BREAKDOWN(ブレイクダウン)レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年2月
BREAKDOWN(ブレイクダウン)
機種:XBOX
ジャンル:アクション
発売年:2004年
紹介
ブレイクダウンはナムコが製作販売をしたアクションアドベンチャーゲームである。
発売はXBOX版のみだが、日本版はD1出力にしか対応していない。(なぜか海外版はD2出力できる)
なお台詞はすべて英語音声日本語字幕になっている。
現在は安値で中古市場に出回っているので入手はしやすいだろう。
ブレイクダウンで最も重視されているのは一人称視点による主人公とプレイヤーの一体感である。
他の一人称視点ではあまり見られないようなゲームシステムなので、FPSを期待していると肩すかしを食らうだろう。
あくまでもアドベンチャー要素の強いアクションゲームとして考えて欲しい。
主人公と鏡の前で
まず一際目につくのが戦闘は素手によるパンチやキックといった格闘攻撃が中心であることだ。
一人称視点のゲームは近接攻撃の距離感が掴みにくいため、距離を想定する必要が低い銃撃戦をメインとして作られていることが多い。
ブレイクダウンにも銃撃戦の要素はあるが、照準が敵にロックされるので「敵を狙う」必要は無い。
一方で、格闘攻撃をするときも自動的に照準が敵にロックされる上にリーチの差で戦闘の勝敗が決まるようにはなっていないので、比較的ストレスなく攻撃できるだろう。
中盤以降は銃が効かない敵が多くなるので格闘攻撃に頼らざるを得なくなる。
攻撃に使うボタンは左右のトリガーボタン(LRボタンのこと)だけだが、移動キーと組み合わせることによってキックやアッパーが出てくる。
この辺は格ゲーに似たところがある。
また一人称視点での没入感を得やすくするために、頭の動きをトレースした様々なアクションが用意されている。
物を食べたり飲んだりするシーンは一人称のまま行われるし、壁をよじ登ったり匍匐移動するときは意図的に自分の体を見させるシーンが多い。
ただ、敵から殴られたときや出っ張りによじ登るときは視点が激しく移動する上にブラーのようなぼけるエフェクトがかかるため、非常に酔いやすいと言われている。
私は鈍感極まりないので酔うことはなかったが、多くの人から酔いやすいという意見が出ているので3D酔いになりやすい人には注意が必要だろう。
パンチ!
没入感を得るための演出で最も際だつのはストーリーの語り方である。
主人公は何も記憶が無いという設定なのだが、周りの人は主人公について知っている。
だからゲームをして間もないうちに主人公の名前を教えてくれるし、何をすべきかについて助言をしたり導いてくれる。
しかしあくまでも主人公の記憶はまったく思い出されることはなくて、目の前の出来事が主人公とプレイヤーが目にしていることと一致するというスタンスを崩していない。
例えば大抵ゲームでは、主人公を動かせるようになったときの前から主人公はその世界で生きているので、プレイヤー側は知らないことを主人公は知っている。
ブレイクダウンでは主人公の記憶が全くないのでプレイヤーが知っていることこそ主人公が知っていることのすべてになる。
さらに面白いことが、主人公はどのような存在なのかや世界がどのような状態なのかが説明書にもゲーム中にも「説明的に」語られることはない点だ。
画面や音声から得られる情報が世界を徐々に形作っていくとでも言えばいいだろうか。
パートナー
レビュー
●良好なストーリーを見せるだけのゲーム
ブレイクダウンは一人称視点の良さを引き出したゲームだと言える。
ゲーム機やパソコンの3Dを表現する能力が高まるにつれて、ゲームをプレイすればその世界へと入り込む要素も強くなっていった。
数あるゲームの中で最も没入感を得られるのが一人称視点である。
しかし一人称でのゲームは見下ろし型のゲームよりも制約が多い。
視点が狭いため画面から得られる情報は少なく、激しい動きをすれば視点がグルグル動き、自分の攻撃の範囲やプレイヤーの体の位置の感覚などがわかりにくい欠点があるのだ。
だから一人称視点でのゲームはFPSかアクション要素が少ないアドベンチャーやRPGにどうしても限定されてくる。
もちろんFPSとアドベンチャーやRPGのハイブリッドもシステム的に何ら問題がない。
そういう意味ではブレイクダウンはFPSやアドベンチャーゲームの良さをうまく融合させたゲームだと言える。
一人称視点やストーリーを効果的に利用し、没入感覚を重視して作られている。
主人公はストーリーを進めると強くなれる
FPSとしての良さは戦闘要素にある。
ブレイクダウンでは格闘攻撃が基本というFPSにあるまじきシステムを採用しているが、大概のFPSには近接攻撃要素は含まれているので一種のFPSとしても考えられる。
一人称視点の醍醐味は、自分自身の視点からもたらされる臨場感ある戦闘である。
そして銃撃要素よりも格闘攻撃に重点を置いたブレイクダウンの調整は、臨場感の演出という意味では成功しているだろう。
ポコポコ銃を撃つよりも自分の手でぶん殴っている方が、普通の人間にとってはしっくりとくるはずである。
またパンチやキックをするときは視点が微妙に動くので、あたかも自分が動いているような感覚を得やすく作られている。
もしもブレイクダウンが銃撃戦主体のゲームならば、そこら辺に数多く転がっているゲームと見分けがつかないはずだ。
ブレイクダウンへの的外れな批判として、一人称視点なのに銃撃戦が面白くないからクソだとか言う人は結構見かけるのだが、これは銃撃ゲームではなくてアクションゲームというか格闘ゲームである。
少しそれるが、物を手に取ったときに眺める動作もなかなか凝っていて個人的には好きだ。
特にハンバーガーを食べたり缶ジュースを飲むシーンはこのゲームらしい場面だろう。
ジュースを飲む
アドベンチャーゲームらしさはやはりストーリーに集約されているだろう。
ゲームの主人公はプレイヤーの分身なのかそれともプレイヤーの操る駒なのかというのはゲームによって様々であるが、ブレイクダウンはプレイヤーの分身としての主人公をハッキリと意識して作られている。
ただ単に一人称視点にしたからだとか、喋る台詞が少ないからだというわけではない。
ましてや自分好みにカスタマイズできる自由度や行動の自由度を元に「没入感」を約束するゲームでもない。
ブレイクダウンはきちんと道筋を立てて展開されるストーリーがあってこその没入感である。
ゲームをはじめると、主人公は研究所のような部屋の一角で目が覚め、そして急に軍隊が押し寄せてきて主人公を襲う。
なにがなんだか分からないままパートナーの言うまま一緒に逃げていくうちに、主人公が「最後の希望」と呼ばれる理由がプレイヤー側になんとなく身にしみてくる。
アドベンチャーゲームとして考えると会話量はハッキリ言ってものすごく少ないが、最低限のことを話しており、アクションゲームとしてのテンポは崩していない。
アクションゲームとして目の前にある難関をくぐり抜けていくうちに自ずとストーリーが徐々に挿入されて入ってくると言えばいいだろうか。
ゲームの終盤に物語の核心というか概念がガラリと変わる場面があるのだが、そこはネタバレになってしまうので伏せておく。
映画や小説では見られないゲームならではの、プレイヤーが主人公を操っていればこその展開なのでぜひとも情報無しで体験して欲しい。
話は変わるが、ストーリーの核心に触れる事柄をバラすレビューなんて懲り懲りだ。
このゲームではないがどこかのレビューでとある購入予定のゲーム内容が思いっきりばらされていて買う前に落胆した覚えがある。
絶体絶命
しかしこのゲームはダメなところが結構見受けられる。
全体的にストーリーでごまかしているような感じもあるので、いくつか挙げていこう。
まず気になるのがグラフィッククオリティの低さである。
人物の造形や机や椅子のようなオブジェクトに関してはかなり凝っているのだが、他のものはけっこう酷い。
ゲームは室内の場面が殆どでるのにほとんど同じような場面が続くので見飽きてしまうのだ。
薄っぺらいテクスチャの板で作った箱の空間がずっと連続していると言えばわかるだろうか。
せめて模様や色彩を変えるなりすれば単調感も減ったはずなのに、ほとんど同じなのでもはや手抜きと思われても仕方がないレベル。
もちろん力がこもった場所もあるにはあるのだが、それは一部だけである。
このゲームの作りはどこかで見たことがあるような気がしたのだが、これはHALOっぽいのである。
ついでに言うとなんで日本版だけD2に対応してないんだと言いたくなる。
敵キャラはいいんですけどね
次は操作性の悪さである。
視点をまっすぐにしていないと移動することが出来なかったりと上下を見渡すことがやりにくい。
なぜかわからないがよく使うジャンプが非常に使いづらいボタンに配置されているので押しにくく、ジャンプを多用する場面が非常に多い。
つまり上下に見渡すことがやりにくいので足場の確認がしにくく、ボタンは押しづらいのにジャンプを要求される場面が多いのだ。
私は一人称視点に慣れていたおかげもあってかそれほど苦労することはなかったが、慣れていない人にとっては非常にイライラするに違いない。
視点移動がかなり激しいので酔いやすいのも人によっては結構キツイ物があるだろう。
おまけにジャンプするにしても妙な慣性がついているので慣れるまでは苦労する。
戦闘は結構面白いが、終盤はただ敵を数多く出しているだけという感じがする。
基本は一対一でしか戦闘が出来ないので、油断すると集団からボコられる。
ただ攻撃されるのなら良いのだが、攻撃されると視界がぐらぐら揺れて主人公が倒れ込むのでテンポが悪い。
テンポが悪いと言えば、回復アイテムなどのアイテムを取るときに一々手にとって物色する様子が入る。
最初は面白いのだが、慣れてくるとだるくなってくる。
敵にブン殴られるとこんな感じ
その他良いことも悪いことでも無いことを書いておこう。
プレイ時間は7時間もあれば全部クリアすることが出来るくらいのボリュームである。
一度やってしまえばまたやりたいとは思いにくいゲームなので、短い時間で楽しむゲームを探している人にはおすすめ出来る。
そしてチェックポイントが頻繁に設けられており、死んでしまうとチェックポイントに体力が回復した状態で戻るので難易度はそこまで高くない。
3D酔いなどの要素を除けば気軽にやれるゲームではある。
またストーリーを追ってその間に挟まれる戦闘やアクション要素を楽しむというゲームなので、何かの操作を極めるというゲームではない。
以上でレビューは終わるが、ブレイクダウンは全体的にFPSを作り慣れていないのだなという印象を受けた。
日本のゲームメーカーは一人称視点のゲームを作り慣れていないので、習作の意味合いも兼ねて一人称らしさを生かしつつ従来の一人称ゲームを超えるべく製作されたのだろう。
しかしできあがった物はやりたいことが大いに伝わってくるものの改善点が多いゲームだった。
他のFPSを参考にしたような展開が結構見受けられるので、「共通点探し」も面白いかもしれない。
主人公に秘められている超人的な力が目覚める
まとめ
一人称視点のゲームではあるが、銃撃よりも格闘攻撃やストーリー展開に力を入れたアクションアドベンチャーゲームである。
三人称視点で作らずにわざわざ一人称にした理由というのが、ゲームの後半になればなるほど分かってくる。
操作体系が悪かったりと洗練されていなくて詰めの甘さが所々にある。
奥深さはないが短いプレイ時間を一気にやって満足感を得られるタイプのゲーム。
点数71点
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