デススマイルズ レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
戻る/ トップ

レビュー最終更新日 2009年9月
タイトル
デススマイルズ
機種:XBOX360
ジャンル:シューティング
発売年:2009年

 
紹介
デススマイルズは2007年にアーケードにて稼働した同名のゲームの移植である。
開発はどちらもケイブが行っている。
移植する際には、XBOX360の高解像度向けにグラフィックを書き直したモードや、再調整されたアレンジバージョンが追加されている。
ダウンロードコンテンツでは、アーケードで少数販売された”ブラックレーベル”というアレンジ版を購入するも出来る。

デススマイルズのコンセプトはシューティングに慣れていない人でも楽しめるようなゲームである。
開発をしたケイブという会社は、毎年のようにシューティングゲームを出し続けているメーカーだ。
しかし、見た目が非常に派手で一見すると難しく感じられるようなゲームが多く、シューティングゲームというジャンルの性質上難易度が他のジャンルのゲームと比べると高いという特徴があった。
このような特徴は新規ユーザーの足を遠ざけてしまっていた。
そこでケイブ側としては閉塞感を打ち破るために、初心者や一見さんでも気軽に遊んでもらえるようなゲームを開発したわけだ。

敵
一見さん向けと言っても、簡単すぎるわけじゃない

まず目を引くのが見た目である。
キャラクターデザインはかつてケイブに在籍し、現在はマンガ家として活動している人を起用している。
西洋の中世をモチーフとしてゲームの背景やキャラクターが描かれている。
かわいい絵柄とはまた違った魅力がある。

もうひとつの一見さん向けの特徴は全体的に難易度を低下させ、なおかつ画面に表示される敵の弾数を少なくしていることだ。
デススマイルズは明らかに、今までのケイブ製シューティングゲームよりも難易度が低い。
これからシューティングゲームをやってみようという人でも、なんとかついていける難しさになっていると思う。
さらにXBOX360版では、アーケードモードよりも難易度を下げることが出来る。
難易度を下げた場合の欠点は、スコアを稼げなくなることだけなので、大きなペナルティがあるわけではない。

Danger表示
急に敵が出てくる場面では"Danger"表示がされる親切仕様

全体的に難易度を下げたとは言っても、超上級者向けのモードはもちろん用意されている。
デススマイルズの上級者向けモードは画面全体から弾がにじみ出てくるような感じだ。
画面を埋め尽くすほどの打ち返し弾などがこれでもかとプレイヤーに注がれる。

デススマイルズに対する世間の評価は非常に高い。
苦手な人でも楽しめるからというのが主な理由らしいが、個人的にはかなり過大評価されていると思う。
シューティングゲームのようなマニア向けジャンルの商品は、熱狂的なファンが買い支えているだけあって高く評価されがちだ。
そこで、レビューでは自分の感じたことを素直に書き綴ってみる。
予め言っておくと、私はデススマイルズの開発会社ケイブが嫌いではないし、ケチをつけたいわけでもない。

後半
ゲームも後半になれば、うち返し弾がくることも


レビュー
●初心者向けの調整は良いのだが、全体的に迷走している

デススマイルズはいわゆる弾幕シューティングゲームとは少し違う。
弾幕〜というのは、自機の当たり判定が極小なかわりに画面上に大量の敵弾を表示させ、それを避けていくゲームだ。
とにかく見た目が派手で画面の至る所に弾があるので、実際にゲームをやってない人からすれば非常に難しそうなゲームに映る。
だから新規プレイヤーの興味を引くために弾幕っぽさを無くすことは必要なことだと思われる。
そしてもうひとつ大事なのは素直な弾・素直な攻撃方法を敵が行うことだ。
一見して見切りにくいタイプといえる奇妙な攻撃パターンは、ヘビーユーザーの目しか満足させない。
2つの要素がきちんと用意されているのがデススマイルズだ。
デススマイルズが”普通のシューティングゲーム”と形容されることが多いのは、このような理由による。

ボス
難易度を押さえてやれば、それほどひどい弾幕にはならない

そのため、シューティングゲームに慣れていない人たちにとって、デススマイルズはかなりおすすめできるシューティングゲームとなっている。
取っつきやすそうな雰囲気と、実際に取っつきやすいゲームシステムがきちんと用意されている。
ゲーム後半になってくればさすがに大量の敵弾がばらまかれるようになってくるが、そこまで行けるプレイヤーならば問題はないと思う。

ただ、デススマイルズは難易度を上げたとき、言い換えれば初心者が初級者になったときに問題がある。
いくら初心者といえども数時間やっていれば慣れてくるもので、少しだけ上の世界を見たくなるものだ。
デススマイルズは難易度別のステージが用意されているので、ちょっと冒険して上の難易度を選ぶこともあるだろう。
このとき、デススマイルズは難易度が急激に上昇してしまうのだ。
つまり、初心者向けのモードと上級者向けの高難易度モードしか用意されておらず、初級者が次のステップ(中級者)へと上れるような設計になっていない。
私のシューティングゲームの実力はちょうど初級・中級者レベルなのだが、デススマイルズには自分にあった難しさがなくてビックリした。

ズンドコズンドコ
上級者向けステージは相変わらず難しい・・というか一気に難しくなりすぎ

しかも上級者向けの難易度調整の大半は、やっつけ仕事と言われても仕方ない方法で行われている。
デススマイルズで多く使われている方法は、弾を多くすることと打ち返し弾を多くすることだけだ。
もはや開発側は、難易度を上げようとするときに弾の出方を変えるのではなく、多くすればするほど上級者が喜ぶと思っているのだと思う。
だから打ち返し弾(敵を倒すと、その地点敵弾が降ってくる)を多用し、ゲーム内難易度が上昇すれば画面に放たれる敵弾の数だけが多くなっているのではないか。
要するにデススマイルズは初心者・初級者向けの調整を行った点は非常に評価できるが、他の難易度調整はいい加減なのである。
長年シューテイングゲームを作り続けている開発会社のケイブは、こうした難易度選択の差を作り込まないことが今までも多かった。
アーケード基板には難易度イージーとノーマルがあっても、ゲームバランスの差が微々たるものでしかなかったりする。
つまり、ノーマル(標準)をきっちりと調整して他の難易度はそれなりにするのが、この会社(ケイブ)のゲームの特徴なのだ。
もちろんデススマイルズの標準難易度(初級向き)はきっちり調整されている。

ブラックレーベル
ダウンロードコンテンツでは、もうひとつの再調整されたモードもある

これは初心者向きの調整の1つだとは思うが、デススマイルズは敵の弾、敵自体のサイズがでかい。
つまり一度に画面に表示されるキャラクター数が押さえられており、画面の状況が把握しやすい。
そして敵キャラは全体的に巨大で破壊されたときのエフェクトは大げさなぐらいなので、チマチマとした印象のあるゲームになっていない。
しかし、逆に言うと画面を負い尽くすような敵の攻撃が多く、かなり圧迫感があるとも感じられてしまう欠点がある。
ゲームが後半になればなるほど、そして難易度の高いステージに行けば行くほど、画面にところせましと敵が出現し大量の弾を吐いていく。
別にそれが悪いことではないが、元々敵もキャラクターもデッカイのがデススマイルズの問題だ。
プレイヤーは常にプレッシャーを与えられ続けるため、かなりストレスがたまっていく仕様になっている。
しかもデススマイルズでは意図的に敵の弾を消したりする方法があまり無いので、プレッシャーからの解放による爽快感も薄い。
このような画面の狭さを感じさせるゲームデザインは弾幕シューティングゲームの欠点であり、デススマイルズのような普通のシューティングゲームにも現れているのは興味深い。

あと些細なことではあるが、画面が見にくいのは気になる。
かなりゴチャゴチャしていて慣れるまでは何が何だか分からない。

ケイブはデススマイルズを初心者向けのゲームとして作り、それは成功したように思える。
難易度が低くてもシューティングゲームにかかせない攻撃・避け・稼ぎといった要素はきちんと作られている。
難しいゲームをやさしく調整したものではなく、最初から低めの難易度を基準にしている。
しかし、中級者・上級者向けの調整は失敗してしまっている。
私はここが残念でならなかった。
中途半端になってしまうぐらいなら、難しい難易度をバッサリと切り捨てて初級者向きに特化させても良かったのではないかと思う。

ジャラジャラ
若干見づらい



まとめ
難易度を押さえて遊ぶ分にはよく出来ているゲームだ。
使えるキャラクターや選べるモードも多く、はまれば長く遊べるのも魅力。
ところがある程度上手くなったり、ゲームに慣れた人にとっては、難易度が高くなったときの調整不足が気になるだろう。

点数56点
リンク

公式サイト


戻る/ トップ