トリガーハート エグゼリカ レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年3月
タイトル
トリガーハート エグゼリカ
機種:XBOX
ジャンル:シューティング
発売年:2008年

 
紹介
トリガーハート エグゼリカ(以下エグゼリカとする)は2008年にXBOX 360 LiveArcadeで配信された2Dのシューティングゲームである。
価格は800マイクソフトポイント(日本円に換算すると1200円程度)。
エグゼリカは2006年にアーケードゲームとして稼働し、2007年にドリームキャスト版が発売されている。
新たにXBOX360へ移植する際にグラフィックを描き直したり画面を16:9に対応させている他、音が変わったりとそのまま移植されたものではない。
補足しておくとXBOX 360 LiveArcadeでゲームを出す場合は、そのままの移植があまり歓迎されないことも移植する際の変化に関係しているだろう。
ゲームの開発と販売は童(わらし)が行っている。

2000年代に入り、低迷していると言われていたシューティングゲームがより一層低迷する中でエグゼリカがとった戦略はキャラクターコンテンツの強化だった。
要するに明らかに狙った感のある美少女系キャラクターを前面に押し出すことで、注目を集めようとしたのだった。
そして一般的なシューティングゲームよりも難易度を低く設定し、敵の弾を消すためのシステムを用意することで多くのユーザー(キャラクターに惹かれてゲームをやりはじめるプレイヤー)がプレイしやすいようにも作られられている。
末期状態のドリームキャスト版の売り上げの高さやドラマCD、設定資料集の販売、XBOX360やPS2への移植が行われたことから、この戦略は割と成功した部類に入るだろう。

ライバルとの戦闘画像
敵にも美少女メカがいます。イラストが見たい人は公式ウェブサイトへGO。

エグゼリカのシステムで特徴的なのは、なんと言っても敵を捕捉して投げるアンカーシステムにある。
そこらじゅうに飛んでいる敵に向かってアンカーを投げつけ、一定時間がたつと自分で振り回せられるようになる。
捕捉した敵は一定量の敵弾を消せる壁になるほか、勢いをつけて投げることで強力な攻撃手段にすることも出来る。
敵を捕捉して投げる様子は陸上競技のハンマー投げにそっくりなので、室伏ゲームとも言われている。
またプレイヤーキャラクターとなる美少女キャラクターは、スクール水着にメカを装備したようなデザインなのでスク水シューティングの異名もある。
どっちもGoogleで検索すると、室伏ではXBOX 360 LiveArcadeの公式サイト、スク水は童の公式サイトがひっかかる。

他の変わったシステムは、ステージの最後に待ち受けるボスの難易度がプレイ状況によって変わるシステム。
点数を稼ぐ上手いプレイヤーであればあるほどボスの形態変化が多くなって攻撃も激しくなる。
つまりクリアするだけなら点数を抑えるようにプレイすることで比較的楽に達成できるように作られている。
それにXBOX版(というかゲーム機版)の難易度イージーでは敵の弾の一部を通常攻撃で破壊できるようになっている。

割と初級者向きのシステムが入っているが、点数を稼ぎ出すと難易度が急激に上がるのはシューティングゲームならではのものだと言える。
慣れた人にはアンカーシステムを利用してとことん稼ぐこともできるので底が浅いゲームというわけではない。

敵をキャプチャーした瞬間の画像
敵をキャプチャー!

レビュー
●一発ネタのシステムが肌に合うかどうか

シューティングゲームは操作とゲームのルールが非常にシンプルなことが一番の特徴だ。
78年に世に出たスペースインベーダーから敵を撃ってステージをクリアすることは全く変わっていない。
以降様々な要素が付け加えられていったが、概念のみならずゲームの中身も殆ど変わっていないので非常に古いジャンルだと言える。
使い古されたジャンルでどのようなゲームを生み出せば市場に受け入れられるかを考えると主に二つの方法がある。
一つはゲームバランスを重視して穴のない作りにすることと、もう一つは目新しいシステムをくっつけることだ。
もちろん新しいシステムを導入して絶妙なバランス感覚を作り出すことも不可能ではないが、時間の問題もあってどちらかが重視されてしまう。
エグゼリカは間違いなく目新しいシステムを目玉にしたゲームである。

普通にショットを中心にしてクリアすることだけを考えると、エグゼリカは比較的簡単にクリア出来るもののスコアはかなり低くなってしまう。
静止画だと上手く使えることは出来ないのが残念だが、実はエグゼリカは普通にやってもまったく面白くない。
敵が画面全体に弾をばらまくだけなので避ける面白さが重視されていないのだ。
これはアンカーシステムを前提とした敵配置になっているのが最大の理由だろう。
つまりアンカーを上手く利用しないとエグゼリカはつまらないゲームになってしまう。

キャプチャーした後は振り回すだけ という画像
振り回せ!

アンカーの面白さの要素は二つである。
意外と難しい投げに習熟する面白さの要素とどこで使うべきか使わないべきかを考える試行錯誤の要素だ。
エグゼリカは初心者向けのゲームのように宣伝されていることが多いが、アンカーシステムを使いこなすのは結構難しい。
ただ敵をキャプチャーして盾にするだけなら何のことはない。
しかし投げるとなるとかなり難しい。
まずこのゲームでは、自機と敵が90度から180度にある方向キーを押したときにグルグル振り回せるようになっている。
おそらくまともに投げられるようになるのにはかなりの練習が必要だ。
上手く投げられないでモタモタしていると敵の弾が迫ってきてあっけなく死んでしまう。
次に難しいのは投げる角度の問題である。
グルグル振り回しているときの軌道を円とすると、その円の接線方向に投げるのだが、直感的に投げられないので狙った方向へ投げるのは難しい。
なにやら小難しいことを話しているので退屈だろうから、要は上手く投げるのには練習が必要だということだけを分かって欲しい。

敵の弾を避けつつキャプチャーだ
でかい敵はキャプチャーに時間がかかる

操作が極端に難しくなければゲームの評価には関係はない。
問題は操作自体が面白いかどうか、そして操作が上手くいったときに面白いかどうかだ。
エグゼリカの場合、正直言って独特の操作であるぶん投げ動作が面白くない。
全体的にシビアなのに得られる物が少ないのだ。
難しさは既に述べたから、得られる物について書いてみる。
主に敵や敵弾を消し去る爽快感と高いスコアだと思う。
たくさんあるものを一気に消せば確かに爽快感に繋がるのだが、それは簡単な操作で出来るときに初めて爽快だと言えるのだと私は考えている。
わざわざ難しい操作をやらせて爽快感らしきものを演出するのは、爽快感ではなく達成感に近い物がある。
しかしエグゼリカはショットでも殆どの敵が倒せるために達成感すらない。
もちろんアンカーを使わなければ難しい場面はあり、そればかりにしてしまうと今度はガチガチのパターンゲームになってしまうのでむずかしいところだ。
しかし、簡単な操作にすることで達成感を演出したゲームは数多く存在する。
エグゼリカは小難しい操作の問題点をうまく解決できなかった。(しかし開発段階ではもっと面倒だったそうだから問題点は分かっていたと思われる)

敵の弾を消すことでスコアの元が出てくる
スコアジャラジャラ

そしてスコア稼ぎについての私の意見を述べておく。
私はスコア稼ぎは面白さとはまったく違う場所にある底なし沼だと思っている。
100メートルを速く走るためにトレーニングをして未知の領域へ踏み出すことを楽しむことと、サッカーで点数を入れて勝ち負けを決めること、そして何も競うことなく登山をすることの三つがあるとする。
おそらく100メートル走のトレーニングを楽しめる人はほんのわずかである。
サッカーのように勝ち負けをつけるものや、勝ち負けをつけなくとも山を登る楽しみを与えてくれるものに楽しみを見いだす人は多いのではないだろうか。
スコア目的に独自のシステムを身につけるより、クリア目的に身につける方が絶対に楽しい。
だからエグゼリカのようにクリア簡単、スコア重視のゲームはあまり好きになれない。
ただ、スコアを稼ぐことが抜群に面白かったらまた別だが。
スコア重視のゲームでは中途半端に敵を強くするよりも酷いぐらいに弱くしてしまった方が稼ぎに注力できて良いのではないかとも思う。
そう考えると難易度イージーはバランスが取れている。
アーケード版はイージーにしてもショットで消せる弾が出なかったそうなので、ここはしっかりと調整されている。

私はエグゼリカのシステムが好きではなかったから、以上のように述べてきた。
しかし、もしもエグゼリカのシステムが好きな人がいるならばまったく的外れの意見に感じられるだろう。
アンカーシステムが気に入るか気に入らないかがエグゼリカを気に入るか気に入らないかを決めるのだ。

難易度イージーの画像
イージーモードだとポップコーンみたいな弾を壊せます

あと、ボスの難易度がプレイ状況によって変わるシステムはない方が良い。
稼ぎに失敗したときはボスの最終形態や隠しボスに会えなくなるのでもう一度やり直したくなってしまう。
一応シューティングゲームらしさのある要素なので、殆どのシューティングゲームに似たようなものが採用されている。
なので不問にしておく。

また敵弾の面白味のなさに加えて、敵配置も後半になるにつれていい加減さが漂ってくる。
攻略しがいがある配置なのかもしれないが、やっている側からすると手抜きにしか見えないので印象は悪い。
後半は稼ぎシステムは投げっ放しの調整になっているのもマイナスポイントだ。
敵をたくさん出してどのようにして稼がせるかをプレイヤーに任せている。
どんなゲームにも奇想天外なパターンを組むプレイヤーに任せる要素はあるものだが、このゲームはやっつけだなーと露骨に感じさせてくる。

そして最後になるが、ブラウン管を使用するときのオーバースキャンを考慮していない画面設定はやめてほしかった。
ゲーム部分の表示を拡大縮小できるようにしてくれないと上下が少し切れた状態でゲームする羽目になってしまった。

激しい攻撃を避けている様子
当たり判定が小さいので避けやすい

まとめ
エグゼリカの評価はアンカーシステムが気に入るかどうかに集約される。
気に入ればそこそこ高い評価を出すだろうが、逆に気に入らなければ良いところのないゲームに映るだろう。
難易度イージーにすれば初心者でも楽しめる難易度なので誰にでもおすすめ出来そうだ。
個人的には難易度イージーのほうが稼ぎだけに注力できるのでゲーム的にあっているような気もする。
また1200円程度で手に入るのはかなり強力な魅力だ。
他のゲームのダウンロードコンテンツで衣装を購入するよりもエグゼリカを買った方が長く楽しめるのではないだろうか。
点数45点
リンク

公式サイト


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