ケツイ 〜絆地獄たち〜 EXTRA レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2010年6月
ケツイ 〜絆地獄たち〜 EXTRA
機種:XBOX360
ジャンル:シューティング
発売年:2010年
紹介
ケツイ 〜絆地獄たち〜 EXTRA(長いので ケツイEXTRA とする)はXBOX360向けのシューティングゲームである。
アーケードゲームの移植作であり、ケイブが開発、移植は5pb.が行っている。
ケツイEXTRAはアーケードモードの移植と、家庭用専用のXモードが用意されている。
Xモードはシステムがアレンジされていて新鮮な気持ちで遊べる。
せっかくなので、ケツイEXTRAがどういう経緯で発売されたのかと言うのをアーケード版の話から辿ってみよう。
元のゲームを作っていたケイブは2000年頃に経営があまり良くなかったらしく、カプコンと提携した「プロギアの嵐」やライセンス販売で開発が違う「怒首領蜂II」のようなゲームを発売していた。
「怒首領蜂II」はただのライセンス販売で出来こそ悪かったものの、アジア市場ではそれなりに売れ、それが縁で2002年からエイエムアイという会社の販売でアーケードゲームを発売できるようになったらしい。
そんなわけで2002年に難易度の高さで名高い「怒首領蜂 大往生」が発売され、2003年には大往生の反省を踏まえて『ケツイ 〜絆地獄たち〜 』が発売された。
怒首領蜂 大往生は2003年に攻略DVD付きかつ最高の移植度のPS2版がアリカという会社によって発売され、「死ぬがよい」のキャッチフレーズとともにシューティングゲームを知らない人たちへも最終鬼畜ゲームとして名前と動画だけはひろまった。
ついで2004年にケイブから「エスプガルーダ」が発売、2005年には同じくアリカが家庭用版も制作した。
となるとケツイもPS2への移植が待望されたのだったが、長らく実現しなかった。
Xモードだとジャラジャラ感を味わうことができます
理由はいくつかある。
一つ目はケツイのインカムが悪かった(アーケードでは人気がなかった)ことだ。
今でこそシューターからは好評なのだが、稼働当初は酷いものだったらしい。
そりゃケツイは華やかさのない戦車とヘリコプターばっかりが出てくる『新・ど本格シューティング』で、難易度も次の年に出たエスプガルーダより遙かに高かったのだからしょうがない。
人気がなかったことは当時の基板価格がものすごい勢いで落ちていたことからも明らかである。
しかし、時間が経ってくるとケツイは見直されていき、基板価格は高騰しゲーマーの集まるゲーセンには必ずおいてあるような定番ゲームとなっていった。
二つ目の理由はPS2の性能ではケツイが移植不可能であったことによる。
特に5面でメモリが足りなくなるらしく、PS2の世代では移植が見送られていた。
2008年にはボスラッシュモードの寄せ集めのようなDS版「ケツイデスレーベル」が発売されたが、これは別物のゲームといった方が良いだろう。
XBOX360の世代でなければ移植は難しかったのである。
アリカにはPS3への移植計画があったようだが、開発機材や費用の関係で断念している。
ボスの発狂!
三つ目の、そしてみていて嫌な理由は不正なことに関する問題である。
ケツイはアリカによって2004年に攻略DVDが発売される予定だったのだが、収録にあたってはゲーム内の解析や無敵ツール仕様でパターンの構築を行っていたのだそうだ。
ところが収録をしていたプレイヤーがケツイのハイスコア申請を行ってしまい、これが不正であると言うことでDVDはお蔵入りとなってしまった。
そのあと、違う会社(INH)によってゲーセン内収録という形でDVDは作られて発売された。
直接にはケツイEXTRAと関係ないかもしれないが、ケツイに関する話題と言うことで紹介した。
最大の事件は2009年に発覚した「怒首領蜂 大往生 ブラックレーベルEXTRAのプログラムソースコードを無断複製」の問題である。
2009年に発売されたブラックレーベルEXTRAは5pb.が開発と販売をしていたのだが、下請け開発会社がPS2版「怒首領蜂 大往生」のソースコードを無断で使ってゲームを制作したらしい。
この事件は同じ会社が販売を予定するケツイEXTRAの発売を無期限停止するまでの事態に発展した。
しかしライセンス問題などが決着したようで、ほぼ一年後の2010年4月にケツイEXTRAはようやく発売されたのであった。
ケツイEXTRAはけっしてプログラムソースコードの複写を行っておらず、発売を待つユーザーのためになんとか発売にこぎ着けたのだそうだ。
そういうわけで色々なことはあったが、家で遊べると言うことだけでケツイファンはうれしいのだ。
ケツイはキツイ
ケツイは弾幕シューティングゲームといわれる。
画面は大量の敵弾で覆い尽くされ、プレイヤーはそのスキマをぬっていくという感じだからだ。
アーケード版は基板性能がよくなかったので敵弾の数に制限があったため、ケツイではどのようにして面白い弾幕を敵に吐かせるかというのを考えて作られている。
変則的な撃たれ方と呼ばれることが多い。
それでいてケツイは硬派なシューティングゲームらしい引きつけ・切り返しや敵の弾に突っ込んでよけていく快感も備わっている。
ただし、数多くのシューティングゲームに触れていないとこの感覚はなかなか分かりにくいような気はする。
ずいぶん前にゲームの移植なのにパッケージには攻略DVDやお手本プレイがまったくないことからも、初心者を初めから突き放していると言えるだろう。
そもそもシューター向けに開発されたゲームなのである。
これが2週目の画像で一般人には無縁の世界
レビュー
●弾幕シューティングゲーム最高傑作
紆余曲折を経て発売されたケツイEXTRAはなんとかされたといった方が正しいかもしれない。
普通に遊ぶだけでは問題はないが、やや細かいところまで手が行き届いていないのは気になる。
追加機能盛りだくさんのアーケード移植ばかり発売されているので忘れがちだが、昔は何も付加価値がないのも多かった。
とはいえ時代が変わっているので開発の苦しさを承知で少しだけ指摘してみる。
まず、ステージセレクトとはあるもののボス前から始められるモードやボスラッシュモードがない。
ケツイはボス戦が面白くて難しいゲームだから、練習をやりにくい面に加えて面白さのエッセンスを味わいにくくなっている。
次に完全移植ではないことやクレジット音がないことはケツイをやりこんできたプレイヤーにとって残念だ。
クレジット音が消去されたことはどうしようもないが、ゲーム自体はそれほど違和感のない移植なのでやっているうちになれてくる。
あとはグラフィックスがアーケードのSDそのままのため、ギザギザして見にくいのも指摘できる。
作業量が膨大に増えるためであろうか、今の時代を逆行するように2DのゲームをHD化することなく移植している。
中ボスもなかなかにはげしい
それに加え、攻略DVDが付属していないのも物足りない。
いちおうインターネットにはスーパープレイが山ほどあるし、XBOXLive経由で他人のプレイをみることは出来る。
ずいぶん前のゲームだから省略したのかもしれない。
練習用に使えるような要素やコンフィグがやや物足りない、初心者を完全に突き放しているのがケツイEXTRAである。(移植されたもの、と移植される前の元のゲームについて言えます
このことは本論に入る前にあたって必ず押さえておきたい。
ケツイ自体が弾幕シューティングゲームの中でも経験がモノを言うゲームであるからだ。
敵の攻撃を覚えてしまわないと戦いにくい要素が多く、切り返しや引きつけといったシューティングゲームらしさのある技術も使えるようになければならない。
逆に言えば慣れてくるとかなり面白い。
それは敵の弾を避ける・敵を攻撃するという要素がきちんと盛り込まれているからだ。
敵を攻撃する感覚の欠如は弾幕シューティングゲームの問題でもあったので、ケツイの良さが際だっている。
雑魚を引きつける!
ケツイが弾幕シューティングゲーム最高傑作だと私が言い切るのは、敵を攻撃している感じが得られるからである。
見てわかるとおり弾幕ゲームというのは『避ける』ことがゲームの中心になっている。
シューティングゲームの最初期、インベーダー、ギャラクシアン、さらには元となるブロック崩しといったものを想像してみればよいが、昔のゲームは撃つ(攻撃する)ことの比率が高かった。
インベーダーがヒットした理由は、敵が攻撃してくる点にあった。
それまでのゲームは敵が攻撃してくることはなかったのである。
敵が攻撃するのは当たり前の要素となっていった。
時代は流れ、シューティングゲームの中心は避けることへと変化した。
特に弾幕シューティングゲームは避けることに特化した作りでヒットし、現在の流行となっている。
弾幕は避けることに意識を向けるために、撃つことについて余計な神経を使わないですむようになっている。
ボタンを押しっぱなしで弾が流れ続ける仕様や画面を覆い尽くすような巨大なボスのおかげで、プレイヤーは攻撃を当てることについて意識を向けなくてすむ。
撃つ感覚に優れたゲームはクォース(1989コナミ)が最高だと思ってる。
携帯電話のアプリやWiiのバーチャルコンソールにもあるそうなので興味があればどうぞ。
もう誰も話題に出してないけど、本当の「シューティング」ゲームであります。
そしてケツイでは画面の下の方にいるとショットがあたらない(長さがある)ので、前に出る必要も自然と出てくる
このような撃つ面白さが失われたシューティングゲームの中で異彩をはなつのがケツイ 〜絆地獄たち〜だ。
ただ、弾を撃つことについては他の弾幕とさほど変わらないとは断っておく。
ケツイにおいて「狙う、当てる」という感覚を担っているのは敵に接近することである。
これは敵に近づいた方がロックショット(敵に攻撃を当てると自動的に攻撃がロックオンされるというケツイのシステム)が早く出ることに関係している。
敵の弾の出るタイミングや速さが緩やかに設定されているため、近づきやすくなっている。
また、敵弾が真横から出てきた後に自機に突進してきたり、自機を100パーセント打ち抜いてくるような弾が少ない。
そして、近づいて敵を倒すことはスコアアップへもつながっている。
ここで大事なのは、敵が出てくるのを放っておくと瞬く間に画面が敵に増殖するため、敵に近づいての速攻破壊は誰でもやる必要があることだ。
そうとは言いつつも、完璧にこなす必要はない。
ケツイはこうした稼ぎとクリアに欠かせない要素が一体化している割に、分かりやすく実行しやすい。
完璧にこなそうとすれば難しいものの、クリアだけなら対して深く考える必要もないのである。
類似のシューティングゲームでは稼ぎシステムとクリアに必要な技術が分離していたり、完璧にこなさないといけなくなっている。
だから適度な緩さをもつケツイは優れているのである。
アーケード版開発会社のケイブはそのあたりのあんばいが上手いが、ケツイは最も上手い。
通称縦穴。相当難しい!
画面上に現れる敵に接近するというのは、自機を画面の上へ移動させると言うことである。
これは敵の攻撃が撃たれるタイミングが分かりにくくなり死にやすくなるため、非常にスリリングだ。
しかしすでに述べたようにケツイは適度に緩い敵弾のおかげで上方向への移動がやりやすい。
ふつうシューティングゲームというと画面の端っこでチョコマカ動いて敵を避けるものだと思われがちだが、ケツイの敵弾はそういうよけかたでは対処しきれない。
よく弾幕ゲームで言われているのは「弾で作られた道」を避けるものとされている。
しかしケツイは弾に突っ込んでいって、その中を避けていくゲームである。
ゆえに、敵の弾を避けると言うよりも敵弾と戦っていると考えた方がしっくりとする。
敵の弾を引きつけ、切り替えしながら弾の海に飛び込んでいくのがケツイだ。
また、昔ながらのシューティングゲームはちょん避け(左右どちらかに少しだけ移動すること)が中心で、ほとんどの弾幕ゲームは機械的に弾が出てくるだけだった。
ところがケツイの弾幕は生き物みたいにグネグネ動きながらこっちを狙ってくる。
特にボス戦は最高に面白い。
初めて見ると、どのように弾が出ているのかがまったくわからない。
だから私は「弾との戦い」と表現しているのである。
敵に飛び込め!
ケツイは画面を広く使ったシューティングゲームだ。
敵を倒すのにも、そして敵の攻撃を避けるのにも画面を大きく避けなければならない。
そして切り返しのような技術もふんだんに要求される。
これがケツイの面白さの要約である。
だが、やはりケツイの欠点はそこにある。
これらの面白さはシューティングゲームを長くやってこなければ理解するのが難しい。
初心者プレイヤーが画面の上で敵に張り付いたり上下左右を大胆に動くことが出来るだろうか。
山のように飛んでくる敵弾を引きつけ、切り返すテクニックを知っているだろうか。
やっているうちに慣れるというのは反論にはなっていない。
なぜならケツイは「シューティングゲームを作り続けてきた開発者が、シューティングゲームに慣れたプレイヤーへ向けて」作ったゲームだからだ。
不愉快なゲームはえてして、どうしてやられたのかがわからない。(やられた理由はわかっても攻略できないというのはあるが、これはまた別)
ある程度経験がたまっている人でさえ当惑するケツイが気軽にゲームをやりたい人に受け入れられるとは思えない。
もしケツイが好きになってくれる人がいるとしたら、それは根気よくやってくれる人だけである。
しかしプレイヤーをつなぎ止める面白さは、ある程度の経験値がたまった人でなければわからない。
一言で言えばコアゲーマー向けとか、マニア向けとなるのだろう。
私はケツイをアーケードで稼働し始めてからゲームセンターで見かけるたびにやってきた。
それだけに思い入れが大きいタイトルでもあり、今回の移植は素直にうれしい。
誰にでもお勧めできるわけではないが、アーケードスティックとかを用意できる人は絶対やっておくべきタイトルだと思う。
純正コントローラーではまともに動かせないというのも、またマニア向けであることを加速させている面があるのだが。
まあとにかく、中身は2000年代で一番のシューティングゲームだ。
4面のボス。みんな大好きシンデレラアンバー
まとめ
最高に面白いシューティングゲームである。
敵に飛び込んでいく攻めの姿勢が表現されているので、弾幕ゲームの欠点を見事に補っている。
しかし初心者のための要素が完全に欠如、かつ価格も安いわけではない。
点数 77点
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公式サイト
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