Portal(ポータル)レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年1月
Portal(ポータル)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2007年
紹介
元々はハーフライフ2のMODとして専門学校生が作っていたフリーゲームがValveの目に留まり、その後開発メンバーがそのままスカウトされ、それでポータルを製作したという変わった開発経緯をもつゲームである。
開発の難航や紆余曲折については各種ウェブサイト(4gamerなど)を参考にして欲しい。
ポータルは2007年にオレンジボックスのゲームの一つとしてリリースされた。
発売前はいろんな意味でオマケに近かった感じで受け止められていたが、結果は各レビューサイト、プレイヤーから絶賛されることとなった。
FPSといえば銃を撃ちまくったり、そうでなくても戦闘という要素は不可欠だったといえる。
大胆にもポータルはプレイヤーが行う攻撃要素を完全に排除している。
その先に開いているのは、ポータルデバイスという装置を使うアクションパズルゲームであった。
ポータルデバイスは、特定の壁に向かってポータルというものを発射して作ることが出来る装置である。
ポータルは二個発射することができ、そのふたつがつながっている。
(要するに銃の形をしたどこでもドアとか通り抜けフープみたいなものである)。
このポータルデバイスと、物理計算された世界がゲームの舞台となる。
これがポータル。先のほうに自分が見える。
主人公は誰もいない不思議な空間で目覚め、コンピューターの指示に従って目の前にあるパズルを解いていく。
パズルを解くと言えば語弊があるが、要は部屋の出口を目指して進むのである。
ただ出口へたどり着くためには、パズルのような謎解き要素をクリアしなければならないのでパズル的なのである。
またポータルは全部で19の場面に分かれていてその一つ一つは短いので総プレイ時間はかなり短い。
最初の方は簡単だが、後半のマップになってくると特殊なアクションが要求されてきて難易度は高くなってくる。
ポータルはパズルに必要な発想の転換と、アクションゲームに必要なアクション要素をミックスさせたゲームである。
アクションゲームには何かしらパズル要素がないわけではないが、純粋にパズルだけというゲームは他に類を見ない。
ただし、だからポータルはすばらしいと言う訳ではないことに注意して欲しい。
統一された世界、練りこまれた難易度のバランスがあってこそのポータルである。
一見するとこんなのどうやってクリアするのかと思うようなマップ。
クリア後は一度クリアしたマップの難易度を上げた上級者向けマップの登場と、いかにしかうまくクリアするかを競うチャレンジモードがある。
チャレンジモードは最短歩数、最短時間、などを目指すモードである。
とにかく斬新さ、新鮮さという点ではずば抜けている。
単純なパズルゲームでもないし、アクションゲームでもない不思議なゲーム感覚がプレイヤーを待っているだろう。
具体的なゲームプレイは言葉で言い表しにくいので、気になる人は動画をYoutubeなりで見ていただきたい。
後半のシーン
レビュー
●先へ進む方法を見つけるアクションゲーム
最初からこんなことをいうのも気が引くが、やってみなければポータルの独特さはわからないと思う。
ただ、ポータルの良さというのは言葉に出来るのでそのあたりを言葉にしていく。
まずポータルの統一されたデザインはとても秀逸である。
アクション要素を含むとはいえ、結局は目の前にある障害をパズルのようにして解いていくわけだから、ゴチャゴチャしたグラフィックはいらない。
ポータルでは前半は白を貴重としたマップで統一されており、後半はまた違った世界が待っている。
プレイヤーをナビゲートするコンピューターの無機質な声とともに、生気の感じられない殺風景が広がる空間をプレイヤーは進む。
寂しい光景だが、あまりにも一貫しているためにパズルゲームらしさがある。
しかし後半になればなるほどコンピューターはプレイヤーに対して干渉(指示)を行ってくる。
そこから読み取れるのは、やらされている感覚からやっていく感覚にかわっていくその過程である。
これが誰にもわからないうちに行われているのだ。
人間味の無い空間
また難易度調整は絶妙の一言である。
最初は簡単で最後が一番難しいというのは、まあ当たり前に実現されている。
ポータルで秀逸なのは、前のレベルで要求された操作を発展させた操作が次のレベルで要求されているという点にある。
わかりやすく言えば、あるのレベルは次のレベルのチュートリアルになっているのである。
したがって何も意識せずにプレイヤーはポータル独自の操作を覚えることが出来るのである。
一々言葉でああしろこうしろというのではなく、それとなく示して、理解させるのは非常に難しい。
しかし押し付けがましくないのでプレイヤーへのストレスは少なくて済むのだ。
出来そうに見えて出来る難易度は、プレイヤーにとってもっとも会館ではなかろうか。
ポータルは無理だと思っていたことが出来るときの快感をうまい具合に味あわせてくれる。
わからなければ床にヒントが書いてあることも。
ゲーム後半はそれまでのレベルで培った技術を駆使して進むゲームへと様変わりする。
進むルートは書いてあるが何をすればよいのかが明示されておらず、何をすればよいのかをよく考える必要が出てくる。
そういう意味でポータルは操作を楽しむ操作ゲームでもあるといえる。
自分がポータルをうまく使えるようになること自体も面白いし、ポータルで先へ進むことも面白いのだ。
ところでこれ、自分はアクションゲームだと考えている。
人によってはパズルゲームなのかもしれないが、例えばパズルなんてのは日常に当たり前のように紛れ込んでいる。
3Dグラフィックが進化することで、日常的な要素をそれとなく要求されると自分は考えている。
例えば物置の整理を考えるのもある意味パズルみたいなものである。
どのように荷物を配置して、積み上げて、整理すればよいのかというのはある意味パズルである。
しかし、絶対的な正解がないことからパズルゲームではないと思う。
例えばジグソーパズルは決まった絵柄になることが絶対的な正解である。
日常生活にしろ、ポータルにしろ、絶対的な正解はない。
ポータルでは動画サイトで超人的なプレイもしくは普通のプレイを見るとよくわかるが、一人一人解き方が違う。
その人によって違う試行錯誤の過程が面白さにあるのだろう。
チャレンジモードがなぜ存在するかといえば、何度もやりこんでいかにうまくプレイするかを開発者が望んでいるのだ。
さてどうやって攻略しようか。
ただこのポータルは確かに面白いが、やっていくうちに面倒になってくる。
特に要求されるアクション要素がだんだん面倒になってくるからである。
そして後半のマップはヒントが極端に少ないため、人によっては詰まることもあるのではないかと思う。
また自分がやった限り、後半になるにつれスマートな解法が得られなくなってくると感じた。
自由度がくわわったばかりに、パズルにある洗練された爽快感が抜け落ちてしまっているのだ。
またボリューム不足も指摘しておく。
くそ難しいマップはいらないので、適度なマップをあといくつか用意してくれていたらよかったのに、とも思ってしまう。
ただポータル自体はオマケみたいなものだったので贅沢はいえないだろう。
後半は未知の空間を進む。
もうひとつ苦言を呈すれば、理解しにくいストーリーについても印象は悪かった。
バックグラウンドではハーフライフの世界とリンクしているというし、他にも意味ありげな落書きやコンピュータの言葉がちりばめられている。
言ってしまえばプレイヤーにわかりにくいストーリーを展開させることが、高尚なストーリーテーリングだと勘違いしているかのようなフシがある。
わかりやすいことがよいというわけではないが、プレイヤー側としては置き去りにされている印象しか残らない。
開発者にしかわからないようなものをつくることは、ただの自己満足にすぎない。
時には開発者の暴走も良い方向へ向かうが、ポータルでは理解しにくい不気味さがただよってきて面白くない。
あと、エンディングが一部で好評価だという。
特に歌の評価が高い。
何を意味するのだろうか?
まとめ
欠点がとても少ない名作ゲーム。
問題は各人の好みに合うかどうかである。
腰をすえてやるのではなく、気晴らしにやったほうが良いと思われる。
あまりにも期待しすぎると拍子抜けを起こすだろう。
点数83点
リンク
公式ウェブサイト
Valve
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