることはわかるはずだ。(60-54)
XBOX360では、余った6をそのままにしておくわけにはいけないので次の場面からゲーム映像を読み出す。
つまり、一秒間に6フレーム早くなるのだ。
これは、XBOX360で10秒たてば本来よりも一秒早くゲームが進んでいることを意味している。
(わかりにくければ掲示板に書いてください。図を使って説明します)
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ジャッジスピアの画像
ライデンファイターズは速攻破壊が基本だ(画像:初代ライデンファイターズ)

ライデンファイターズ エイシスでは、この問題を三つの選択肢を用意することで解決している。
それは、「強制的に54fpsにする」「60fpsにする」「60fpsながら54fpsのゲームスピードを擬似的に作る」三つの選択肢である。
強制的に54fpsにすれば多少カクカクするがゲームは本来のスピードで動作するし、擬似的に違和感なく再現することも出来る。

他にも何が変わるのかわからないオプションまでついている。
なぜここまで多彩なオプションをつけたのか、という疑問が生じるが、その理由はただ一つだ。
「ゲームセンターで見ていた画面、ゲームの中身を忠実に再現する」ためなのである。
例えばゲームセンターでは、同じゲームといえども遊ぶ環境によって画面の映りは変わってくる
寿命間近のブラウン管では薄くぼけた映像になるし、筐体によって蛍光灯の映り込みとかもあるだろう。
ついでに言うと自分の家でやる場合も環境は千差万別なので、より多くのオプションをつければつけるほど自分好みの設定、もしくはゲームセンターに近い設定に近づけることが出来る。
他の例をだしてみよう。
元々のライデンファイターズにはゲームが稼働してからしばらく日数がたつと隠し機体が追加される要素があった。
つまり当時ゲームをやった通りすがりの人にとっては隠し機体が出る前が自分のライデンファイターズかもしれないし、やりこんだ人にとっては隠し機体が出た後のライデンファイターズが自分の知っているものかもしれないのだ。

人によって差があるのだから、ライデンファイターズ エイシスでは数多くのオプションを用意して、プレイヤーが最適なものを見つけてもらうことを意識して作られている。
この多彩なオプションは99パーセントの人には無縁なことかもしれないが、開発者の心意気はぜひとも評価したい。
コンフィグの画像
豊富なコンフィグ項目で好きな設定に近づけよう

次は「練習するための要素」だ。
ステージセレクトや機体セレクトなど、基本的な部分は他のゲームでも実装されていることだが、ライデンファイターズ エイシスで評価したいのは「捨てゲーボタン」である。
このボタンは「ゲームを最初からやり直せるだけ」というだけのシンプルな機能だ。
しかしよく考えてみると、シューティングゲームは同じステージを繰り返し繰り返し練習するゲームであるから、メニュー画面に戻らずに何度でもやり直せる「捨てゲーボタン」は時間の節約になる。
つまり効率よく練習することができるのである。
「捨てゲーボタン」に慣れてしまうと、他のゲームでは一々メニューに戻らなくてはならないので、苛立ってしまうだろう。

最後の「追加要素」に関しては、ライデンファイターズ三部作をまるごと詰め込んだことと、スーパープレイを収録したDVDが付属することだけで十分だろう。
ライデンファイターズは昔のゲームなので三部作を詰め込まなければ割高になってしまうという現実的な問題も確かに無視できない。
ただ、ユーザーの一人としては、三つのゲームが一本のパッケージで遊べるのでうれしいことに変わりはない。

移植されるゲームとしての最低ラインだけでなく新たな基準を見せてくれたライデンファイターズ エイシスの移植方法は、これからのスタンダードとなるだろう。

しかしライデンファイターズシリーズのゲームの中身については、私は移植度ほどの評価は与えられない。
今からライデンファイターズシリーズの面白さを紹介して、その後に欠点を述べていく。
このように説明する理由は、ライデンファイターズの面白さと欠点がほとんど同じ要素にあるからである。
またライデンファイターズ エイシスに収録されているライデンファイターズシリーズの「1」「2」「JET」はほとんど同じゲームなので、シリーズを一括し「ライデンファイターズ」として話を進めていく。

豊富な自機セレクト
ライデンファイターズは選べる自機が多いのも特徴だ
(画像:ライデンファイターズJET)

一言でライデンファイターズを説明すると「稼ぎが熱いゲーム」である。
シューティングゲームはクリアすることが最初の目的で、次にクリアを安定化させ、最後は高いスコアを狙っていくのが最も普通の遊び方だと私は思っている。
ライデンファイターズは比較的難易度を押さえ(と言っても十分に高い)、稼がせることを最大限に楽しませようとしている。
そのためにステージのあちらこちらに隠しフィーチャーが用意されており、上手ければ上手いほど隠し要素を使ってスコアを上げることが出来る。
クリアするのは比較的簡単なものの稼げば難しいという難易度設定は、シューティングゲームでよく見られる難易度調整の方法だ。
なぜなら初級プレイヤーはクリアに専念し、一方で上級プレイヤーは出来るだけ高いスコアを稼ぐためのプレイをすれば、どちらも楽しめるようになるからだ。
ところが、私が今までいろんなシューティングゲームに触れてきたが、上記の「初級者は簡単にクリア、上級者は稼ぎ」をうまいこと両立させているゲームは少ない。
というのも、無駄に初級者向きの難易度設定をしてしまうと敵に殺気がないダラダラとした緊張感のゲームになってしまい、初級者でも面白さを感じられなくなってしまう。
そこでライデンファイターズではプレイヤーを倒す攻撃方法をいくつか用意して「生きるか死ぬかの緊張感」を演出している。
ライデンファイターズでとられているプレイヤーを倒す手法の中で最も目立つ方法は、特に「1」と「2」では顕著なのだが、「画面横や下から不意打ち攻撃」である。
しかし「不意打ち攻撃」でやられると、やっている側としては萎えてしまう。
ゲームになれていないうちは卑怯な方法でやられているという感じがして気持ちいいものではないだろう。
また、ライデンファイターズはスコアを上げるための隠し要素が豊富なので、慣れてくると画面を縦横無尽に動き回ってスコアを稼ぎたくなってくる。
しかし気持ちよくスコアを回収していたら、横から出てきた敵に攻撃されて「ズドン!」とやられてしまうことがよくあるのだ。
言い換えれば、人が気持ちよくゲームをしている最中に冷や水を浴びせられてしまうのである。
つまり慣れないうちは卑怯な攻撃でイライラし、慣れてきても不意打ちで気分が萎えるのだ。
「稼ぎが熱いゲーム」なのに、稼ごうとする行為に水を浴びせて阻止するのがライデンファイターズなのだ。

ヘルダイバーの空中戦画像
特定の敵を倒すと、点数を稼げる勲章がジャラジャラ出る
(画像:ライデンファイターズ2)

そして私はライデンファイターズの稼ぎ行為自体が面白くないと思っている。
理由は簡単だ。
稼ぎ行為がクリアにまったく関係のない行動だからだ。
極端な話、ライデンファイターズは稼ぎを全く意識しなくてもクリアは可能だ。
(「JET」は稼がないと先のステージに進めなくなるが、稼ぎ行為は一つ一つのステージクリアとは関係ない)
つまり稼ぎ行為とゲームクリアが完全に分離しているのがライデンファイターズなのだ。
だから「稼がなくてもいい」という選択肢と、ゲームの本質とは関係のない稼ぎの方法がゲームの中に混在している。
しかもライデンファイターズの稼ぎ要素(隠し要素)は異常なほど量が多い。
このあたりは、機体選択の豊富さを含めて自由度を高めるようなゲームデザインにしているのだとは思うが、自由度の高さから得られるものが漠然としたスコアだけなので達成感を得られにくい。
スコアを重視しない私のような人にとってはあまり面白くないゲームだと言えるかもしれない。

ただ逆に考えてみると、スコアを稼ぐのが好きで好きでたまらない人にとってライデンファイターズは非常に面白いゲームに感じられるだろう。
ライデンファイターズでは、無限に広がっているスコア稼ぎの海へダイビングすることができるのだ。
しかも豊富な稼ぎ要素が次から次へと発生するので、休む暇もなく点稼ぎに没頭できる。
稼ぎだけを考えるのならば、ライデンファイターズは非常に面白いゲームである。
ライデンファイターズは、開発者(メインプログラマー)が考えているように「シューティングゲームは稼ぐことが面白い」と感じるか、私のように「稼ぎはクリアに付随するものだ」と考えるかによってとらえ方が違ってくることに注意してほしい。

稼ぎがメインとなるライデンファイターズだが、もう一つ特徴的なのはテンポの早さである。
ステージが始まってからボスに到達するまでの時間が短く、そしてボス戦の時間も短い。
短い時間を使ってゲームをやりたいときには重宝するだろう。

敵弾が見にくい空中戦の画像
もう一つ文句を言うと、ライデンファイターズは敵や敵のの弾が見えにくい。
この画像では背景と一体化しているのがよくわかる。
(画像:ライデンファイターズJET)

ライデンファイターズ エイシスにはライデンファイターズ「1」「2」「JET」が収録されているが、各ゲームの違いはほとんどない。
一応シリーズを重ねるごとに使える機体が増え、グラフィックがパワーアップし、敵の攻撃が激しくなってくる。
個人的には「JET」が一番面白いと思っている。
細かいところまで指摘はしないが、ライデンファイターズ「1」と「2」の欠点をうまく消化したハイテンポなシューティングゲームが「JET」だと思っていいだろう。
「JET」はグラフィック、音楽、演出、ゲームバランスのどれをとってもライデンファイターズ最高だと私は考えている。

ゲームの内容について様々な愚痴を述べてきたが、私は決してライデンファイターズ エイシス(つまりパッケージ自体)について文句を言っていない。
元のアーケードゲームが発売されてから10年以上たち、移植されることは絶対にないと思われたのに、今になって移植されたのは非常にうれしい。
しかも移植度は完璧で、開発者の意気込みがヒシヒシと伝わってくる形での文句のつけようのない移植だからだ。
発売当初はバグがあったそうだが、今ではアップデートで完全に改善されている。
こういった「誠実な対応」をすることが当たり前と言えば当たり前なのかもしれないが、仮に自分が対応をしなければならない立場になったならば、完璧な対応というのはとても難しいことがわかる。
口で「あの企業の対応は悪い」と言ってる人が、実生活や仕事で他の人から文句を言われないようなことを本当に出来ているのかどうかは疑わしい。
だからこそきちんとした結果を示してくれた開発会社、販売会社の人たちへは賛辞を送りたい。

ライデンファイターズJETの真ラスボス戦の画像
ライデンファイターズJETの真ボス。敵の撃ってくる弾がとてつもなく速い。
(画像:ライデンファイターズJET)


まとめ
文句のつけようのない移植度と追加要素があるシューティングゲーム。
スーパープレイDVDや練習するためのシステムがきっちり用意されているので自分の気が済むまでゲームをすることが出来る。
普通にやっていくだけではあまり面白くないが、稼ぎを意識すると非常に奥が深いゲームに変身する。
ただ、スコアのためにゲームをやることが気にくわない人にはあまりおすすめできない。
逆に言えばスコアを稼ぐのが好きな人には非常にお勧めできる。
難易度選択、使用機体も豊富なので初心者から上級者まで楽しめるはずだ。
中身は10年以上前のゲームだが、シューティングゲームは進化の余地がないジャンルなので、やってみれば思ったよりも古さは気にならないだろう。

点数72点
リンク

公式サイト


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