Last Rebellion (ラストリベリオン) レビュー --FF2400 ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2010年7月
Last Rebellion (ラストリベリオン)
機種:PS3
ジャンル:RPG
発売年:2010年
紹介
Last Rebellion (ラストリベリオン)はPS3専用に発売されたRPGである。
発売は日本一ソフトウェアで開発はヒットメーカーという会社が行った。
海外でも発売されている。
ラストリベリオンはクソゲーであることを既にご存じの人も多いかもしれない。
発売された同時期にファイナルファンタジー13やエンドオブエタニティという大作が発売されたことも手伝って、評価も売り上げも酷いものであった。
日本一ソフトウェアは小規模な会社でありながら味のあるゲームを作ってきたメーカーである。
ここ数年下請けのゲームを発売するパブリッシャーとして大量のゲームを発売している。
ラストリベリオンもこうしたパートナーシップの一環として作られた。
ただし下請けの会社は実績もそれなりのところが多く、日本一ソフトウェア本体が開発したゲームと比べると面白くないと言われているようだ。
残念なことに日本一ソフトウェアの経営状態はかなり悪い。
経営がヤバイ会社は新作を大量に作り、資金が回らなくなって倒産するという黄金パターンが存在する。
そう考えると日本一はかなり危ないのではないかと思わせる。
主人公は二人で一つ。その意味はゲームをやろう
ラストリベリオンはレベルを上げて敵やボスを倒して先に進んでいく王道のRPGだ。
ストーリーは一枚絵とテキストによって展開されているのでPS3らしさは全くないと言える。
なぜか日本製のゲームなのに音声が英語だ。
ゲームには街やフィールドマップは存在せず、すべてのマップが繋がっている。
そしてマップの作りと合うように戦闘はシンボルエンカウントを採用している。
音楽は悪くはないが絶対数が少ない。
初期値ではまったく聞こえないので設定で音量をあげる必要がある。
クリアまでは10時間から15時間かかる。
RPGとしてはかなり短い部類に入り、ボリューム不足と言われても仕方がない。
シンボルエンカウント
戦闘システムは他のゲームに見られない特徴がある。
主人公は二人いるが、訳あって一度に一人しかゲームに出てこれない。
ターン型の戦闘では主人公二人の行動を交互に指定することができ、いわば二回行動をおこなっているような感じだ。
二人は得手不得手があるので、どういう行動を取らせるかを考える面白さがある。
部位ごとに攻撃ができるのもラストリベリオン独自のものである。
主人公が敵の部位を攻撃する順番によってダメージが大きくなったりする。
正解の順番で攻撃すると多くのダメージが入るばかりか戦闘終了後に得られる経験値が増え、敵の攻撃も弱くなる。
ラストリベリオンの戦闘は敵ごとに設定された弱点を探し、狙うことに特化している。
こう聞くとなんだか面白そうなゲームかと思われるかもしれない。
しかしラスリベはゲームを開始してまもなくバランスが破綻してしまうのが問題だ。
女性主人公は魔法が強く、男性は打撃が強い
レビュー
●500円の携帯アプリレベル
ラストリベリオンはまごうことなきクソゲーである。
私はラストリベリオンをやっていてもさほど呆れはしなかった。
投げ売りされていたからだとか、ダメな意味での話題作だったからだとかではない。
携帯電話で購入する500円アプリとさほど変らないようなクオリティだったからである。
ただし、買って損したと思わせてしまうゲームと同程度の品質だ。
出来の良いアプリならば500円以上の価値はある。
しかもラストリベリオンは話題に事欠かない。
なぜか英語音声のみであることや、バランスが崩壊した戦闘、不親切極まりないコマンドなど、はたから見るだけでその驚くべきポテンシャルの低さが分かる。
グラフィックがPS2レベルであることは、本当のクソゲーへの序の口なのである。
フィールドで魔法を使うことも出来ます
ゲームを開始すると30秒はあろうかという長い長いロードがある。
マップ切り替え時に毎度毎度長ったらしいロードが挿入されるので、移動するのが面倒になってくる。
とはいえ戦闘前のロード時間は皆無である。
ここは評価したい。
少し補足しておくと、ラストリベリオンは長い長いダンジョンがいくつも繋がっているような構造のマップで作られている。
フィールドマップと言ってもアクションゲームで言うステージみたいなもんだが、どこも広く作られているため、頻繁に複数のマップを行き来して長いロード時間に苦しめられることはほとんどない。
ただ、終盤にややこしいマップ巡りがあり、そこで嫌と言うほどロード画面をみるハメになる。
そしてラストリベリオンの本編が始まるとプレイヤーは英語音声に驚く。
海外製のローカライズならまだしも、なぜ日本で作られたゲームなのに英語音声日本語字幕で楽しまなければならないのだろうか。
しかもゲーム内のBGMも声もボリュームがとんでもなく低い。
まともに聞きたいのなら一々設定をやり直す必要があるのだ。
ラストリベリオンはバグが少ないので、テストプレイをやったことはやったのだと思うが、こうした初歩的なミスを犯している。
英語音声はあり得ないです
ポリゴンで表現されたキャラクターはPS2に毛が生えた程度である。
ヒロインのモデリングはぜんぜん可愛くないし、ヒーローもまったくかっこよくない。
なお、登場人物同士の会話では2D立ち絵が多く使われている。
2D絵についてはポリゴンにはない良さがあるので、それ自体が悪いわけではない。
しかしラストリベリオンは絵のパターンがかなり少ない。
せめてたくさんの表情や動きを表現した絵がなければストーリーを語る資格はない。
なぜなら絵であってもドットであっても、3Dポリゴンであっても、キャラクターの表情が見えるように表現することには変わりないからである。
言い換えれば、ボディランゲージのようなものがなければゲームのストーリーとして失格なのである。
言葉のやりとりが見たければ小説でも読んでいればいい。
しかも英語音声によって演技を楽しむと言うことも制限されている。
ラストリベリオンには広くて迷いやすいマップの案内用にミニミップが用意されている。
それはすばらしいことなのだが、なぜかミニマップの地名説明が英語小さく書かれているため、次に向かうべき地点が分かりにくい。
せっかくストーリーのあらすじがメニューからみれるのに台無しだ。
ゲーム中に話を忘れてしまった人がストーリーを思い出すため、こういった過去を振り返る手段が用意されているのは良いのである。
ミニマップについて補足すると、マップがかなり立体的な構造をしているせいでミニマップの使い勝手が恐ろしく悪いという欠点もある。
もう少し平面的なフィールドを作らないと迷いやすいと思う。
ミニマップを見てほしい。英語である
RPGと言えばストーリーと戦闘が大きく評価されるジャンルだ。
ラストリベリオンはどちらも誉めるところがない。
重厚長大路線に陥っているRPGの皮肉や反逆(英語でリベリオン)として作られたかは分からないが、ラストリベリオンはクリアまでに10時間程度である。
短い時間であってもあっと驚く話や壮大な物語を作ることは出来るため、時間の短さはダメなストーリーの言い訳にはならない。
ラストリベリオンのストーリーには色々と問題が多い。
なかでも疑問を覚えるのが登場人物の少なさである。
RPGにありがちな世界を救うという大きなラストが待っているのだが、世界を救った感覚をプレイヤーが実感するには、ゲームの世界の大きさを実感させる必要がある。
それか狭くても問題ないような世界、例えば世の中に10人しかいなくなった未来とかを用意しなければならない。
しかしラストリベリオンは少ない人数で狭い狭い争いをやっているだけなのである。
主人公が住んでいた城には人物が一人しかいないし、街には人が一人もいない。
既に死んでしまった人が幽霊のような状態になって浮遊してはいるが、根本的に数が少ない。
敵モンスターもほとんどが色違いか大きさ違いで構成され、世界の広さを全く感じない。
ネタバレになってしまうので詳しくは述べないが、ラストのどんでん返しが私が高校生の頃妄想していたRPGツクール製ゲームと同じである。
似たような話はラノベや漫画にありそうなのでツクールレベルであるとはさすがに思わない。
しかし、ラスト付近で「いままでクリアしたマップを巡り、キーアイテムを探し出す」という無駄な時間稼ぎ要素はいらない。
ただ単に時間がかかるだけのツクール製RPGにありがちな要素である。
このマップ巡りのやばいところは敵から逃れられないところにある。
シンボルエンカウントのくせに敵にいったん見つかると、プレイヤーの走る早さ以上の速度で地の果てまで追いかけてくる。
また接触面積も異常に広い。
一応一発で敵を殺す手段や「逃げるコマンド」はあるのだが、相当レベルが高くなっていないと効果が出ない。
すなわちマップ巡りはイライラさせるだけの要素にしかなっていないのである。
まともな人間はこの方しかおりません
戦闘は欠陥のカタマリだ。
なぜならゲームを開始してまもなくバランスが完全に崩壊し、攻撃(物理攻撃)をするのが最も効率がよくなるである。
つまり決定ボタンをただひたすら押すだけの戦闘が続く。
ラストリベリンの戦闘には様々なパラメーターやシステムが組み合わせてある。
それら一つずつが密接に絡まっているのならば抜群のバランスを持ち合わせた戦闘になっていたかもしれない。
ところが実際はうまい着地点が見つかっていない。
もしかすると開発はその問題を解決するために、物理攻撃の威力を底上げしたのではないか。
これは「もし」ラストリベリオンの戦闘が開発の目論見通りにバランスがとれていたらと考えてみるとよくわかる。
戦闘において重要なパラメータはHP、MP、CPである。
ラストリベリオンは戦闘終了後にHPやMPといった数値が回復することはなく、おまけに「宿屋」が存在しないという特徴がある。
HPやMPはフィールドで放置していれば徐々に回復はするが、かなりゆっくりとした速度なので多用できるほど効率は良くない。
そこで使うのが「魔吸」と「封魂」というコマンドだ。
魔吸は敵からMPを吸い取り、封魂はHPを吸収する。
また、魔吸は何度でも使えるが封魂に成功すると敵は消滅する。
戦闘中に敵を戦闘不能状態に追い込むと魔吸・封魂は100パーセント成功する。
通常の状態ならば、レベル差が高くないと失敗する。
ここで戦闘状態の敵を放置すると数ターン後に強力な状態となった復活するのがキモである。
つまり、MPを回復するためには魔吸を繰り返すことが必要となっているが、欲を出して使いすぎると敵が強くなってこちらがピンチになるのである。
敵によって復活のタイミングは違うので、ほどよいところで封魂を使って切り上げなければならない。
HPは魔法によっても回復できるため、魔吸がカギを握っていると言えるだろう。
この魔吸・封魂システムは評価できる概念である。
戦闘シーン
ラストリベリオンの問題はここにCP(チェインポイント)が組み合わさることで生まれる。
CPは戦闘中に行動をするために必要なコストの概念である。
例えば魔法は全て1で防御は0、通常打撃攻撃はそれらに比べて5、10といった大きな数値が必要だ。
ターン終了後にいくらか回復するのだが、それでもコストが高い打撃攻撃を常に使い続けるというのは不可能である。
したがって魔法を適度に組み合わせてCPを節約する必要がある。
ただし、ラストリベリオンでは打撃攻撃をあてた敵にのみ魔法がかかるという仕様になっている。
本来なら魔法と打撃をコストの天秤にかけて使いこなすゲームだったに違いない。
魔法は打撃ほど強くはないが、CPコストは低くてすむ。
また戦闘が長引けば回復魔法によってMPを大量に消費するため、攻撃魔法も使いどころを考えなければならなかった。
しかしラストリベリオンは戦闘終了後にパラメーターが回復しない。
下手すれば消耗した状態でフィールドに放り出される。
そうなればかなり長い時間放置をして体力が回復するのを待たなければならなくなる。
これは魔吸・封魂によって回復する数値が少ないことや、そもそも敵が強すぎるのが問題なのである。
敵はHPが非常に高く設定されているので適正レベルだと長期戦になりがちである。
そして長い時間をコストのやりくりに費やされるゲームはハッキリって苦痛なのだ。
毎ターン毎ターン経営シミュレーションをしているかのような、込み入ったコスト概念をやらなければならない。
魔法も打撃攻撃も足かせとなるコストによってがんじがらめにされている。
これでは行動を起こそうにも起こせない要素だらけである。
しかも戦闘が終わったら後に控える次の戦闘を見越して行動しなければならないため、考えることが多すぎて頭がパンクしそうになる。
また、CPはフィールドの点在する緑色の柱を、攻撃ボタンで攻撃することか魔法によって回復できる。
柱叩きは序盤の序盤だけはお世話になるが、ある程度進むと用済みである。
それにわざわざ攻撃する必要はあるのかと問いたい。
一言でラストリベリオンの戦闘を説明するとすれば、行動のコストをやりくりするRPGである。
しかし煩雑になりがちなため、仮にうまくバランスがとれていてもストレスが多い戦闘になっていたはずだ。
そこで解決法として打撃攻撃を最強にしてしまったのである。
中盤以降、コストを左右していたCPのバランスをすべて無駄にするための魔法が手に入る。
この魔法を使えば打撃攻撃は使い放題だ。
だから「物理で殴ればいい」RPGなのである。
こうして物理で殴ればいい。画像は日本一ソフトウェアおなじみのキャラクター
敵は部位が設定されている。
部位を正確な順番で攻撃すると敵へのダメージが多少大きくなる。
それよりも大事なのは、敵ごとに逆鱗というのが設定されており、適切な順番以外で逆鱗へ攻撃すると強力な反撃を受ける。
慣れてくると分かるのだが、適切な順番で敵をたたいても叩かなくてもダメージの差は数パーセントである。
したがって逆鱗を避けるように攻撃すると戦いやすくなる。
だが、そもそも敵の部位を順番に攻撃するのはただのしらみつぶしであって面白くも何ともない。
見たことのない敵と出くわしたら一つ一つ部位をずらして攻撃することに戦略性も工夫のしがいは皆無だ。
他にも意味があるのかどうか迷う要素が多い。
まず、魔法が多すぎる。
属性がありすぎて把握しきれないぐらいである
こちらのレベルが低ければ無効化されるし、属性があわなければダメージがまったく通らない。
攻撃力や防御力を一時的に高める魔法はあるが、効果は雀の涙ほどである。
ボスを中心に、状態異常攻撃がうざったい。
こちらが状態異常魔法を使っても全くかからないのに敵の魔法はほぼ100パーセント効く。
仮に利いても状態回復魔法のみ発動できるので、1ターンのみの作業が増えているだけだ。
しかもボスはHPが異常に高い。
結局打撃をつかわないとさっさとと倒せないし、打撃を使っても長い長い戦闘が待っている。
敵の攻撃パターンは単調なので、ボス戦もボタンを押すだけである。
俗に言うリミット技はあるが、発動条件が厳しすぎて存在意味がない。
そして最後に、防具の意味がない。
これも上昇する数値がわずかなために装備をする必要がなくなっている。
まだ突っ込みたいところはあるがこれくらいにしておこう。
CP回復に斬りつけるシーン
ラストリベリオンは戦闘、ストーリー、グラフィック、キャラクターどれもが最悪に作用したゲームだ。
戦闘は概念こそ良いが、バランスをつかさどる数値の扱いを失敗してしまったようだ。
ストーリーは英語音声が全てを台無しにしている。
なぜ採用したのか。
グラフィック・キャラクターはキレイな2Dを用意するものの、そのポテンシャルを生かし切っていない。
大量の余計なシステムが多く、重要なものだけに絞り切れていない。
しかし気合いを入れて作ったのだろうなとは思わせる。
これだけひどいゲームなのにバグが少ないのである。
ストーリーを振り返るシステムなどの細かなところもきちんと作られている。
説明書にはただコマンドを説明するのではなく、どの場面で何をすれば良いのかと言ったような、戦闘の指南が事細かに書かれている。
クソゲーにはいろいろな種類がある。
明らかに手を抜いたゲーム、時間が足りなかった未完成品、しっかりつくったはずなのにコケたゲーム。
ラストリベリオンは完成度が高いわりに、ことごとく外してしまっている。
誰だってクソゲーがでてきたことを喜んでいるわけではない。
渾身の一作がクソゲーと化してしまった悲劇を語っているだけなのだ。
魔吸・封魂の概念は良いのだが
まとめ
がんばって作ったけれども報われなかったゲーム。
プロの仕事とは思えない。
それこそシロウト集団が集まり、アイデアを持ち寄り、具現化したような感じである。
救うことの出来ないクソゲー。
点数 17点
リンク
公式サイト
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