Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2010年7月
タイトル
Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
機種:XBOX360
ジャンル:FPS
発売年:2008年

 
紹介
Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)は特殊部隊を操ってテロリストを殲滅するFPSである。
五つ目のレインボーシリーズである「ベガス」シリーズの第二弾だ。
開発はUbisoft Montrealが行っている。
物語もゲームシステムも前作をやり終えたことを前提にデザインされている。
なぜなら、もともとベガス2は初代ベガスのダウンロードコンテンツとして開発されていたゲームだからである
あれもこれも詰め込んでいくうちにボリュームが大規模になったため、改めて新作として開発、発売された。
チュートリアルがかなり省略され、ゲームシステムは追加要素が少しだけあるだけで、前作ベガス1とほとんど変っていない。
グラフィックは少しだけパワーアップしている。
難易度は相変わらず高めの部類だが、前作と比べるとだいぶん低下している。
イージーモードも追加されている。

Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
今作も味方の存在が重要だ

ベガス2は主人公の外見をある程度カスタマイズできる。
用意された顔のパーツを組み合わせたり、防弾ジャケットやヘルメットも好きなのを選べるのだ。
性別も男女で選べるようになっている。
なお性別の違いはゲーム中の音声が変わるだけで性能に差があるということはない。

ベガス1と2で最も際だつ変更点は経験値システムの導入である。
今作ベガス2はオフラインにも経験値取得によるレベルアップ要素と武器アンロックがある。
例えばグレネードで倒したり、ブラインドショットで倒せば特定のスコアが加算される。
ある程度たまるとレベルがアップし、新たなる武器が使用可能になると言うわけだ。

オンライン要素は強力プレイ(COOP)にも使えるそうだが私は行っていない。

Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
例えばロープ使用中の敵を倒すとか


レビュー
●レインボーシックスらしさは復活し、遊びやすくなってはいる

ベガス2はベガス1をもとに以前からのレインボーっぽく作り変えられた続編である。
同じコンセプトで作ってもマンネリだからある程度方向性を変えるというのは正しい。

マップは縦長の構成が多くなり、扉やロープを使って小部屋に突入する場面が増えた。
広い空間に障害物が起これているだけの味気ないマップは消えたのである。
これによって目の前に出現する敵に集中できるようになっている。
隣からいつ敵が出てくるかとか、どこかに敵が隠れていないかと神経をすり減らす場面が減っている。
また子部屋への突入ルートは3種類設けられていることも多く、どのように攻めるか考える余地が生まれている。
これこそレインボーシリーズのもつ独自な操作体系を生かしたマップの構成だ。
爆破して扉を開けるのか、それとも扉をあけてから投げ物を投げるのかというシステムは、前作のベガス1では有名無実化していたのだ。
そこでベガス2はシリーズの原点に立ち返っている。

Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
どこからどのように突入するかは大切だ

しかし同時に失われたものもある。
ベガス2は敵の出方がかなり不自然な沸き方をしているのである。
仮に敵のAIに任せて自由に動かすのならば予めマップに敵を配置しておけばいいが、ベガス2はより「堅い」ゲームプレイをさせるために露骨な沸きが多くなっている。
例えばのんびりとやっている限りはなかなか見つけられないが、一定地点を過ぎると天井から窓を突き破って突入する敵や仲間を先にすすませて自分が後ろにいると突然目の前に現れたり、といったことである。
これは比較的広くてさまざまなルートを取れるゲームと違う。
正解のルートを探していくタイプの、昔から作られてきたFPSである。
特に顕著なのが一人で進まなければならない凶悪難易度ミッションとラスト手前の謎展開である。
どちらもガチガチにしこまれた覚えゲーになっているシーンだ。
少し覚えるべき要素を多く盛り込みすぎだ。
これでは理不尽一歩手前になっている。

過去シリーズの長所を廃して戦闘の自由度を追求したことがベガス1の面白さだったわけだが、ベガス2はレインボーシックス3にかなり近くなっているといえるだろう。
なぜならどちらの要素も3にあったからだ。
レインボーシックス3は一人ミッションやガチガチのスクリプト沸きを使ったゲームだった。

Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
リロード!

戦闘は仲間に出せる指示がひとつ増え、マップの途中には弾薬を補給できるアイテムボックスが大量に配置されているため、攻略が簡単になっている。
この2つをうまく使えば贅沢にスモークグレネードを使うことができるからだ。
スモークを炊くと敵から攻撃されることはほとんどなくなるため、近づいたりサーマルゴーグルを併用して煙越しに攻撃をすると楽に進められる。
しかしこれでは節操がなくなっている。
アイテムをどこで使うかをよく考える必要がないゲームである。
ただ、取っ付きにくかった難易度が下がったとも解釈できる。
これは一長一短だろう。

またステルスの意味が増している。
ほとんどの敵がこちらを認識していない状態で徘徊しており、サプレッサーを使って地道に排除していくことが攻略の鍵となった。
これは難しいミッションであればあるほど重要になってきている。
他にもラペリング(紐を使って壁を登ったりする行為)やロープで降りれる場面がたくさん用意されている。
こうした変化は、より華麗にプレイできるように作り変えられた結果だ。

ほか、味方AIが賢くなったりグラフィックの向上など、細かなところはかなり調整されている。
味方に対する指示の数が増えて戦略性は高まっている。

Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
味方に指示を出す重要性が高まった

ところが以上のような変化は本当に微々たる物であって、よほど注意してゲームをしないと気づかないくらいの程度だ。
つまり作り変えられたからといっても、前作ベガス1からの変化がほとんどない。
その意味では続編というより拡張版と表現したほうが適切である。

ベガス2は引き続きラスベガスで戦いが繰り広げられる。
前作のような光り輝く歓楽街での戦闘はほとんど行われず、スポーツセンターやコンベンションホールのような一般市民が使う場所が舞台だ。
正直言うとラスベガスの姿のひとつかもしれないが、私たちが抱くラスベガスのイメージとは乖離している。
わざわざ「ベガス」である必要はあまりなくなっているのが残念だ。

それに加え、ミッションの合間に挿入されるヘリコプターでのブリーフィングはベガス1と比べると迫力不足だ。
前作は事細かに町並みを描写していたが、ベガス2は少し描きこみが足りていない。
ヘリコプターシーンが短いことも手伝って、いま自分がどこで何をしているのか分かりにくい。

Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
廃材置き場とかべがすじゃないよね

ストーリーは物語の結末が描かれるのは良いとしよう。
しかし単独で潜入するミッション、単独でヘリを相手に戦うシーン、黒幕の陳腐な動機がこうしたリアルさが特徴のゲームとしてはあるまじき事態だ。
カットシーンが増えたベガス2はストーリー性を高めようとしたに違いない。
製品になったのはとって付けたような演出であった。

そして私がベガス2の最も気に食わない点は経験値システムである。
敵を特殊な方法で倒すことで経験地が溜まり、レベルアップすれば特定の武器が使用可能になる。
ベガス2で武器アンロックにかかわる経験値は三種類ある。
敵を遠距離から倒したりするとあがる経験値、背後から倒すと上がる経験値、グレネードなどを使うとあがる経験値だ。
ここで、使いにくい倒し方をしなければ上がらない経験値によって使用が解除される武器があるのが問題である。
例えばフラググレネードで敵を倒したり、視界不良の中で倒したり、銃撃手を倒すことで上がる経験値はなかなか溜めづらい。
しかも他の上げやすい経験値と比べても、特別な補正はかかっていないため、いつまでたってもレベルアップしないという状況になる。
どうしてアクションゲームで「経験値上げ」という変なプレイをしなければならないのだろうか。
これは難易度が低ければ低いほど溜まりにくくもなっている。
初心者は黙ってろというシステムなのである。

レインボーシックス:ベガスシリーズの二作目として華々しく登場したベガス2は、元々がダウンロードコンテンツによる拡張版だったせいかひとつの製品としてみると魅力に乏しい。
ベガス1で培われた完成したゲームプレイを改変することは難しいので、より洗練された展開になることが望まれていたはずだ。
だが、完成されつくしているがために、前作との変化が見られないのは皮肉だ。
さらに余計なシステムを引っ付けてしまっているのは失態である。
もちろん難易度は低くなってかなり遊びやすくなっていることは評価できる。
よくも悪くも拡張パックの域を出ていないゲームであるといえる。

Rainbow Six: Vegas 2(レインボーシックス べガス2)
最高難易度はやはり激ムズである



まとめ
ベガス1をベースにより遊びやすくしたのがベガス2である。
ストーリーを楽しむためには前作をやったほうがいい。
過去のレインボーシリーズのような部屋への突入シーンが多く、マップのルート分岐も多くなっている。
単独ミッションや経験値システムなどの余計な要素はまったく必要なかった。

点数 73点
リンク

公式サイト


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