イースV ロスト ケフィン キングダム オブ サンド  レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年9月

イースV ロスト ケフィン キングダム オブ サンド
機種:PS2
ジャンル:アクションRPG
発売年:2006年


紹介
イースV ロスト ケフィン キングダム オブ サンド はタイトーが製作と販売を行ったゲームだ。
イースシリーズといえば日本ファルコムの看板アクションRPGであるが、今作はタイトーが制作を担当している。
ファルコムは基本ノータッチらしい。
PS2で発売されたイースIII・IV・Vはいずれもタイトーがリメイクを行っており、タイトー版イースと呼ばれている。
ただ、巷で言われているようにタイトー版イースはどれもが低水準のゲームだ。

別にここで述べる話ではないかもしれないが、タイトーの開発力低下について少し触れておく。
タイトーは90年後半頃から優秀なプログラマーなどが次々と退職していた。
さらに2000年以降は大規模な人員削減も行われている。
かつてはアーケードゲームでは人気作を次々と生み出していたタイトーだったが、90年後半以降はパッとせず、2000年代に至っては普通のゲームを開発することすらできない状況になっていたと言える。
そんな中、経営が悪化したタイトーはスクエニに買収されることとなったわけだ。

会話シーン
今回はケフィンという幻の街に関するストーリーだ

開発力が低下したタイトーの作ったイースVは前作のタイトー版イースIIIやIVよりも多少マシとはいえ、平均以下の出来となっている。
具体的な欠点はレビューで触れるとする。

ゲームシステムは一般的なアクションRPGそのものだ。
普通のアクションゲームと違い、敵を倒すと経験値がたまっていき、レベルアップする。
レベルが低いと敵からのダメージが多くて苦戦するので、適宜レベル上げをしつつゲームを進めていく。
同じように、武器や防具も買いそろえていかないと敵にダメージすら通らなくなったりする。
こういった仕様はアクションRPGとしては割と見られるバランス取りである。
だから普段の戦闘が面白いか面白くないかが評価の大きな分かれ目となる。

ふぃーるど
フィールドの様子

グラフィックは2D絵をそのまま3Dに落とし込んだようなものだ。
プリレンダリング気味のグラフィックにしたことによって見栄えが良くなっている。
視点は斜め見下ろし型なので、視野は広い。
音楽はSFC版のアレンジだそうだ。

イースVにはIIIやIVのゲームデータとデータのリンク機能がある。
リンクすれば、過去作の音楽を聴きながらイラストギャラリーを見るモードが追加される。
またゲーム本編で使えるアイテムを入手することもできる。
ただ当たり前だが、前作のセーブデータがなければ見ることができないのには注意。

PS2の末期に出たゲームなのであまり中古に出回っていないし価格は高め
ただし、捜そうと思えばすぐに手に入る。

じゃんぷ
静止画だと結構ギザギザしているが、動いているとそれほど粗は見えない


レビュー
●とにかく単調

RPGというのは、つきつめればレベル上げのためにひたすら同じ作業(戦闘)を繰り返すジャンルであるとも言える。
だからこそ作業自体が面白くなければならないし、作業に感じさせないための仕掛けは必要だ。
先に進めたくなるストーリーや魅力的な世界の設定はやはり大事なのだ。
イースVは戦闘が面白くない上にストーリーの見せ方・演出も悪い。
ただ、このイースVというゲームは見た目はそこそこ良くゲームバランスも崩壊していないので、感触は悪くないのが興味深いところだ。
駄作とされるゲームにはいくつかのタイプがある。
イースVはその中でも、『単調すぎてつまらない』種類に当てはまる。
プレイヤーは面白くもないことを何時間も繰り返しやらされるのだ。

ぼす
ボス戦のシーンだ

敵を見つけたら持っている武器で殴るだけ、というのがイースVの戦闘の印象だ。
攻撃には明確なコンボのようなものが無い。
一応説明書には通常攻撃と魔法攻撃を組み合わせることでコンボが生まれるとか書いてるが、ただ単に攻撃の後に魔法が発動するだけなのである。
しかも通常の敵は、適正レベルと装備ならば3回程度の攻撃でさっさと倒せるので、そもそもコンボを行う必要がない。
魔法攻撃については威力がかなり低い上に当てにくく、一部のボス戦以外では使い勝手が悪い。
このような攻撃の当てにくさはイースVにおいてかなりストレスがたまる仕様だと思う。
イースVは見下ろし型の視点になっているのだが、通常攻撃や魔法攻撃の当たり判定(または敵との当たり判定)がシビアなために攻撃を当てにくい。
なぜならせっかく3Dを使ったゲームなのに、ゲーム自体が8方向への攻撃を前提とした”昔からある2Dゲーム”と同じ作りになっているのである。
移動に関してはアナログスティックで自由に移動できるのに対して、攻撃はほぼ8方向に限定されている。
このようなズレが攻撃の当てにくさを形成している。

魔法
魔法もあることにあはる

さらにつまらなさを助長しているのが使い回しのマップと種類の少ない敵である。
敵については攻撃パターン別に8種類ぐらいしかいないのである。
それぞれの敵は明確な違いというのもあまり存在しないので、プレイヤーは同じような敵ばっかりと戦闘していると感じるはずだ。
そしてマップの使い回しはかなり酷いレベルだ。
簡単に言うと、イースVは十字路と十字路から一方向ないし二方向の道を削った小さなマップをつなぎ合わせているだけだ。
特にダンジョンの使い回しはダンジョン自体の長さと相まって、かなり気になる。
どこへ言っても同じようなマップなので、マッピングをするか短い時間で一気にやらないと確実に迷う。
ダンジョンの仕掛けもかなり単調だ。
あっちへ行って仕掛けを作動し、反対側のドアを開けて次のフロアへ行くという「お使い要素」しか用意されていない。

単調なダンジョン
問題の単調なダンジョンがこれ。すさまじく長いです

イベントも同じものが多く用意されているので、単調さに拍車をかけている。
それが「護衛イベント」である。
ダンジョンの深部に特定のNPCと連れて行ったり、ダンジョンからNPCを自由を脱出させたりするイベントだ。
NPCはプレイヤーの動かしたキャラクターの後ろからのそのそついてくるので、敵を排除するなり敵のいないところを縫っていけば楽にクリアできる。
最初に護衛イベントがあったのはアクセントという意味ではかなり良かった。
しかしイースVはクリアするまでに4回も護衛イベントがある。
同じのを4回もやるとさすがに疲れてしまう。
しかも最後の二回はとても長いダンジョンの深部にいるNPCを救出し、元の場所に戻ってくる往復イベントであるので、長くて単調なダンジョンを嫌々進み、見飽きたイベントを消化しつつ同じ道を元に戻るという地獄が待っている。
今まで述べてきたことを読めば、イースVがとにかく単調なのがおわかりいただけるだろう。

護衛
護衛イベントのシーン

じゃあストーリーはどうなのという話になる。
前半は淡々としているものの後半は題名にもある「ケフィン」関連でなかなかの盛り上がりを見せてくれるので、クリアしたときは達成感があって気持ちが良い。
ただし、それは最後の最後だけだ。
ゲームの殆どが大して面白くもないストーリー、単調なダンジョンと演出に費やされている。
最終ボス間際になって見せる盛り上がり方も、見方を変えればラスボス直後の自分語りに過ぎなかったりする。
聞きたくもないのにアレコレ聞かされても人によっては興味を持てないと思う。
私の意見としては、中盤から情報を小出しにしていったほうがプレイヤーの興味を損なわずに済んだと思う。

イースと言えば音楽、ということでイースV もそれなりの質の音楽が用意されている。
注文をつけるとすれば、やはり終盤の長いダンジョンの曲数が少ないこととやや地味であることか。
悪くはないのだが、やはりゲーム終盤の雰囲気を醸し出して欲しかった。

ドギ
相棒というか友人のドギも健在

イースVの欠点は全体のデザインの悪さだと思う。
見た目は綺麗で大きな不具合がないゲームなのに驚くほど単調なゲームに仕上がっているのは、プランナーやプロデューサーに原因があるはずだ。
戦闘が単調でもストーリーで魅せたり、面白いダンジョンやイベント豊富に用意すればもっとマシなゲームになったはずだ。

クリアした後に流れるスタッフロールを見ると、結構少ない人数で製作しているのがわかる。
金をかければいいという話ではないが、予算や時間の都合はあったのだと予想できる。
なぜならイースVはIIIやIVが発売してから一年ほどで発売されており、三つのセットを買うとオルゴールが当たるキャンペーンも行われていた。
なるべく早く発売しようとした結果なのかもしれない。

目玉の敵を倒す
攻撃を当てにくいのでジャンプ切りばかりした方が良い



まとめ
単調さが目立つので、無駄に時間をつぶしたい人ならばやっても良いだろうか。
イースIIIやIVをもっているのならリンク要素目当てにするのも手。
面白さが完全に欠如しているゲームだ。

点数45点

リンク

公式ウェブサイトは消滅


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