KOF Sky Stage (ケーオーエフ スカイステージ) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2010年10月
タイトル
KOF Sky Stage (ケーオーエフ スカイステージ)
機種:XBOX360
ジャンル:FPS
発売年:2010年

紹介
KOF Sky Stage (ケーオーエフ スカイステージ 以下KOFSSと呼ぶ)はMOSS開発、SNKプレイモア販売をしているシューティングゲームである。
2010年初頭にアーケードで稼働した同名ゲームが半年ほどでXbox LIVE アーケード向けに移植された。
プレイステーションネットワークでは販売されていない点は注意がいる。
PSPで発売された「ネオジオヒーローズ 〜アルティメット シューティング〜」にもKOF Sky Stageが収録されている。
時系列に沿って考えると、元々はXbox LIVE アーケードのみに発表されていたが、のちにアーケードからPSPへと様々な媒体へ展開していったことになる。

改めていうまでもなくKOF(ザ・キング・オブ・ファイターズ)はSNK(SNKプレイモア)の看板格闘ゲームである。
元々はSNKの格闘ゲームなどに登場する人物がクロスオーバーするお祭りゲームとして開発された。
人気があったがゆえか定番としてシリーズが開発され、KOFは一発ネタとならずに定着していく。
というかKOF自体が一種のシリーズ化していったと見ることもできるだろう。
例えば、SNK製の剣を扱う格闘ゲーム「サムライスピリッツ」シリーズのキャラクターも参戦するネオジオバトルコロシアムというゲームでは、ザ・キング・オブ・ファイターズ勢として草薙京や八神庵が出演している。
KOFSSは何でもありの様相をみせるKOFのシリーズとして、格闘ゲームではなくシューティングゲームに「乱入」したのである。

キャラセレ
全部で6人のキャラクターから好きなのを選ぼう

KOFSSは雷電IIIや雷電IVを作ったMOSSが開発しているためか、ゲームシステムはシューティングゲームの王道に近い。
ごく普通に使いたいキャラクターを選び、道中の雑魚を蹴散らして最後に待ち構えているボスを倒せばステージクリアとなる。
いわゆるボムとショットの他に、固有の必殺技がプレイヤーキャラクターごとに用意されている。
この必殺技をどのようにかして使っていくかを考えるのがKOFSSのキモと言える。
もちろんKOFの特徴でもある豊富なキャラクター達はプレイヤーとして使えたり、ボスとして登場したりする。

やはり格闘ゲームの血を引くということで、シューティングゲームにはあまり見られない対戦モードもある。
しかしアーケードでは人気が得られずに早々と撤去されたばかりか、Xbox LIVE アーケードでも盛り上がっていないようだ。
私は未経験なので対戦モードのレビューや紹介は行わない。

アテナ
あんまりアテナがきれいに描けていないと思うのは私だけではない・・といいな


レビュー
●KOF?シューティングゲーム?KOFSSって何?

KOF(ザ・キング・オブ・ファイターズ)は格ゲー界という局所的な場所を中心としているとはいえ、そこそこ名の知れたシリーズ、ブランドである。
また10作以上も続けてきた結果、100以上のキャラクターのクロスオーバーという蓄積を生んでいる。
だからこそKOFSSは、KOFらしさを全面に押し出したゲームだと私は思っていた。
ところが実態は王道を突き進む「正闘派シューティング」であった。
しかもKOFを抜きにして考えても決して良くできているとは言えない出来だった。
そこでレビューでは、KOFシリーズを見る視点とシューティングゲームを見る視点の導入が必要である。

私は対戦モードがすべての元凶ではないかと疑っている。
なぜなら、開発者へのインタビューはどれもこれも「対戦の調整に骨が折れた」と書いてある。
対戦モードの調整に時間がかかれば、それだけ一人プレイの調整には時間がかけられなくなる。
不幸にも一人で遊ぶシューティングゲームとして遊ばれる限り、KOFSSの対戦モードが遊ばれることは少ない。
仮に対戦モードが抜きん出た出来であっても遊ばれなければ評価しようがない。

KUSANAGI
このボスにやられた人は多いだろうなぁ。2ボスにしてはKUSANAGIちょっと強すぎるよ

対戦モードを入れざるを得なかったのはKOFシリーズの宿命とでもいうべき理由があるのだろう。
ところがKOFSSは一人プレイでも楽しめるように作ってある。
具体的には、普通のシューティングゲームのような道中とボスが配置されているモードのことだ。
このように普通のシューティングゲームとしてオペレーター(ゲーセン側の人)に認知されユーザーに遊ばれた結果、KOFSSはただのシューティングゲームとして評価されてしまった。
言い換えると対戦を全面に押し出せばいいものをイロモノシューティングのように見える形で、一つのゲームをパッケージングし、売り出してしまったのがターニングポイントだったのではないだろうか。

ただし「KOF」であるおかげか、一人プレイモードでもボス戦は面白い。
個性の強いルガールやゲーニッツがボスとして立ちふさがれば、ジェノサイドカッターや竜巻技を使ってくる。
イメージを壊さない範囲で特徴のある攻撃を使ってくる。
また、予想できない攻撃を繰り出してくる。
プレイヤーキャラクターは特に必殺技が類似のシューティングでも見られないような攻撃が多く、使っていて面白いと感じる。
キャラクターの使い方はKOFの良さを引き出しているし、シューティングゲーム単体としても悪くはない。

KOFSSの問題点は道中に集約されている。
よく分からない戦闘機だか人型の敵を相手に戦う道中は、シューティングゲームとしてKOFSSを作ってしまった結果である。

舞
不知火舞は死にキャラ

ボスまでのステージはとにかくもう変化が無くて「退屈」としか表現できない。
出てくる敵は最初のステージから最後まで同じようなものばかりで、敵弾も見たことものが繰り返されるのが最大の問題である。
同じ開発会社が作った雷電IVの家庭用追加ステージで使われたような、左右対称で長いだけの展開が延々と続く。
しかもKOFSSはゲームも後半になってくると道中がかなり長い。
KOFのキャラクターを使ったボス戦が中心のゲームならば、ゲームが後半になっても道中は短くするべきである。
ということは、道中が長いKOFSSはやはりただのシューティングゲームなのである。
KOFSSは対戦ゲームなのか1人用ゲームなのかハッキリとしていない。
ここら辺に練り込み不足というか、詰めの甘さを感じる。

同じような雰囲気のキャラシューティングゲームには、商用なら『式神の城シリーズ』、同人なら『東方シリーズ』がある。
KOFSSはこの二つと比べても、中途半端な作りであることがよく分かる。

ルガール!
ルガールさんはボスです

まず『式神の城シリーズ』と比べるとはっきりするのがKOFSSの「難易度の高さ」である。
KOFSSはシューティングゲームに慣れたプレイヤーですら難しいと感じるほど、難易度が高い。
これはアーケード版なら基板の仕様による入力遅延があったことを抜きにしても、ゲーム後半の道中に表れる敵の量やボスの凶悪さは目立つ。
特にボスは見切りにくい攻撃が多く、見てから避けるのでは回避不能なものが多い。
プレイヤーが扱うキャラクターは性能差がありすぎて、使いにくいキャラは本当に使いにくい。
テリーや不知火舞でやろうとしても必殺技の使いにくさで嫌になってしまう。
KOFに親しみのある格闘ゲーマーを突き放す難しさである。

そして、道中の長さも気になる。
実は『式神の城シリーズ』は中ボスを挟むことで展開に幅を持たせていた。
プレイヤーに単調さを感じさせないようにしていたのだった。
しかしKOFSSは中ボスなんてのはいなくて、ボスだけなのである。
100以上のKOFキャラを生かすために中ボスとして登場させても良かったのではないだろうか。
ついでに言えば、ボスやプレイヤーキャラの名前がゲーム中に確認できないことも、細かい事ながら重要である。
それとステージ合間のシーンで声が入ってないのも寂しい。
KOFは一種のキャラゲーなのだから、ぜひともキャラクター性を生かして欲しかった。

もちろん最初のステージは簡単です

『東方シリーズ』については同人ゲームではありながら人気なので、少しだけ比較させてもらう。
やはりKOFSSの道中の長さがまず気になる。
東方の道中はオマケ程度にしかないのはやりすぎだが、KOFSSは少し本格的に作りすぎていると感じる。
その割に平坦で面白くないのだから救いようがない。

そしてボスの扱い方についてもKOFSSは再考の余地はあったのではないか。
『東方シリーズ』はボスにカットインで必殺技の「名前」を表示し、攻撃方法でボス個人の性格を演出するという手法を前面に押し出している。
しかしKOFSSはボスの攻撃方法がやや単調である。
体力を減らして形態が変わっても、前の形態での攻撃を発展させたようなものが多い。
またキャラクターごとの性格を加味してボスごとの必殺技発動タイミングや体力ゲージの変化が付けられていない。
このような変化の付け方は『式神の城シリーズ』では多少なりとも使われていた。
KOFSSのボス達は個性が出ているようでいて、実は類似のゲームと比較すると物足りない。

必殺技
必殺技を駆使しよう

シューティングゲームも格闘ゲームも「ジャンル」としての枠組みがかなりの程度固定化されつつある。
だから昔から格ゲー、シューティングゲームを作り続けてきた人たちは、自ずとジャンルの幅から出ることのない新作を作る。
またコアゲーマーは少しでも変わったゲームが出ると拒否反応を起こす。
皮肉にも普段から作っていない人たちの方が面白いゲームや、斬新なゲームが生みだすこともある。
KOFSSが普通のシューティングになってしまったのは、そういう理由があるのかも知れない。

好意的に見るとKOFSSは1人プレイも対戦も楽しめると言える。
対戦をやりたい格闘ゲーマーと1人でのんびりやりたいシューティングゲーマーを、開発陣は取り込もうとしたに違いない。
しかし『二兎を追う者は一兎をも得ず』ということわざの言うとおり、モノの見事に外している。
実物は調整の手を抜いたストーリーモードと、遊ばれもしない対戦モードを併せ持っていたのである。
KOFファンもシューティングファンも楽しめない駄作である。

ボスラッシュモードがないのは致命的


まとめ
ボス戦は良くできている。
自キャラの個性化も素晴らしい。
しかし、初見難易度の高さやかったるいステージがすべてを台無しにしてしまった。

ただ単にツマラナイシューティングゲームだ。
ボスラッシュモードさえあればもう少しながく遊べたのに。

点数 40点
リンク

公式サイト 





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