怒首領蜂大往生 ブラックレーベル EXTRA レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年6月
タイトル
怒首領蜂大往生 ブラックレーベル EXTRA
機種:XBOX360
ジャンル:シューティング
発売年:2009年

 
紹介
怒首領蜂、これは「どどんぱち」と読む。
怒首領蜂大往生 ブラックレーベル EXTRA(以下、大往生EXTRAとする)は同名アーケードゲームの移植作である。
元のゲームはCAVEが作り、移植は5pd.が行っている。

怒首領蜂大往生と言えば2002年にアーケードゲームに登場し、強烈な難易度と弾幕シューティングゲームの究極の形とも言える弾幕で半ばカリスマ化したゲームである。
その後、ゲームバランスを少し下げた”ブラックレーベル”も発売された。
大往生EXTRAにはこのどちらのバージョンも収録されており、さらにXBOX360オリジナルの”Xモード”も遊ぶことが出来る。
なお、2002年には無印の怒首領蜂大往生のみPS2に移植されている。
つまり大往生EXTRAは二度目の移植となっている。
PS2版よりも豊富なゲームモードが収録されているのは大きな魅力だが、コンフィグ周りに問題があり、”発売中止騒ぎ”まで発展したいわく付きタイトルでもある。

3面
名前は変だけど、中身は普通のシューティングゲームです

そういうわけで大往生EXTRAを買う際にはいくつかの注意点がある。
まず、ロード時間がやたらと長い。
ゲームのディスクを挿入してからゲームを開始するまで2分はかかってしまう。
コンフィグの設定をするときも毎回10秒近くのロードが入ってしまう。
また、コンフィグの使い勝手も最悪である。
決定ボタンとキャンセルボタンが統一されておらず、ある場所ではバックボタンが戻るボタンになっていて、またある場所では他のボタンが戻るボタンになっている。
そしてアーケードゲームの移植としてみると、全体的に違和感があるので完全移植とは言いにくい。
正確にどこがおかしいのかは指摘しにくいのだが、アーケードをやり込んだ人からすると奇妙な違和感を感じるはずである。
また、ゲームプレイを録画してリプレイを見ることも出来るのだが、正常に再生されないこともある。

ただまあ不具合と言っても、ゲームが進行しなくなったり、ゲーム機本体を破損するような致命的なものは殆ど無い。
長いロード時間と使いにくいキーコンフィグを我慢すれば問題なく遊べるはずである。

2面中ボス
一旦ゲームを始めてしまえば目立つ不具合はない

怒首領蜂大往生の特徴は弾幕の形にある。
このゲームの敵は無造作に弾をばら撒いているだけと言われがちであるが、そういった敵弾だけで怒首領蜂大往生を表現するのは正確ではない。
怒首領蜂大往生の面白さでもあり難しさでもあるのは、ばらまき弾と自機狙い弾のコンビネーションである。
自機に向かって放たれる弾を避けようとすると、事前にばらまかれた弾が邪魔になってうまく避けられないという場面が多い。
この組み合わせが絶妙な面白さを生み出しているのだ。
もうひとつ特徴的なのは、全体的に敵の弾の速いことである。
多くの弾幕シューティングゲームは”遅い敵弾をかいくぐるゲーム”となっているが、怒首領蜂大往生は敵の弾がかなり早いので、プレイ感覚が他のゲームとかなり違ってくる。
遅い弾と速い弾の組み合わせが、しっかりと考えて配置されているのである。
つまり怒首領蜂大往生は、弾の組み合わせが他に類を見ないほど高い品質になっていると言えるだろう。
その弾の組み合わせが怒首領蜂大往生の面白さでもあるのだ。

5面後半きっつー
色々形の弾があることに注目


レビュー
●元のゲームは面白いが、移植には多少問題あり

レビューをするにあたって、大往生EXTRA(このゲームのこと)の立ち位置は大きな意味を持っている。
大往生EXTRAはアーケードゲームの移植であることと、既にアーケード版をPS2へ移植したゲームが存在していることは必ず触れておけなければならない。
何年も前にPS2へ移植されたバージョンは、99パーセント以上の完全移植であるのみならず、豊富なコンフィグ設定やスーパープレイが収録されたDVDが付録としてついていた。
だからこそ後年になって移植される大往生EXTRAは、PS2版の凄まじいまでの移植度などを基準に評価されるのは当然だった。
またアーケードゲームの移植というのは、移植する際にゲームバランスを新たに調整することなどよりも、どれだけ忠実に移植するかとか快適に遊べるかが評価の軸となる。
大往生EXTRAは、ゲームが発売される前から厳しい評価にさらされることが必然だったのだ。
ところが実際に発売されてみると、最低限期待されていた品質にすら届いておらず、発売を待ちわびていた人たちはかなり落胆することになった。
だからインターネット上では大往生EXTRAのプロデューサーのブログが大炎上したり、どこのレビューでも大往生EXTRA対して辛酸な言葉が投げかけられ、販売中止の騒動へと発展してしまったのである。

3面ボス
このゲーム、ボスが凶悪きわまりない

しかし騒ぎになっていた当時から見ても、私には過剰反応としか感じられなかった。
不具合は確かに存在するが、再現性の高いものや致命的なバグは殆どの人にとってはあまり縁のない物だったからだ。
私見では、一部の狂信者が大騒ぎしていたか、ロクに遊んでもいないのに騒ぎを焚きつけたり、騒ぎに乗っかった人がいるからだと思っている。
深いところまで詮索しなければ普通に遊べるのである。

ただ、大往生EXTRAの開発者が、アーケードゲームを移植をする際に大切なことを見逃していたとは指摘できる。
100パーセントの完全移植は無理だとしても、誰もが心地よく遊べるぐらいの良好な移植度やインターフェイスを用意するべきである。
大往生EXTRAは、他に出ている移植モノゲームの水準に到達していない。
そしてロード時間の長さなどの技術的な問題は、それこそ今の時代には似つかわしくない問題でもある。
初代PSとかの時代だったら多少は許容できるかもしれないが、十分なスペックがあるゲーム機での異様なロード時間はかなりのマイナスポイントだ。
こういった点がしっかりしていないので、大往生EXTRAへの評価は厳しくつけざるを得ない。

蜂地帯
たぶんこのゲームで最も厄介な”蜂”地帯

移植のされ方には問題があるが、元のゲームは非常にしっかりしている。
元のゲームを作ったCAVE(ケイブ)という会社は毎年のように新作のシューティングゲームを作っている。
CAVEはこれまで相当な数のシューティングゲームを作ってきたが、その中でも出来がよいのが本作”怒首領蜂大往生”だ。
怒首領蜂大往生の特徴は紹介で述べたとおり、様々な性質を持つ弾が混在していることにある。

まず、自機の座標にあわせて発射される弾と自機を狙わない弾が殆どの場面で組みあわされている。
自機を狙う弾は主に赤い色で表示され、狙わない弾は青い弾で表示されている。
どんなシューティングゲームでも、敵の弾に関してはこの二つに分類できる。
ところが、二つの種類の弾を効果的に組み合わせているゲームはそれほど無いのが現状だ。
大抵のシューティングゲームは自機を狙わない弾だけを発射したり、自機狙いの弾をこれでもかと発射する場合が多い。
怒首領蜂大往生は、この二つのタイプの弾を出来るだけ組み合わせて作られている。

1ボス
赤い弾と青い弾の撃たれ方は違う

しかも弾の早さや密度をその都度変えている。
だから一つのゲームをやっていても、同じような弾に出会うことは無い。
速い自機狙い弾と遅いばらまき弾、遅い自機狙い弾と速いばらまき弾、密集して放たれる自機狙い弾と粗なばらまき弾などなど・・
こういった特徴が、縦横に多層的に組み合わせられているのが怒首領蜂大往生なのだ。

このレビューを読んでいる方は、シューティングゲームをやっていて味気なく思ったことはないだろうか。
ただ単に敵が出てきて弾を撃ち、自分はと言えばその弾を避けて撃つだけに感じている状況だ。
このような”つまらなさ”を生み出しているのはシューティングゲームというジャンル自体の問題ではなく、ゲーム自体に問題がある。
下手な作りのシューティングゲームはいつもいつも同じように、敵に弾を吐かせているのだ。
同じ速度、同じ弾どうしの形、幾何学的で均等な弾の雨、等々。
これらは全て精気の感じられない機械的な印象を与える。
だから飽きてしまうのだ。
怒首領蜂大往生は同じような組み合わせの弾を極力無くすことで、プレイヤーを飽きさせないようにしている。

5面だろうが何だろうがハイパー強化でOK
Xモードの画像

怒首領蜂大往生は画面に表示される敵弾の数が多いため、圧迫感があると思うかもしれない。
実際やってみると圧迫感はあまりない。
これは弾自体が速いことと、敵の弾が画面に表示されない休み時間が設けられていることが理由だ。
特に注目して欲しいのは敵の弾の速さだ。
弾幕シューティングゲームと言えば、ゆっくりとした敵の弾の間に出来た道を辿っていくものと例えられることが多い。
しかし怒首領蜂大往生は敵の弾が速いため、シューティングゲームならではの敵弾を”かわす”感覚が味わえるのだ。
避けるのではなく、かわすのである。

怒首領蜂大往生を作ったCAVEはその後、ゲーム基板の性能が上がるにともなって画面上に表示する敵弾をいたずらに増やした。
つまり敵の弾を避けるゲームへと変わってしまったのだ。
そのような”避ける”ゲームは、開発者が本来作りたかったゲームなのだそうだが、面白さは完全に減退している。
プレイヤーに大量の敵弾を浴びせてストレスを与えるゲームが面白いはずはない。
怒首領蜂大往生が高速な弾を使用しているのは、基板の性能が低いことを誤魔化すための措置だったそうだ。
ところが皮肉なことに、性能の限界が面白さを生み出していたのだ。

緋蜂
Xモードなら噂の緋蜂にも会えます

よく誤解されがちなのだが、動画サイトなどでは隠しボスやら2週目の超高難易度を詰め合わせたものが人気がある。
それと怒首領蜂大往生とはそういう人(人間性能が高い人)のためのゲームだと思われているフシがある。
もちろん極めていけば動画サイトにあるようなすさまじい場面に出くわすこともあるだろう。
しかし普通にゲームをする人にとっては無縁の世界である。
ああいうスーパープレイが出来る人たちのためのモードというものが存在し、普通の人はごく普通のモードで遊ぶことが出来る。

その点、XBOX360オリジナル要素のXモードは一般人から見ると、今までの鬱憤をはらしてくれるモードだ。
Xモードでは敵の弾をかき消すシステムが追加されているので、いつもは苦しめられる強敵を軽くひとひねりできるのだ。
いわゆるチートとかゴッドモードに通じる面白さがある。
ところでXモードを解禁するにはゲームを6時間やらなければならない点は、たびたび指摘されている。
だがそれはXモードの面白さを理解するための措置だったと言える。
なぜなら、本編で苦しんだ後にXモードをやれば、憂さ晴らしという意味で非常に面白いからだ。
ゲームとしてみた場合、Xモードは決して面白いとは言えない。
元々弾を消すように作られていないゲームで弾をしまくっていれば、面白いわけがない。

PS2版とXBOX360版のを買えばいいのかという問題がある。
どちらも怒首領蜂大往生ではあるが、中身が少しだけ違う。
PS2版は設定でき項目が多く、心ゆくまで練習できる。
XBOX360版はロード時間が長くてコンフィグは使いにくいし不親切だ。
しかし、ゲームバランスを調整した”ブラックレーベル”やオリジナルの”Xモード”が搭載されている。
一応XBOX360なので高解像度でゲームをすることも出来る。
根を詰めて遊びたいのならPS2版、色々と遊びたいのならXBOX360版といったところだと思う。

2週目
2週目は腕に自信がある人のために用意されているようなものだ


まとめ
数多くあるシューティングゲームの中でも上位に位置するぐらいの良質なゲームの移植。
プレイヤーを飽きさせない敵弾の組み合わせや弾幕の多彩さが目を見張る。
だが、ゲームを開始するまでに2分かかるロード時間や使いにくいインターフェイスは難点。
点数をつける際には、すでにPS2で完全移植されていることを含めて厳しめにつけてある。

点数53点
リンク

公式サイト


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