オトメディウスG(ゴージャス!) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年5月
オトメディウスG(ゴージャス!)
機種:XBOX360
ジャンル:シューティング
発売年:2008年
紹介
オトメディウスG(ゴージャス!) はコナミ制作販売のシューティングゲームである。
アーケードゲームの「オトメディウス」を移植したものと、アーケード版を元に家庭用版向けに調整したXBOX360モード(ゴージャスモード)が収録されている。
オトメディウスはコナミ伝統のシューティングゲームシリーズ「グラディウス」や「パロディウス」の流れを汲んでいる。
ただ、題名の「オトメ」が示すとおり、女性キャラクターを全面に据えているのが大きな違いだ。
かなり特徴的なキャラクターデザインは吉崎観音(よしざきみね)が行っている。
ダウンロードコンテンツによる追加BGM、追加キャラクタ、追加ステージなどの販売も行われている。
これらはグラディウスシリーズや過去のコナミシューティングをやっている人にとっては感慨深いものがそろっている。
今となってはゲーム本体はそれほど高くないのだが、ダウンロードコンテンツで思わぬ出費が重なる可能性があるのには注意して欲しい。
なお、個々で行っている紹介とレビューではXBOX Liveを介した対戦やCOOPモードは大きく扱わない。
理由は、私はXBOXLiveのゴールドメンバーシップに加入していないからである。
まずは機体を選ぼう
ゲームシステムはアーケードモードとXBOX360モード(ゴージャスモード)で若干異なる。
わかりやすく言えば、ゴージャスモードは過去のグラディウスシリーズそのままである。
一方、アーケードモードは画面に表示されている敵にダメージを与える「クイックバースト」(いわゆるボム)と、一定時間強力な攻撃を行える「ドラマチックバースト」が追加されている。
この二つのバーストを使用するにはゲージが必要となる。
ゲージは敵を倒すことで得られるパワーアップカプセルを取得したり、取得したパワーアップカプセルを消費することで回復できる。
そしてアーケード版オトメディウスの肝となるのが、「ドラマチックバースト」で敵を破壊するとパワーアップカプセルが大量に出るという要素である。
これは要するに、「ドラマチックバースト」を使用して敵を倒すことで多くのパワーアップカプセルを取得できるようになり、カプセルを大量に取得できればもう一度「ドラマチックバースト」を発動できるようになることを意味している。
計画的に使えば画面にはパワーアップカプセルが山のように出現するので、ガンガン取ることで爽快感を味わえる。
XBOX Liveを介した対戦モードも存在する。
クイックバーストをする場合、キャラクターのアップ画像が表示される
ゴージャスモードは画面比率が16:9に調整されるとともに、敵の出方や攻撃の激しさなどが若干調整されている。
これはアーケードモードそのままを移植するとバランスがとれなくなるからだと思われる。
また、アーケード版と比べるとステージが二つ追加されている。
ゲーム開始時と終了時には、キャラクター同士の掛け合いも追加されている。
そして目玉要素となるのはCOOPモードの追加である。
XBOX Liveゴールドメンバーシップならば、ゴージャスモードを何人かのプレイヤーと一緒に進めることができる。
シューティングゲームと言えば黙々と一人でやるものと決まっているが、こういう遊び方もあるのである。
むしろこれが本物。
オトメディウスでは、6人のキャラクター(自機)がいる。
それぞれのキャラクターは、ゲームプレイに応じて様々な武器を支給されたり、購入することができる。
全てのキャラクターで全ての武装を用意するのにはかなり時間がかかるので、極めようと思えば数十時間は遊べる。
なぜか男もいるけど、気にしちゃだめ
レビュー
●キャラゲーと言われても仕方ない出来
オトメディウスはグラディウスの流れを汲んでいるので、確かにグラディウスっぽさが随所にある。
まず自機はすべてが過去のゲームに登場する機体をモチーフにしている。
グラディウスはもちろん、ツインビーやゼクセクスから拝借したキャラクターもいる。
音楽に関しても、過去のグラディウスシリーズの音楽をよく研究したと感じられるような、グラディウスらしい音楽がそろっている。
ほとんどの曲は古き良きゲームミュージックの良さを残しつつ、チープではない今風の音楽に上手く昇華されている。
ステージ構成は現代の地球をモチーフにしているものの、グラディウスならおなじみの「火山ステージ」「ビッグコア」、横スクロールシューティングゲームならではの巨大戦艦があったりと、いかにもファンのツボをついた作りだ。
XBOX Liveを介したダウンロードコンテンツでは過去シリーズのアレンジ曲やモアイステージ、さらに追加機体の購入も行える。
全て購入数するとゲーム本体ぐらいお金がかかってしまうが、そのどれもがグラディウス最新作を待ちわびていたシューティングファンの望むものだったと言えるだろう。
ついでに言うとキャラクターデザインのギャラリーも異様に充実しているので、吉崎観音ファンも喜ぶと思う。
難易度は初心者にも安心のものから、上級者でも苦労するようなものが用意されている。
追加コンテンツには、シリーズおなじみのモアイステージも
ところが過去作へのリスペクト等が多分に含まれている一方で、ゲーム自体が非常にお粗末なのである。
特に致命的な要素が二つある。
それは、致命的なほど分かりにくい自機の当たり判定やグラフィック・敵弾と、ただばらまいているだけの敵配置・弾幕である。
最初は前者のグラフィック関連から説明する。
シューティングゲームにおいて自機の当たり判定が明確であることは、至極当たり前のことだ。
自機を敵の弾に当たらないように動かすことが、シューティングゲームを構成する重大な要素だからである。(撃つことが第一、避けることが第二)
しかしオトメディウスの当たり判定は異常に分かりにくい。
実は自機の若干後ろ側の小さい点が当たり判定が発生する位置になっているのだが、これが問題なのである。
シューティングゲームをやっていると、自機の真ん中または若干前側ぐらいが最も避けやすい位置にあることはごく自然の感覚として分かってくる。
なぜなら、人間の目は当たり判定のある位置を見ているのはなく、機体のグラフィックを見ているからだ。
オトメディウスは自機がみにくい
さらに地形衝突の当たり判定が自機のグラフィックそのままであることも問題である。
自機のグラフィックよりも小さい敵弾の当たり判定そのままの感覚でゲームをすると、地形に衝突しまくる。
これはおそらく、オトメたちを壁にめり込ませないようにしたためだと思われる。
オトメたちは人間なのだから壁にめり込んだら不自然というわけだ。
敵弾と地形の当たり判定の違いは、無用な混乱を生み出すと言うことはすぐに分かるだろう。
ところで数多くあるシューティングゲームには当たり判定の違いが存在するゲームもある。
代表的なのは「R・TYPE」だ。
R・TYPEは自機の判定が1ドットである代わりに、敵弾や敵自体の判定がすさまじく大きいため、普段は当たり判定が大きいものだとプレイヤーは錯覚している。
ときどき地形に接近する場合は、当たりそうでも当たらないように作られている。
オトメディウスとR・TYPEは反対に作りになっているとわかるだろうか。
敵との交戦は小さい当たり判定、ときどき見かける地形は大きい判定のオトメディウス。
一方R・TYPEは敵との交戦が大きい判定、地形は小さい判定だ。
さらに突っ込んで言えば、普段の感覚でやっていると思わぬミスをするオトメディウスと普段の感覚でやっていてもミスをしないR・TYPEとなる。
オトメディウスはプレイヤーに無用な足かせをしている。
まさに、キャラクターによってゲームの面白さを損なってしまっているのである。
だからこそキャラゲーなのだ。
狭いところは要注意だ
しかもオトメディウスの最悪なところは、派手な色遣いによって自機と敵弾が背景に溶け込んでしまう点にある。
このことは、敵弾を避けたと思ってたら当たるとか、敵弾がきているとは気づかずに当たるという”事故”を引き起こしやすくなる。
どうしてダメージを受けたのか分からない場合、たいていの人は理不尽さを感じる。
オトメディウスではフワフワとした敵弾が長時間画面に残っていることが多く、見落とした敵弾に当たると言うことは多い。
分かりにくい当たり判定に加え、分かりにくい自機と敵弾の二重苦はかなり酷い。
もしかすると、視認性を犠牲にしてまでオトメディウスの雰囲気に合うようにカラフルなグラフィックにしてしまったのではないだろうか。
世にあるシューティングゲームの多くは背景が黒くて地味だったり、敵弾が驚くほど視認性の良い色になっていることは多い。
オトメディウスの開発者たちは、そのことを分かっていたのだろうか。
敵の弾が背景に溶け込んでいる
次は敵配置・弾幕の練り込みの悪さだ。
シューティングゲームにおいて敵弾は主に、自機狙いの敵弾と自機を狙わない敵弾の2種類に分けられる。
どちらの要素も程度良く含まれていれば非常に面白いゲームになるのだが、オトメディウスは自機を狙わないばらまき弾幕が多い。
要するに垂れ流しとかばらまきと呼ばれる弾幕が多いのである。
別にあったって構わないのだが、ボス戦では多用されていて目立つ。
敵配置に関しても、グラディウスならではのオプションを生かすように出てくるとは言い難い。
一応”ザブ”という敵が出てくるのでオプションの使い道はあるのだが、この敵も多用されすぎている。
要するに敵の出現や攻撃のパターンが少なく、平坦なゲームなってしまっているのだ。
特にXBOX360専用モードであるゴージャスモードはアーケードモードにあるような独特なシステムもなく、ステージをクリアすることを目標とするモードなので、ステージ構成のおもしろみのなさが直接伝わってくる。
自機と同じ色の背景があるステージもある そしてザブが多い
オトメディウスは投げっぱなしのゲームでもある。
アーケードモードにしても、数多く出てくる敵をドラマチックバーストで粉砕して点数を稼ぐことはできるが、出現するアイテムの個数を厳密に計算して作られている感じがない。
ゴージャスモードでは無意味にザブが出てくる。
普段はそれほど難しくもないが、難易度を上げると異様なくらい敵が出現し、打ち返し弾だらけになる。
ゲームをやっていくと様々な武装が追加されるのはよいが、ほとんどは”お遊び装備”なので実用性はあまりなく、プレイヤー側にどう遊ぶかがゆだねられている。
というか選べる機体が6機、ダウンロードコンテンツではさらに2機を追加できるが、ひねくれた見方をすれば調整放棄にもとれる。
オトメディウスのつくりの甘さが意味するのは、作りなれていないジャンルのゲームをあまり研究せずに作ってしまった結果なのではないだろうか。
同じことがPS2で2004年に出た「R・TYPE FINAL」を思い出させる。
ゲームの出来は、過去作のリスペクトやボリュームアップで補うという姿勢はそっくりだ。
だがオトメディウスは追加コンテンツが課金であったり、そもそもボリューム自体が少ない。
シューティングゲームにおいて最も大切なボリュームアップはステージを追加することだ。
その点、オトメディウスのステージはアーケードモード4つ、ゴージャスモードはそれに2つ追加されただけなので、ボリュームがあるとは言えないだろう。
さらに、ひとつのステージを繰り返して高いスコアを取るようなゲームシステムになっていることが、ボリュームのなさに拍車をかけている。
これでレビューは終わりとするが、オンライン対戦やCOOPモードをやっていない点については注意してほしい。
世間での対戦やCOOPモードの評価はおおむね高い。
オンライン環境がある人は私とは違う意見を持つと思われる。
ボス戦闘の画像
まとめ
キャラクターや音楽の水準は悪くないのだが、ゲーム自体のつくりが悪い。
アーケードモードは何度も繰り返して高スコアをとることを目指すゲームだ。
高いスコアを取ることに喜びを見出せなければ面白さを見出すことは難しいだろう。
ゴージャスモードはアーケードモードとさほど違いがなく、敵パターンが乏しい平坦なゲームプレイなのであきやすい。
何週もやり続けることができるのならば問題はないが、そんなことを延々とする人はあまりいないはずだ。
ダウンロードコンテンツへの課金は覚悟したほうが良い。
点数37点
リンク
公式サイト
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